芸術創造センター こぼれ話
Dropped talk of Performing Arts Center

2003年11月30日更新 Updated on November 30th,2003

2003/11/30

[残すところあと一月]
 今日で11月も終わりです。昨日付の更新前は随分バタバタしましたが、昨日は休日の恒例どおり6時前に起床して執筆開始、途中で買い物を挟んで昼寝(こら)。夕食後執筆を再開して完成させました。1日で1つ作品を書き上げたのって、随分久しぶりのような気がする・・・(^^;)。
 ところで長引いている連載のサマーコンサートもようやく終盤。早く終わらせて次の見せ場を披露したいんですが、いきなり話をすっ飛ばすわけにもいかないので、もう暫く我慢してください。構想自体は既に頭の中にありますから、私も早く書きたいんですよ。
 また話は変わりますが、昨日付の更新で変わった背景写真は、月始め恒例で明日にまた変わります。たった2日しか背景写真にならないというのも何だか勿体無いような気がしますが、それはそれ、これはこれ。味も素っ気もないこのページに少しでも彩りを加える写真を用意しますのでお楽しみに。
後半4小節に入ると金属的なストリングスが加わり、フィルはバッキング部隊とストリングス、ドラムがぴったり息を合わせて決める。ヴォーカルと音が伸びたところで、ピアノが下降するグリスを、サックスとEWIが駆け上がる細かいフレーズを入れる。対比を狙った演奏だろう。
 タムを交えたフィルの最後をクラッシュシンバルの連発で締めると、再びサビに戻る。ここも1回目、2回目と同じで、バッキング部隊とストリングス、そしてドラムを背景にヴォーカルが元気良く歌うという形だ。しかし今度は続きが違う。間奏が待っているんだ。果たしてどうなるやら。
 クラッシュシンバルを挟まず、間奏に突入する。8ビートも勢いを抑えている。シンセサイザーはこれまでの金属的なストリングスではなく、柔らかく広がりのあるパッドを奏でる。そこにカウベルのようなカラカラした音がSEのように加わる。まるで水の中に居るようだ。ピアノは白玉を背景に高音部で細かいリフを演奏する。ここはピアノとシンセサイザーの見せ場だな。晶子のヴォーカルも快活なものから優しい感じになる。照明もブルーに替わって良い雰囲気を演出している。俺は暫し演奏の手を休めて聞き入る。
 7小節目で金属的なストリングスが音程の階段を一歩一歩上ってきて、ドラムのフィルが入って一気に曲調と照明が元に戻る。俺も演奏を再開する。ストリングスと勢いを復活させたドラムを背景に、バッキング部隊がビートを刻む。晶子のヴォーカルも勢いを取り戻す。台詞のような細かい歌詞を歌うと、曲がクライマックスに向かう。俺はディストーションが効いた低音の伸びを響かせ、バッキング部隊とストリングスとドラムが呼吸を合わせてフィルを決める。クラッシュシンバルの残響が残る中、俺は細かいアドリブ的フレーズを入れる。その最後でスネアと一番低いタムとクラッシュシンバルが同時に叩かれ、ピアノのグリスが加わる。とても今日が初めてとは思えない。
 曲はサビに戻る。ストリングスが輝き、ドラムが腹に響くビートを刻む中、バッキング部隊が揃ってバッキングをし、そこに晶子のヴォーカルが加わる。スネアとクラッシュシンバルのみのシンプルなフィルを挟んでサビを繰り返す。これが終わるとフィニッシュは近い。

雨上がりの午後 第1363回

written by Moonstone

 クラッシュシンバルを挟んでBメロに移っても前半4小節は最初と殆ど変わらない。唯一違うのはヴォーカルが止んだところで俺がアドリブ的な細かいフレーズを入れたことだ。

2003/11/29

[ま、まあ、なんとかそれなりには(^^;)]
 以前「次回の更新はガタガタだろう」と言っていたのですが、執筆途中だった作品を完成させ、詩篇を即興で書き上げ、よくある形・・・と言っては何ですが、よく欠席する2グループを除いた文芸関係4グループが出揃う形になりました。とりあえず目標が果たせてほっとしていますが、終わったと思ったら続きの執筆が控えてるんですよね(汗)。
 発行が滞っている「Moonlight PAC Edition」に代わってここで一つ重要情報を。近日中に一行リレー専用掲示板WordSpheresと感想用掲示板STARDANCEを削除する方針です。何故ならこれらは、再開或いは設置以来久しく(一方はまったく)使われていないからです。
 私が利用しているレンタルサーバーは要領は結構あるといっても有限です。使われもしないコンテンツのために割く余裕があるなら、そこを新作収納に充てます。結局私が用意する双方向型企画は大半が無駄に終わっていくのね・・・。再開まで色々あったり、設置に結構手間取ったりしたっていうのに・・・。ま、仕方ないことですけどね。削除が嫌なら使ってください。
背景では金属的なストリングスがコードの白玉を演奏している。後半になるとサックスとEWIが恐らくアドリブの駆け下りるような細かいフレーズをマスターが最初の2小節、勝田さんが後半の2小節を演奏する。やはり事前に打ち合わせしていたんだろうか?晶子は両手を上げて手拍子をしている。客もそれに合わせるように手拍子をしている。
 ストリングスが止み、バッキングが俺のギターとピアノとベース、そしてドラムだけになり、晶子のヴォーカルが加わる。ここはやはりヴォーカルの聞かせどころだということが分かっているんだろう。ヴォーカル的役割を持つサックスやEWIは沈黙している。代わりに両手を上げて手拍子をしている。
 曲はAメロからBメロに移る。サックスとEWIは沈黙したままだ。俺のギターとピアノとベースが揃ってバッキングを演奏し、ドラムが8ビートを刻む。前半4小節はそれで過ぎたが、後半4小節に入るや否や、金属的なストリングスが加わってくる。バッキングも形態が変わり音が伸びているような感じのところだから丁度良い。そしてキメの部分では俺のギターと晶子のヴォーカル、そしてピアノとストリングスとベースとドラムが歩調を合わせる。ヴォーカルとバッキングの音が伸びるところで、原曲にはなかったタムを交えたドラムのフィルに加え、サックスとEWIが見事に呼吸を合わせて駆け上がる細かいフレーズを合いの手的に入れる。やっぱり事前に打ち合わせをしていたな。
 曲はサビに戻る。金属的なストリングスが鳴り響き、8ビートがズッシリビートを刻む中、俺のギターとピアノとベースがバッキングを演奏し、晶子がヴォーカルを被せる。「Fly me to the moon」の時とは正反対とも言うべき元気の良い歌声だ。自然に身体が動く。俺も随分ノッてきた。
 ヴォーカルが一旦終わると、タムを交えたフィルを挟んで再びバッキング部隊−俺のギターとピアノとベースだ−とストリングス、そしてドラムの基本フレーズになる。ここはこの曲の基本中の基本だからしっかりビートを刻まないといけない。固くならずに、しかしルーズにならずに演奏する。良い感じだ。
 一番低いタムとクラッシュシンバルによるシンプルなフィルを挟んで、ストリングスとヴォーカルがバトンタッチする。Aメロは基本フレーズと殆ど違いがないから、バッキング部隊とドラムはヴォーカルを引き立てる役割に徹する。

雨上がりの午後 第1362回

written by Moonstone

 ヴォーカルの最後でタムを加えた細かいフィルとピアノのグリスが入り、バッキング部隊の合奏が始まる。俺のギターと国府さんのピアノ、桜井さんのベースが歩調を揃えて演奏し、それをずっしりした8ビートのドラムが支える。

2003/11/28

[あ、呆気ない・・・(汗)]
 昨日の日記で解決の糸口が見えた、と書いた仕事ですが、データシートと専門書の該当部分をよく見ていたら、あれ?と思う個所を発見。専門書にある基準電圧を上下する波形と自分が作った回路の同じ部分の波形が違うんです。で、回路定数の計算式をよく読んでいくと、10-4となっている個所を発見。
 「今まで電卓(関数電卓ですよ)で、『1×10-4』って入力してたよな。・・・てことはもしかして・・・(汗)。」と思い、慌てて電卓を引っ張り出して回路定数の計算式どおりに入力して計算すると、出て来た値が1桁違う(汗)
 もの凄く嫌な予感を感じつつ急いで回路定数を変えて(部品を交換する)電源を入れてみると、きちんと出力信号が出るやんけ(大汗)。そうです。回路定数が1桁違ったばかりに回路が正常動作しなかっただけだったんです。例の怪しい波形などきちんと上下する波形の前では微々たるもの。上司に報告すると「まあ、君のすることだからねぇ」と言われてしまい、何も反論出来ず(当然だわな)。オシロスコープで見る件については依頼者との相談の末、一先ずこれでOKということに。電卓の使い方をきちんと憶えよう(滝汗)。
 少しして、拍手と歓声の中から、アンコール、という声が聞こえ始める。彼方此方から飛び出したそれは間もなく発声のタイミングを揃え、声量も指数関数的に大きくなってくる。手拍子と共にアンコールが繰り返される。あと2曲演奏することがこれで決まった。

「安藤君の言ったとおりになったな。プレイヤーとしてはこれに応えなきゃなるまい。大助。頭一つ出てくれ。それが合図だ。」

 桜井さんの言葉に全員が頷く。そして桜井さんを先頭にして全員一列になって再びステージに出る。アンコールの大合唱と手拍子が大きな拍手と歓声に変わる。全員ステージに出たところでそれぞれの配置に就いたり楽器をスタンバイしたりする。マスターはサックス、勝田さんはEWIだ。音色がぶつかり合うのを防ぐために事前に打ち合わせたんだろうか?まあ、その辺はコンサートが終わってからでも聞けることだ。俺はエレキのストラップに身体を通し、エフェクターを選択して演奏準備を整える。晶子はマイクをマイクスタンドから取り外す。
 ステージを明るく照らしていた照明が淡いブルーに切り替わる。客席の拍手と歓声が急速に収束していく。アンコールの曲名までは紹介してないから、客も全員揃って何を演奏するつもりなんだろう、と思っているだろう。
 沈黙が会場全体を支配したと思った瞬間、スネアと一番低いタムが、ダンダダ、と鳴り響いて演奏開始を宣言する。ステージの照明が少しずつ明るくなり始める。俺はこれまで何度も演奏してきたとおりのイントロを演奏する。そこにサックスとEWI、クイのピアノと金属的なストリングス、どっしりしたベースとドラムが息を合わせて加わる、というか、ヴォーカル以外全員が揃ってイントロを演奏する。音圧は普段の数倍だ。客の中からどよめきが上がる。こっちの店の客は何度も聞いている「Make my day」だから、驚きが先行しているんだろう。
 サイバーチックなシンセ音が駆け上っていった後、晶子のヴォーカルが入る。透明感の中にも張りがある、曲に相応しいものに替わっている。やっぱり歌い分けが上手くなっている。バスドラムとハイハットだけのドラムを背景に、俺はベースと呼吸を合わせてバッキングをする。

雨上がりの午後 第1361回

written by Moonstone

 勝田さんが言う。プログラムはさっきの「Fly me to the moon」で終了だ、とマスターが宣言したから大人しく帰る客も居ても何ら不思議じゃない。だが、俺としてはまだ鳴り止まない拍手がアンコールの大合唱に替わるのを期待したいところだ。全員がステージ脇から顔が見えないように客席の様子を窺う。

2003/11/27

[原因判明]
 長らく行き詰まっていた仕事に一筋の光明が見えました。データシートと睨めっこすること○時間。ICの入力端子に怪しい波形が見えていたことを思い出し、それとデータシートの記述と照らし合わせてみると、基準となる電圧(スレッショルド電圧とか言う)をオーバーしたところで信号が出る構造になっているんですが、一旦オーバーしたところで問題の怪しい波形が入力端子に入るために基準となる電圧を下回ってしまい、再びオーバーすることでまた信号を出す、というからくりになっていることが分かりました。
 問題はこの怪しい波形が何処から来ているのか、ということ。抵抗(理科で習ったでしょ?何Ωとかいうあれです)の片方では何ともなく、もう片方の入力端子と繋がる方では出る。どこから出ているのかさっぱり分からず、やむなく上司に相談したところ、ディジタル出力のオンオフのノイズがグラウンド(要するに0Vとなる場所)を通じて回り込んでいるのではないか、とのこと。
 どのみちオシロスコープで波形を見るためにはもう一つICを追加しないといけないので、そこまで必要かどうか依頼者にメールを送っておきました。その返事次第で設計し直すかそのままにするかを決めます。分からなかったことが分かると結構すっきりするものですね。分からない時は頭掻き毟りたくなりますけど(^^;)。
途中からストリングスが薄く被さる中、国府さんのピアノソロは、これがプロの演奏だ、とあくまでもさり気なく、しかし否が応にも認めざるを得ないものを含んで展開される。
 ドラムのフィルを挟んで、ピアノに替わってヴォーカルが加わる。国府さんが醸し出すジャズの雰囲気に飲まれることなく、自分が持つ声の特質をいかんなく発揮している。晶子も本当に曲毎の歌い分けが上手くなったもんだ。なまじ予備知識がなかった分、吸収が早かったんだろうか。日を追う毎に磨きがかかっていくように思う晶子のヴォーカルに、俺はストロークを繰り返しながら聞き入る。
 Aメロ、Bメロを経てストリングスの素早いグリスを挟んで再びAメロに戻る。シンセとピアノにそれぞれ人が張り付いている目的が、ここでもしっかり生かされている。ストリングスは弦楽器のボリューム変化や滑らかさを、ピアノはジャズの雰囲気とヴォーカルの合いの手的役割を、それぞれしっかり担っている。そんな人間同士がぶつかり合ってこそ生まれる「生」の良さに、シーケンサでは絶対に入れられないヴォーカルが加わり、ここだけでしか聞けない「Fly me to the moon」が生まれている。
 ヴォーカルが消え、ドラムのフィルと同時にストリングスがボリュームを上げる。ストリングスのソロだ。ここでもボリュームコントロールと演奏の滑らかさがストリングスらしさを鮮やかに演出している。前面に出ているといっても曲の雰囲気を崩さないところがミソだ。幅広い音域を惜しみなく使って、月光の持つ優しさと神秘性を表現している。何も知らずに目を瞑って聞かされたら、本物のストリングスと信じて疑わないだろう。
 ラストからヴォーカルが再び加わりAメロに戻る。ストリングスは一歩下がってヴォーカルの引き立て役に復帰する。間があったのをものともしない晶子のヴォーカルは、会場全体に美しく響き渡る。
 ドラムのフィルが入って、ヴォーカルの最後の歌詞の伸びとストリングスの広がりで曲は見事に締めくくられる。長く伸びていたストリングスが止み、その残響が消えると、客席から大きな拍手と歓声が沸き起こる。これで一先ずプログラムは終了だ。ステージ全体が明るく照らされ、潤子さんと青山さんがステージ上段から降りて来て、ステージ脇からマスターと勝田さんが出て来て全員が一列に並び、全員揃って一礼する。更に大きくなった拍手と歓声に贈られる形で、ステージに向かって一番左のマスターを先頭にステージ脇に退散する。

「アンコール、起こりますかね?」

雨上がりの午後 第1360回

written by Moonstone

 ヴォーカルが消え−その瞬間チラッと俺と目線が合って俺は胸が締め付けられるような気分がした−、一旦ギターとベースとドラムだけになり、満を持してピアノソロが加わる。ジャズの雰囲気たっぷりで、同時に嫌味がまったくない。さり気ないが故に演出が際立っている。

2003/11/26

[ようやく終わったー!]
 仕事が終わったわけでも連載が終わったわけでもありません。仕事は完全に行き詰まってますし、連載はまだ続きます(何時終わるか見当もつかん)。終わったのは現在掲載中のサマーコンサートの描写です。20曲あまりを描写するのはいい加減かったるくなってきましたが、昨日無事に締めくくることが出来ました。次は・・・感の良い方ならお分かりでしょうね。
 長い間コンサートの描写が続いたので、これが終わったらがらりと場面を切り替えます。Novels Group 3掲載を待っていたらかなり遅くなるので(ここまででストックファイルの約9割を使ってしまったのもある)、連載を日々追っていって下さい。あ、Novels Group 3のアナザーストーリーVol.1を一度ご覧いただくとより面白くなるのでは、と思います。
 しかし、本当に長かったです。暫く曲の描写はしたくないなぁ・・・。でも、クリスマスコンサートが控えてるし。この「雨上がりの午後」、一体何時になったら終わるんでしょう?否、あと何年かかるか、と言った方が良いか(^^;)。

「ここ新京市公会堂を舞台にお送りしてきたサマーコンサートもいよいよ最後となりました。最後はしっとりメロディアスに締めくくることにしましょう。『Fly me to the moon』。最後までじっくりお楽しみください!」

 盛大な拍手の中、マスターがステージ脇に引っ込む。ステージ全体が淡いブルーの照明の中に浮かんでいると、沸き立っていた客席が自然に収束へ向かう。流石に今回のメンバーを知っているだけあって、最後がどんな曲なのか知っているようだ。
 静まり返った会場に、オーケストラを髣髴とさせるストリングスの演奏が響き渡る。少しでも心に汚れのあるものを寄せ付けない教会のような荘厳さを持ったストリングスは両手でカバー出来る音域をフルに使っている。聞いているだけでゾクゾクする。シンセサイザーの進歩もあるとは言え、やはりプレイヤーの力量があるからこその心に響く演奏だ。
 そのストリングスがグリスしたのを合図に俺はバッキングを始める。これまでとは一転して、優しく静かに闇夜を照らす月光のような雰囲気を漂わせるストリングスを背景に、俺は優しくアップダウンのストロークでクイを刻む。刻むと言うより月夜の静かな湖面に水滴を落としていくと言った方が良いか。雰囲気を崩さないように優しいタッチでドラムとベースが加わる。これで晶子のヴォーカルが入る舞台が整った。さあ晶子、しっかり聞かせてくれよ。
 晶子のヴォーカルが加わる。優しくて神秘的な雰囲気をたっぷり含んだ、透明感のある綺麗な歌声が流れる。俺のギターは勿論、ピアノやストリングスも晶子の歌声の特長を引き立たせる脇役に徹する。ベースとドラムは曲全体をしっかり、しかしさり気なく支えている。ピアノがジャズの雰囲気を醸し出して曲にもう一つの、よく混じり合う色を加えているのが上手い。
 曲はAメロ、Bメロを通過して再びAメロに戻る。ストリングスのボリュームコントロールが本物と聞き間違うくらい、否、本物と言って良いくらい見事だ。そこに晶子のクリスタルボイスが絡む。リズムに合わせてゆったりと身体を揺らしながら歌う様は、店で見る時以上に綺麗だ。俺と晶子の今の関係がなかったとしても、これを見たら見とれてしまうのは間違いないだろう。

雨上がりの午後 第1359回

written by Moonstone

「皆さん、お楽しみいただけたでしょうか?」

 マスターが問い掛けると、客は盛んな拍手や指笛で応える。

2003/11/25

[風邪は治ったけど・・・]
 風邪は治りました。その代償として1日寝っ放しでした。これで来週の更新はガタガタになることがほぼ決定的になりました。まあ、定期更新制度を撤廃した筈なのに定期的に更新していたり、感想も来ないのに大量に新作を公開していりゃ世話ないんですが。
 寝っ放しといっても薬がないときちんと寝られない身体なので、正確には「横になっていてたまに寝た」と言った方が正確ですね。1日寝っ放しだと身体がガクガクになるんですが、薬飲んで寝れば元どおりになるでしょう。
 外は風が強く吹いています。相当寒いんでしょう。今日は雨という予報が出てましたし、出来ることなら外に出たくないんですがそうも言ってられません。今日からまた仕事の日々です。でも、何時になったら解決するやら・・・(溜息)。
 途中からAメロをなぞるフルートが加わる。柔らかい音色が耳に心地良い。曲の爽やかさをより引き立てる。ここで俺が固い演奏をしたら折角の雰囲気が台無しだ。指に神経を注ぎつつも余計な力は抜いて、軽快なリズムに乗った演奏を常に心がける。今までの練習の成果を発揮すれば、客にとって十分気持ち良い演奏になる筈だ。32小節の長丁場だが遣り甲斐はある。
 強めに弦を弾いた俺の演奏とタムのフィルを挟んで曲はBメロに戻る。気持ちを切り替えて休符とダイナミクスを大切に弦の上で指を動かす。8小節目のラストで、俺は1本の弦をアップダウンストロークで細かく、しかもダイナミクスに注意して弾き、2回目のソロに入ることを宣言する。
 再びフルートがAメロを柔らかい音色で軽やかになぞる中、俺は2回目のソロを披露する。低音から高音まで幅広い音域を使う、時に和音も加わるフレーズを、ダイナミクスに注意しながら軽快さを忘れずに演奏する。パーカッションも加わる複雑なリズム音やさり気なく全体を下支えするベース、爽やかさの演出を助けてくれるシンセ音のバッキングを背景にソロを続ける。ソロは32小節。これまた長丁場だが、俺がメインになれる、ならなきゃならない最後の曲だ。自然と演奏に熱が入る。
 ソロが終わると青山さんの複雑なフィルを挟んで最初に戻る。キラキラしたシンセ音と細かいパーカッションが見事に絡み合う中、俺はさり気ない形でフレーズを入れる。そして青山さんのパーカッションとドラムを組み合わせた複雑だが軽快なフィルを挟み、1発クラッシュシンバルが軽く入る。細かいシンバルワークとシンセのパッドが下支えする中、俺が中高音域を、桜井さんが低音部でそれぞれアドリブを入れ、最後はふわっと髪を揺らす微風のようなフルートと共に白玉で締めくくる。
 全ての音と残響が消えると、客席から大きな拍手と歓声が沸き起こる。自分の大役が果たせたことで緊張の糸が切れた俺は、思わず溜息を吐く。あとは脇役に徹するのみだ。いい加減にしちゃならないのは勿論だが。ステージの照明が淡いブルーに替わり、ステージ脇に退散していた晶子と国府さんが出て来て、国府さんはピアノの前に座り、晶子は「AMANCER TROPICAL」で右側にずらしたマイクスタンドをステージ中央に移動させてその前に立つ。スポットライトがステージ左脇を照らす中、マスターが出て来る。

雨上がりの午後 第1358回

written by Moonstone

 俺が主役になれる、ならなきゃならないソロを演奏する。細かいフレーズの連続だが、アコギの響きを生かし、ダイナミクスと休符を生かしたメリハリのある演奏を心がける必要がある。あくまでも爽やかに、心地良い人通りをイメージさせる演奏・・・。俺のギタリストとしての真価が問われるところだ。

2003/11/24

[季節の嫌な風物詩]
 どうも一昨日から風邪をひいたみたいです。全身がだるくて喉の調子がちょっとおかしくて・・・。急激な気温の変化に追従出来なかったようです。春から夏への対応は簡単なんですが、秋から冬への対応が難しいんですよね。ある日いきなり寒くなるから服の準備が遅れてしまいがち。
 一昨日の昨日(ややこしいな)から暖房を入れているんですが、それも遅過ぎたかもしれません。気温が20度を割った時点で直ぐに暖房を入れるべきだったかな・・・。あるものは使わないと風邪が長引いて結局は自分が損するだけになるってことをうっかり忘れてました。
 この連休中は紅葉真っ盛りということですが、とても出かけられる身体の余裕はありません。軽い段階で早く風邪を治しておかないとズルズルと長引く・・・。冬の嫌な風物詩が本格的に襲って来たようです。迷惑な話だ。
 決まった。俺がそう思った次の瞬間、客席から大きな拍手と歓声が起こる。マスターは客席に向かって軽く一礼すると、駆け足でステージ脇に退散する。俺は急いでギターをエレキからアコギに切り替える。今度は俺が主役になる番だ。これまでのステージの流れを無にしないように、気合を入れ直す。
 客席からの拍手と歓声が収束に向かったところで、キラキラしたシンセ音が流れる。それに合わせて俺はグリスを入れて演奏を開始する。他の楽器音も一斉に入ってくる。始まった以上はもう最後まで止まることは許されない。4小節演奏したところでドラムが本格的に入ってくる。俺はこれまでの練習の成果を10本の指に注ぎ込む。
 軽快に弦の上で指を躍らせる。さっきの「BIG CITY」が夜の大都会とするなら、これは爽やかな夏の陽射しが差す歩行者天国といったところか。一音一音の弦を弾く強さに神経を注ぎながら、かと言って固くならないように、軽やかなテンポの波に乗って演奏を続ける。Aメロは良い調子で進む。青山さんのフィルに合わせた演奏の後、一瞬演奏が止まり、再び動き出す。
 Aメロ同様爽やかな、だがちょっと雰囲気の違うBメロを通過して、ダイナミクスと休符を活かすことがより大切なCメロに入る。ここはちょっと混雑した通りに入ったというイメージかな。常に頭の中に曲からイメージ出来る場面を思い浮かべる。こうすると演奏に反映されてより生き生きしたものになるように思う。
 音程の階段を一歩一歩上るようなフレーズを経てAメロに戻る。ここでは要所要所で薄くメロディの上の音を重ねて、嫌味にならない程度に厚みを加える。陽射しを手で作ったひさし越しに見上げるような感じか。ここでも最後に青山さんのフィルが入って−曲によって音の重みやイメージが変えられるのはやはり凄いと思う−演奏が一瞬止まり、最初に戻る。
 キラキラしたシンセ音と細かいパーカッションを背景に、俺はアコギの響きを生かした白玉中心の簡単なフレーズを爪弾く。パーカッションがスネアに替わる。いよいよ俺のソロの出番だ。ここからが正念場だ。俺は音をよく聞いてギターを加えるタイミングを計る。ベースのグリスが入る。今だ。

雨上がりの午後 第1357回

written by Moonstone

 全員揃ってのキメを挟んで、曲は最初に戻る。ここはベースソロの前とほぼ同様の構成だ。暫く最初のフレーズを演奏した後、マスターと俺がハイハットを背景にユニゾンして、フェードインしてくるシンセ音とさり気ないが難しいドラムのフィルを挟んで全員息を揃えて最後を締めくくる。

2003/11/23

[誰か感謝して]
 今日は勤労感謝の日。・・・とは言いますけど、こうして毎週せっせこせっせこと更新している割には反応に乏しいのは相変わらず。検索ページに登録した意味はまったくなかったようで、来週の更新は取り止めようか、とも思っています。
 昨日は朝から執筆を始めたものの、1時間でダウンして以後ずっと寝てました。休みの日は最近こんなのばっかり。根本的なところで疲れが溜まってるのかな・・・。そりゃ溜まるわな。ずっと休みなしだもの。
 今日はどうなるかまったく分かりません。また1日寝っ放しという可能性もあります。そうなったらもう来週の更新は殆ど出来ませんが、どうせ何も反応が無いなら更新してもしなくても変わりない、変わるのはアクセス数の伸びくらいなもの、と割り切って投げ出すかもしれません。その時はよろしく(最後まで投げやり)。
 スポットライトが当てられる中、国府さんはピアノソロを奏でる。メロディのみならず中低域ではクイを多用した複雑なバッキングもしなければならない。しかし国府さんは念入りにプログラムされたシーケンサのように淡々と演奏をこなしていく。後半では浮遊感のあるシンセ音が加わり、流れるようなピアノソロを引き立てる。6連符の難しいフレーズが、まるで星屑が空から降り注ぐかのように綺麗に演奏される。
 俺は単音中心だったフレーズからストロークによるクイのフレーズに変わる。ベースが比較的シンプルなフレーズになった分、ピアノの複雑なソロが余計に目立つ。連符を多用している都会的な雰囲気を存分に漂わせるフレーズは、国府さんの手によって見事な音の布に織り上げられる。洗練された演奏はまったくリズムを崩すことなく、最後の全員揃ってのキメで締めくくられる。客席から盛大な拍手が起こる。俺も演奏してなかったら拍手しているところだ。
 スポットライトは今度はマスターに当てられる。マスターはブロウの効いた艶っぽい音色でソロを演奏する。これまた高域から低域まで使った息吐く間もないようなフレーズだが、マスターはフレーズの流れに合わせて身体を反らしたり屈めたりしながら演奏していく。連符も交えた複雑なフレーズだというのに、マスターはさり気なく息継ぎしながらすらすらと弾きこなす。
 途中から俺は細かいコード演奏に切り替える。ピアノのバッキングもクイが多用された複雑なものになる。マスターは上がったり下がったりする細かいフレーズを生き物のように、そう、聖書で神が創った人型に息吹を吹き込んで人間としたように、マスターは楽譜にすれば、ああ、ややこしいな、と思うだけで流すようなフレーズに文字どおり息吹を吹き込んで生きたものにしていく。
 サックスソロはいよいよ山場を迎える。リフで構成されたフレーズに俺と国府さんのバッキングが絡む。そしてサックスは一気に音程の階段を駆け上り、艶っぽさたっぷりの白玉で締めくくる。見事の一言だ。だがのんびりしては居られない。俺はタイミングを計ってエフェクターを切り替え、マスターの3度下をなぞる形でサビのフレーズを演奏する。マスターはまったく息切れした様子を見せずに、艶っぽく都会的なフレーズに息吹を吹き込み続ける。

雨上がりの午後 第1356回

written by Moonstone

 次はいよいよ国府さんのピアノソロだ。俺はマスターとのユニゾンのために演奏しなかったバッキングを演奏する。このフレーズは俺にとってはそれほど難しいものじゃないが、音のツブが結構際立つし、失敗はピアノソロをガタガタにしてしまうので丁寧な演奏が要求される。

2003/11/22

[掲載作品について(1)]
 私が創った作品はどれにもそれぞれ思い入れがあるのですが、今回は今日後編公開となった「オヤジ達に捧ぐ日常雑話」について。実は現在掲載中の作品を書いたのは今から4年くらい前なんです。某所で公開してもらっていたんですが、そこがエヴァから手を引いたのと、公開されて埋もれた(ページから消えてしまった)ものも結構あるので、それなら自分のページで蘇らせよう、ということで始めたんです。
 この話はご覧いただければお分かりでしょうが、エヴァの大人キャラのそれぞれの「その後」を描いています。特に私が完結まで書きたい、と強く思うのは冬月の話です。お相手の進藤春香という名前は、私が好きだったTVアナウンサーの姓と、かなり昔に書かれたエヴァSSの登場人物(やはり冬月のお相手)の名前を作者の方に了承をいただいて組み合わせたものです。
 所謂「歳の差カップル」を扱った作品なんですが、Side Story Group 2で公開中の「譬え背丈は違えども」同様、興味本位のものにならないよう、優しい物語にしていきたいと思っています。エヴァを知らない方でも読める内容ですので、未読の方は是非ご覧下さい。
マスターのサックスはこのステージでは久しぶりだが、やはりかつてジャズバーを席巻したという腕はいささかも衰えていない。客もその迫力に触発されたのか、総立ちで手拍子を送っている。
 曲はサビに入る。俺が個人的に一番気に入っている部分でもある。ここではエフェクターを切り替えて軽くオーバードライブをかけ、サックスの3度下のメロディを演奏する。あくまでもサックスの引き立て役に徹することは忘れちゃいけない。マスターのサックスは音の伸びの部分を特に生かす形で、艶っぽさと都会っぽさをたっぷり含んだ音色を会場にこだまさせる。聞いていて身震いがしてくる。
 全員揃ってのキメを挟んで、曲は最初に戻る。俺はエフェクターを切ってナチュラルトーンでサックスにツブを加える役割に戻る。最初に戻ったからといって安心しては居られない。次にこの曲を人間が演奏する時に一番難しいと思う部分が控えているからだ。
 サックスと俺が細かいフレーズをユニゾンする。背景では主にハイハットしか鳴らないから、リズムキープと演奏の均衡を保つ必要に迫られる。何度やっても緊張するところだ。モタったりつんのめったりしないようにサックスと呼吸を合わせてフレーズを演奏する。そして最後は全員揃って音程の階段を駆け上るフレーズで決める。こういう部分で誰か一人でも崩れると、他が幾ら良くても印象が全然違ってくるから油断は禁物。練習やリハーサルでやったように、自分でしっかりテンポキープしながら弦を爪弾く。・・・上手くいった。
 曲はドラムとベースのみになる。スポットライトが桜井さんに当てられる。ベースソロは音程の関係もあって違和感を感じるものになりがちなんだが、この曲では基本フレーズを変形させた、曲の雰囲気を壊さないようなものになっている。今まで縁の下の力持ちに徹していた桜井さんのベーシストとしての腕前がいかんなく発揮される。オクターブを跨ぐ部分を挟んだフレーズは、ハイハットとバスドラムだけで構成されたドラムの音を背景にしっかりその存在をアピールする。
 ドラムにスネアが加わり、更にイントロであったフルートっぽいシンセ音が加わる中、ベースソロは基本フレーズのリズム感を崩さない、しかし非常に忙しいフレーズになってくる。メリハリの効いた複雑なフレーズは、桜井さんの手によって見事な音の波となって会場に放たれる。俺とマスターはそれぞれ楽器を構える。このベースソロを締めるに相応しいキメを演奏するためだ。スネアの簡単なフィルを合図に、全員が音のツブを揃えてキメのフレーズを演奏する。・・・良し、OKだ。

雨上がりの午後 第1355回

written by Moonstone

 マスターのブロウが効いたサックスが艶っぽく都会的な雰囲気でメロディを奏でる。俺はその影に隠れるようにユニゾンする。ここはナチュラルトーンでサックスにツブを加えるような役割に徹する。

2003/11/21

[言うこと聞かんかい!(怒)]
 一昨日は(日記では昨日ですが)上手くいった実験ですが、昨日は最悪でした。配線を終わって測定器などの準備を整え、電源スイッチをオンにして入力信号を入れてもまともな信号が出ない!何故?!配線は間違いない筈なのに。
 間違っていないと思っていても実は間違っていた、という「前科」が(いっぱい)あるのでくどいほど配線を確認してショートしていないかどうかも確認したんですが、何処にも異常なし。データシート(英語版と日本語版両方)とPCの画面に表示しておいたアートワーク(回路基板の配線図)を見比べてみてもやっぱり異常なし。何故じゃー!!(泣&怒)
 あれこれ考えた末に問題のICの出力などを確認していたら、途中でうっかりショートさせてしまってヒューズをふっ飛ばし(ICが壊れるよりはるかにましだが)、出力の元になる信号が変な形になっているところまでは突き止めたんですが、それ以上はもうどうにも出来ずお手上げ。今日上司に相談してみます。これくらいの回路、自分一人で出来なくてどうするんだよ・・・(溜息)。もしデータシートが間違ってたら、ただじゃ済まさんぞ!(激怒)
 まったくだ、とか、そのとおり、とかいう声が飛び交い、指笛まで飛んで来る。やっぱり美女と野獣を−マスターに聞こえたら張り倒されそうだな−絵に描いたような組み合わせにはやっかみが飛んで来て当たり前か。まあ、俺と晶子の場合も公表されてたらそうなってただろうが。

「君だって奥さん居るだろ?安らぎは自分の奥さんから貰いなさい。」
「美人の奥さん居る人は余裕だね。十分癒されただろ?」
「そりゃあ、もう。」
「やっぱり何だかんだ言って自慢したいんだ。」

 客席から笑いが起こると共に指笛が飛んで来る。

「さてさて、次は都会的なナンバーをお届けしましょうか。『BIG CITY』と『プラチナ通り』。『BIG CITY』ではラテンの血をたぎらせてくれたプレイヤーがピアノソロを聞かせてくれる。」
「そして『プラチナ通り』では若きギタリストが実力をいかんなく発揮してくれるだろうね。」
「そうそう。それじゃあ2曲続けてお楽しみください!」

 うわあ、俺のギターの腕が誇大宣伝されちまったぞ。かと言って訂正を求めるわけにもいかない。俺はとりあえず脇役になるべくステージに駆け出し、エレキのストラップを身体に通して演奏の準備を整える。マスターがマイクをピアノの上に置いてアルトサックスのストラップに身体を通す。青山さんがステージ脇から駆け出して来てドラムの前に座る。演奏開始の時は近い。
 ドラムのフィルが1つ頭を出した直後、ステージが一気に明るくなる。フルートっぽいシンセ音によるフレーズにベル音のフレーズが混じる。16ビートを刻むドラムとチョッパーベースで固められた曲の基礎部分は完璧だ。マスターがサックスを構える。俺も演奏準備を整えて加わるタイミングを計る。

雨上がりの午後 第1354回

written by Moonstone

「いやあ、心に染みる曲だねぇ。栄養剤のCMに使われていた理由が分かるよね。ここらで一休みしませんか、って感じで。」
「演奏したのは君の奥さんだろ。毎日心安らぎを貰ってて良いよねぇ。」

2003/11/20

[世の中進歩したもんだ(しみじみ)]
 昨日は設計、制作した回路基板の動作試験の実験準備から始まりました。大学時代にも実験はあったのですが(必須4単位)、その時は実験の内容と必要な器具、手順がご丁寧にテキストに纏められていました。しかし今は違う。動作し憲にどんな機器が必要か、どんな配線をしなければならないかなど、全て自分で判断して進めないといけません。それを思うと大学時代の実験なんてお子様レベルだなぁ。それでも積極的にする癖をつけておいて良かったな。
 配線の前に電源のチェックをしたのですが(電源がないことには回路は動かないのは当たり前)、ここで予想外に手間取り、実験の準備を整えた頃には昼食タイムまで30分を切ってました(汗)。もうちょっと丁寧に電源基板を作るべきだったなぁ、と後悔してももう遅い。
 兎に角電源スイッチをオンにすると、予測どおりの波形がオシロスコープ(電圧信号を目で見るための測定器)に出る!懸案だった倍率(入力の1倍(つまりそのまま)、10倍、100倍)の切り替えも出来る!これらの結果が出揃った瞬間、万歳三唱しました(笑)。しかし1個のICでここまで出来るなんて、世の中進歩したもんだなぁ。依頼者に見てもらおうと思ったら終日行方不明だったのはこの際目を瞑ることにしましょう。さあ、明日も実験だ!(汗)
これまで綺麗な水が作り出した湖面の彼方此方に大小の波紋が広がっていたのが、広がるにつれて小さくなっていく波紋の波のみになった、とでも言えば良いだろうか。心地良く揺れる曲のテンポに合わせて呼吸をしていると眠くなってくる。
 中音域での春の薄日が差すようなフレーズが奏でられる。テンポの揺れが本当に自然で心地良い。そして明るい感じで音の波紋の出現が一旦止まると、今度は高音域を使った、聞く者を眠りに誘うようなフレーズが会場全体に優しく響く。ピアノの高音域は甲高いという印象があるが、ここでは清純な雫が幾つも零れ落ちる様を表現しているように感じられる。作曲者と演奏者の力量が見事に融合した結果だろう。
 高音部でのクイを背景にして、清らかな湧き水を髣髴とさせるメロディが、自然なタメを含んで演奏される。否応なしに聞く者の口を塞ぎ、耳を傾けさせるものを潤子さんの演奏は持っている。さっき国府さんがラテンの血をたぎらせるような熱い演奏を繰り広げたのとはまったく対照的だ。同じ楽器でこうも違うのか、と客は思い知らされているだろう。実際、何度も聞いている俺もそう思っていたりするんだが。
 タメを含んだクイに続いて、これまで控えめだったダイナミクスを前面に出した、中低域を使ったフレーズが奏でられる。曲が盛り上がっていくということを仄めかしている。再びタメを含んだクイを挟んで、同じフレーズがメロディを高音域に移して演奏される。ダイナミクスがより強調された演奏は、それまでうっとりしていた意識を覚醒させるようだ。音階を一段ずつ上っていくクイの演奏に力が入り、迫力すら感じさせる。タイトルにある「energy」がたぎる様子をピアノが音で描いている。
 それが終わると、曲は一転して静かな雰囲気に変わる。スタッカートを交えたダイナミクスを控えめにした演奏が、迸った「energy」の残像を描いているとでも言おうか。中音域の響きが美しい。
 そして白玉を背景に、音が高みへと上り、消えていく。最後の装飾音符を交えた音で演奏は終わりを迎える。やや前屈みになっていた潤子さんの姿勢が元に戻る。ピアノの響きが消えると、会場が静まり返る。そしてパラパラと拍手が起こり始め、やがてそれは大波となってステージに覆い被さってくる。潤子さんは席を立って客席に向かって一礼する。
 スポットライトが潤子さんからステージ左脇へと移る。マイクを持ったマスターと桜井さんが出て来る。潤子さんは淡いブルーの照明に隠れるようにいそいそとステージ上段のシンセサイザーのところへ上がる。

雨上がりの午後 第1353回

written by Moonstone

 自然な崩しを加えたクイが音階の階段を一段ずつ踏みしめるように上るようなフレーズが演奏された後、スタッカートを交えた、朝露が音もなく落ちるような静かなフレーズが演奏される。

2003/11/19

[そりゃないでしょ(T-T)]
 日付上では一昨日(11/17)のことですが、少々気乗りしないものの連載の書き溜めを始めました。長く続いてきた曲の描写ももうすぐ終わり。CDを演奏しては止め、演奏しては止め、を繰り返して曲の雰囲気と流れを確かめつつ、ボチボチ書き進めていきました。
 何だかんだ言ってもとりあえず2日分くらいは出来たかな、といった量が書けたところで画面をスクロールさせて表現の明らかな重複(コピー&ペーストそのものみたいな、という意味)がないかどうか確かめて元の位置に戻した途端、
「このプログラムは不正な処理を行ったので強制終了します。」
 Windowsユーザーなら恐らく誰でも一度は経験があるであろう、恐ろしいメッセージの出現。これまで書いてきた部分を救出しようにもその部分にカーソルを当てることすら出来ない。泣く泣く「終了」のボタンを押した後、消えたエディタを再び起動して書き溜めファイルをロードしてみると、やはり書いた部分はそっくりそのまま消えていました。折角書いたのにぃ(T-T)。当然その日はもう一度書こうなんて気は起こりませんでした。車とかだったら訴訟ものだぞ、本当に。こまめなセーブしか対処方法はないんでしょうかね、やっぱり。

「続いては若々しい歌声を聞かせてくれる、ヴォーカル&コーラスの井上晶子!」

 晶子にスポットライトが当てられると、拍手や歓声に併せて指笛や「井上さーん」という掛け声が彼方此方から飛んで来る。晶子は客席に向かって一礼する。

「そしてサックスの私、渡辺文彦!」

 マスターにスポットライトが浴びせられる。拍手や歓声が沸き起こる。

「以上、9名のメンバーによってお届けしてきたこのサマーコンサート、続いては皆さんも一度は聞いたことがあるでしょう、『energy flow』をお届けします。座ってゆっくりお聞きください。」

 青山さんが続けていた8ビートがダブルクラッシュで終わると、ステージ全体が淡いブルーの照明で照らされる。この間に潤子さん以外の全員がステージ脇に退散する。潤子さんはステージ上段から降りてピアノの前に立ち、客席に向かって一礼する。客席から拍手が送られる中、潤子さんは着席してピアノに向かう。スポットライトが潤子さんを照らす。波が引くように客席が静まり返る。潤子さんのピアノ演奏を今か今かと待っているんだろう。
 高音部を中心としたメロディとアルペジオが、静まり返った会場に美しい音の波紋を広げ始める。自然なタメを織り交ぜた演奏は聞いているだけで心を癒してくれる。今の時代こういう言葉は禁句かもしれないが、女性らしい優美な演奏だ。国府さんとはまた違う美しさがある。これは間違いない。
 タメを含んだクイに続いて、高音部でメロディ、中音域でアルペジオというやや重厚な響きを含んだ、それでいて少しも重苦しくない演奏が展開される。わざとらしくないクイの崩しが、水面に幾つもの波紋が広がるようで美しい。何度となく聞いて来た演奏だが、回を重ねる度に洗練されていっているような気がする。

雨上がりの午後 第1352回

written by Moonstone

 勝田さんにスポットライトが当てられる。勝田さんはその性格を反映するように客席に向かってぺこりと頭を下げる。惜しみない拍手と歓声が送られる。

2003/11/18

[親知らず]
 どうも左上奥に生えてきたようです。親知らずが。実はずっと前からはの先端らしきものが出てるな、と思っていたんですが、何時の間にやらかなり出てきています。今のところ真っ直ぐ生えて来ているようですが、親知らずは直ぐ形を歪めて変な方向に生えますからね。
 実は私、大学時代に親知らずを抜いたことがあるんです。その時は右下奥で、最初は普通の歯医者(変な言い方だな)に行ったんですが生え方が変だった(横を向いていた)ためにその歯医者では手に負えず、市立病院の口腔外科で抜いてもらいました。その時、顔に布を被せられ、麻酔をされていてもハンマーで叩いていると分かるほどの振動が頭に伝わってきたのを憶えています。
 今度も抜くことになるのかな、やっぱり・・・。親知らずは虫歯になりやすいから抜いた方が良いって言うし・・・。でも、歯医者はこの歳になっても行きたくない場所の一つですからね。このまま成長が止まってくれないものか、と淡い期待を抱いています(無理か)。

「続いてはドラムと共に曲を支える縁の下の力持ち、ベースの桜井明!」

 スポットライトが桜井さんに当てられ、桜井さんはチョッパーベースのアドリブを入れる。拍手と歓声が客席から送られる。

「次は、シンセにピアノと忙しく動き回る、キーボードの渡辺潤子!」

 スポットライトが潤子さんに当てられる。潤子さんはシンセサイザーでアドリブを入れるかと思いきや、客席に向かって一礼する。客席から拍手や歓声に混じって「潤子さーん」という掛け声が幾つも飛んで来る。

「次は、先程熱い演奏を聞かせてくれた実力派ピアニスト、国府賢一!」

 スポットライトが国府さんに当てられると、国府さんはパラティドルを使った短いアドリブを演奏する。客席から拍手と歓声と共にどよめきが起こる。やはりさっきの演奏はインパクトが大きかったようだ。

「次は、主役に脇役、エレキにアコギと忙しい若きギタリスト、安藤祐司!」

 俺にスポットライトが当てられる。俺はアドリブを入れず、大人しく客席に向かって一礼する。拍手と歓声に混じって「安藤くーん」という掛け声が聞こえてくる。そう言えば、店の常連のOL集団もチケットを買っていたっけ。

「次はサックスに加えてウィンドシンセサイザー、フルートも出来るマルチプレイヤー、勝田光!」

雨上がりの午後 第1351回

written by Moonstone

 スポットライトが青山さんに当てられる。青山さんはクラッシュシンバルを1発叩いて演奏を続ける。客席から拍手と歓声が飛んで来る。

2003/11/17

[頓挫・・・]
 昨日は朝早く起きて執筆に取り掛かったのですが、途中で執筆に行き詰まり、更にやる気も失せたので途中で放り出して一日ゴロゴロしてました。結局2日で1作も書けなかったわけですが、書けない時は書けない、とすっぱり諦めてしまった方が精神衛生上も良いでしょう。
 それはそうと・・・このコーナーのリスナー累計がもうすぐ70000人に達しようとしています。何やらどうして、ここはやたらとカウンターの回転が早いように思うんですが、気のせいではないでしょう(多分)。他所様のページでも日記は割とよく読まれていて、それを目当てにアクセスする方もいらっしゃるようで。継続は力なり、を実証していますね。
 連載の方は夏で止まったままですが、今のコンサートが終わり次第、思い切って場面転換しようと思っています。まだ全ての描写が終わったわけじゃないので私は大変ですが(汗)。きちんとコンサートのフィナーレを迎えて、次のシーンに繋げようと思います。
 パーカッションの細かいフィルに続いてまたオケヒットが入り、ドラムとベースが再び仲間に加わる。男声コーラスは続いている。ピアノが静かに、しかし熱く自分の存在をアピールしている。今まで脇役に徹していて、潤子さんのピアノソロがあってその存在を忘れられそうになる国府さんだが、ここでは国府さんがこれでもかとばかりにその存在をアピールする。客にもよく分かったことだろう。ピアノは潤子さんのバラードソロだけじゃないってことが。
 男声コーラスが被さったまま、ピアノはこれ以上無理だと思わせるくらい複雑極まりないフレーズを演奏する。もうメロディとバッキングの区別がつかない。パラティドルを多用している証拠だ。高校時代に宏一が言っていたが、パラティドルは相当練習をこなさないと出来ない演奏技術だ。それをチラッと見た限り表情を変えずに軽々と−本人は必死かもしれないが−弾きこなすのは、やはり2本の腕と10本の指で生活しているだけの技量があるということだろう。これまでピアノは潤子さんの印象が強かっただけに、国府さんのこの演奏は「ピアノの国府」を客に強烈に印象付けるものになるだろう。
 サビを4回、計32小節繰り返した後、青山さんがパーカッションのフィルを入れ、続いてピアノとシンクロしたオケヒットが入って演奏はフィニッシュを迎える。一瞬の静寂を挟んで、客席から大きな歓声と拍手が沸き起こる。国府さんを見ると、その額に汗が滲んでいるものの表情は何の変化もない。これが自分のピアノ演奏だ、と暗に主張しているようで、下手な政治家の演説より迫力がある。何だかんだ言ってもやはり国府さんはピアノのプロだ、と痛感させられた。スポットライトがステージ左に当てられ、マイクを持ったマスターの動きに合わせて前方に動いてくる。突然シンバルが鳴り、8ビートのリズムが刻まれ始める。メンバー紹介だ。客席からの拍手や歓声は8ビートに合わせた手拍子に変わる。

「さあ!熱いラテンナンバーをお届けしたところでメンバー紹介といきましょう!まずは、クールに熱いビートを聞かせる、ドラム&パーカッションの青山大助!」

雨上がりの午後 第1350回

written by Moonstone

 ドラムの演奏が止まり、ギター、ピアノ、そして男声コーラスだけになる。ここは脇役である俺のギターも結構目立つところだから神経を使う。国府さんはそれ以上に神経を使っているんだろうか。オクターブを跨いだクイを難なく弾きこなしていくのを聞いていると、絶対的な腕と自信に裏付けされた余裕さえ感じるんだが。

2003/11/16

[やっぱり休養は必要]
 昨日は本来なら新作1本書く日なんですが、構想がはっきり纏まらなかったのと時間的にあまり余裕がなかった(起きるのが遅かった)ので、休養日としました。週末や休みを全て作品制作に費やすのって、何か勿体無いというかそれだけの対価に乏しい今はそんなに一生懸命にならなくても良いんじゃないか、と思って。
 どのみち次回以降の更新内容は大方固まっていますし、11/24は休日ですからそんなに焦る必要もないんですよね。遅れた分はそこで取り戻せば良いことですし、文芸6グループを必ず揃い踏みさせなきゃならないなんて決まりもありませんし(そもそも定期的に更新している現状もおかしい)。
 何か投げやりなお話ですが、彼方此方の検索ページに登録した割にはアクセス数の伸びが悪いという(検索ページのアクセスは多いんです)嫌な現実がありまして、ちょっと腐ってるんです。1日寝れば元どおりになるでしょう。
 オケヒットが入ると、ピアノの相変わらずの複雑なフレーズを背景にしたパーカッションのソロに変わる。徐々にドラムの比重が増していくそれは非常に複雑なものだが、やはり青山さんの力量はそれらを少しの乱れもなく会場に響かせる。俺は不謹慎だが脇役で良かったと思う。こんな演奏をこんな大きな開場で生で聞けるなんて、本来なら金を払って客席に入らないと聞けないからな。それを同じステージの上で聞けるんだから、一人のプレイヤーとしてうれしいことこの上ない。
 曲はサビに戻る。今度はシンセのパッドが加わり、休むことなく複雑なフレーズを演奏し続けるピアノとは対照的に映る。晶子のコーラスがそこに被さる。男声コーラスの時よりやや落ち着いた印象を感じる。もっとも俺は休んでる暇なんてないんだが。指が擦り切れるんじゃないかと思うくらいアップダウンのストロークを続ける。
 今度はパーカッションをバックにした男声コーラスのみとなる。所々でベースの装飾的なフレーズが入り、オケヒットを合図にして休んでいた俺と国府さんが演奏を再開する。国府さんはいよいよメロディを担当する。しかし同時にバッキングもこなす。メロディも和音によるクイ、特にオクターブを跨いだフレーズも混じるピアノらしい、しかし難しい部分だ。だが国府さんはギターとベースとドラムを背景に、ピアノの広い音域を存分に使った演奏を繰り広げる。やはり不謹慎だが脇役で良かった。こんな凄い演奏を間近で、しかも生で聞けるんだから。自分の演奏がなければもっとじっくり堪能出来るんだが、こればかりは贅沢というものだろう。
 長い演奏が続いた後、男声コーラスが加わる。ピアノの演奏はより迫力を帯びてくる。潤子さんのピアノが「静」とするなら、こちらは明らかに「動」だが、「静」の要素も含んでいる。演奏はクールに、しかし音はホットに。そんな相反するような演奏を国府さんは聞かせてくれる。ピアノは曲が進行するに連れてどんどん複雑かつ広い音域を使ったものになっていく。中盤以降のピアノに注目、というMCの意味が客にも分かったことだろう。

雨上がりの午後 第1349回

written by Moonstone

 ドラムは簡単なフレーズだが、俺と国府さんは忙しい。俺はアップダウンのストロークを多用し、国府さんはピアノによるリズムとバッキング両方の特徴と役割を兼ね備えた複雑なフレーズを演奏する。そこに男声コーラスが被さる。まさしくラテンナンバーだ。俺は軽快さを重視した演奏を心がける。

2003/11/15

[いっぱい更新]
 先先週に引き続き、文芸6グループ揃い踏みを果たしました。更新情報に並ぶと爽快です。たった1日間の表示ですけど、「これだけ更新する」という意欲というかもう意地に近いようなものを発揮した証だと思っています。
 背景写真がまた変わりましたが、今月は土曜日毎に変えていこうと思っています。紅葉の写真はかなりありますからね。背景写真がないと色気も何もないページになるので、せめて彩りの季節に相応しいものを、と思いまして。
 一番苦労するのはNovels Group 2とSide Story Group 2ですね。Novels Group 2は構想がぐらつきやすいので筆が進みませんし、Side Story Group 2は本編では断片的にしか出てこなかったカップリングを違和感なく物語にしていかなければならないので。最後に一言。「感想ください。」(切実)
ここは潤子さんがフルートっぽいシンセ音でメロディを奏で、俺がバッキングをするというシンプルなものだ。俺のバッキングは最初の8小節は音の伸びを中軸に据えたもので、次の8小節はアップダウンのストロークによる細かいものだ。
 再びパーカッションだけの2小節分のフレーズを挟んで、パーカッションに似たシンセ音と共に男女のコーラスが入る。この間俺はひと休みだ。それが8小節分続いた後Aメロに戻るが、今度は俺と潤子さんがメロディをユニゾンする。そしてここからようやくピアノが入る。だが白玉を中心にした脇役の位置付けだ。
 前半8小節はパーカッションだが、その最後の方からタムでのフィルを合図にしてドラムに切り替わる。ドラムは簡単な、青山さんにとってはつまらないと思えるものだ。ピアノが白玉からクイ中心に切り替わる。ちょっと存在感を増したが、まだMCで言ったような注目すべき特徴はない。
 パーカッションのみによる4小節のフレーズを挟んでAメロを繰り返す。俺と潤子さんがメロディをユニゾンするのは変わらないが、ピアノのバッキングが一気に複雑なものになる。リズムとバッキングの両方の役割と特徴を兼ね備えたラテン色の濃いフレーズだ。潤子さんのピアノソロ曲がゆったりしたバラード曲で落ち着いたものだっただけに、国府さんのこの演奏は新鮮な印象だ。しかし、こんな複雑なフレーズを少しの乱れもなく弾きこなし、リズムとバッキングの両方の使命を果たす国府さんは、流石プロだ。
 照明が弱くなり、パーカッションによる簡単なリズムキープを背景にしたシンセ音によるメロディだけが響く。そこにベースが高音部を使って加わりユニゾンする。パーカッションのフィルに続いてオケヒット(註:オーケストラヒットの略。オーケストラによる短い音の一斉演奏のこと)が入り、ステージの照明がまさにラテンの燦々と輝く太陽のように明るくなる。いよいよBメロ、サビに突入だ。

雨上がりの午後 第1348回

written by Moonstone

 2小節分パーカッションだけのフレーズに続いて、パーカッションとベースをリズムの基礎としたAメロに入る。

2003/11/14

[湯を沸かす]
 何のこっちゃ?と思われるかもしれませんが、私は飲んでいる薬の副作用で非常に口が渇きやすいので何かをする時には頻繁な水分補給(実際のところは口を湿らせれば良いんだが吐き出すわけにもいかないし)が欠かせません。で、今の今まで家では冷水を飲んでいたんですが、昨日から湯を沸かして飲むようになりました、というか、そうしました。
 私は寒さが苦手なのですが、茶を入れるのは茶の葉を取り替えたりするのが面倒だし、白湯でも飲めるようになるまでちょっと時間がかかるので(幾ら何でも熱湯は飲めない)、湯を沸かすのは控えていたんですが、もう寒さが我慢出来なくなったので湯を沸かして、少し冷ましてから飲むようになりました。
 湯は飲むと体が温まりますが、意外に直ぐ冷えてしまうんですよね。マグカップが金属製というのがその理由なのかもしれませんが。こちらでも朝の最低気温が10℃を切るようになったので、温かい飲み物はこれから必須ですね。
 桜井さんの突っ込みに客席から笑いが起こる。なかなか上手いな、桜井さんの突っ込み。

「さて、次はちょっと毛色の変わった曲をお送りしましょうか。今までウィンドシンセやらサックスやらをやっていた男衆二人が、さっきの『Feel fine!』でヴォーカルをやった娘と一緒にコーラスをやるやつ。」
「あー、はいはい。『AMANCER TROPICAL』ね。ここでは中盤以降のピアノに要注目ということで。何でシンセとピアノにそれぞれ人が張り付いているか、良く分かる曲ですよ。」
「ん、準備は整ったようだね。それじゃ行きましょうか。『AMANCER TROPICAL』!」

 マスターと桜井さんはステージやや奥に引っ込む。そして勝田さんがステージ脇から出てきてマスターと桜井さんのところへ向かう。晶子はマイクスタンドを俺の方に移動させて、客席正面からピアノがはっきり見えるようにする。この曲でも晶子はコーラスを入れるが、ヴォーカルじゃなくてコーラス。あくまでも脇役だ。
 パーカッションのようなシンセ音とベースによるイントロが始まる。シンセ音はかなり忙しいが、これくらい潤子さんにはわけのないものだろう。続いてステージの照明が明るくなり、男声コーラス−マスターと桜井さんと勝田さんによるものだ−と青山さんのパーカッションが加わる。スペイン語のコーラスがこの場の雰囲気を一気にラテン一色にする。晶子のコーラスも加わり、華やかさが加わる。
 コーラスが止んで、ストリングスっぽいシンセ音が階段を上るように音階を上げていく。そしてシンセ音とベース、パーカッションが息を揃えたフィルを入れる。これはこの曲を作った松岡直也が得意とするというか、よく使用するタイプのフィルだ。これがラテン色をより一層濃くする。しかし、この部分は演奏者の息がぴったり合っていないといけない。しかし流石はプロミュージシャンと3歳からピアノに親しんできた元お嬢様。まったくリズムの城は崩れることなく見事にフィルを決める。

雨上がりの午後 第1347回

written by Moonstone

「しっとりした曲で涼んでもらった後は爽やかなアップテンポの2曲で盛り上げる。いやあ、良く出来たプログラムだね。」
「そういう評価はお客さんがするもんだよ。」

2003/11/13

[うわ、きっつー(^^;)]
 昨日、私が利用しているレンタルサーバーの会社が実施していた無料SEO診断の結果が送られてきました。SEOとは何ぞや?というと、簡単に言えば検索で上位に表示されるようにすることです。で、SEO診断とはこちらが指定したキーワードで検索の上位に引っ掛かるかどうかを診断してくれるというものなんです。
 で、その結果はというと・・・はっきり言って散々なもの(^^;)。指定した5つのキーワード全てで検索結果100位圏外というのはショックでした。これじゃ客足が伸びない筈だわ(今でも十分あるじゃないか、と言われればそれまでですが)。
 検索の上位に引っ掛かるアドバイスもありましたが、それを実施しようとするとページを大改造しなければならない感じです。はっきり言ってそんな余裕はないし、かと言ってろくに更新しないページにアクセス数で負けたくないし・・・。まあ、文芸中心のページでこれだけアクセス稼げてりゃ立派なもんだ、という見方もありますけど、現状に甘んじたくないですね。何とかしたいです。
 曲はサビに入るが、楽器音は俺のコード音と青山さんが叩くコンガのみの、言わば「静」の状態になる。照明もそれまでステージ全体を照らしていたものが晶子のみを照らすスポットライトに変わる。ここではヴォーカルとコンガと歩調をきっちり合わせることが肝要だ。俺は頭の中でテンポを計りながらストロークを繰り返す。
 そのストロークもコンガも消えて1小節分晶子のヴォーカルだけになり、スネアのみのシンプルなフィルを合図に楽器音が再び加わる。「静」から「動」に戻る瞬間だ。照明も晶子だけを照らすスポットライトからステージ全体を照らすものに戻る。
 サビを2回演奏するが、ラストは同じフレーズを繰り返すというパターンになる。それぞれの1拍目でシンバルが入る。そして晶子のヴォーカルが終わるのと入れ替わる形で、青山さんがスネアとタムを組み合わせたシンプルなフィルを入れて曲を一旦引き締める。
 最後はヴォーカルなしで、間奏を変形させたフレーズをそれぞれの楽器が演奏する。ヴォーカルの代わりに桜井さんがコーラスを入れることで、曲が淡白にならないようにしている。いよいよフィニッシュ。青山さんのダブルクラッシュと俺のディストーションを効かせた音で楽器の演奏が終了する。それに合わせて晶子がマイクを持った右手を高く掲げる。青山さんが続いてコンガを鳴らすが、徐々に音量を絞っていく。その間、俺はフレットを押さえたままで、ギター音の響きを限界まで引き伸ばす。
 照明がコンガがフェードアウトしているに連れて淡いブルーの照明になっていく。全ての楽器音が消えた後、客席から大きな拍手と歓声が津波になって押し寄せてくる。照明が暗めなのを良いことに、俺は安堵の溜息を吐く。晶子はマイクをスタンドに差し込んでから客席に向かって一礼する。すると拍手と歓声がより一層大きくなる。客席からはしっかり見えているようだ。
 ステージを照らす照明はそのままで、スポットライトがステージ左脇を照らす。マイクを持ったマスターが出て来る。MCを挟むんだったな。桜井さんは自分の前にあったマイクスタンドからマイクを外してマスターに歩み寄る。さて、今度はどんな掛け合いが聞けるやら。おっと、俺はこの間にギターをアコギに切り替えておかないと・・・。

雨上がりの午後 第1346回

written by Moonstone

 サビを1回繰り返した後、これまたタムを加えた複雑なフィルを挟んで間奏に入る。この曲の間奏はかなり長い。桜井さんのコーラスをバックに、晶子が時折ヴォーカルを入れる。俺はひたすらコードのストロークを続ける。桜井さんのコーラスの変化を合図にして、間奏のラストで楽器音が足並みを揃える。

2003/11/12

[デッドヒート展開中]
 投票所Cometをチェックしているのですが、やはりというか予想どおりというか、「雨上がりの午後」と「魂の降る里」が激しい争いを繰り広げています。私が確認した時点(11/11の昼)では「雨上がりの午後」が一歩リードしていますが、この二作品が両者一歩も譲らないデッドヒートを展開するのは間違いないでしょう。
 私としては「Saint Guardians」の票がもっと伸びて欲しいんですが、下部にあるコメントを見ると「雨上がりの午後」か「魂の降る里」かで迷ったという人が結構いらっしゃいますし、どれにしても私が生み出した作品ですから票が入るのは嬉しいことです。
 ちょっと意外といっては何ですが、Novels Group 2の作品にも票が入っているのが見過ごせません。ご来場者数こそ少ない部類に入るものの、一部読者層にはかなりウケているようです。これらも頑張って書き進めたいものです。あー、でも頑張って書いているつもりのSide Story Group 2の作品には1票も入っていないのはちょっと悲しいなぁ・・・。読者の方、1票入れて〜。感想も1回も来たことないんですよぉ〜(T-T)。
その背景でバイクのエンジンのSEが、加速にしたがって左から右へと移っていく。同時に男声コーラスも入る。これは桜井さんによるものだ。これらがあるとないとではやはり違う。むやみやたらと使われている曲は鬱陶しく感じるが、使い方次第で曲を引き立たせたり出来るものだ。
 再びヴォーカルが入る。それと入れ替わるように俺はボリュームをかなり絞ってバッキングを続ける。ここでのバッキングはシンセ音がメインだ。シンプルな8ビートが軽快にヴォーカルを引き立てる。途中ヴォーカルが休んだところで、俺はボリュームを上げて合いの手的にフレーズを差し込む。ちょっとしたアクセントになる。晶子はマイクをスタンドからはずしていることを利用して、ちょこちょことステージ上を動きながら身体を揺らしている。
 Aメロを1回繰り返した後、俺はボリュームを上げてコードを掻き鳴らす。ドラムは原曲にはないタムを交えたフィルを挟んで4つ打ち(註:通常2拍目と4拍目で叩くスネアを1拍目と3拍目でも叩くこと)になる。原曲同様スネアのみのシンプルなフィルを合図にサビに突入する。
 サビを2回演奏した後、再び楽器音だけになる。ここでも俺が前面に出てフレーズを演奏する。サビで8ビートに戻ったドラムはここでも4つ打ちになる。波の音がSEとして入る。この曲自体が夏を強烈にイメージさせるものだけに、このSEは効果的だと思う。
 曲はタムを交えたフィルを挟んでAメロに戻る。俺がボリュームをかなり絞るのは変わらない。今度は繰り返さずにBメロに入る。基本的に楽器演奏で前回と変わる部分はない。サビに入る前のフィルがタムを加えた少々複雑なものに変わっている−これも青山さんの即興だ−くらいだ。
 晶子が声を張り上げる。だが耳障りじゃなくて爽やかな夏を満喫している姿をイメージさせる声だ。昨年の夏、マスターと潤子さんに連れられて海に行った時、二人で浜辺で水遊びに興じたことを思い出す。演奏していて気分が良い。曲のタイトルどおりだ。

雨上がりの午後 第1345回

written by Moonstone

 一旦ヴォーカルが消えて楽器音だけになる。ここではギターが前面に出る。高校時代に戻った気分でディストーションの効いた音でフレーズを奏でる。

2003/11/11

[ぞろ目の日に逸品公開]
 今日は11/11。1が4つ並ぶぞろ目の日です。それに併せてちょっと更新しました。まずは投票所Cometの連続投票禁止条件の緩和。詳細は省きますが、これでお気に入りの作品が複数あっても、誰かが先に1票投じれば投票出来るでしょう。皆さんの投票をお待ちしております。
 そして今日の更新の最大の目玉は、何と言ってもNovels Group 3に掲載した荒崎ゆたか様の短編「待ち人」です。日常を舞台にした作品はこのコーナーの連載でもあり、Novels Group 3で展開中の「雨上がりの午後」もそうですが、「待ち人」は日常の一コマを切り出して心温まる物語に仕上げた逸品です。
 荒崎様と言えば、このページを隅から隅までご覧の方ならご存知でしょう。CG Group 2に見事な3DCGを提供して戴いているCG作家でもあり、以前ここでもお勧めページとして紹介した「月深館」の管理人様でもあります。そんな荒崎様の作家としての文才が見事に花開いた短編「待ち人」、是非ご覧下さい。これはお勧めです。
テンポキープもあるからかなり難しいと思うが、そこは青山さん。しっかりテンポを維持しつつ複雑なフレーズを淡々とこなしていく。8小節分のソロが終わりに入るところでピアノとストリングスが細かいバッキングを再開し、再び元の形に戻ってサビを締める、というわけだ。
 もう一度最初と同じ16小節のサビを演奏して、最後は青山さんのタムの連打+ダブルクラッシュで締める。全ての楽器が音を出すのを止め、残響が消えると客席から大きな拍手と歓声が沸き起こる。爽やかなノリの曲に客はすっかりリゾート気分に浸ったようだ。
 さあ、次は俺と晶子の出番だ。マスターと勝田さんは楽器をぶら下げたままステージ左脇へ、国府さんはピアノから離れてステージ右脇へ退散する。俺はエレキのストラップに身体を通し、演奏準備を整える。晶子はステージ中央のマイクスタンドからマイクを取り出す。
 「Feel fine!」の始まりは俺のギターだ。とはいっても複雑なフレーズを弾くわけじゃなく、明るめのディストーションを効かせたコードを鳴らすだけなんだが。俺が左手でフレットを押さえている間に、SEとボイスが入ってくる。徐々に競り上がってくるようなSEは勿論シンセだが、ボイスは何とステージ脇に退散しているマスターだ。英語のボイスだが原曲を研究したそうで、しっかり再現されている。声質は流石に違うがこればかりは止むを得まい。
 SEが頂点に上りきったところで楽器が一斉に出揃う。ここで誰かがフライングしたり出遅れたりしたら曲が台無しになるので、リハーサルや練習でもここは念入りにタイミングを揃えるようにした。その甲斐あってきっちり出揃った。後は突っ走るのみ。
 晶子のヴォーカルが入る。原曲とは違ってスネアのフィルも入る。これはリハーサルの時にはなかったから青山さんの即興だろう。でも不自然さが全然ないのはプロの成せる業だと実感させられる。
 俺はコードをストロークで演奏する。ディストーションを効かせてストロークするのは珍しいが、この曲では丁度良い感じになる。晶子のヴォーカルが比較的高音部で構成されているせいもあるんだろう。サビから始まった曲は快調に進む。客席を見ると総立ちになって手拍子をしているのが分かる。

雨上がりの午後 第1344回

written by Moonstone

 最初と同じ16小節のサビを演奏し終えると、それまで比較的大人しかったドラムが急に忙しくなる。マスターと勝田さんがサビのフレーズをユニゾンする中、ドラムソロが入るという部分だ。

2003/11/10

[4周年を祝いたいところですが・・・]
 4年前の今日、このコーナーにおいて「雨上がりの午後」の連載が始まりました。途中シャットダウンや臨時休業などがあったので365×4+α(うるう年の分)とはなっていませんが、ほぼ休まず続けて来れたことはこのページの大切な財産の一つですし、これからも続けていきたいと思います。
 本来ならもっと盛大に祝いたいところなんですが、選挙結果・・・。一番乗りして投票してきたんですが、あまりにも日本人のマゾっぷり+馬鹿っぷりを見せ付けられて怒りを通り越して情けない気分です。これだけ痛めつけられても、とんでもない公約を持ち出してきてもまだ自民党、公明党ですか?民主党ですか?いい加減に目を覚ましたらどうですか?
 この分だと消費税を2桁にされて社会保険などの負担を更に上げられ、憲法改悪を持ち出されたところでようやくマスコミの宣伝に踊らされたと気付く・・・否、気付かないでしょう。もう一度戦争に巻き込まれて痛い思いを味わわっても目が覚めないでしょう。日本人はなんて愚かなんでしょうね・・・。
 2回目はストリングスのフレーズ2小節を挟まず、メロディは勝田さんからマスターにバトンタッチする。ここは本来トロンボーンなんだがマスターはテナーサックスをブロウを効かせずに吹くことで、柔らかいサックス本来とも言える音を出す。ここでも勝田さん同様息遣いを重視した演奏になっている。ベースの動きが激しくなったのも特徴的だ。
 そしてメロディはマスターと勝田さんのユニゾンになる。本来はホーンセクションであることをイメージして、金属的な響きを前面に出した音になっている。雲から燦々と輝く太陽が顔を出すようなイメージのフレーズをユニゾンし終わると、タムが駆け下り、ストリングスが駆け上がる。サビに入る合図だ。
 マスターと勝田さんのユニゾンが明るいイメージのメロディをユニゾンで奏でる背景で、ピアノが細かいバッキングを刻む。これまでの国府さんのピアノと比較するとかなり違いが明瞭で印象的だ。ストリングスもメロディの隙間で細かいフレーズを演奏する。こちらも駆け下りたり駆け上がったりと、ストリングスらしさがよく出ている。対照的にベースはゆったりしたフレーズで、ドラムも基本的な16ビートだ。本来のリズム隊であるドラムとベースは基礎部分を成し、それをピアノとストリングスが補強するという格好か。
 スネアのフィルを挟んで再びピアノとストリングスが大人しくなり、勝田さんがソロを奏でる。やはりダイナミクスやボリューム、息遣いを重視した演奏だ。演奏しているのはEWIだが、聞こえてくる音はトランペットそのものと断言出来る。それだけメリハリの効いた演奏ということだ。
 そして主役は何とストリングスへとバトンタッチする。初めて聞いたときはかなり意外で驚いたものだ。ストリングスらしさを含みつつも、ツブの立ったシンセ音に負けじとかなり細かいフレーズを奏でる。ダイナミクスがはっきりしたフレーズはまさに爽やかな夏の風だ。
 主役やストリングスからマスターと勝田さんのユニゾンに移る。曲そのものはサビ前の部分だ。EWIとテナーサックスのユニゾンが終わると、タムが駆け下りストリングスが駆け上がり、サビに入ることを宣言する。

雨上がりの午後 第1343回

written by Moonstone

 勝田さんが10小節演奏したところで、それまで弱かったストリングスが急にボリュームを増し、階段を駆け下りるようなストリングスらしいフレーズを演奏してかなり前面に出て来る。勝田さんが同じフレーズを繰り返す中、ストリングスだけが1回目と違ってかなり激しい動きとボリュームの変化を見せる。

2003/11/9

[さあ、徹夜の準備はOKか?]
 今日は衆議院議員総選挙並びに最高裁判所裁判官信任投票の日です。当然私は投票所一番乗りを目指します。投票箱の中を見られる数少ない機会ですし、有権者としての権利でもあり、義務でもありますからね。
 昨日は練習ということで徹夜を決行しました。6時くらいまで起きていた後、薬を飲んで寝たので意識がはっきりしたのは午後2時に速達の配達のインターホンで起こされた時。一応9時には目が覚めたのですが、とても何か出来る状況ではありませんでした。
 リスナーの皆さんは投票する候補者と政党(小選挙区候補と比例代表候補があることをお忘れなく)を決めましたか?21世紀の日本の進路がかかったきわめて重要な選挙。権利であり同時に義務でもある投票を必ず行ってください。OKですね?別に私みたいに徹夜して一番乗りを目指す必要はないですよ(笑)。
すると、俺と晶子が居る側からは潤子さんと国府さんが、向かい側からは手ぶらの桜井さん、スティックを持った青山さん、手ぶらのマスター、そしてEWIをぶら下げた勝田さんがステージに出てそれぞれの位置に着く。マスターはテナーサックスのストラップに身体を通してスタンバイする。桜井さんも同様にエレキベースのストラップに身体を通す。
 この曲では俺の出番はない。トランペット、トロンボーン、そしてホーンセクション(註:トランペット、サックス、トロンボーンのユニゾンのこと)がメロディを主に担当する。潤子さんはストリングス、国府さんは言うまでもなくピアノだ。この曲は難度がかなり高い。しかし実力者揃いだから心配は無用だ。トランペットを勝田さんがEWIで模倣するのが興味深いところだ。
 コンガとツブの立ったシンセ音が軽快なリズムを奏で始める。それに呼応して客席から大きな手拍子が起こり始める。そこにトリル(註:隣り合った2音を細かく繰り返し演奏すること)のストリングスが加わり、更にピアノのグリス(註:鍵盤上を左或いは右にスライドさせて音を上昇或いは下降させる演奏方法)とドラムが入ってくる。いよいよ始まりだ。
 ゆったりしたストリングスと基本的な16ビートのドラム、そしてピアノを背景にマスターと勝田さんがメロディをユニゾンする。勝田さんのEWIは今まで以上に金属的な音になっている。フットスイッチで切り替えてトランペットに近い音色にしている。ベースは割とゆったりした旋律をなぞる。
 最初と同じようにコンガとシンセ音だけになったかと思ったら、ドラムが再び入り、やはりゆったりした旋律をなぞるベース、弱めのストリングス、そして力強いクイと白玉のピアノを背景に、勝田さん単独でメロディを奏でる。トランペット単独ということを意識してか、ダイナミクスや息遣いを重視した演奏になっている。

雨上がりの午後 第1342回

written by Moonstone

 客席からの大きな拍手と声援の中、スポットライトを浴びながらマスターと桜井さんが退場し、ステージは再び淡いブルーの照明だけになる。

2003/11/8

[いやあ、慌てた慌てた(^^;)]
 今日は二次創作部門2グループに加え、Novels Group 1の設定資料集更新、背景写真の変更、とちょっと色々やってみました。おかげで木曜夜からバタバタしていて、果たして間に合うのか、という不安もあったのですが幸いにもセーフ。今回の更新と相成りました。ご堪能ください(感想もください(^^;))。
 検索ページに登録してみたのは良いんですが、どうも効果が発揮されていないようです。まだ結論を出すのは早いのかもしれませんが、少なくともトップページのカウンタくらいは多少多く回ってもおかしくない筈。なのに変化が見られないということは、新着ページのチェックがされていないということでしょう。
 まあ、地道に更新を続けていくのみですね。私が他に出来ることと言えば。兎に角も作品数だけは他所様のページに負けまい、と増やしていますので、他のグループもたまにはご覧戴ければ、と思います。
 桜井さんの問いかけに、客は大きな拍手と声援で応える。十分満足出来る内容だったようだ。拍手と声援を耳にして、前半2曲でメロディを担当した俺は安堵感に包まれて思わず溜息を吐く。

「どうやら喜んでもらえたようだね。ピアノソロ2曲が効いたかな?」
「雰囲気の違う曲だったけど、それぞれで曲の雰囲気に浸ってもらえたなら、演奏者も満足だろうね。」

 マスターの言葉に花を添えるように、客席から再び大きな拍手と声援が贈られる。潤子さんを見てみると、特に表情の変化はない。ソロという孤独な環境下で自分の役割を演じ切ったという満足感などは見た目からは感じられない。満足感を前面に出すのは全てが終わってから、と思っているんだろうか。

「さて、ここらで雰囲気をがらっと変えちゃいましょうか。」
「そうだね。バラードの連続で落ち着いた心を再び熱く燃やしてもらいましょうかね。」
「えっと、何を演奏(や)るんだっけ?」
「おいおい。MCやってるならそれくらい覚えておいてよ。」

 マスターと桜井さんの掛け合いに客席から笑いが起こる。本当にマスターと桜井さんはステージ慣れしてるな。小心者の俺にも少し分けて欲しい。

「今は夏真っ盛りだからってことで選んだじゃない。『WIND LOVES US』と『Feel fine!』の2曲をさぁ。」
「そうだった、そうだった。夏をイメージさせるこの2曲を続けてお送りしましょう!ご存知かもしれませんが、『Feel fine!』ではヴォーカルが登場しますよ!お楽しみに!」

雨上がりの午後 第1341回

written by Moonstone

「バラードが連続すると、普通のコンサートじゃ客の熱気が退いちゃってつまらなくなるからそういうのは避けるんだけど、今回の曲順は成功だったんじゃないかな?」
「どうだろう?お客さん。如何でしたか?」

2003/11/7

[検索ページ大量登録(汗)]
 トップページの更新情報にもあるように、昨日5件りんくを設置したと思ったら、その内3件を相互リンクに変更してトップページ下部にもリンクを設置しました。これは検索ページだから取る特別の措置です。ですので「自分のページがないぞ!」なんて苦情はご遠慮ください(^^;)。
 どうも最近、というか前からですが、更新する土曜日から2、3日しかアクセス数の向上が望めず、平日は低迷している(贅沢言うな、と言われそうですが)ので、検索ページに登録して新規ご来場者&リピーターを開拓しよう、という思惑があってのことです(Moonlight PAC Editionの読者ならお分かりでしょう)。
 それが効果を発揮するか徒労に終わるかは少し様子を見てみないと分かりませんが、折角登録したのですから、こちらの思惑どおりにことが運んで欲しいのは当然です。ページの更新を続けていかなければならないのは勿論ですけど。折角来たのにページの更新が何週間も何ヶ月も滞っているのでは、ご来場者に失礼ですからね。
 綺麗にツブの揃ったクイを主体にしたフレーズに少し明るさが顔を覗かせる。雪雲の裂け目から太陽が光の筋を差し入れる光景、とでも言おうか。しかしその雰囲気は比較的低音域でのシンプルなフレーズを挟んで再び寂寥感漂う雪国の風景のそれに戻る。ややダイナミクスが強まるが、前面に出ることはなく、あくまで曲の隠し味的な位置付けだ。
 「put you hands up」と同じくダイナミクスが控えめなのに、こうも雰囲気が違うのはどういうことだろう、と聞き比べる度に思う。勿論曲の調が違うせいもあるが、抑揚をあえて控えめにすることが逆に曲の表情を鮮明にしているのだろう。ダイナミクスをつけるばかりが演奏じゃないということを痛感させられる。
 曲は中低音域の重厚な響きを生かしたものに変化していく。それがダイナミクスが控えめでも曲調の変化を齎しているのだろう。ツブの揃ったクイの演奏は崩れる気配がない。崩れてもそれは決してミスじゃなく、自然な、言うならば屋根に降り積もった雪の一部がトサッと落ちるような感じだろうか。あくまでも自然体で、ピアノの持ち味を引き出す演奏だ。
 クイを主体にしたフレーズが雰囲気を少しずつ明るいものにしていく。とはいっても抜けるような青空が広がるというようなものじゃなく、雪雲が薄くなって太陽光が透けて見える神秘的な光景とでも言えば良いんだろうか。
 中低域に主体を移した旋律は、蝋燭の火のような仄かな明るさを感じさせつつラストへと向かう。しんしんと降り続いていた雪が止み、薄日が差し始めた雰囲気をツブの揃ったクイを使った演奏で醸し出し、ゆったりとした音の駆け上がりを最後に中低域の響きを使っての曲の締めは静かに終わりを告げる。
 スポットライトが消え、ステージが淡いブルーの照明で照らされると、客席からパラパラと拍手が起こり始め、やはり大きな、そして温かいものになる。潤子さんは席を立って客席に向かって一礼し、拍手している俺と晶子、そして国府さんが居るこちら側にゆっくりとした足取りで歩み寄って来る。それと入れ替わる形でスポットライトに照らされながらマイクを持ったマスターと桜井さんが向かい側のステージ脇から出て来る。

雨上がりの午後 第1340回

written by Moonstone

 曲はテンポを落としてタメを強めた、何とも言えない切なさと寂寥感を含んだフレーズを挟んで、基本フレーズのメロディをクイにしたものになる。高音部を中心に鳴り響くツブの揃ったクイが耳に心地良い。ダイナミクスはあくまで控えめ。ピアノのそれぞれの音が持つ響きを新鮮な状態で生かした演奏は続く。

2003/11/6

[試しに検索]
 ふと思ったのですが、私のページは検索でどのくらいの位置(検索結果の最初の方か後ろの方かという意味)で引っ掛かるのか、と思い、Googleでちょっと実験してみました。キーワードは「芸術創造センター」「魂の降る里」「雨上がりの午後」。実験ですからこんなところで十分かと。
 結果、どのキーワードでも1ページ目で引っ掛かりました。「芸術創造センター」と「魂の降る里」は同名の施設や作品(音楽ですけど)があるのでそれらもあわせて引っ掛かることは予想していたとおりです。で、「雨上がりの午後」は予想外に他のページも引っ掛かってきてちょっとびっくり。結構考えて命名したタイトルなんですが、私独自のものじゃないんですね(^^;)。
 検索というのは、目的のジャンルやページなどを探す際に使うのはご承知のとおり。ならば出来るだけ多くのキーワードで最初の方で引っ掛かってもらいたいものなんですが・・・。今、私が利用しているレンタルサーバーの会社が無料診断をやってくれています。その結果がどう出るか、ドキドキしながら待っています。率直な結果を期待しています。
ソプラノサックスのメロディと俺のアルペジオとストリングスなどのシンセ音によるバッキングが主体になる格好だ。それも長く続くものじゃない。走者が走り去りその後姿が小さくなっていく様子を表現している、と言えば良いだろうか。
 ソプラノサックスが寂寥感を多分に残して消えていった後、音は俺のストローク演奏のみになる。会場の広さが自然で心地良い残響を生み出す。俺はストローク演奏を続け、最後の音を弦を掻き鳴らすことで会場に放つ。アコギの響きは直ぐに会場の暗闇の中に消えていく。走者の姿が見えなくなった時のように・・・。
 静まり返っていた会場からパラパラと拍手が起こり、直ぐにそれは大きな、やはり温かいものに変わる。ドラムを交えたミディアムテンポの曲だったが、雰囲気的には「THE SUMMER OF '68」や「CHATCHER IN THE RYE」、そして潤子さんが演奏した「put you hands up」といったバラードに属する曲と言っても良いだろう。だから客の拍手も自然と同じようなものになるんだと思う。
 さて、じっとしちゃ居られない。次は再び潤子さんのピアノソロ「鉄道員」が控えているからだ。俺はアコギのストラップから身体を引き抜くと、スタンドにアコギを立てかけて駆け足で国府さんと共にステージ脇に退散する。潤子さんがステージ上段から降りてきてピアノの前に座る。その過程で早々と拍手が起こる。「put you hands up」を聞いた後だから、期待も自然と膨らむんだろう。さて、またゆったり聞かせてもらうとしましょうか。
 ステージ全体の照明が落とされ、ピアノにスポットライトが当てられる。それを合図にするかのように潤子さんの演奏が始まる。高音部と低音部を中心にした、寂寥感たっぷりのフレーズが紡がれていく。ダイナミクスは控え気味でピアノが持つ響きをそのまま生かす演奏が続けられる。タメは「put you hands up」より強めだが、それほど目立つと言うほどのものじゃない。
 しんしんと雪が降る光景を髣髴とさせる演奏が続く。曲そのものもさることながら、自然なタメやツブの揃った、それでいて機械的ではないクイの演奏が実に見事だ。曲は進むに連れて寂寥感を増してくる。聞いていて思わず溜息が漏れる。練習やリハーサルで何度も聞いたが、何度聞いても飽きの来ない演奏だ。

雨上がりの午後 第1339回

written by Moonstone

 曲はいよいよラスト。ドラムが止み、ベースがボリュームを落としてテヌートになる。

2003/11/5

[シリーズ化しそうだな、これ(^^;)]
 私がIEで見る数少ないページの一つにWebコミックがあって、その中に奥さんが夫の誕生日に料理とケーキを用意し、更に夫が好きだというセーラー服を着て夫を出迎え、夫が興奮して抱き締めたと思ったら「イメクラにしか見えねぇ」と言われるオチのものがあるんですが(実話らしい(汗))、それを見ていて「こんな事件ありそうだなぁ」と思いついたネタを。

イメージを壊された、とキレる!イメクラで会社員逮捕!
 今日午後9時過ぎ、○○市△△町のイメージクラブ(通称イメクラ)で、客の男性会社員がホステスに殴る蹴るの暴行をはたらき、傷害の現行犯で逮捕されました。調べによるとこの男性会社員は、店でセーラー服を指名してホステスを待っていたところ、出て来たホステスがセーラー服が似合わないことに腹を立て、ホステスを暴行したということです。男性会社員は警察の調べに対して「セーラー服のイメージをぶち壊しにされたのでカッとなった」と供述しているそうです。

 ・・・実際にありそうな気がしないでもない(汗)。イメクラが何だか分からない良い子は、お父さんかお母さんに聞いてね(はぁと)。
ソプラノサックスは何処か寂しげで、夕日を浴びながらひたすら走り続けるランナーの姿をイメージさせる。潤子さんと同じく、同じ楽器なのにまったく違う表情を見せる。こういうところは貪欲に自分のものにするべきだろう。
 曲は前半のようにハーフビートを背景にした、ソプラノサックスのソロに移る。ソプラノサックスはダイナミクスやボリューム、そして音が伸びる部分ではビブラートを、それぞれ控えめに効かせて寂寥感を演出する。「PACIFIC OCEAN PARADICE」の時とは表情がまったく違う。あの時は原曲のハーモニカ演奏を模倣した、言ってみれば表情豊かなものだったが、ここでは何処となく寂しげな表情で走り続ける走者をじっと見詰める様だ。
 ソロは間奏部分を含めれば40小節にも及ぶ。後半に進むに連れて高音部へ全体が移行していく。ソプラノサックスの高音部は元々何処か切ない感じがする。そこにマスターの演奏が加わってより切なさや寂寥感が増すというわけだ。これも楽器の特性を知り尽くした上での作曲とアレンジの賜物だろう。俺も一応曲が書けるが、こういう楽器の特性を把握したものにはなっていないと思う。もっともっと修練が必要だろう。
 ソプラノサックスが寂寥感を残して消えていくのに代わって、曲は前半部分に戻りメロディ担当は再びEWIになる。最初同様、ダイナミクスやボリュームを微妙に制御した、管楽器だとアピールするような演奏だ。
 曲は最初と違って同じ構成を2度繰り返さず、1回目の最後で盛り上がる気配を滲ませ、EWIがウィンドシンセサイザーであることを前面に押し出したサビに突入する。サビの構成が2回繰り返されるのは前半と同じだ。しかし、最後が異なる。
 EWIの音が伸びつつ消えていく中、再びソプラノサックスが入ってくる。今度は最初のソロの時よりやや強めのアクセントで、ダイナミクスもやや強調されている。金管楽器の特徴である、リードを強く噛むことによって音程を下げる効果や、息が途切れていく過程でボリュームが下がっていく効果といったものをごく自然な形で利用した演奏だ。走り行く走者の力強さや逞しさを感じさせる。
 演奏の仕方一つで本当に曲の雰囲気が変わるものだ。俺がメロディを担当した「THE SUMMER OF '68」や「CHATCHER IN THE RYE」は、客にそれぞれの曲の雰囲気を十分伝えるものになっていただろうか、と一瞬思い直す。・・・今は兎に角自分のやるべきこと、即ちストロークを使ったバッキングに専念すること。反省は後で嫌と言うほど出来るからな。

雨上がりの午後 第1338回

written by Moonstone

 俺がストロークによるバッキングに切り替えた頃、EWIに代わってソプラノサックスが入ってくる。ベースはテヌート(註:音の切れ目を無くし、滑らかに演奏すること)で、ドラムは弱いバスドラムだけだ。

2003/11/4

[徹夜はしたけれど]
 2日分の遅れを少しでも取り戻そうと昨日は徹夜を決行して新作を1つ書き上げました。そこまでは良かったんですが、2作目の途中で眠くなってきて、横になったら4時間余りぐっすり。その後も意識がはっきりせず、午後は丸潰れになって2作目は途中で止まってしまいました。
 元々夜行性なのもあって徹夜そのものは割と出来るんですが、その後が駄目になってきましたね。どうしても仮眠のつもりが本格的な眠りになって、更にその後も意識がはっきりしない。もう徹夜は無理なのかなぁ・・・。
 昨日は雨だったせいもあってどうも湿っぽかったです。寝汗をよくかいたし。これからの雨は降る度に寒さを増していきますから、風邪をひかないように注意しないといけませんね。
 さあ、再び俺もステージで演奏だ。俺は淡いブルーの照明が照らすステージに駆け出し、素早くアコギのストラップに身体を通す。潤子さんはステージ上段のシンセサイザーのある場所に移動し、ピアノの前には国府さんが座る。向かい側からは、手ぶらの桜井さん、スティックを持った青山さん、これまた手ぶらのマスターと勝田さんが出て来てそれぞれの楽器を手にする。マスターはソプラノサックス、勝田さんはEWIだ。
 次の曲、「NO END RUN」は俺の演奏から始まる。本当はエレキを使うところなんだが、ギターが出来る人間は俺しか居ないから、アコギで代用するしかない。音程をふわっと上げるようにスライドさせると、アコギの代わりをするシンセ音のバッキングとストリングス、ベース、弱めのバスドラムとコンガが入ってくる。俺は甘い感じのメロディを演奏する。エレキとアコギじゃ音色も響きも全然違うが仕方ない。俺は「本体」に繋げるための演奏を8小節続ける。
 ハーフビート(註:2拍目と4拍目で叩くスネアをあえて4拍目しか叩かないこと)のドラムと輪郭がはっきりしたベース、そして俺のストロークによるバッバッキングとシンセ音を背景にして、EWIがメロディを奏でる。管楽器であるとアピールするようにダイナミクスやボリュームは緻密に変化する。ドラムがノーマルになった後も、勝田さんのEWIは甘くちょっと切ないメロディを演奏する。流石にマルチプレイヤーと言うだけあって、見事なもんだ。
 2回目はストリングスを加えた16小節×2、計32小節の演奏の最後で、曲は一気に盛り上がる気配を匂わせる。EWIの音量が増す。ここぞとばかりに存在感を前面に押し出すようだ。それまでのダイナミクスやボリュームの変化を多用した演奏から一転して力強いウィンドシンセサイザーの音で、タイトルどおり「終わりなき走り」を髣髴とさせるメロディを演奏する。俺はストロークによるバッキングに専念だ。
 16小節に及ぶEWIの演奏が終わると、曲は一転して静かな雰囲気になる。俺がアルペジオをする中、国府さんのピアノが寂寥感を多分に感じさせる旋律を入れる。この部分のためだけにピアノはあるんだが、これがないと曲が成立しない。短いフレーズでも曲という複雑なジグソーパズルの1ピースなんだと実感させられる部分だ。

雨上がりの午後 第1337回

written by Moonstone

 潤子さんはゆっくりと立ち上がると、客席に向かって一礼する。すると拍手が大きさを増したように思う。俺も気付いたら、手が痛いと思うほど強く拍手していた。隣を見ると晶子がすっかり感嘆した様子で拍手している。後ろからは国府さんの拍手が聞こえる。やはりこれも大きい。感嘆と称賛の証だ。

2003/11/3

[だ、駄目だぁ・・・]
 昨日も結局PCをスタンバイしたところまでは同じでほぼ1日寝っ放し。眠気とやる気のなさが重なって何も出来ません。それでも食事は自分でどうにかしないといけないのが一人暮らしの辛いところ。まあ、止むをえませんが。
 今日は徹夜で作品制作に臨むつもりです。予定が大幅に遅れているから何としても今日で最低限のノルマは達成しないといけません。何が何でも書く、という状態にしないとだらけてしまいますからね。頑張ります。
クイを背景にした、何と言えば良いんだろう・・・。敢えて言うなら、穏やかな陽射しが少し雲に隠れたような、でも曲調を暗くさせはしないメロディが緩やかに流れる。高音部の響きを生かしたそのメロディはやはり気持ち良い。ここでも装飾音符が耳に優しい。
 再びスタッカートのクイを中心にしたフレーズを挟んで、曲調が変わるよ、と合図するような短い高音部のクイのフレーズを流れ、始めの構成に戻る。ここへ来てようやくダイナミクスが目立ってくる。とはいっても多少強弱の差が大きくなったかな、という程度なんだが、それでもこれまで形作って来た曲の雰囲気を一変させるというようなものじゃない。日向ぼっこをしているうちに眠ってしまい、ふと目を覚ましたら陽射しが眩しく感じた、という表現がぴったりだろうか。俺のボキャブラリーは乏しいからこの程度の表現しか出来ないんだが。
 再び高音部を使った、音の階段をゆっくり下るようなクイのフレーズを挟んで、ちょっと違った雰囲気の、陽射しが薄い雲に隠れたようなフレーズが今度はクイを多用して奏でられる。雲を透かして太陽が見えるイメージだ。どこかすがすがしささえ感じさせる。
 そしてスタッカートを使ったクイによる旋律が奏でられると、少し間を置いて高音部で木漏れ日が輝きの残像を目に残すような高音部の短いフレーズが流れる。それまで曲の表情に合わせて動いていた潤子さんの頭がぴたりと動きと止める。潤子さんが顔を上げると同時にスポットライトが消えて、ステージが淡いブルーの照明で照らされる。曲の終わりを知った客席から徐々に拍手が起こり、やがてそれは大きな、そして温かいものへと変わる。

雨上がりの午後 第1336回

written by Moonstone

 高音部のクイによる、音の階段をゆっくり下りるような気持ち良い旋律を挟んで、曲調が少し変わる。

2003/11/2

[ひたすら寝るっ]
 朝6時に起床したんですよ。確かに。で、朝食を食べてさあ執筆開始、というところで眠気が増してきて布団へ直行。そのまま昼前まで寝てました。買出しに出かけて昼食を済ませたら、やっぱり眠くなってきて布団へ。夕食を挟んでネット接続時間直前まで寝っ放しでした、はい。
 どうも午前2時以降に寝ると、朝6時に起床しても眠気が残存するようでして・・・。昨日は1ヶ月に1度のデフラグで予想以上に時間がかかったのが悪かったですね。折角PCスタンバイしたのに勿体無い。
 まあ、ストックがあるからそれを使えば良いことなんですけど、ストックに頼る癖がつくと書けなくなってしまうんで要注意です。今日はきちんと寝て朝から執筆に励むつもりです。
 穏やかな春の陽射しを思わせるメロディラインとアルペジオのデュオが、優しい響きを会場に撒く。「TERRA DI VERDE」ではよく目立ったタメが弱い、比較的一定のテンポに忠実な演奏だ。ダイナミクスもそれほど強調されているわけではない。それでも機械的とは感じない。潤子さんの人柄をしのばせるふんわり心地良い雰囲気を感じる。
 その秘密はメロディに時折混じる装飾音符(註:鍵盤楽器である音の前に入れる細かい音)にあると思う。大胆に自己主張するわけでは決してない、それでいてその音があるお陰でメロディ本体がぐっと引き立つ、言わば名脇役だ。装飾音符がなかったら、多分かなり素っ気無いものになってるんじゃないだろうか。勿論、そう聞かせる潤子さんの腕があってこそのものだが。
 俺は自然に目を閉じる。本当にこのまま眠ってしまいそうだ。呼吸も自然に落ち着いていくのが分かる。「癒し系」という言葉が一時流行ったが、本当に人の心を癒せるものは数少ない。潤子さんの演奏は曲そのものの完成度の高さを100%引き出し、人の心を癒す見事としか言いようのないものだ。桜井さんが、片方くれ、と言った気持ちが分かるような気がする。
 クイが中心の、それまでの曲の構成とは違うが曲の雰囲気を壊すものでは決してないフレーズが入る。そこでもダイナミクスは強調されない。その代わりと言うのも何だが、スタッカート(註:音を楽譜の表記より短く演奏すること)がメリハリを与えている。ダイナミクスばかりがピアノの演奏の表情を形作るものじゃないということがよく分かる。
 曲の構成が元に戻る。高音部に比重を移した音達が耳に優しく流れ込んでくる。やはりここでもタメは弱いし、ダイナミクスもかなり平坦だ。それでもまったく機械的にならない。さり気なく聞こえる装飾音符が心憎い演出をしてくれる。心安らぐ、とはまさにこういう心境を表現するものだろう。陽だまりで日向ぼっこしている気分だ。

雨上がりの午後 第1335回

written by Moonstone

 ピアノの音が響き始める。その優しい響きに引き寄せられるように、俺と晶子はステージの方を向く。ステージ中央のピアノにスポットライトが当てられ、潤子さんがそのピアノに向かっている。

2003/11/1

[ぎりぎりセーフ]
 久々に文芸関係6グループ揃い踏みを果たすことが出来ました。しかも今回は月始めが重なるという異例事態ということと、Side Story Group 2の新作制作が予定より遅れるという危機的状況が重なり、更新準備は水曜日から、新作制作は時間を捻り出して行い、どうにか揃いました。
 こういう足並みの揃いは更新情報を見ると結構爽快で良いんですが、政党の政策の足並み揃いは困り者。自民党と民主党はおろか、共産党以外の政党の政策がどれも似たり寄ったり。結局は何だかんだ理由をつけて消費税増税、憲法改悪で足並みを揃えています。
 ある国の外交関係者はこう言ったそうです。「日本には2つの政党しかない。共産党と共産党以外の政党だ。」と。実際各党の政策を調べてみると、消費税増税反対、アメリカ言いなりからの脱却(日米安保条約の破棄)など、日本の進路を根本から変える具体的な政策を掲げているのは共産党のみ。所詮税金のつかみ取り(政党助成金)や財界からの献金を当てにしているような政党はあてにならないということでしょう。
サックスはリバーブがよく効いた広がりのある音色で、俺はナチュラルトーンで、それぞれ爽やかな夕暮れ時を演出する。サックスもソロとは言っても決してでしゃばるような真似はしない。俺のギターの音に広がりと艶やかさをプラスするような感じだ。流石はマスター。伊達に長い間サックスで飯を食ってたわけじゃないな。
 曲はエンディングに入る。ピアノの情感溢れるリフが優しく響く中、サックスが細かいフレーズを加える。やはり前面に出るんじゃなくて、料理で言えば付け合せの野菜のような位置付けを保っている。徐々にテンポが落ちてきていよいよラスト。細かく優しいシンバルワークと広がりのあるストリングスが場を演出する中、ピアノが一歩一歩音の階段を上っていく。決して駆け上がるようなことはしない。ピアノの持つ響きを優雅に使うことで夕日が水平線に沈んでいく黄昏時を空気のキャンバスに描く。
 音の響きがゆっくりと消え、全ての音が消えたところでパラパラと拍手が起こり、やがてそれは大きな、そしてどこか温かいものに変わる。客も曲の雰囲気を感じ取ってくれたようだ。俺はまた一つ溜息を吐いてからストラップから身体を抜いてスタンドにギターを立てかけ、駆け足でステージ脇に退散する。次は潤子さんのピアノソロ曲「put you hands up」だ。ゆっくり聞かせてもらおう。

「祐司さん、もう大丈夫みたいですね。」

 晶子が囁き声で話し掛けてくる。俺は笑みを浮かべて晶子の方を向く。もう足が地に付いていないような感覚は殆どなくなった。熱冷ましがようやく効果を発揮し始めたんだろうか。

「ああ。もう普段どおり行動出来る。悪かったな、迷惑かけて。」
「良いんですよ、気にしなくたって。」

 晶子はそう言って微笑む。晶子には後で何か礼をしなきゃならないな。散々心配かけて、耳が満足に聞こえなくなった俺に聞こえない言葉を伝えたりしてくれて。俺は本当に良い彼女に恵まれたもんだ。

雨上がりの午後 第1334回

written by Moonstone

 サックスが独自のフレーズ−ソロと言って良いだろう−を奏で始める。俺はサビのフレーズの繰り返しだ。サックスとギターがそれぞれの形で情感を醸し出す格好だ。

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