芸術創造センター こぼれ話
Dropped talk of Performing Arts Center

2002年8月31日更新 Updated on August 31th,2002

2002/8/31

[ネットを切ったら]
 普通は明日の分の更新準備をして寝る準備をするんですが、今日は(お話時点では昨日)そうはいかないです。月始め恒例の背景写真変更の為の選考と、上位ページの背景画像作成があるからです。どれもそれなりに時間かかりますからね・・・。まあ、月毎に背景写真が変わるのはこのページの特徴ですし、それらしい写真でページを飾るのは楽しいものです。
 今日で8月も終わりですから、ログファイルも新規作成しないといけません。このコーナーと更新履歴は、ログファイルに保存しているんですよ。このコーナーのログファイルは始まった1999年7月分からあって、10月10日付から始まった連載も勿論残っています。前に読み返してみたんですが、日記にはかなり危険な精神状態の頃の時もあって、よく書いてたもんだなぁ、と感心してしまったり。
 連載を読んだことがない人は、Novels Group 3で読んでいただければ良いんですが、Novels Group 3掲載分と今の連載の間を知りたいのでログファイル見せて、と言われるかもしれませんが、ログファイルは数10kBから100kBくらいあるので、全部掲載するとサーバー容量をかなり食われちゃうんですよね。Novels Group 3掲載までお待ちください、としか言えないです。Novels Group 3掲載分だけ読むのも相当時間かかるでしょうから、そのうち出て来ますよ(笑)。何時出てくるかは分かりませんけどね。
「今日の試験って、専門教科だったんですか?」
「4コマ目がそうだった。2コマ目は一応一般教養の範囲だけど、物理実験総括の筆記試験だった。それはノート持ち込み可だったからまだましだったけど、4コマ目は自分の頭だけが頼りだったから。そっちがな・・・。」
「難しかったんですか?」
「教科書の演習問題を自力で解ける状況で何とかクリア出来るって感じかな。演習問題は講義で殆どやらなかったから、高校の時みたいに自分でやっておかないともうお手上げだな、あれは。」
「で、祐司さんはどうだったんですか?」
「今日の科目を落とすと3年前期の必須科目に引っ掛かるらしいし、留年なんて洒落にならないからきちんと勉強しておいた。何とか全問制覇出来た。その反動が今疲れになってどかっと出てきたって感じ。」
「お疲れ様でした、としか言えませんけど・・・。大変ですね、祐司さんの学科って。」
「晶子の方も大変だろ?」
「私の方はやり直しが出来ますから。まあ、あんまり溜め込むと3年以降で大変なことになりますから、今のうちに片付けておくに越したことはないですけどね。」

 兎に角専門教科は難しい。ノートを取っておくことはもはや常識。教科書が−大学だから専門の書籍だが−ある場合はその演習問題を解けるようにしておくこと、ノートだけの場合はそこで出てきた公式や例題をきっちり押さえておくこと。これで最低限だ。理系だから厳しいことは覚悟してたが、まさかこれほどとは・・・。
 月も半ばに差し掛かろうというのに、ゆっくり出来るにはまだ遠い。試験の日程は下旬まで続くからだ。前に高校時代のバンド仲間の一人から電話があって、こっちは試験終了、10月まで秋休み、なんて言っていた。試験の厳しさがそれ程違うと、こっちも少しは加減しろ、と言いたくなってくる。何でこんなに格差があるんだ?まあ、そいつとは大学も学部も違うから−確か経済学部だった−格差が出来るのはある意味仕方がないのかもしれないが、それにしても・・・。

「祐司さん、今何時頃に寝てます?」
「ん?そうだな・・・2時か3時頃かな。ギターの練習とかもしてるから。」
「今はレパートリーを増やすことは考えない方が良いんじゃないですか?」

雨上がりの午後 第919回

written by Moonstone

「分かる?」
「顔を見れば分かりますよ。如何にも疲れたって顔してますから。」
「そうか・・・。確かに大変だった。3コマ目が空いてたっていっても、のんびり昼寝なんて状況じゃなかったからな。」

2002/8/30

[資料作りをしながら思うこと]
 昨日は前にここでお話したメンタルヘルスのことを発表するための資料作りをしていました。このメンタルヘルスという問題、個人の問題じゃないんですよね。職場環境、ひいては企業や事業所の体質や取組みが現れる幅広い問題なんです。資料を整理したり自分の病歴を追っていくうちにそのことを実感しました。
 職場で鬱病になる要因として一番多い原因が過労なんですが、その過労の原因を探っていくと、「リストラ」という名の首切りによる人減らしで人手が足りなくなって仕事が過密化したり、仕事そのものが高度化したりして、それに追い付き追い越せで長時間労働をせざるをえない状況になったりとか、成果主義賃金で「やった分だけ報われる」という謳い文句で競争が激化して、他人と協力出来ないという疎外感、自分の能力に対してあまりにもレベルが違い過ぎる仕事に対して「自分の能力不足だ」と劣等感を抱いて、それがストレスになって蓄積されていったりとか、自分が経験したことが多いだけに発表の必要性を痛感しました。
 資料はあと1/3というところまで出来たのですが、メンタルヘルスの対策として必要なことは鬱病などの心の病気に対する正しい認識を持つこと、そういう病気を生む職場環境を改善すること、そのためには「リストラ」という名の首切りや成果主義賃金、裁量労働制(ある決まった時間分しか残業代が支払われない制度)の阻止や撤廃に労働者が団結して立ち向かうことの必要性があります。少なくとも大企業で経営危機というところは一つもありません。しっかり儲けは増やしているにも関わらず、より利益を得て株主への配当を増やし、貯め込み(内部留保)を増やすために「リストラ」攻撃を激化させているのです。そんな今だからこそ、労働者の団結と強力な活動が求められているのです。
潤子さんはフライパンを流しに入れて水を張ると、直ぐに大きな鍋を用意してそれに水を汲んでコンロにかける。そして鉄板を準備する。目まぐるしいが無駄のない動きだ。
 俺が夕食を食べている間に、晶子はハムサンドを作り終え、続いて野菜サンドを作り始める。水洗いして見ず毛をしっかり切った野菜を切ったり等分に千切ったりして、マーガリンとマヨネーズを塗ったパンに乗せていく。中身を入れたら崩れないように形を整えて4つに切って完成だ。晶子の手際も潤子さんに見劣りしない。
 夕食を食べ終えた俺は、ごちそうさまでした、と言ってトレイをカウンターに置くと、早速カウンターを通り抜けて着替えに走る。客は俺が試験で疲れたからといって注文を控えたり来ることそのものを控えたりはしてくれない。着替えながら気分をウェイターのそれに切替え、鏡で確認してから店に戻る。
 潤子さんはスパゲッティーを茹でている最中で、鉄板をコンロにかけて温め、特製ミートソースと卵を準備している。晶子の方は卵サンドの仕上げに入っている。マスターは冷蔵庫からグラスを取り出して、氷を入れている。3人の連系で注文の品が完成へ向かって着実に進んでいる。調理が出来ない俺がすることは、水の入ったポットを持って客席を回りつつ、注文があればそれを取って報告しに戻ることだ。俺は水の入ったポットを持って客席へ向かう。今日も忙しくなりそうだ・・・。

 今日も忙しい日だった。試験で神経を擦り減らした後にバイトの接客や演奏でこれまた神経を擦り減らすから、そのうち神経がなくなっちまいそうな気がする。でも、試験をいい加減に出来ないのはもちろんだし、生活費に影響するバイトもおざなりにするわけにはいかない。それに試験とバイトを両立しているのは晶子も同じなんだから。
 俺は立ちっぱなしで疲れた足を動かして歩く。隣には何時もどおり晶子が居る。俺の試験は明日もある。家に帰ったら早速試験勉強だ。まったく、大学はレジャーランドだ、なんて言った奴の顔が見てみたい。少なくとも俺が履修した科目は、殆どがしっかりした準備無しには乗り越えられない。大学に居る今の方が高校時代よりよく勉強してるぞ、本当に。

「今日の試験、大変だったみたいですね。」

 晶子が話し掛けて来る。俺はバイト中も今までも、大変だったとは一言も言ってないんだが。

雨上がりの午後 第918回

written by Moonstone

 俺は酢豚と中華スープ、サラダと御飯が乗ったトレイをカウンター越しに受け取る。店は忙しそうだから、あまりゆっくり食べていられそうにない。

2002/8/29

[やれやれ。定期更新制度がなくなっても・・・]
 なかなか思うように更新出来ないものですね。まあ、連載の書き溜めを出来るうちにしておきたいのでそれで時間を取られているのが大きいんですが・・・本当に何時になったら終わるんでしょうね、この連載(^^;)。まあ、連載回数が4桁の大台に乗ることは確実ですし、何千回になろうがラストシーンまで書き続けるだけですが。
 更新したいのは主にNovels Group 1です。一行に新キャラが加わりましたし、魔物も増えましたので、今まで放置状態だった設定資料集に久々に手を付けようと思っているんです。今の調子だと週末に持ち越しになりそうですが、定期更新制度がなくなった今、その日までに間に合わせなければならないということもないですから、充実した内容をお見せ出来るようにしたいと思います。
 シャットダウン日程はほぼ決まりましたので後日正式に告示しますが、その間にたっぷり作品を書ければ良いなぁ、と思っています。学生時代みたいに夏休みが一月半もあるわけじゃないので(あの時は宿題とかあったけど今に比べれば大したことじゃない)何十も書くのはどう考えても無理ですが、今後の更新(特に先に挙げたような細かい更新)を余裕を持って出来る程度にはしたいところです。特に定期的に更新している作品を集中的に書いておいて、更新が停滞しているグループの作品制作をシャットダウン以外の時間で出来るように出来ればベストなんですが、果たしてそれだけの時間があるか・・・。それにシャットダウン時に持って行くノートPCはキーレスポンズが悪いので書くのに余分な時間がかかるんですよね(- -;)。ま、今は修理の見通しが立たない機器をどうするかを考えるのが先決ですかね(^^;)。
晶子だって家のこととか次の試験の準備とか、色々やることはある筈だからな。店を見ると髪を後ろで束ねた晶子が注文を取っているのが見える。間もなく潤子さんが駆け寄って来た。

「こんばんは。」
「こんばんは、祐司君。かなり疲れた様子ね。」
「そう見えます?」
「顔に出てるわよ。さ、夕食食べてね。」

 俺はカウンターに座って、マスターが出したコップの水を一気に飲み干す。冷たい水のお陰で緊張感がようやく解れ始めてきたように思う。潤子さんがフライパンを煽っている中、晶子がカウンターに来る。俺の存在に気付いて表情を明るくする。それを見て、まだ残っていた緊張感がようやく消えたような気がする。

「こんばんは、祐司さん。お疲れ様。」
「ああ、ありがと。」
「身体の方、大丈夫ですか?前に風邪ひきかけたって言ってましたし・・・。」
「それはもう何ともない。今風邪ひいたら洒落にならないよ。」
「そうですよね・・・。あ、注文です。アイスコーヒー3つ、サンドイッチ盛り合わせ1つ、ミートスバゲッティー3つ、5番テーブルです。」
「はい。相変わらず多いわね。悪いけどサンドイッチの方、お願い出来る?」
「分かりました。」
「コーヒーの準備もしておくかね。」

 晶子はカウンターに入ると、潤子さんの横でサンドイッチを作り始める。改めて店を見てみると、時間帯の割に客は割と多い。学生に加えて社会人らしい姿も目立つ。晶子も潤子さんと一緒に調理することが多くなった。今みたいに自分が取ってきた注文の品を自分で作ることも珍しくない。潤子さんも晶子の腕を信頼しているようだ。

「祐司君、はい、どうぞ。」
「あ、いただきます。」

雨上がりの午後 第917回

written by Moonstone

 コーヒーを作っていたマスターが出迎える。晶子は午前中の2コマに試験があって、先に帰っている。幾ら何でも午後2コマ分待ってろ何て言えない。

2002/8/28

[わけ分からん]
 月曜に仕事を一つ片付けて、次のものに取り掛かったんですが・・・。これが曲者で、(1)昔(10数年前)の電子機器の修理(2)その機器を作ったメーカーが今は存在しない(3)代替品がない(4)故障個所がまったく不明、というものでして、何処から手をつければ良いものかさっぱり分かりません。
 とりあえず電圧レギュレーター(ある値の電圧を発生させるIC)を疑って出力を調べたんですが(故障状況として「ヒューズが飛ぶ」とあったので)、これがまったく異常なし。一番疑惑濃厚と睨んでいた部分がシロだったので、次はどうしたものかと悩んでます。
 クライアントからは代替品がないことで何とかしてくれと拝み倒されているので何とかしたいのは山々なんですが、原因がまったく分からないのではどうしようもありません。大体、そんな昔の機械を使うなよ・・・、と言いたいのですがそうもいかないらしく、当分頭を抱える日々が続きそうです。
・・・その時が来るのを待とう。その時の俺と晶子の気持ちの向き合い方次第で自ずと進む方向が決まるだろう。全ては時の流れのみぞ知る、ってところか。今は今の生活と関係を大切にしていこう。黙っていても俺が20歳になる時は来るんだから・・・。

 あの暑い日々は遠く去ってしまった。肌を焦がすと言うより肌を炭にすると言った方が良いほどだった日差しも、日差しそのものこそ鋭く眩いが、その勢いはかつてのそれより弱まっている。空が高くなり、ある日いきなり雲が立ち込めては雨が降る、という日もあるようになった。女心に喩えられる天気だ。時に夏を思わせる日もあるが、それも日中だけのこと。朝夕はめっきり涼しくなって、エアコンの世話になる必要もなくなってきた。
 夏が暑すぎた反動のせいかもしれないが、夏が過ぎ行く時の温度差の変化はかなり激しい。俺も風邪を引きかけたことが何度かあった。時期が時期だけに風邪を引くわけにはいかない。何故なら今は前期試験の真っ最中だからだ。1年の時と後期と合わせて、3年へ進級出来るかどうかが決まる重要な時だ。一つたりとも単位を取り逃すことは出来ない。
 日程こそ余裕があるが、それは逆に言えばそれだけ余裕がないと単位を取るのが難しい可能性があるということだ。それに1年の時より専門教科の比重が大きい。特に前期の専門教科の単位は取り逃すと厄介だという話だから余計に気が抜けない。俺は大学で試験、帰宅してノートの整理と復習、そしてギターの練習とデータ作成、そしてバイトという忙しい日々を送っている。

「こんばんはー。」
「いらっしゃい。何だか疲れた様子だな。」
「今日は2コマ目と4コマ目に試験がありましたからね。その間も気が抜けなくて・・・。」
「なかなか大変だな。ま、食事の時くらいゆっくりしなさい。」

雨上がりの午後 第916回

written by Moonstone

 俺が20歳になるまであと一月くらいだ。その時に俺と晶子は本当に大きな一線を超えるんだろうか?越えたいという気持ちがないと言えば嘘になる。だが、まだ早いという気持ちもある。

2002/8/27

[特にないですねぇ・・・]
 昨日は特別妙なこともなく、仕事も予定どおり進んでゆったりした日でした。病院へ行って薬をもらい、帰宅後に夕食と洗濯を終えて、転寝してました。転寝するから夜寝られないんじゃないのか、と思われるかもしれませんが、転寝しようがしまいが一定時間しか連続して寝られないのには変わりありませんし、目覚めが変わるわけでもありません。私の不眠はそういうものなんです。
 ウィルスメールは相変わらず飛んで来ます。受信したメール全てがウィルスメールで、かといって受信してみないことにはメールチェックが終わりませんし、まったくいい迷惑です。ウィルスメールが来なかった日は最近(少なくとも一月は)全然ないですね。ウィルスメールを送信先に跳ね返して発動させる機能やソフトはないものですかね・・・。
ドアが左右に開いて夏の熱気を含んだ空気が俺を出迎える。手洗い歓迎だが、これも夏ならではのものだ。冬になれば今度は冷気を多分に含んだ空気が待ち構えているんだから。
 俺はもう一度だけ後ろを振り向き、まだ立っている晶子に手を振って、晶子が微笑みながら手を振るのを見てから三度前を向いて出入り口を後にして自転車置き場へ向かう。何時になく長い間停めてあった自転車は、無言で俺を待っていた。たまにはこいつも奇麗にしてやるかな・・・。
 早くも厳しい夏の朝の日差しを浴びながら、俺は自転車に跨ってペダルを踏んで通りに出る。疾走していく自動車の数はそれ程多くないが、それを受けてかスピードが何時も以上に増しているように見える。

気を付けて帰って下さいね。

 晶子の言葉が蘇って来る。確かにそのとおりだ。気を付けて帰らないとな・・・。
俺は自転車の向きを駅へ向かう方へ変えて、ペダルを数回軽く漕ぐ。俺を乗せた自転車は直ぐにスピードを上げて緩い坂を下っていく。
 また半日過ぎた頃にこの坂を登って晶子を迎えに行くんだよな。その時まで自分がすべきことをやろう。昼食の買い出しに洗濯、そしてギターの練習に部屋と自転車の掃除・・・。結構忙しくなりそうだ。夏はまだ終わっていない。暦の上で秋を迎えた後も暑い日は当分続くだろう。そして晶子との関係も今のまま続くだろう。否、続けていきたい。1週間足らずの夏の日々で俺と晶子はもう一つ大きな壁を越えた。残るは・・・最後の大きな一線のみと言って良いだろう。

雨上がりの午後 第915回

written by Moonstone

 俺がそう言って手を振ると、晶子は目を細めて柔らかい笑みを浮かべて手を振る。俺は暫しの間別れを−大袈裟だが−惜しんだ後、再び前を向いてドアの前に立つ。

2002/8/26

[リンク管理も楽じゃない]
 ウィルスメールはばんばん飛んできます(怒)。受信したメール全てがウィルスメールだったなんて洒落にもならない。送信者は感染していることに気付かないのか、それとも前にお話したように確信犯なのか。想像の域を出ませんが、ウィルスメールは本当に何とかして欲しいところです。
 今日の更新では「Access Streets」の更新が目立ちますが、これらはページ巡回の過程でリンク先が移転していたり、リンクしてもらっているのに見落としていたりしていたことに気付いたというものがあります。リンクの数を増やしたのは良いとしても、チェックがおざなりになっていたのは否定出来ません。一月に一度くらいはリンクのチェックをした方が良いようですね。
 その作業のせいでA.M.5:00頃までかかったのが尾を引いたのか、昨日は一日横になっていました。もう眠いしだるいし・・・。本当はこのコーナーからリンクしている「見解」の部分に新記事を追加したかったんですが、かなりの追加や修正を迫られるため気力が萎えてしまってあえなくダウン。また別の機会に掲載するようにします。本当だったら作品の一つや二つは書ける時間があったのに・・・。まあ、それ程慌てる必要もないですね。来週以降もありますし、9/2に更新しなければならないなんてこともなくなりましたし。焦らず、自分の身体を第一に考えて活動していこうと思います。
 話は早速今度の月曜日に向けた話題になる。晶子は今度もあの水着を着ると言う。スタイルが良い晶子が再びあの水着を着たところを見れると思うと嬉しいというか楽しみなのと同時に、他の男の視線に晒したくないという思いもある。まあ、プライベート・ビーチじゃないから自分だけ見るってのは無理な相談だな。でも、これが俺の彼女だってところを見せられると思うと、今度は何だか優越感じみたものを感じる。やれやれ、俺も困った奴だ・・・。
 朝食が済んで晶子が後片付けを済ませた後、俺は洗濯物が詰まった鞄を持って晶子の家を出る。勿論というか、晶子は見送りについて来てくれている。嬉しいのは言うまでもないが、それは同時に暫しの別れが近付いていることを証明しているから、名残惜しさが強まって来る。二人で居る時間を増やせば増やすほど、一人で居る時間が来ることが寂しく思えてならなくなってくる。これは宮城との時もそうだったな・・・。
 エレベーターで1階ロビーに到着したところで、俺は晶子に言う。

「じゃあ、バイト行く時に迎えに来るから・・・。」
「はい。待ってますね。」
「言うのが遅くなっちまったけど・・・2泊もさせてもらってありがとう。食事は何時ものことだけど、本当に美味かった。今朝は面白いものを食べさせてもらったしな。」
「今度も美味しいもの作りますから、期待してて下さいね。」
「ああ、そうさせてもらうよ。」

 俺はそう言って玄関へ向かう。管理人の人に会釈してドアの前に立ったところで、俺は振り返る。晶子が微かな笑みを浮かべて手を振っている。・・・そうだ。これで終わりじゃないんだ。俺はそれを改めて実感して言う。

「それじゃ、また後でな。」
「はい。気を付けて帰って下さいね。」
「分かった。」

雨上がりの午後 第914回

written by Moonstone

 晶子は嬉しそうに頷く。そんなに俺と一緒に居る時間を、色々な形で過ごしたいのか・・・。それだけ想われているんだと思うと、心が温かく、心地良くなって来る。俺も自然に笑みを浮かべる。また晶子と楽しい時間が過ごせるんだから悪い気なんてしないし、むしろこちらこそ願ったり叶ったりだ。

2002/8/25

[何故汚職がなくならないのか]
 ウィルスメールはやっぱり来ました(怒)。ま、それはしょうもない人間のやることとして、しょうもないでは済まされないことを今日はお話したいと思います。
 先の通常国会では共産党議が先鞭を取って追求した所謂「ムネオハウス」事件をはじめとする「政治と金」の問題が出てきましたが、これらに共通することは、大物政治家と呼ばれる連中が、その権力を背景に行政を歪め、公共工事を自分の後援企業が受注出来るようにして、その会社から献金を得るという「税金の還流」と「企業献金」があります。首相は「(企業献金は)必ずしも悪とは言えない」と強弁しましたが、企業献金は「ムネオハウス」に代表されるように汚職と密接な関係があります。
 自民党がこれを禁止しようとしないのは、自分達が企業献金で活動している政治家の集団だからです。その企業献金の出所の系統や出身省庁の違い(高級官僚が議員になるケースは自民党に限らず多い)で「族議員」と呼ばれるわけです。党員が数百万居ようとそれらは名前だけ貸している、或いは企業の命令で貸さされている幽霊党員が殆どで、自前の収入、即ち党費や機関紙の購読での収入は微々たるものです。他の政党も似たようなもので、企業献金が政党助成金に変わっただけというケースもあります。
 企業が献金するのは何かしらの見返りを要求するからです。スポーツや文化のスポンサーになって広告を出したりするのと同様、それに伴う知名度の向上や仕事や需要の受注アップを狙っているからです。実際、企業のトップは企業献金についてあけすけにそのことを語っています。出所がそう言うのですから、受け取り側がその意向を無視する筈がありません。ですから鈴木宗男議員が政治資金規正法に記載した政治献金でも受託収賄で起訴された時「そうなったら自分達の大半は後ろに手が回る」と嘆いたのです。
 企業献金や政党助成金を受け取っていないのは共産党のみです。共産党の財政は党費と機関紙などの収入が殆どを占めます。献金は個人のものに限定されています(選挙の時にカンパを要求したりするのはそのため)。ですから機関紙の「赤旗」で企業に遠慮なく問題点を指摘したり、汚職の実体を事細かに追求出来るのです。共産党の財政の在り方は欧州の政党では当たり前の構造です。金の出所、受け取り方を厳しく規制し、政治が金で歪められないようにすることこそ、今真剣に求められているのではないでしょうか。
数えてみれば4泊5日だが、振り返ってみるとあっという間だったな・・・。その間色々なことがあた。宮城との遭遇、そしてきっちりした別れの儀式−宮城は区切りを付けただけとか言ってたが−、あと一歩のところで寝てしまった晶子との夜、そして遊園地で一日遊んだ後の居酒屋での夕食・・・。短い間に色々なことが凝縮された夏の日々だった。
 今日からまたバイトが始まる。大学での時間を除けば何時もの生活に戻るわけだ。自分で準備したり買ってきたりしなくても朝食や昼食が出て来る生活から離れるのは、正直惜しくてならない。だが、俺もまかりなりにも自分の家がある以上はそこで生活していかないといけない。バイトを続けるのに欠かせないギターと音楽との「付き合い」もあるし、そもそも俺と晶子は一緒に住んでるわけじゃないんだから、晶子に何時までもおんぶに抱っこというわけにはいかない。

「今日からまたバイトが始まりますね。」

 俺の心を見透かしたように、晶子が話を切り出す。

「あ、ああ。」
「振り返ってみると、短い間に色々なことがありましたよね。その中で一番の思い出は、バイトや練習の時とは違う祐司さんと自分を見れたことですね。今回のために水着買ったりしたくらいですから。」
「あの水着、初めて着たやつだったのか?」
「ええ。祐司さんを驚かせようと思って。でも、いざその時になったら急に恥ずかしくなって、潤子さんにファスナーオープンされるまで見せられなかったですけどね。」
「顔真っ赤にしてたよな。でもあの水着、よく似合ってたぞ。」
「嬉しいです。・・・ねえ、祐司さん。今度の月曜日にまた海水浴に行きませんか?」

 思いがけない晶子の誘いに、俺は一瞬どう返答して良いか分からなくなった。

「今度は二人きりで。今度は時期が時期ですから日帰りになっちゃいますけど、どうですか?」
「そうだなぁ・・・。盆を過ぎるとクラゲが出て泳ぐどころじゃなくなっちまうし、数少ない大学もバイトも休みっていう日を何時もみたいに練習と食事で終わるのは勿体無いよな。・・・行くか?」
「はい。」

雨上がりの午後 第913回

written by Moonstone

 本当はバイトへ行く時まで一緒に居たいと思う。だが、晶子も掃除や洗濯物があるだろうし、俺も用事があるからこれ以上長居は出来ない。

2002/8/24

[もう来るな、ウィルスメール(怒)]
 毎日ネットに繋ぐと最初にするのがメールチェックなんですが、添付ファイル型のウィルスメールの多さには閉口してます(怒)。何せ4通メールが来た、と思ったら3通がウィルスメールなんてこともあったりして(残り1つは訳の分からんDM)、腹立たしいこと頻りです。受信にも時間がかかるのにやっと来たと思ったらウィルスメール、なんていうのは、メールチェックする気を失せさせるに十分なものです(怒)。
 これは以前流行った「自分が感染したことに気付かずにばら蒔いている」型のものとは明らかに違って、確信犯です。同じタイトル名や同じ発信者名があるのは珍しくなく、両者が重なることもよくあります。明らかに相手方(つまりは私)を狙った悪質なウィルスメールであり、メール受信にうんざりすると同時に(ほぼ毎日1通は来る)、感染の恐怖に脅えています。ウィルスに感染したばかりにファイルを壊されたり、他の人にウィルスメールをばら蒔くことになったら私が加害者になりますから、それだけは御免です。
 DMもそうですが、ウィルスメールを作る人間を厳罰に処することと同時に、ウィルスメールを作らないようなマナー意識の向上を図るべきではないでしょうか?幾ら自由闊達なことが利点のネット社会でも最低限のマナーはあって然るべきですし、他人のPCに危害を加えるウィルスを作ることは爆弾を作って人の家をふっとばすのと大差ありません。以前PC利用には免許制度を導入するべきだ、という声がありましたが、それも視野に入れてウィルスメールの根本的な根絶を図る必要があると思います。・・・今日も来るだろうな、きっと(- -;)。
にそれの端を掴んで口に運ぶ。何せ食べたことがないものだから、遠慮気味に−多分焼き茄子ほど不味くはないと思うが−端の方を一口齧って口の中に入れてみる。

「・・・あ、なかなか美味い。」

 思ったままのことが無意識に口を突いて出る。砂糖らしい甘みと普通のトーストと違う香ばしさが口いっぱいに広がる。俺は口に入れた小さな切れ端を何度か噛んで飲み込むと、次は大きく口を開けてぱくつく。やっぱり美味い。これがフレンチトーストってやつなのか。今まで食べたこともなければ見たこともなかったからどんなものかと警戒してたんだが、その必要はなかったな。

「良かった。どうやら祐司さんの口に合ったようですね。」
「何せ食べたことも見たこともないものだったからどんなものかと思ってたんだけど、こりゃ良いな。」
「普通のトーストにしようかな、とも思ったんですけど、この際だから作ってみようかな、と思って。」
「所謂毒見?」
「味見って言って下さいよ。」

 晶子は苦笑いする。晶子もあまり作ったことがないらしい。それで自分の腕試しを兼ねて作ってみたんだろう。ま、何にせよ美味いものなら文句を言う余地はない。それにしてもまさかこういう形でフレンチトーストにお目にかかれて食べることになるとは思わなかったな・・・。
 最初こそ当惑で始まった朝食は、フレンチトーストの正体が判明したことを受けて何時もどおり和やかに、ゆったりと進んでいく。俺はこの朝食を食べたら帰宅することにしている。旅行と晶子の家に泊ったことで出来た洗濯物を片付けたいし、ギターから離れた時間が長かったから感触を確かめておきたいからだ。

雨上がりの午後 第912回

written by Moonstone

「ああ、これですか?これはフレンチトーストっていうものですよ。」
「フレンチトースト?・・・聞いたことはあるけど・・・これがそうなのか。」
「ええ。普通のトーストの感覚で食べてもらえば良いですよ。食べられないようなら残しても良いですから。」

2002/8/23

[一大決心]
 トップページにも明記しましたし、ページ全体をよくご覧いただいている方ならお分かりでしょうが、本日付で定期更新制度を撤廃しました。以前から定期更新制度を疑問に思うことはあったのですが、「この日に来れば必ず何かが更新される」と公約することとそれを実行することで、このページへの信頼を上げているとして継続してきました。しかし、掲示板JewelBoxへの書き込みを契機に再検討して、定期更新制度が通常時の来客数を減らしている要因になっている可能性が高いとの結論に達し、本日付で定期更新制度を撤廃することを決定しました。
 定期更新制度がなくなったことで、これからは何時何を更新するかはページにアクセスしない限り判らないことになります(一部検索ページを除く)。私も作品が出来次第更新するのではなく、その時の状況次第で更新することにするので(作品を複数ストックしたとか、久しく更新していないコンテンツを更新する時とか)、月曜日に作品アップというこれまでの定式は通用しなくなります。よって、ページ更新が知りたい方は毎日アクセスして下さい。このコーナーへ毎日お越しの方にはあまり関係ないことですね(笑)。
 定期更新制度がなくなったからといって作品制作をおざなりにすることはしませんが、具合が悪ければ更新しないとか、来客数が伸びない場合は更新見送り、とか私の主観で更新するか否かを決めますので、場合によっては一月更新がないとかいう事態もあり得ます。これまでみたいに定期的に更新しろとか言われても一切応じません。定期更新時しかアクセスしないでそれ以外は知らん振り、という言わば「良いとこ取り」型のアクセスが多いことが、今回の定期更新制度撤廃の要因の一つになったことを念頭に置いて下さい。

「それに昨日は楽しかったんだから、それを考えれば気にするに値しない些細なことさ。」
「・・・すみません。」
「謝る必要なし。で、起こしに来てくれたってことは朝飯が出来たってこと?」
「え、ええ。今から運んできますから。」

 晶子は身を翻して部屋を出ていく。時計を見ると7時半を少し過ぎたところ。何だ、晶子の様子からてっきり昼過ぎなのかと思ったら30分くらい遅くなっただけじゃないか。まったく晶子も律義だな。それが度を越さなきゃ良いんだが・・・。ま、俺もあまり人のことを言えるほど人間出来てないけど。
 俺がベッドから出て髪を手で軽く押さえながら手っ取り早く整えていると、ドアがノックされる。俺はすかさずドアを開けに行く。トレイに見慣れない色をしたトーストとサラダ、コーンスープを乗せた晶子が姿を現して、ありがとう、と言って中に入って来る。そして何時ものように二人分の食事を並べて、空になったトレイを抱えて再びリビングを出て行く。多分飲み物とそれ用の器を取りに戻ったんだろう。
 程なく二つのティーカップと湯気が注ぎ口から吹き上がるティーポットをトレイに乗せて、晶子が再びへ屋に入る。もう何かと理に戻ることはないだろうと思った俺はドアを閉めて、自分の「指定席」へ向かう。カップを並べてティーポットを置いた晶子も自分の「指定席」、即ち俺の左隣に座る。

「「いただきます。」」

 何時もどおり同時に唱和して食べ始める・・・のは晶子で、俺は手が止まったままだ。目の前にある初めて見るトーストらしきものが何なのか判らないから、手を出し辛い。晶子に聞くか、と思って晶子の方を向くと、そのトーストらしいものを一口食べた晶子が俺の方を向いて、口の仲のものを飲み込んでから言う。

「どうしたんですか?」
「あのさ・・・。今晶子が持ってるその・・・トーストらしいものって、一体何なんだ?」

雨上がりの午後 第911回

written by Moonstone

 少し沈んだ、申し訳なさそうな表情の晶子に言う。昨日居酒屋でビール大ジョッキを飲みつつ夕食を食べたのは楽しかったし、俺がそれ程酒に強い方じゃないのは分かってるから−自棄になった時はそんなことお構いなしだが−、晶子が気に病む必要なんてまるでない。

2002/8/22

[左手首の腱鞘炎は・・・]
 どうにかほぼ完治した模様です(喜)。まだ体重をかけたりすると少し痛みを感じるので、もう暫く安静にして様子を見ようと思います。ここでぶり返されたら話になりませんからね。細い手首(片方の手の親指と小指以外の指で掴めるほど細い)に「ぶすっ」と注射を打たれるのは金輪際御免です。骨に刺さりゃしないかと心配で心配で(^^;)。
 今日は特別お話することが思いつかないですね・・・。日本ハムの食肉偽装事件なんて、他の大手食肉企業でもやっていることですし、こういう企業ぐるみの犯罪が発覚した時に幹部の懲戒処分なし、社員に犠牲押し付けで一件落着、とするのは日本ハムに限ったことじゃありませんからね。民間、民間と叫びますが、所詮「民間」なんてルール無用、儲け第一ってもんです。自分達が癒着している高級官僚と同レベルです。高校野球なんて端から話題にしたくないことですし、する価値すらないと思ってます。
 今は連載の書き溜めに必死で、ページの更新はこのコーナーのみに留まっているんですが、以前ここで数回にわたって連載した「公の意識」の愚かしさと危険性、日の丸君が代の不当性を見解(批判)として纏めようと思っています。書き溜めはいざという時のために必要ですから多いにこしたことはないんですよね。特に私のように体調が不安定で崩れ易い人間にとっては。ここはこのページの原則毎日更新を担っている重要なコーナーですし、少なからずお越しくださる方も居ますから、自分の都合で暫くお休み、なんてことはしたくないです。

「もう少し・・・こうしてて良いですか?」
「ああ、良いよ・・・。」

 断る理由なんてある筈がない。頬を摺り寄せて来る晶子の肌の滑らかさ、指を通す髪から漂って来る甘酸っぱい匂い、胸に感じる肉感たっぷりの独特の弾力感、そして全身に感じる晶子のふわふわした重み・・・。これらを感じていられることが嫌な筈がない。好きな相手の存在が今、自分と重なっていることが実感出来るんだから・・・。

「・・・じさん、祐司さん。」

 遠くから俺を呼ぶ声が聞こえる・・・。朝か・・・?俺がゆっくり目を開けると、目を閉じた晶子の顔が迫ってきていた。昨日と同じく「おはようのキス」をするつもりなんだろう。だが、止めようと声を発しようとした時には既に唇が塞がれた。
 軽いが刺激的なキスの後、晶子は顔を離して目を開ける。当然俺の目はしっかり開いているし、意識もこれでもか、というほどはっきりしている。でも、俺が目を開けたところを見ていない晶子は、自分のキスで起きたとしか思ってないだろう。まあ、悪いもんじゃないから良いんだが。

「おはようございます、祐司さん。」
「ああ、おはよう・・・。」
「祐司さん、お酒が入ると極端に目覚めが悪くなりますね。何度も呼んだんですけど、ちっとも目を覚まさなくて・・・。」
「それ程酒に強い方じゃないからな。正月の時もそうだったし、宮城にふられた夜に自棄酒飲んだ時も、目覚めたのは翌日の昼過ぎだったし・・・。」
「疲れたところにビール大ジョッキってのが余計に効いたんですね。祐司さんが困ることになるなら止めておけば良かった・・・。」
「困ってないから良いよ。ここでは起こして貰えるし、家ではきちんと加減してるから。」

雨上がりの午後 第910回

written by Moonstone

 晶子も昨日俺が言ったことを覚えていたか・・・。晶子は俺を信用してくれている。その信用を無にすることはしたくない。それは即ち、俺と晶子が身体だけの関係に陥るか関係そのものが切れるかのどちらかに繋がる。そうならないためにも自分の言葉を大切にしていかないといけない。

2002/8/21

[日計カウンタを見たところ・・・]
 定期更新でもご来場者数が4桁に達することはないんですね。2日でようやく4桁、ということが大体分かりました。概要把握のために日計カウンタを付けたわけですが、更新しても、メインコンテンツの更新や更新そのものがない大手ページの1日のアクセス数より少ないというのは、寂しいというか空しいというか・・・。ま、地道に更新を続けていくしかありますまい。嘆いたところで自然増、なんてことはないですし。
 さて、昨日は随分涼しい日でした。日差しも弱く感じましたし、強く吹き抜ける風も涼しくて爽やかでした。帰宅してからも冷房(ドライですが)のスイッチを入れることなく、窓を開けたら入って来る自然の空気のひんやり感に任せることにしました。実際、このお話をしている時点でも冷房のスイッチは入っていません。7月中旬頃から連続運転してきたのが、今日でストップしました。立秋も過ぎたことですし、そろそろ涼しくなってきてもらわないとね(^^;)。
 一方、私の具合はいまいち芳しくなくて、身体が思うように動かなくて歯痒い思いをしています。ある日調子が良くなったと思ったら下降線を辿って、月の中旬頃にがくっと落ち込むという周期が明らかになったので、今は下降線を辿っているところなのかな、と思っています。でも、仕事の方はそんなことお構いなしに控えているので、動かない身体に鞭打って進めなきゃならないんですよね。完璧でなくても良いですから、ある一定の調子が維持出来るようになって欲しいです。
仕掛けるのは男からじゃなきゃいけないなんて法律なんてないし、俺が晶子にしたいと思うのと同じ様に、晶子も俺にしたいと思っていたことがあったんだ。それが偶然にも俺がきっかけを提供したことで酔いの力もあって一気に行動へ移ったんだろう。

「まったく・・・晶子には時々心底ドキドキさせられるよ・・・。この悪戯娘め。」

 俺は薄い苦笑いを浮かべて晶子の鼻先を軽く突つく。晶子の瞳が誘うような妖艶なものから徐々に普段のそれに戻っていく。どうやら俺の推測はそれ程間違ってはいなかったようだ。晶子は笑みを浮かべると、再び俺の右肩に頭を落とす。

「私だって好きな人にしたいことがあるんですからね・・・。」

 晶子の囁きが耳を擽る。俺は晶子の頭に右手を置いて抱き寄せているような態勢にする。束ねられた髪に指を通すと、絹糸のようにするりと滑らかに流れていく。電灯の白色光を浴びて虹色に煌く。辛い歴史を背負った髪が今、俺の手の内にある・・・。この髪を切り落とすようなショックを与えないようにしていかないとな・・・。

「あんまり積極的だと、本格的に逆襲するぞ。」
「私を襲うってことですか?」
「・・・ああ。」
「・・・祐司さんになら・・・襲われても抵抗しないと思います・・・。それに・・・。」
「それに?」
「祐司さんが自分の言ったことを大切にする人だって知ってますから、安心出来ます・・・。」

雨上がりの午後 第909回

written by Moonstone

 そう考えれば、晶子の「暴走」が理解出来なくもない。一昨日の夜だって俺は勿論、晶子もしたかったから服を脱がしあったり、俺は晶子の身体の彼方此方に手と唇を這わせた。

2002/8/20

[月曜日は難しい]
 先日の定期更新準備のために土日と追い込みをかけただけあって、昨日は何時も以上に身体が動かない、辛い日でした。週末の起床時間自由の生活から平日の定刻起床時間&義務行動に移行するのには大変な苦労を伴います。ただでさえ満足に寝られない上に(以前よりはましですが)することが義務として襲い掛かってくる平日は身体がまともに動かないことが多いんです。
 そういうときに限って難しい仕事や労力のかかる仕事が重なって、余計に身体が動かないのが影響するんですよね。もの凄く疲れやすい身体なので。更に月曜日は通院日で、長い待ち時間で眠ってしまいそうになるし、家に帰れば食事の準備に後片付け、洗濯と色々あってゆっくり出来ない・・・。昨日も転寝してしまって「ダークエンジェル」のエンディングテーマ聞き逃すし(爆)。
 てなわけで、予定していた更新は今日以降に延期します。まあ、この身体の調子では、早くても水曜日以降になりそうですが。週末に集中させることは避けたいので、それまでに身体を何とかしないと・・・。
俺だって酔いが完全に消えたわけじゃないが、晶子が取った行動を起こそうとは考えてもみなかった。単なる夕食後のティータームとしか考えてなかったし、晶子が「暴走」するきっかけになった、ビスケットを咥えて晶子の方を向いたことも、ただ最後の一枚を自分が取って口にしたのが晶子に悪いことをしたかな、と思って晶子の方を向いたに過ぎない。
 甘美な攻めがようやく終わり、晶子が自分の顔を俺の顔の真上に持ってくる。鼻先の距離は10cmあるかないかだ。俺はまだ荒れが収まらない呼吸を懸命に静めながら晶子を見る。その目はやはりとろんとしていて、尚且つ妖艶だ。普通の男なら簡単にその瞳の輝きに心を奪われてふらふら近づいていくに違いない。
 だが、俺はそうはいかない。高潔を自負しているわけじゃない。俺だって普通の男だ。それに過去に性体験もある。ただ俺は、昨日の夜晶子に言ったこと、「せめて1年、それが駄目なら俺が20歳になる日までは大きな一線を超えない」ということを守りたいだけだ。どこぞの政治屋みたいに自分の発言をなかったことにするなんてことはしたくない。

「なあ、晶子・・・。本当にどうしたんだ?今日は。」
「したいからしてるだけですよ。」

 呆気ないというか、禅問答みたいな答えが返ってきた。したいからする・・・。つまりは、手を繋いだりキスをしたり、俺が晶子の胸を愛撫するのと同じだということか?俺が晶子の胸に初めて触れた時と同じく、程度の差や行動の違いはあれど、したいと思ったことをきっかけが出来たからしたということか?

雨上がりの午後 第908回

written by Moonstone

 しかし、本当にどうしたんだ?今の晶子は・・・。酔っているから、とかもともと積極的な方だから、で片付けるにはあまりにも変だ。

2002/8/19

[頑張った後は気持ちが良いですわ(笑)]
 今日のトップページ上段を見て驚かれた方も居るかもしれません。私自身驚いてます(爆)。これだけ更新内容を並べたのは久しぶりですからね。昨日午前中は頭痛で横になっていましたが、頭に湿布を貼って暫くしたらすっかり治まったので(この方法は結構効きます)、更新準備の追い込みをかけました。時間の関係でもう一つグループが更新出来なかったのですが、それは次回以降の課題ということにします。今後更新なしというわけじゃないですからね。
 今回の更新で特記することといえば、Novels Group 1の背景を今回公開分で白からクリーム色(で良いのか?)に変えたことです。これは以前感想メールをくださった方のご意見を踏まえてのことで、今回試験的に実施してみました。確かに白一色よりは目が疲れにくいような気がします。メールのアイコンや「感想下さい」文が並んでいるあたりが浮いてしまうのは仕方ないでしょう。此処の色まで変更しようとなるとメールのアイコンの背景色まで変えなければなりませんし、さらに他の作品の同じ部分も変更しなければなりませんから、そこだけはそのままにするつもりです。
 本当は作品以外にもう少し更新したかった部分があるんですが、それは明日以降に持ち越します。細めに更新するというのは、特に毎日来て下さる方には新鮮で良いかと思いますので。どこがどう更新されるのかはその時のお楽しみ♪まあ、話が進むにつれて拡張が迫られる部分が出て来るものなんですよ(ヒントのつもり)。
 ここ暫くは、ぐったりした身体を無理矢理動かして、必死にファイルをアップして正常に更新されたか確認して一安心、というパターンが続いていたんですが、昨日はほぼ快調に準備することが出来ました。ごゆっくりお楽しみ下さい。また、今回のNovels Group 1の様にご意見、ご指摘が、これは、と思わせるものだったら積極的に採用していきますので、是非ご感想やご意見、ご指摘をお寄せ下さい。
胸が激しく高鳴ってくる。ポニーテールにしているからはっきり見える白い首筋と、パジャマの間からちらちら見える胸元が俺を誘っているような気がしてならない。

「晶子って、酔うとこうなるのか?」
「好きな人と二人っきりだからですよ・・・。」

 晶子は身体を沈めて俺の喉元に顎を乗せる。とろんとしていて妖しく輝く目が益々その威力を増してきたように思う。危ない。このままだと俺の理性が吹っ飛んでしまう。そうなったら、昨日言ったことを自分で破って仕舞うことになる。そんなことはしたくない。だが、至近距離でこんな表情の晶子を見ていると、昨日言ったことはなかったことに、ってなりそうな気がしてならない。
 晶子は身体を密着させたまま上にずらして俺の右肩に頭を落とす。晶子の胸の感触が破裂しそうなほど激しく高鳴る俺の胸に伝わって来る。何をするつもりだ・・・?・・・!右耳に何かが這った感触が伝わって来た。晶子の奴、耳にしたを這わせたな!
 俺は晶子の暴走を止めようと思うが、身体が動かない。やっぱり魅惑の魔法をかけられてしまったんだろうか?それとも今晶子にこうされていることが気持ち良いから止めさせたくないせいだろうか?両方のような気もする。右耳に伝わって来る身体がむずむずするような感触が絶え間なく伝わって来る中、頭の中が熱くなってきた。

「好き・・・。」

 晶子の切なげで甘い囁きが耳に届く。こんな声を耳元で聞いて何とも思わない男は居ないだろう。右耳に伝わる感触が止んだと思ったら、首筋に柔らかいものが触れる。続いて何かがゆっくりと這う。俺の呼吸が無意識に荒くなってくる。宿での夜、俺が晶子の首筋に唇を這わせた時、晶子もこんな気分だったんだろうか?
 右側の首筋から首元、そして左側の首筋に柔らかいものが這っていくにつれて、俺の両腕が無意識に晶子の背に回る。これじゃ立場が逆じゃないか・・・?ま、どうでも良いか。晶子の求めと攻めに抗う気はもう欠片もない。俺は荒い呼吸を懸命に抑えながら、晶子の攻めを必死に耐え凌ぐ。

雨上がりの午後 第907回

written by Moonstone

 俺は晶子を跳ね除けたり落着かせる−本人は冷静なつもりだろうが−言葉が出てこない。晶子の魅惑の魔法にかかってしまったみたいだ。

2002/8/18

[ふー、やれやれ(^^;)]
 どうにか日計カウンタの設置に成功してほっといています。まあ、最初のうちはコピー&ペーストしたのを気付かずに上位ページ(http://www.msstudio.org)の日計カウンタをトップページの日計カウンタにしてしまっていて、それに気付いて慌てて修正したり、とちょっとバタバタしましたが、成功したから良しとしましょう(^^;)。多分桁数は設置したものくらいで丁度良いと思っているんですが、この先どうなるやら。特にアクセス数が急激に増える定期更新の辺りが気になるところです。あ、定期更新は明日なんだな(汗)。
 このページに来られる方は、毎日来られる方約200人程度に定期更新時だけ来る方と、Side Story Group 1の更新を狙って来る方の3通りに大きく分けられると推測しています。Side Story Group 1の方はそれ専門の検索ページにも幾つか登録させてもらってますから、普段はそれをチェックしていてSide Story Group 1に更新がかかったらアクセスする、という方が多いんじゃないですかね。
 私としては、Side Story Group 1をご覧いただくのは勿論OKですが、そのついでと言っては何ですが、他のグループも覗いて見て欲しいという思いがあります。まあ、一般のイベントみたいにご来場者を誘導するなんてことはまず不可能ですし(他のグループを経由しないと見れないようにしたところでURLを覚えられたらアウトですし、そんな面倒なことをしないと見れないとなれば、益々客足を遠のかせてしまう)、どのグループを見るかはそれこそご来場者の自由に含まれるものですから、地道に更新を続けて宝くじみたいなきっかけでアクセスが増えるのを待つしかないでしょうね。さて、更新とページ巡回が済んだら、明日の定期更新に向けて最後の追い込みをかけましょうか・・・。
 晶子の目が妖しく輝く。それこそ獲物を見据えた猛獣か、魅惑の魔法をかけようと迫る魔女のように。何を仕掛けて来るかと思ったら、晶子は自分の紅茶を口に運ぶ。一瞬ほっとしたがよく見ると喉が動かない。口に含んだだけのようだ。・・・まさか・・・。
 嫌な−ちょっと期待もあるが−予感が頭を掠めた時、晶子が妖しい目で俺の両肩を掴んで俺の口をピンク色の唇で塞ぐ。俺は突然の勢いに体を支えるのが間に合わず、後ろに倒れてしまう。後頭部に軽い痛みを感じる間もなく、俺の口を柔らかいものが割って入って来る。
 そして・・・芳香を含んだ温かい液体がゆっくりと注ぎ込まれて来る。俺は晶子にされるがままに注ぎ込まれてきた紅茶が或る程度溜まったところで飲んでいく。その度に喉がごくっと鳴る音が聞こえて来る。晶子は目を閉じているが、俺はあまりの驚きで瞬きすることもままならない。
 紅茶の口移しが終わると、晶子は俺の両肩から手を離して俺の両脇に移して顔と同時に上半身を浮かせる。俺を見る晶子の目は相変わらずとろんとしつつ妖しく輝いている。こいつ・・・もしかして自分の紅茶に媚薬を入れたんじゃないだろうな?もしそうだとしたら、その紅茶を飲んだ俺も気持ちが昂ぶって来ることになる。それを計算に入れて紅茶を口移ししたのか?

「・・・な、何のつもりだよ・・・。」
「口移しは私達みたいな間柄だからこそ出来ることですから。」
「・・・念のため聞くけど・・・変な薬入れてないよな?」
「変な薬って?」
「変な薬って・・・その・・・その気にさせるやつ。」
「そんなの持ってたら、迷わず祐司さんの紅茶にも混ぜてますよ。」

 言われてみれば確かにそうだな・・・ってそんなことはどうでも良い。晶子が積極的なのは付き合う前からそうだったから分かってるつもりだが、こんな迫り方をして来るのは初めてだ。やっぱりアルコールが頭に回ってるとしか思えない。

雨上がりの午後 第906回

written by Moonstone

「・・・きょ、今日は遊び疲れてアルコールも入ったことだし、もう寝るか。」
「まだ寝るには早いですよ。夜はこれから・・・。」

2002/8/17

[日計カウンタ設置]
 これをご覧戴いている頃には恐らく「本日○○人目 昨日●●人」という日計カウンタがトップページについている・・・と思います(汗)。何故「と思います」なのかというと、このお話をしている時点ではメインPCでの調整が出来ていないからです(汗)。昨日の昼休みに職場で調整した段階では上手くいったんですが、そのCGIスクリプトを職場に置きっ放しにしてきてしまったこと(馬鹿)と、カウンタの画像を変えることにしたのですがそのファイルも職場に置きっ放しにしてきてしまった(大馬鹿)ので、確認しようがないんですな、これが(爆)。
 設置時間が日付が変わる1時間前を切るでしょうから最初のカウント数は参考になりませんが、順調に稼動するようであればこれまでの欲求不満は解消されることになると思います。それに今後の更新、特に重要事項を含む更新のタイミングが分かるようになるでしょう。
 問題はサーバーがダウンしたらどうするか、ということなんですが、こればっかりはどうしようもないでしょう。滅多にありえないことですし、それよりFTP接続不良になる可能性の方がはるかに高いので、気にする必要はないでしょう。それよりきちんと動くかどうかだな、問題は・・・(汗)。
「口と口が触れ合うのが怖かったとか?」
「怖くはなかったけど・・・一つのものを二人であんなふうに食べるなんてしたことないから、どうすりゃ良いか分からなかった。ドキドキした。」
「私もドキドキしてましたよ。このまま進めば祐司さんの口に届くって思うと尚更。」
「そ、そうは見えなかったぞ。何か表情も何時もと違ってやけに色っぽいし・・・。まだ酔いが残ってるんじゃないのか?」
「いいえ、ちっとも。」

 晶子はしれっと言ってのけるが、正直言って信用ならない。何故ならその表情と目が俺を誘っているような気がしてならないからだ。こんな表情の晶子は見たことない。今まで迫ってきた時も何かを訴えるようなものだったり、切なげなものだったりしたが、今の晶子はそれらと明らかに違う。油断していると、本当に晶子に心を奪われてふらふらと引き寄せられる気がしてならない。
 正月にマスターと潤子さんの家でご馳走になった時にビールを飲んだが、普段よりよく喋った−秘密にしておくべきことまでばらしてしまったが−くらいで、こんな様子は見せたことがなかった。どちらが晶子の酔った時の様子なのか分からない。或いは今が二人きりだから本性が出たのかもしれない。
 何にせよ、このままだと俺の方までその気になっちまう。俺と晶子が「関係」を持つにはまだ早い。それは昨日の夜、俺が言ったことだ。せめて俺が20歳になるその日まで、と。それを晶子の魔法にかかったからといってなかったことにするわけにはいかない。俺だって酔いは多少残っているが、理性は何とか保ってるつもりだ。

雨上がりの午後 第905回

written by Moonstone

「い、一体何なんだよ・・・。」
「前から機会があったらやってみたかったんですよね。」
「確信犯か・・・。焦ったぞ、かなり。」

2002/8/16

[夏バテじゃなかったみたいです(^^;)]
 一昨日が夕食もまもとに食べられず、力を振り絞る感じで更新したのが嘘のように、昨日は快調そのもの。一昨日出来なかった仕事も一気に終わって、どうにか予定どおりに進みそうです。その代わりか、旧PCのテキストエディタが絶不調でスキャンディスクをしたにも関わらず、セーブ時に必ず「不正な処理」で強制終了するという事態に見舞われ、やむなくワードパッドでテキストを書いて、それをhtmlファイルにコピー&ペーストしています。あー、面倒(- -;)。
 さて、このページに1日辺りどのくらいの方が来て下さっているのかが前から気になっていたのですが、大まかな傾向は掴めても(週末や定期更新前後2日くらいにかなり多いことは分かってます)数値として分からないので、コンテンツの更新をするタイミングが計り辛いのです(出来るだけ多くの方に見て欲しいですからね)。それで「昨日○○人、今日◎◎人」と表示する日計カウンタが欲しかったのですが、自分で作るにはちょっと(かなり?)力不足。エラーを調べようにも私のサーバーでは普通のTELNETが使えないのもあって、欲求不満気味でした。
 てなわけで探していたところ、掲示板JewelBoxでお世話になっているKENT WEBで目的に一致するものを発見して早速ダウンロード。早速設置・・・といきたかったんですが、昨日(このお話をしている時点)は明日が仕事という制約があるので、設置や調整でそれなりに時間がかかると思われるCGI設置は今日行う予定です。上手くいけば、明日の更新分から日計カウンタが表示されると思います。ちなみに日計カウンタを設置するのはトップページと上位ページ(http://www.msstudio.org/)だけです。何せコンテンツが多いですし、そこまで調べようとは思いませんから。
 俺と晶子のティーカップがカツンと音を立てる。ティータイムに乾杯はあまり似合わないかもしれないが、練習が終わって一息つく時は勿論、去年の二人きりのクリスマスパーティーの時にも、前に晶子の誕生日を祝った時にも、こうしてカップを合わせた。これは俺と晶子の間に交わされた、暗黙の儀式なのかもしれない。
 BGMのない中、俺と晶子が時折食べるビスケットが破砕される音と会話だけが、部屋に微かな残響を残して現れては消えていく。晶子はまだ酔いが残っているのか、何時もより口数が多い。話題なんて今日の大半を過ごした新京フレンドパークと居酒屋での夕食くらいのものだが、それでも晶子はそのことを楽しそうに話して時に笑う。俺も自然とよく喋るしよく笑う。俺も酔いが残っているのか、それとも向き合う相手と話すのが心底楽しいのか・・・。
 話し込んでいるうちに、ビスケットの最後の一枚を俺が口に咥えた。咥えてからちょっと晶子に悪い気がして、ふと晶子の方を向く。すると、晶子は悪戯っぽい笑みを浮かべて俺の咥えたビスケットを口に挟む。そしてパリパリと音を立てながら食べ進んで来る。俺は突然のことにビスケットを食べるのを忘れて晶子を見詰めるだけ。晶子は魅惑たっぷりの目つきでビスケットを食べ進んで来る。
 俺が無意識にビスケットを少し食べて引き寄せると、半分を食べ終えてまだ食べ進んで来る晶子と一層距離が縮まる。胸が益々高鳴ってきた。晶子との距離は縮まる一方だ。もう少し、もう少しで・・・。

パリッ

 唇と唇が触れ合う寸前のところでビスケットが割れる。割れたビスケットの片割れをそれぞれ口の奥に運んでいく。俺は緊張が解けないまま口だけ動かしてビスケットを食べていくが、晶子は少しとろんとしているが寝起きの時のそれとは違って、妖艶な目で俺を見ながらビスケットを食べていく。

「・・・残念でした。」

 先にビスケットを食べ終えた晶子が言う。だがその表情はちっとも残念そうじゃない。嬉しそうに−そう言う表現しか思いつかない−微笑んでさえいる。舌の先を出して唇を嘗める様子が物凄く色っぽい。このままふらふらと晶子に吸い寄せられそうな気がしてならない。

雨上がりの午後 第904回

written by Moonstone

「まずは乾杯、か。」
「ええ、勿論。」
「「・・・乾杯。」」

2002/8/15

[色々話したいことはあるんですが・・・]
 生憎身体の具合が非常に悪いので、手短に済まさせていただきます。本格的な夏バテでしょうか・・・。早めに帰宅して果物とカップケーキ(?)で夕食として、ずっと寝てました。うう、気持ち悪い・・・。
 トップページに表記したとおり、今日は日本のアジア侵略戦争が終焉を迎えた日です。右翼反動勢力が戦争できる国作りを着々と進め、小林よしのりらが侵略戦争正当化、美化で歴史を歪めようと躍起になっている今、日本の暗黒時代を正面から見詰め、それを教訓とした政治外交を考えるべきです。その戦争に反対したが故に弾圧され、命を落とした人々の声が今の憲法に見を結んでいるという事実を忘れてはなりません。

「紅茶、入れてきますね。」
「あ、ああ・・・。」

 俺が生返事を返すと、晶子は軽い足取りでリビングを出て行く。何でだろう・・・。口と口のキスより頬にキスって方が照れくさく感じるのは・・・。俺だけかもしれないけど、口と口のキスよりドキドキするものがある。キスは口と口をくっ付けるものっていう固定概念があるせいだろうか?
 5分ほどして、ドアがノックされる。俺が立ち上がってドアを開けると、トレイに紅茶の入ったティーポット、ティーカップ、そしてビスケットが盛り付けられた少し大きめの皿を乗せて、晶子が入って来る。
 晶子は、ありがとう、と言って−こういう律義さは晶子らしい−ティーカップをテーブルに並べてビスケットの乗った皿を中央に置く。俺と晶子は並んで座り、晶子が膝を立ててティーポットから紅茶を注ぐ。この香りはラベンダーだな。昨日もそうだったな。でも、お茶菓子があるところが唯一、大きく違う。

「お茶菓子にビスケットか。なかなか洒落てるな。」
「何かあった方が良いかな、と思って。」
「じゃあ、いただきますかね・・・。」

 俺は芳香を漂わせる紅茶の入ったティーカップを持って晶子の方を向く。晶子もティーカップを持って俺の方を向いている。考えることは同じか。俺は思わず笑みを漏らす。晶子も笑みを浮かべる。

雨上がりの午後 第903回

written by Moonstone

 晶子は嬉しそうに微笑んで俺の頬に唇をつける。不意打ちに驚いた俺が、唇の感触が残る頬に手を当てた時、晶子は立ち上がる。

2002/8/14

[一方はもうすぐですが・・・]
 かなり長い間苦しめられてきた左手首の痛みもかなり収まってきました。今では体重をかけるようなこと(床などに座った姿勢から立ち上がろうとする時とか)をしない限りは殆ど痛みません。面倒でも旧PCで作業をしてメインPCで最終調整をするという手段を取って正解だったと思います。
 それにしても腱鞘炎でこれほど長い間苦しめられたのは初めてです。今までの無理な手の配置と強いキータイプが負荷を掛け続けて、ある日それが爆発したという感じでしょうか?大丈夫と思っているところに負荷を掛け続けると爆発することになるのは、今の病気の発祥過程で経験済みなんですが。
 強いキータイプといえば、恐らくそのせいでキーレスポンズが悪くなったメインPC、修理に出そうかどうか迷ってます。修理に出せば割とあっさり直ると思いますが(メカ的なものですから)当然金はかかりますし、それまでの期間ネットに繋いだりするには旧PCを使うしかありません。でも、そうなるとメールの送受信記録に空白が生じますし、特にメインPCに移転した後に増えたファイルを移転するのが大変です。表示確認には不可欠ですから。
 PCは動物と違って放っておけば自然治癒するわけじゃありませんから、修理に出すか放っておくかの二者択一なんですよね。修理に出して何時直って来るか分かりませんし、シャットダウン予定期間は迫ってきてますし、どうしたら良いものやら・・・(困惑)。
 俺は腕を組んでうん、と考え込む。頭の中で思いつく限りの髪型を晶子に当てはめてみる。三つ編み・・・何となくしっくりこない。ストレート・・・これは何時ものやつだな。ツインテール・・・何だか子どもっぽいな。後ろで束ねる・・・何か単純な気がする。ショートカット・・・これは論外。折角の長い髪を生かせない。だとすると行き着く先は・・・。

「・・・こだわりはない方だけど・・・思いつく限りじゃポニーテールが一番だな。」
「これじゃなきゃ嫌だ、ってのはないんですか?」
「ああ、特にない。引き合いに出すのは気が引けるけど・・・宮城が肩口で切り揃えた長さだから、髪型にバリエーションがなかったんだ。何とかポニーテールが出来るかな、って程度だから。その影響か、女の髪型があんまり気にならなくなったんだよ。」
「へえ・・・。」
「それに女に自分好みの髪型をさせるって、女の髪を玩具にしてるみたいだから俺はあんまりそういうことはしたくないんだ。」

 俺の言うことに、晶子は興味津々といった様子で聞き入っている。バンド仲間と女のか身について話してた時、さらさらのストレートこそ男のロマン、とか力説してた中で俺一人無関心だったから、優子ちゃんに髪伸ばしてもらって色々してもらったらどうだ、とか言われたもんだ。

「祐司さんらしいですね、そういう押し付けがましくないところ。」
「単にファッションや髪型に無頓着なだけさ。本当はこういう髪型にしてくれ、とか言った方が話が盛り上がると思うけど・・・。」
「押し付けられるのは嫌ですけど、希望には応えたいんですよ。だから祐司さんはどんな髪型が好みかな、って思って。」
「普段のストレートも十分似合ってると思うけど、ポニーテールは見慣れてないせいか、新鮮に見えるのは間違いない。」
「じゃあ、これからは祐司さんと二人で居る時はポニーテールにしますね。それでどうですか?」
「俺はそれで良いよ。俺しか見れないっていうのが何か・・・嬉しいな。」

雨上がりの午後 第902回

written by Moonstone

 難しいところを突いてくる。あえて言えば長い方が好き、という程度でそれ程こだわりがないのは事実だ。だが、男ではそう似合う奴は居ない長い髪が、好きな相手に似合っていて尚且つ俺が良いな、と思えるスタイルになるのは決して嫌なことじゃない。

2002/8/13

[幾ら左派といえども・・・]
 これまでこのコーナーでの主張を聞かれた方ならお察しのことと思いますが、私の思想信条は左派に属します。勿論、右翼のように根拠もなく口汚なく罵ったり、極左(偽左派)のように暴力的手段を正当化するようなことはしていないつもりです。
 しかし、左派とどうしても一致出来ない点があります。それは女性問題、所謂「ジェンダー」理論です。「男性は女性を性的道具として見ている」「女性に美を求めるのは女性を外見で差別している」・・・女性団体や左派の人物は口を揃えて言いますが、私はそれらに迷わず異議を唱えます。女性は男性を自分のステータスとしてみており、男性を外見で差別するのは女性も変わりありません。しかし、「女性の言うことは絶対正しい」「それに対する異論は男女差別だ」という安直な主張にはどうしても納得出来ません。
 更に女性団体や左派の主張が矛盾を来しているのは、グラビアアイドルの存在とその知名度上昇の過程です。グラビアアイドルは自分の肉体と顔を売り物にして知名度が上がると脱がなくなるのは、男性の性的好奇心に訴えている証拠ではないのですか?それを何故「女性を性的道具として見ている」と批判し、グラビアアイドルを「女性運動を無にするもの」として批判しないのですか?足元の矛盾に気付かずに男女平等を叫んでも受け入れられる筈がありません。女性団体やそれと歩調を同じくする左派の真摯な自己批判を求めます。
「まあ、気分的というか・・・特に意味はないです。」
「今日はリボンはなし?」
「寝る時は解きますから。それに、リボンだけでこうするのは難しいんですよ。」
「そうなのか?」
「ええ。リボンだけだと結ぶ途中で纏めた髪が解けちゃうんですよ。纏める力がボムより弱いですから。ポニーテールをする人はゴムでそうしてから、後でリボンを巻きつけるんですよ。」
「ふーん・・・。てっきりリボンだけでしてるのかとばっかり思ってた。」
「祐司さんはどういう髪型が好みですか?」

 やっぱり聞いてきたか・・・。晶子としては気になるところなんだろうな。晶子の性格から考えて、俺の返事次第でずっとポニーテールにさせることも出来るだろうし、トレードマークの長い髪をばっさり切り落とさせることも出来るだろう。でも、俺はそんなことはしたくない。
 晶子だって自分の髪に愛着がある筈だ。そもそも高校時代にもともと茶色がかっているというだけで、記憶能力がない教師や質の悪い連中に因縁をつけられ続けて、大学に入ってようやくその言われなき罪状から解放されたんだ。そんな歴史の重みがある髪を俺好みにして良い筈がない。

「俺は特に好みの髪型はないよ。晶子自身が一番自分に合うと思う髪形にすれば良いんじゃないか?」
「・・・私、どういう髪型が自分に合ってるか、よく分からないんですよ。」
「え?」
「普段は何も手をつけないでストレートにしてて、お店や家で髪が料理の邪魔になったり料理に混ざったりしたら、お客さんや祐司さんに迷惑ですから後ろで束ねてるんですけど、必然性とかそういうのなしで、自分に似合う髪形を考えてるんです。」
「だから俺に?」
「ええ。男の人としては、彼女の髪形は気になるでしょ?」

雨上がりの午後 第901回

written by Moonstone

「どうです?これ。」
「よく似合ってるな。でも、何で今日はポニーテールにしたんだ?」

2002/8/12

[祝・連載900回]
 連載の掲載回数がとうとう4桁の大台まであと100というところまで来ました。それでも自分が書きたいと思っているシーンの半分も書けてないので、連載はあと2、3年は続くと思います(汗)。最初から読んでいる、という方は少ないと思いますが、御覧になってない部分はNovels Group 3で見てもらうこととして、私はラストシーンを向かえる日を目指して地道に連載を続けていきます。次の連載作品の構想はきちんとあったりするんだな、これが(^^:)。
 このコーナーそのものは7月で3周年を迎えてまして、連載は10月に3周年を迎えます。ここらで一度登場人物の人気投票などやってみたいとは思うんですが、主立った登場人物が祐司君、晶子嬢、渡辺夫妻、智一君、優子嬢の6人と少数なので、実施してもあんまり意味がないような・・・。それより「誰と誰がくっつくか(渡辺夫妻は除く)」で予想を募集した方が面白いかも(笑)。
 それにしてもこの連載、よくここまで続いたものです。心身ボロボロの状態でもこのコーナーだけはしっかり続けてましたし(今思うと怖い)、アナザーストーリーまで生み出すことになりました。「Vol.1」とあるのは、Vol.2以降があるものと考えて下さって結構です。私自身そのつもりです。単なる思い付きで始めた連載が、今やこのページの原則毎日更新の主役を担うまでになりました。これからもご愛読下さいますよう、よろしくお願いいたします。
バスタオルでさっさと水分を拭き取り、下着とパジャマを着て、脱ぎ捨てた服を纏めてリビングへ小走りで向かう。念のためノックをすると中から、どうぞ、と応答が返ってきたので、俺はドアを開けてリビングに入る。

「お先に。」
「湯加減はどうでした?ちょっと熱めに設定したんですけど。」
「丁度良いくらいだったよ。すっきりした。」
「そうですか。じゃあ、私も・・・。」

 俺ほどではないが汗を顔に幾つも光らせていた晶子が立ち上がり、俺と入れ替わる形でリビングを出て行く。冷房が効き始めるまでって、冷房がない時より気分的に暑苦しく感じるんだよな。こういう時はこの家の主の晶子から先に入ってもらうように俺から言うべきだったか?何分気が利かない質からな、俺は。
 無音の室内にシャワーの音だけが微かに聞こえて来る。晶子の場合、俺と違って髪が長いから余計に暑いんじゃないか?思えば晶子が髪を束ねる時は自宅でも店でも料理をする時くらいだ。男の俺の感覚からすると、束ねたままの方が涼しくて良いんじゃないだろうか?まあ、これは人それぞれだから俺がどうこう言う資格はないが。
 俺は女の髪型にこだわりがある方じゃない。あえて言えば長い方が好きかな、という程度で、ポニーテールこそロマンとか三つ編み大好きとかいうことはない。自分が良いと思う髪型にしてれば良いと思ってる。お洒落に無縁な俺ならではなのかもしれないが。そういえば・・・海に行った時に見た晶子のポニーテールはよく似合ってたな。
 冷房が効いてきたのが感じ取れるようになった頃、晶子が入ってくる。ピンクのパジャマを着ていて、髪は・・・あ、ポニーテールにしてる。ただ、海の時のようにリボンはしていない。ゴムで束ねているだけだろう。晶子は何だかポニーテールをしている自分を俺にアピールするかのように俺から視線を離さずに自分の「指定席」へ向かう。そして底に腰を下ろすと、早速俺の腕を突いて自分の方を向かせる。

雨上がりの午後 第900回

written by Moonstone

 全身隈なく湯をかけ終えると、俺はシャワーを止めて風呂場から出る。むあっとした生暖かい空気が身体を包む。

2002/8/11

[またおかしい・・・]
 今、メインPCのキーレスポンズが悪いことと左手首の痛みの関係で、一旦旧PCで書いて、それをメインPCに転送(とは言ってもFDでですが(^^;))するという方法で作業してるんですが、旧PCにもある使い慣れたテキストエディタが不調で困っています。
 ウィンドウを開けて文字を書けるところまでは良いんですが、セーブしようとすると必ずWindows(極めて迷惑な)必殺技の「不正な処理」で強制終了してしまうんです。前にスキャンディスクでディスク内のエラーを修復させて回復したんですが、また逆戻りになった格好です。
 しょうがないのでWindows付属のワードパッドを使っているんですが、こいつはデフォルトのファイル形式がWord形式固定なので、いちいちファイル形式をテキスト形式(.txt)にしないといけないし、html形式のファイルがどうしても読み書きできないので、作品制作ではテキスト形式のものを作成して、メインPCに用意したhtmlファイルにコピー&ペーストする、という面倒な方法を使わなければなりません。長いこと使ってなかったから機嫌が悪いのかな・・・(汗)。

「大丈夫ですか?凄い汗ですけど。」
「この暑さじゃ仕方ないさ。」
「シャワー浴びた方が良いですね。服はパジャマに着替えてもらって。」
「そうだな・・・。ふう、やっぱり夏は夏だな。」

 晶子はドアを開けて中に入ると、早速部屋の電灯と冷房のスイッチを入れる。家の中も結構暑い。冷房が効いて来るまでの辛抱になりそうだ。俺と晶子はリビングに入り、晶子が部屋の電灯を点ける。冷房の風が吹き付けて来るとはいえ、部屋の熱気を消すにはまだ力不足だ。カーテンを閉めてあってもこれだけの熱気になるんだから、夏らしいと言えば夏らしい。ちょっと困りものだが、冷夏で作物がどうとか大騒ぎになるよりはましだろう。

「祐司さん、シャワー浴びて下さいね。」
「ああ。悪いな。」

 俺はまだ吹き出て来る汗を拭いながら、部屋の隅に置いてある鞄からバスタオルとパジャマと下着を取り出す。晶子はリビングを出ていったが、俺がバスタオルに荷物を包んだ頃には戻ってきた。シャワーの場合は「給湯」のスイッチを入れるだけだから、あとは足拭きマットを敷いた程度だろう。

「それじゃ、入らせてもらうよ。」
「はい、ごゆっくり。」

 俺は晶子と入れ替わりになる形で、荷物を持って風呂場へ向かう。服は汗びっしょりだ。さっさとシャワーを浴びてすっきりしたい。俺は服をさっさと脱ぎ捨てると風呂場に入って蛇口を捻る。最初は生暖かかったシャワーが程よい熱を帯びて来る。俺は頭から湯を浴びて汗を洗い流す。汗をかいた後の程よい熱さのシャワーは気持ちが良い。

雨上がりの午後 第899回

written by Moonstone

 晶子がセキュリティを解いてドアを開ける。俺は汗を拭いながら入り、管理人の人に会釈して晶子の家へ向かう。汗をたっぷりかいたせいか、すっかり酔いが覚めちまった。晶子は吹き出て止まらない汗を拭う俺を見て不安げに尋ねる。

2002/8/10

[具合悪い・・・]
 ここ数日、食事の後に具合が悪くなるという厄介な現象に見舞われています。特に昼食後が酷くて胃の中の残留感が凄い。全然食べ物を消化してないような気分で、ろくに動くことも出来ません。出来るだけ動かないようにして回復する(昼食時で約4時間。朝夕食事で約2時間)のを待つしかありません。
 左手首の痛みがようやく消滅傾向に差し掛かっていて喜んでいた矢先にこの始末。とことん運が悪いというか、災難続きというか、ろくなことがない日々です。一体何なんでしょうね、まったく・・・。こんな状況で「神を信じますか?」なんて脳天気に問い掛けてきたら力いっぱい蹴り飛ばしますね。
 こんな具合の悪い状態でコミケに行かなくて正解でした。あの人ごみでは更に具合が悪くなって大変なことになっていたでしょう。その辺の胃腸薬を飲めるわけでもないので(例の「薬の飲み合わせ」というやつ)、この消化不良のような現象、何時まで続くやら・・・(溜息)。
「じゃあ、受け取りますね。」

 晶子は俺からつり銭を受け取って財布に入れる。そして俺と晶子は再び手を取り合って、来た時とは違って人が多く行き交う中、駅へ向かう。自転車を出して晶子の家に向かうためだ。ほろ酔い気分で駅の通路を渡って、普段利用している側へ出る。こちらも人が多い。どうやら帰宅ラッシュだったらしい。丁度良い時間に夕食を摂れたようだ。
 俺は晶子と共に自転車置き場へ向かい、自転車を取り出すと外まで押して出てサドルに跨る。その直後、晶子が後ろに乗って俺の腰に手を回して密着して来る。行きは腰に手を回す程度だったのに・・・。やっぱりそれなりに酔ってるな。まあ、ビール大ジョッキ一杯飲めば、酒豪でもない限りそれなりに酔うだろうが。

「酔ってるからって運転に影響するほどじゃないから、そんなに密着しなくて良いぞ。」
「嫌です。こうしていたいんです。」
「・・・じゃあ、行くぞ。」

 俺は背中に柔らかい感触を存分に感じながら自転車を動かし始める。最初はちょっとふらついたが直ぐに態勢を整えてスピードを増す。生暖かい風が吹き抜けていく。これがひんやり感じられる季節に、俺は宮城と終わって、晶子と出会ったんだよな・・・。何だか随分前のことのように思う。まだ一年経ってないのに・・・。
 帰宅ラッシュで通りはかなりの数の車が上って行く。俺はスピードを出す車に注意しながら緩い上り坂を上り続け、晶子の家があるマンションの前に辿り着く。夜とはいえ昼間の熱気が残っている中で自転車を運転してきたからもう汗だくだ。晶子に降りてもらって自転車置き場に自転車を置いて出入り口に向かう。此処を通るには晶子の力を借りなくちゃいけない。

雨上がりの午後 第898回

written by Moonstone

「これ、晶子にやるよ。」
「二人で食べたり飲んだりしたんですから、等分しないと・・・。」
「昨日今日の宿泊代とでも思って受け取ってくれ。等分するのが面倒なのもあるけど。」

2002/8/9

[コミケ開催ですが・・・]
 今日から東京ビッグサイトでコミケ(コミックマーケット)が始まりますが、私は行くのを取り止めました。今日は行く予定だったのですが、予定を決めてから今日までに計算外の有給を使ってしまったことと、欲しいと思うものが(私が知る限り)少ないので、欲しけりゃ後日通販でも良いや、ということで行くのを取り止めた次第です。往復だけでもかなり金かかりますからね。それで少ない目的の本やCDを買いに行くのは何だが割に合わないというか・・・。
 コミケにはこれまで2回マンガの原作という形で参加したことがあるのですが、やはり自分の作品を並べてみたいという思いが強いです。候補作は「Saint Guardians」と「雨上がりの午後」なんですが、両方未だ終わりが見えないので、コミケ出展にはあと数年はかかりそうです(^^;)。
 オリジナル、それも小説となると売れれば御の字、ということを聞いたことがあります。売れるかどうか分からないのに決して安くはない印刷代や運送料を支払って、来るかどうか分からない客が来るのをじっと待つなんて、今でさえ思うようにアクセス数が伸びない現状では損だらけになることは明らかです。せめて候補作のアクセスが10万を超えるまでは、完結していたとしても出展を控えた方が良いでしょうね。今御覧になっている方で、本になったら買いたい、と思う方はどのくらい居るんでしょう?一度伺ってみたいものです。
「始まり方が普通と違ったからじゃないですかね?」
「始まり方か・・・。やっぱりそれかなぁ。俺の第一印象は『何だ、この女』で、付き纏われることに辟易してて、晶子は付き合う前から俺を自分の家に連れ込んだりで、遠慮なしだったもんな。」
「自分で言うのも何ですけど、私は好きな相手だから着飾って気を引こう、って思うタイプじゃないんですよ。祐司さんの場合は兄に似てるっていう強い印象があったから、それに任せて一緒に居られる時間を増やそう、って考えてたんです。そうしているうちに、この人は兄の代わりじゃなくて安藤祐司っていう一人の男の人なんだ、って悟ったんです。」
「で、悟った後も今までの要領で俺を引っ張り込んでた、ってわけか。」
「そうです。今度は私を好きになって欲しかったですから。」
「はっきり言うな。晶子らしくて良いけど。」

 俺は苦笑いする。でも、こういう晶子の積極性がなかったら、今の俺と晶子の関係はなかったかもしれない。否、なかっただろう。俺は女性不信で凝り固まってたから、晶子が相手の気を引こうと思って着飾って見せるタイプだったら、ただ鬱陶しい奴だ、で片付けてただろう。そういう意味では晶子に感謝しないといけないな。
 そんなことを話しているうちに、ビールも食べ物もすっかり片付いた。楽しいとはいえ疲労感は感じるから、これ以上アルコールを注ぎ込むのは良くないだろう。それに腹も膨れたし。晶子に帰るか、と切り出すと、晶子はそうしましょう、と素直に応じた。調子に乗ってビールお代わり、と言うかもと思っていたから、理性を失ってないことを確認出来てほっとする。
 俺と晶子が席を立って出口へ向かうと、最初に注文を取りに来た店員がレジに走って来る。胸ポケットに入れていた機械をケーブルでレジに接続して直ぐに金額が表示される。なかなか良く出来たシステムだ。電子工学科に在籍している俺としては、自然に気になるところだ。
 結構飲み食いしただけあって、金額は5000円を軽く越えた。晶子が半額に近い数の千円札を差し出してきたので、俺も同じくらいの千円札を財布から取り出して合わせて支払う。つり銭を受け取った俺と晶子はありがとうございました、の声に送られて店を出る。つり銭は238円。等分するにはあまりに小さい金額だ。俺は晶子につり銭をさし出す。

雨上がりの午後 第897回

written by Moonstone

「意外とそういう関係になるって簡単そうで難しいよな。付き合いの長い短いに関係なく、相手に良いところ見せたいとか、晶子の言い方を借りれば、何処かで相手に着飾って見せる関係になるよな、普通。何でこんな変わった関係になったんだろう?」

2002/8/8

[メンタルヘルス]
 私の職場では、毎週月曜日のミーティング終了後に自分の仕事や最新の技術情報などを持ち回りで紹介する時間があります。8月は休みを取る人が多いので一時停止していますが、順調に進めば9月のシャットダウン(9/14〜9/22を予定)明けに私の番が回ってきます。
 前回は3年半以上の月日と並々ならぬ苦労と挫折と試行錯誤の上に完成した機器のシステムなどを紹介したんですが、今度はメンタルヘルスについて紹介しようと考えています。
 勿論これが仕事や技術とは直接関係ないことは承知しています。しかし、何かとストレスが多い現代社会、それに専門性と先進性を要求される私の職場ではメンタルヘルスについて知って損になることはないと思います。メンタルヘルスが維持されていないと、肝心の仕事や技術取得に影響を及ぼすのは自分の経験からも明らかです。
 幸い、今購読している政治経済の専門書の中にメンタルヘルスに関する特集記事があるので、自分の経験を踏まえつつメンタルヘルスの重要性を紹介したいと思っています。機会があれば、此処でもダイジェスト版をお話するつもりですので、リスナーの方はこの企画に関するご意見や御自身の体験をお寄せ下さい。勿論、内容の秘匿は遵守します。
二人で相談してほっけやもずくの酢の物といった魚介類の「定番」メニューに加えて、から揚げやシーフードグラタン、フライドポテトといった俺の好みも混ぜたものを注文した。最初は脂っこいものは気が進まなかったが、ビールのお陰か何だか食べたくなっていたからだ。
 程なくして手早く出来そうなものから注文の品が運ばれて来た。俺と晶子はビールを飲みながら食べ物を二人で食べる。二人分取っているわけじゃないが、そんなことはお構いなしだ。今の晶子は俺の彼女というより、気心の知れた飲み友達という感じがする。こんなに良い気分で居酒屋で飲み食い出来る相手なんて少なくとも大学には居ない−智一と呑んだことはないが−。

「祐司さんの前だと、変に緊張したりしないんですよね。」

 晶子がビールのジョッキを置いて言う。

「だから肩肘張らずに気分良く食べたり飲んだり出来るんです。こう言うと誤解されるかもしれませんけど、気楽に接せる親友って感じがするんですよ。」
「俺もそう思う。居酒屋で相手に妙な気配り無しで飲み食い出来るなんて、俺と晶子って普通の彼氏彼女とはちょっと違うよな。」
「そうですね。でも、そうだから一緒に居て心底楽しいし、気楽だし、安心出来るんですよね。こういう関係って、私の理想だったんです。」
「彼氏彼女だからって妙に相手に気遣いしなくて良いことがか?」
「ええ。好きな人の前だから上品に見えるようにしなきゃ、とか、嫌なことでも好きな人が言ったり誘ったりしてるから我慢しなきゃ、とか思わなくて良い、言い換えればすっぴんで一緒に居られる関係に憧れてたんです。」

 すっぴんで一緒に居られる関係、か・・・。確かに俺もデートだからって服を選んだりしないし−今日は選びようもなかったんだが−、晶子も余所行きの服を着たり化粧に念を入れたりしない。言いたいことも率直に言えるし−言葉にはそれなりに気を使うが−、その時の感情を露に出来る。俺と晶子はそれこそ本当にすっぴんで相手の前に立てる。

雨上がりの午後 第896回

written by Moonstone

 注文した食べ物が奇麗に片付いた。ビールがまだ半分くらい残っているし、まだ物足りない気分がするから−ビールには食欲増進効果があるとか−俺は晶子に追加注文するか確認をとって−即答OKだった−店員を呼び、

2002/8/7

[転寝してたら・・・]
 何時の間にか本当に寝てしまって、目を覚ましたらこんな時間(A.M.3:30過ぎ)になってました(汗)。仕事で疲れたのもありますし、少し具合が悪かったのでPCに向かう気が起こらず、布団に横になっていたら転寝を始めて・・・といった経緯です。
 で、まだ眠いのでお話を済ませたらまた寝ます(^^;)。薬を飲んでなくても寝られる時は寝られるもんです。案外、「明日も仕事だからきっちり寝なきゃ」とか「明日は休日だからこの時間には起きて・・・。」とか思わない方が良いのかもしれませんね。
「なるほど・・・。言われてみれば、俺と晶子が酒を飲むことなんて普段はないよな。思い出せるところと言えば、年越しに缶ビールで乾杯した時と、正月にマスターと潤子さんと一緒に飲みまくった時くらいか・・・。」
「そうでしょ?ですから、たまにはお酒も良いかな、って。」
「確かに。普段と違う日だから普段と違うことをするのは気分転換になるな。」
「家に帰ったら、のんびり紅茶でも飲みましょうね。口直しも兼ねて。」
「そうだな。酒飲んだ後に紅茶なんて、なかなかリッチな気分。」

 俺と晶子は軽く、それでいて楽しく笑う。そうしているところに一人の店員が大ジョッキ二つを、もう一人の店員が枝豆の入った器と空の器を二つずつ持って来る。目の前にどかっと置かれた大ジョッキはなかなか迫力がある。これを二杯も三杯も入れたら、ふらふらになるか寝ちまうかのどちらかだな。
 俺と晶子は大ジョッキを持って、乾杯、と言いながら合わせる。カツン、という音がする。そしてビールを喉に通す。暑さで適度に渇いていた喉と空の胃袋によく冷えたビールが染みるのを感じる。冬の暖かい部屋でのビールとは違って冷たさとほろ苦さが爽快に感じる。やっぱり夏には冷えたビールが良く似合う。
 俺と晶子は談笑しながら何時もと違う夕食を楽しむ。晶子もビールを飲みながら躊躇することなく串焼きやらサラダやらといった食べ物を突つく。頬がほんのり紅くなった晶子が楽しそうに話しながら食べているのは、見ていても気持ちが良い。俺も自然と食が進む。

雨上がりの午後 第895回

written by Moonstone

「何でまた、居酒屋が良いなんて思ったんだ?」
「一度祐司さんと外でお酒飲みたかったんですよ。普段は私の家で紅茶、っていうパターンでしょ?外へ出たんだからいっそ、と思って。」

2002/8/6

[右翼人物の不可思議]
 昨日から稼動開始した住民基本台帳ネットワーク(以下、住基ネット)。政府は安全だとか何とかいってますが、ネットワークで安全など有り得ないことなどネット社会に居る人は百も承知のこと。それが分からない人間と国民を管理出来るマスターキーが欲しい人間(自民、公明)が作った、ネットに関する無知を象徴するシステムです。そもそも住基ネットの稼動には個人情報保護の法整備が不可欠という前提があったにも関わらず強行稼動したことは、稼動の前提が崩れていることであり、不参加や延期を求める自治体が続出しているのは当然です。
 さて、ここで不可思議なのが住基ネットに反対している櫻井よし子。櫻井も小林よしのり同様、かつて薬害エイズ問題で右翼政権の政府与党と対決姿勢を見せていながら何時の間にやら右翼へ転じて、文芸春秋などの右翼系雑誌で市民運動などを非難している人物。そういう右翼人物が、右翼政権の実行することに反対の声を上げるというのは、その場限りの売名行為と言われても仕方ありますまい。
 大体左翼から右翼に転じた人間には、それまでの自分の言動に対する自己批判などなしに、いきなり今まで批判してきた今の権威、即ち右翼勢力の側に回って、それまで支援或いは自身が加わってきた左翼運動や市民運動を誹謗中傷するという、身勝手そのものの言動が目立ちます。こういう人物の言うことに耳を傾けるのは愚かしいことです。勿論住基ネットの稼動が問題だらけなのは事実です。しかし、売名行為に手を貸すようなことをしてはなりません。

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「二人。」
「はい。ではお席にご案内します。」

 俺と晶子は店員に先導されて席へ向かう。店内は意外に混み合っている。合コンなのか10名ほどの男女が賑やかに酒を酌み交していたり、半袖シャツ姿の社会人らしい集団が何やら大声で言い合っていたりしている。そんな中で男女ペアの俺と晶子は結構目立つみたいで、ちらちらと視線がこっちに向けられるのを感じる。
 そんな視線を感じながら、俺と晶子は窓際の4人用くらいの大きさのテーブル席に案内される。俺と晶子が向かい合って座ると、店員は、ご注文がお決まりでしたらそちらのボタンでお知らせ下さい、と言って足早に立ち去る。俺と晶子はメニューを広げて食べ物と飲み物を選ぶ。焼き茄子もあるがそれは無視する。あんな不味いもの、絶対注文するもんか。まあ、俺の個人的見解だが。

「飲み物は・・・烏龍茶にするか?」
「ビール大ジョッキにしましょうよ。」

 晶子が大胆なことを言い出す。まあ、俺もビールは飲めるから構わないんだが、晶子の口からいきなりビール大ジョッキが出るとは思わなかった。

「だ、大丈夫か?疲れてるところに酒なんか入れて。」
「大丈夫ですよ。多分。」
「多分って、おい・・・。」
「寝ちゃうといけませんから、一杯だけどうですか?」
「・・・そうだな。夏らしくビールで乾杯、といくか。」

 飲み物を決めた後は食べ物だ。脂っこいものが好きな俺でも、今日はあんまり気分が乗らない。無難なところで串焼き盛り合わせや刺身盛り合わせ、大盛りサラダ、といった、二人で食せるタイプのメニューを幾つか選んで、注文を取ってもらうべくボタンを押す。程なく店員がやって来て、俺と晶子が言う注文を胸ポケットに入れていた電卓を大きくしたような機械に入力していく。注文が終わったところで店員が間違いがないことを確認して、これまた足早に立ち去る。

雨上がりの午後 第894回

written by Moonstone

 晶子の承諾を得て−追認と言うべきかもしれないが−俺は店の名前どおり紅色のドアを開ける。ピロリロピロリロ、という何処かで聞いたような音が鳴ると、制服姿の女性店員が走って来る。

2002/8/5

[仮に大手ページになったとしたら(2)]
 私は感想を送ってくれる方、書き込みをしてくれる方一人一人に誠実にお返事したいと思っています。今のところ定期更新の間隔(2週間)で感想は3つ来れば御の字(Side Story Group 1以外はまず来ない)、書き込みは2、3件(一時べらぼうに多かった)といったところですが、それぞれにきちんとお返事しているつもりです。
 左手首が痛けりゃ負担のかからない(面倒ですが)今の方法でしますし、それが管理人であり作者でもある私の責任だと考えています(投稿作品にはその作者の方への感想をお願いします)。下手に大手ページになってお返事はおざなり、更新は何時か分からない(大手ページがなかなか更新しないのは、更新したのが知りたきゃ毎日来い、ってことを暗示しているせいかもしれませんが)。感想や書き込みにろくに応対しない。そうはなりたくないです。
 それを考えると、今の状態が丁度良いのかもしれません。展示作品を味わってもらって、届いた感想や書き込みには誠実に対応する。それがWebページ管理の本来の在り方ではないでしょうか。先日は寝起きだったのも重なって機嫌が非常に悪かったのであんなことを言いましたが、折角の時間を割いて私のページに来て下さって、感想や書き込みをしてくれるのですから、それにはこれからも誠実に対応していきたいと思います。ただし、誹謗中傷と私が判断したらただでは済みませんから、それだけはご注意を。(おわり)
 ホームに立って程なくして急行電車が入って来る。まだ帰宅ラッシュには少し早いし、上り方面への帰り客は逆に比べると少ないから、割と車内は空いている。俺と晶子は空いている席に並んで座る。この電車は旅行電車によくあるような、二人ほど座れる席が向かい合っている席の配置になっているから、並んで座ってしまえば他の客が横に座ることを気にしなくて良い。
 ドアが閉まり、電車が動き出す。ちらっと横を見ると、晶子が手で口を隠して小さく欠伸をしている。やっぱり疲れたんだろう。晶子の手料理が食べたい、なんて言わなくて良かった、と改めて思う。晶子は俺の召し使いじゃないんだから、疲れている時くらい負担を軽くしないと晶子のことだ。無理してでも普段の行動を−今回は夕食の準備に後片付け−とるに違いない。こういう時くらい気を使わないとな・・・。
 何時もの登下校と同じ10分ほどの時間で、電車は俺と晶子が普段利用する胡桃町駅に到着する。俺は晶子の手を取って電車を降り、何時も出る改札の反対側の改札を通って外に出る。いよいよ飲食街が本格的に動き始める時間だが、まだ時間的に余裕はある。さて、何処にしようか・・・。

「何か食べたいものあるか?」
「祐司さんと一緒なら何処でも良いです。でも、気分的に居酒屋とかが良いかな、って。」
「居酒屋ねえ・・・。ちょっと歩いてみるか。多分何処かにあるだろうから。」
「そうですね。」

 俺は晶子の手を取ったまま、周囲を見回しつつ飲食街の通りを歩いていく。5分ほど歩いたところで周囲の建物とは違和感がある立派なビルの屋上に「居酒屋 紅(くれない)」とあるのを見つける。確か此処は全国チェーンの店の筈。品揃えもそれなりに整っているだろう。

「此処にするか。」
「はい。」

雨上がりの午後 第893回

written by Moonstone

 目的と大まかな場所を決めた俺と晶子は、駅へ向かう。定期を持っているから改札口を通るだけで良い。まったく便利なところに遊び場があったもんだ。また行く機会があったら行きたいもんだ。勿論、晶子と一緒に・・・。

2002/8/4

[仮に大手ページになったとしたら(1)]
 どうなるんでしょう?何処から大手ページとするかは主観的なものが多いですから、仮に「現時点で50万HITを突破していて、更新しなくても1日500以上カウンタが回るページ」としましょう。そうなると、私が要求しなくてもメールがバシバシ届くようになるでしょう。リンク依頼やDMやウィルスメールなども含めて(DMやウィルスメールは私にもよく届くんんだな、これが(怒))。
 で、感想メールや掲示板への書き込みが増えるでしょう。そうなると連載はストップせざるをえなくなると思います。1日掲載分だけで大体2kBくらいなんですが、それだけ書くにも最低30分は必要とします。その分をお返事に回さないと遅れに遅れるでしょう。否、30分くらい増やしたところで対応出来ないかもしれません。
 大手ページは感想やリンク依頼に冷たいというか、勝手にどうぞ、というところが多いです。リンクはそれで良いかもしれませんが(違法ページなどへのリンクを防げないという欠点はある)、感想をおざなりにされるのは出した方としては納得いかないものがあります。一言「ありがとうございます」とでも返ってくれば良いものの、それすらないところも多々あります。それだけ数が多いからなのか、単に返事しなくてもまた来る、という自信があるからなのかどちらなのかは分かりませんが。(つづく)
財布から200円を取り出す時に晶子から手を離したが、200円をズボンの右ポケットに仕舞った後で直ぐに晶子の手を取る、否、晶子の方から手を差し出してきたので俺の手と自然に重なり合ったと言うべきか。
 少ししてバスのエンジンが動き始める。出発が近いのだろう。俺は右手で近くの吊革に掴まる。それから家族連れが合計10人ほど駆け込んできたところで、発車します、という運転手の低い声が車内に響いてドアが閉まる。そして軽い衝撃と共にバスが動き始める。
 途中のバス停で数人客を拾って、バスは見慣れた駅前に到着する。バスが停車してドアが開いたところで、俺はポケットから硬貨を取り出して運賃箱に放り込み、同じく200円を運賃箱に入れた晶子を連れてバスを降りる。見慣れた光景が目の前に広がったことで、ちょっとした安心感というか充実感というか、ちょっと表現が難しいものを感じる。

「さて・・・夕食はどうするか。」
「私の家に泊るんでしょ?」
「それは約束だから忘れてないよ。ただ、今日一日歩き回って疲れただろうから、料理を作らせるのは晶子に鞭打つみたいで何か気が乗らないからさ・・・。」
「そんなに気を使ってもらわなくても・・・。」
「俺、食べるだけ。晶子、作って食べて後片付け。それじゃ晶子に負担かけっぱなしだから、何処か適当なところで夕食を食べよう。外に出たついでに、さ。」
「・・・祐司さんがそれで良いなら。」
「じゃあ決まりだな。さて、次の問題は電車に乗る前か降りた後か。」
「降りた後の方が良いんじゃないでしょうか?疲れているところにお腹いっぱいになると電車乗り過ごしちゃうかもしれませんから。」
「それは言えるな。じゃあ、駅前の飲食街で食事といきますか。」
「はい。」

雨上がりの午後 第892回

written by Moonstone

 生憎席はほぼ全て埋め尽くされていたので、往路同様前の方で立つことにした。料金は分かっているから、バスが動き出す前に各々準備する。

2002/8/3

[たまにはこんな日があっても良いでしょ?]
 更新時間が大幅に遅くなりましたが、別にネットの接続状況が悪かったとかFTPのトラブルがあったわけでもありません。ただ、何もやる気がしなくてぼうっと横になってたらこんな時間になっていたというだけのことです。ふざけんな、と思われるかもしれませんが、キャプションのとおり「たまにはこんな日があっても良いでしょ?」更新時間を厳守しなければならない法律なんてありませんし、そもそも更新するかしないかは管理人の判断次第なんですから。
 ここまで聞かれた方は、機嫌が悪いのか、と思われるかもしれません。そう言われれば感想が来ない日はいつもそうだとも言えます。でも、何をしたところで感想が増える筈がないことは分かりきっているので、今更機嫌が悪くしたところでどうになるものでもありません。空高く飛ぶ鳥をジャンプして捕まえろ、と言われても無理だとしか言えないのと同じです。
 で、今日は先日にも予告したとおり、夕方から職場へ行かなければなりませんし、何時帰ってこれるかも分かりません。ですから疲労と気分次第で更新時間が前後する可能性は十分あります。それでも管理人か、というのなら、毎週末を作品制作に費やして必死こいて更新しても、黙ってても一日で1000や2000もカウンタが回る大手ページに敵わないという現実を知れば実感出来るでしょう。つまりはそういうこと。
「私も出来るだけ言うようにしますね。言われるのを待っているだけじゃずるいですから。」
「言われるのも・・・何だか照れくさいな。何せそういうのに慣れてないからさ。」
「慣れてない方が良いです。気軽に口にされると、それが気持ちをきちんと映しているのか不安になりますから。」
「難しいもんだな。愛してる、って言葉にするのは。」
「それだけその言葉の力と重みを感じてるって証拠ですよ。」

 だんだんと景色が上がっていく観覧車の中で、俺と晶子は見詰め合う。残された時間は少ない。だから・・・こういう時こそ・・・言いたい。照れくさいけど、それを乗り越えなきゃいけない。自分の気持ちを表すのに加えて、自分の気持ちを確認することでもあるから・・・。

「・・・晶子。・・・愛してる。」
「祐司さん・・・。愛してます・・・。」

 その気になれば言えないことはない。でも公衆の面前ではとても言えないだろう。やっぱり照れくささが先に出るし、挨拶代わりに言う言葉じゃないと思うし。この言葉を口にする時は、自ずと二人きりの時になるだろうな。だけど、いざとなったら観客が満員のステージの上でもはっきり言えるようになりたい。それだけ晶子を愛してることを示せると思うから・・・。
 観覧車での二人きりの時間は終わった。俺は晶子の手を取って観覧車を降りると、晶子と共に新京フレンドパークを後にする。別にどちらが言い出したわけでもない。観覧車から降りたら二人揃って自然と足が出口へ向かっていたという感じだ。俺と晶子が楽しめるアトラクションは全て回ったと思うし、観覧車で最後を締めたという感が俺にはある。多分晶子もそうだと思う。
 バスターミナルには丁度「新京大学前」と表示されたバスが停車していた。俺は晶子の手を取ったままバスに乗り込む。夕暮れ時ということもあってか車内は家族連れが多くて、子ども達の歓声で賑やかを通り越して騒々しい。あの小さな身体の何処にあんなエネルギーが秘められてるんだろう?

雨上がりの午後 第891回

written by Moonstone

「でも・・・想ってる相手から、愛してる、って言われて嬉しくない筈はないよな。挨拶するみたいに気軽にはなかなか言えないと思うけど、少しずつでも言葉にしていくようにするよ。それで晶子が安心出来るなら・・・。」

2002/8/2

[バンソウコウを取ってみたら・・・]
 左手首に赤い点がポツリ。先日の注射の跡なんですが、あの注射で痛みが完全に収まったかと言われればそんなことはなく、手首を動かすとやっぱり痛いです。まあ、手首を動かさないようにしている限り痛みは少ないので、あとは湿布を貼って大人しくしているだけでしょう。こんな酷い腱鞘炎は金輪際御免です。
 さて、8月最初の定期更新が近付いてきましたが、更新準備が出きる日は実質日曜日1日のみです。土曜日は職場の花火鑑賞会の実行委員で夕方から職場へ行かなければなりません。一番厄介な後片付けが何時になったら終わるのかまったく予想出来ないので、場合によっては更新が遅れるかもしれませんのでご了承ください。
 あと1日で何が出来るか?せいぜい何処かのグループの作品を1本書き下ろして終わりでしょう。久しぶりに文芸部門揃い踏み、といきたかったんですが、状況がそれを許してくれません。作品制作はメインPCでするとキーレスポンズの悪さで余分な時間を食いますし、それを除いても私の執筆速度と集中力と精神力では、短編を除けば(短編でもそうかもしれませんが)1日1本が限度ですからね。執筆速度を改善したいんですが、どうしたら良いんでしょう?キーを叩く速さはそれなりにあると思うんですが、もっと根本的な何かがあるんでしょう。それを見出すのが先決でしょうね。
 暫く晶子の口の中を引っ掻き回してから、俺は舌を引っ込める。晶子からの「反応」に備えるが、数秒待ってもその気配はない。俺は晶子から口を離す。口と口の間に架かった薄い黄金色の橋を、俺が晶子に軽くキスすることで落とす。晶子は俺の右腕から手を離さないまま、ゆっくりと目を開ける。陶酔しきった表情で俺の肩に頭を乗せている。完全に俺に全てを委ねていると言って良い感じだ。

「・・・こういうのじゃ駄目か?愛してるってことを示すには。」
「こういうのも良いです。でも・・・やっぱり言葉が欲しい。」
「・・・。」
「愛してるって言葉の力と重みを祐司さんは良く知ってます。私も分かってるつもりです・・・。だから・・・言葉が欲しい。」

 思えば俺と晶子は互いに、好きだ、とか、愛してる、と面と向かって言ったことが殆どないと思う。はっきり記憶に残っている場面といえば、晶子が俺に告白した時、それと去年の冬に柳ヶ浦へ訪れた際に、晶子に練習と言われて緊張しながら言った時くらいだ。
 想い合っているから必要なかったのかもしれない。だけど晶子の言うとおり、もっと言葉に表した方が良いのかもしれない。女の心は絶えず愛されているっていう気持ちを注がれることで脆い心を補強していると晶子は言ったし、俺は晶子ほどではないにしてもやっぱり、愛してる、と言われて嬉しくない筈がない。
 愛してる、という言葉の力と重みは良く知っているつもりだ。ちょっと気に入った女に軽く口に出来る言葉じゃない。だったら晶子の言うとおり、自分の気持ちを示す言葉、愛してる、をもっと言っても良いんじゃないだろうか?

「・・・正直なかなか言い辛いんだ。照れくさいし、言わなくても気持ちが変わってないことは伝わってると思ってるから・・・。俺はふられた経験は山ほどあるけどふった経験はないから、その時どんな行動に出るかはよく分からないけど、多分最初に晶子に向けていたような態度で相手を突き放すと思う。率直に、大嫌いだ、とは言えないと思う。」
「・・・。」

雨上がりの午後 第890回

written by Moonstone

 俺は思い切って自分から舌を動かして、晶子の唇を割って口に中に侵入する。晶子はそれを待っていたかのように大きく口を開けて首を傾ける。そして俺の舌の動きを何の抵抗もなく受ける。頬にかかる晶子の鼻息が周期を早め、勢いを荒くしてきた。興奮と快感に浸ってるんだろうか?

2002/8/1

[精密検査の結果・・・]
 左手首の痛みは腱鞘炎らしいことが分かりました。レントゲン写真でも骨には異常がないことが改めて判ってひと安心。骨折とかだと大変なことになりますからね。通院は勿論、仕事や普段の生活でも。で、炎症を鎮めるらしい薬を注射で「ブスッ」と手首に打たれて、その傷口にバンソウコウを貼って治療はおしまい。何だか呆気ない(^^;)。
 診察した医師からは「暫く手首に負担をかけることは控えるように」と注意を受けました。そう言われても、左手を使わずに仕事や生活をするのは事実上不可能ですから(ドアのノブを左手で捻ったり、スイッチを左手で操作したりする。キーボードは言うまでもない)、右手中心で左手を庇う生活と、連載や日記をデスクトップPCで書いてメインPCに転送、という面倒な作業は当面続きそうです。
 勿論、ページ運営は通常どおり行います。ただ、メールや掲示板のお返事は遅れるでしょうし(メール内容をテキストファイルにコピーしてデスクトップPCで作業してメインPCに戻して編集するため)、思うように作品を公開出来ないかもしれません。どのくらいかかるか分かりませんが(実は今でも時々痛む)、完治するまで長い目で見てやって下さい。出来る限りのことはしますので、メールや掲示板への書き込みをお待ちしております。
「そうだな・・・。」

 俺と晶子を乗せた観覧車は頂上に達する。遠くに大学や街並みを臨める場所で、俺と晶子は密閉された狭い空間で二人きりになっている。・・・ますますドキドキしてきた。晶子の言うとおり、観覧車の魔法にかかったんだろうか?俺の身体に緊張と興奮が沸き上がって来る。緊張が晶子の肩を抱く手に伝わらないように、興奮が妙な言葉を口走らせないように押え込むのが精一杯だ。
 そうしていると、晶子が俺の方を向く。やはり観覧車の魔法にかかったのか、少しとろんとした、それでいて妖艶な雰囲気を漂わせている。形の良い唇が俺を誘っているように思う。この唇に自分の唇を重ねたい。そんな思いが急激に頭を擡げて来る。晶子の少し潤んだ瞳が躊躇しないで、と俺を嗾(けしか)けているようにすら思う。

「・・・私のこと、どう思ってますか?」
「そんなこと・・・今更聞かなくても分かってるだろ?」
「分かってます。でも・・・聞きたいんです。」
「・・・愛してる・・・。」
「私も・・・愛してます・・・。」
「女って・・・言葉を聞かないと不安になるのか?」
「女の人は・・・愛している人から愛されてるっていう気持ちが自分に注がれていることを確認したがるんですよ・・・。」
「男と女の違いだな・・・。まあ、俺も愛されてるかどうか気になることはあるけど、口にすることは少ないな。」
「女の人の心は男の人よりずっと脆いんです。だから・・・愛されているっていう気持ちを注がれることでそれを補強してるんです。そうしてないと・・・心が崩れてしまいそうで怖いから・・・。」
「言葉じゃなくて・・・行動じゃ駄目か?」
「え?それって・・・。あっ。」

 俺は晶子をぐいと抱き寄せて、その唇を自分の唇で覆う。俺の右腕に手がかかって力が込められるのを感じる。満足感と快感に浸っているような鼻息が、俺の頬に周期的に吹きつけられて来る。

雨上がりの午後 第889回

written by Moonstone

「何だか・・・別の世界に来たみたい・・・。」
「俺もそう思う・・・。」
「・・・祐司さんと一緒に居られることが何時も以上に幸せに思える・・・。これって、観覧車の魔法かもしれませんね。」
「そうだな・・・。」


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