芸術創造センター こぼれ話
Dropped talk of Performing Arts Center

2002年4月30日更新 Updated on April 30th,2002

2002/4/29

[やっぱり一人芝居で終わったか・・・]
 更新時間が滅茶苦茶になってすみません。朝から出かけていたもので・・・。それは兎も角、シャットダウンに入る明日を除いて一応「創立祭&さくら祭」は(以下、「祭」)終わったわけですが、結局投稿作品が登場することはありませんでした。言い換えれば私の一人芝居で終わったということです。
 あまり期待していなかったとはいえ、投稿ゼロという事実は私をがっくりさせるには充分です。そりゃ3年かかって約240000HITという弱小ページに投稿したところでメリットがあるわけでもないですから仕方ないんでしょうが、ご来場者の方に此処まで傍観者に徹されると、私はこれから態勢を整えてまでこのようなイベントを実施する気が起こりません。
 「祭」は私自身では一応満足、と先にお話しましたが、至らなかった点は多々あります。音楽グループに全く手が回らなかったことに加え、何より「さくら」を題材にしたSide Story Group 2が全く更新出来なかったのは悔やまれてなりません(「さくら」を平仮名表記にしたのはそういう計画があったからです)。
 今日の定期更新も小規模になってしまいましたし・・・。シャットダウンの間に出来るだけ作品を多く書いて、次回以降の定期更新に繋げたいと思います。今年度もマイペースで、でも現状に甘んじることなく運営を続けていきますので、変わらぬご愛顧の程を宜しくお願いいたします。
波が高い場所ならサーファー連中が波乗りをしてても不思議じゃないが、こういう穏やかな波の場所にはそういう輩は出没しない。まあ、昨日晶子に声をかけてきたようなナンパ目的の男は共通して存在するだろうが。

「・・・海に入るか?」
「そうですね。折角朝から来たんですから、混雑しないうちに楽しんじゃいましょうよ。」
「よし、じゃあ行くか。」

 俺は晶子の手を取って立ち上がり、海へ走っていく。晶子は直ぐに俺の横に付いて楽しそうに微笑む。俺と晶子は海に足を踏み入れる。まだ十分に熱気を吸い込んでいない海水は意外とひんやりしている。照りつける日差しがそろそろ本格的に熱くなってきた今は、そのひんやり感が気持ち良い。
 俺と晶子は腰まで海水に浸かるくらいの場所まで入って、互いに手を離して距離を置く。早速晶子から日光を受けてきらきら輝く水の洗礼が来る。俺はそれを正面からまともに受けて、あっという間に全身水浸しになってしまった。

「やったな、このっ!」

 俺は声こそ張り上げるが顔は笑いながら、晶子に腕全体で掬った水を浴びせ掛ける。白く輝く水飛沫が晶子を覆い尽くし、水飛沫が消えた後には、俺と同じく全身ずぶぬれになった晶子が立っていた。勿論、その顔から笑顔は消えてない。

「あはは、やられちゃったぁ。お返ししますよー!」
「何のっ!」

 俺と晶子は歓声を上げながら水を掛け合う。人気の少ない海で自分の彼女と海で戯れる・・・。これだけでも楽しい夏の記憶が出来る。今までの分を含めて思い出が積み重なっていき、今が楽しくて幸せなら、それで十分だ。

雨上がりの午後 第801回

written by Moonstone

 それにしても、本当に人は少ない。昨日の混雑を考えると、それこそプライベート・ビーチに来たような気にさせられる。

2002/4/28

[祝・連載800回!]
 事前にお断り。今日明日は更新時間が普段と違いますので(ネット接続環境の違いです)ご了承願います。
 さて、キャプションにもありますように、本日で連載「雨上がりの午後」が連載800回を数えました(拍手)。第1回をアップした時にはこんなに長期化するとは微塵も思いませんでしたが、4桁の大台がかなり近づいてきたことにある種感慨深いものがあります。単純計算しても2年以上続けて来れたわけですからね。この期に及んでも終わる気配は全くありませんが(^^;)、ラストシーンを迎えるその日まで書き進めていこうと思いますので、ご愛読の程を宜しくお願いいたします。
 毎回思うことなんですが、連載を第1回から読んでくださってる方ってどのくらいいらっしゃるんでしょう?このコーナーは1日で大体40くらいカウンターが回るんですが、連載が始まる前からこのコーナーに御来場いただいてる方で余程気長な方くらいでしょうね(^^;)。何れはNovels Group 3で公開されるわけですから、連載はそちらを読んで、ここでは日記のみ、という方が多いのかな?まあ、その辺はお好きなようになさってくださいませ。
 連載の方では早くも夏になっていますが、倉木麻衣の「Feel Fine!」でも聞きながら(ちょっとリリース時期間違ってないか?)お楽しみください。Novels Group 3での公開も夏くらいになると思いますので。

「いや、俺も少し前に来たばかりだから。それより、行こうか。」
「はい。」

 俺は晶子と一緒に浜辺へ向かう。一望した限り、浜辺には殆ど人影はない。俺達一行と同様の泊り込みの客でも、朝から海に繰り出そうとは思わないんだろうな。日帰りのカップルや友人同士、家族連れとかは昼前にどどっと雪崩れ込んでくるだろうから、今は殆どプライベート・ビーチと言って良いくらいだ。
 俺は待ち合わせ場所の海の家から少し離れたところ、浜辺の大体真中辺りに来て晶子からビーチパラソルを受け取って広げてから砂に突き立て、そこに出来た円状の影の下に肩にかけていたクーラーボックスを置いて、準備完了。絶好の位置に場所を確保することが出来た。
 砂は熱いが、ビーチサンダルを履いてないとおちおち歩けやしないというほどのものじゃない。夜の間に熱を奪われた砂は、まだ夏の熱気を十分に吸い取ってはいない。俺は結構重かったクーラーボックスを抱えてちょっと疲れた体を休めるために、砂の上に腰を下ろす。晶子はそれに倣って、俺の左隣に腰を下ろす。寄せては返す波の音が良く響く、静かで穏やかな時間が流れていく。

「夏で静かな浜辺なんて、珍しいですね。」

 晶子が話し掛けてくる。俺は人影少ない海を見ながらそれに応える。

「時間が時間だからな。でも、何か優雅で良いよなぁ。」
「プライベート・ビーチって、こんな感じなんでしょうかね?」
「まあ・・・少なくとも海と砂浜を見る限りはな。」
「どういうことですか?」
「プライベート・ビーチに海の家はないってこと。」

 俺が右手の親指で後ろを指し示すと、晶子はくすっと笑う。プライベート・ビーチがあるような高級リゾート地に行ったことなんてないから絶対、と言うことは出来ないが、まず−失礼だが−木像の民家を持って来て改造したような娯楽施設はないだろう。

雨上がりの午後 第800回

written by Moonstone

「遅くなって御免なさい。」

 ビーチパラソルを担いで来た晶子は俺の傍まで走り寄ると、肩で息をしながら言う。1時間も2時間も待たせたわけじゃないんだから、謝らなくても良いのに・・・。

2002/4/27

[遅くなってすみません(_ _)]
 何故本日の更新が遅れたか?答えは簡単。酒宴の席で飲み過ぎて潰れてしまい、意識を回復したのが日付が変わった後だったからです(爆)。こうしてお話している今でも、頭は痛いし気持ち悪いわでもう散々。酒なんか飲まずに大人しくソフトドリンクで済ませておくべきでした。
 そういうわけでお話も手短に済ませます。楽しみにしていた方には申し訳ないの一言ですが、今日は帰省の準備もあるので早く寝たいんです。兎に角、座っているだけでも辛い状態なので、この辺で勘弁してください(ここまでお話するのに3時間かかった(汗)。途中で気分が悪くなって横になったら寝ていたので)。
一緒に着替え・・・なんてして、もし誰かに見つかったらひと騒動起こりかねない。ここは妙な欲望に身を任せないのが賢明だ。

「それじゃ、昨日のところで待ち合わせような。」
「はい。また後で・・・。」

 俺と晶子は小さく手を振って更衣室に入る。更衣室の中には2、3人若い男や中年男性が居るくらいでひっそりしている。俺は後で分かりやすい、端の方に陣取ってクーラーボックスを床に下ろし、手早く着替える。換気があまり良くないせいか、この中は蒸し暑い。外の方がむしろからっとしていて気持ちが良い。
 着替えが済むと、俺はジャンパーを羽織り、再びクーラーボックスを肩にかけて外に出て、昨日と同じ場所、とある海の家の傍へ向かう。晶子の姿はまだない。女は男より着ているものが多い分だけ時間がかかるんだろうな。こういう時、手っ取り早く出来る男に生まれて良かったと思う。

「祐司さーん!」

 5分ほど経っただろうか。背後から俺を呼ぶ声がした。振り返って見ると、昨日とは違ってジャンパーのファスナーを開け放った晶子が手を大きく振りながら俺の方へ走ってくる。その表情はこれも昨日の最初の頃と違って快活そのもので、見ているこっちも晴れ晴れとした気分になる。

雨上がりの午後 第799回

written by Moonstone

 宿を出た俺と晶子は、並んで海へ向かう。海との距離が近づいても歓声やざわめきは聞こえてこない。どうやら殆ど人気はないようだ。臨時に設けられた更衣室の前でいったん俺は晶子と別れる。

2002/4/26

[このまま「祭」は終わりかな?]
 4月1日開始の約1週間前から告知して始めた「創立祭&さくら祭」(以下、「祭」)なんですが、今日まで(お話の時点では4/25)問い合わせが1件あったものの以後音沙汰なし(あれだけ丁寧にレスしたのになぁ)。投稿は無論ゼロ。多彩な投稿作品で盛り上げたいという私の目論みは呆気なく泡と消えそうな雰囲気です。
 実のところ、これまでのイベントの集客状況から見て、多数の投稿は期待してなかったんですよね。ところが多数どころか少数にも満たない事態になったことはある程度予測していたこととはいえ、がっくりしています。今回の為に体裁を揃えるのが延び延びになっていた投稿規程もきちんと作ったというのに・・・。
 まあ、私自身としては若干ですが定期更新以外での新作公開も出来ましたし、それなりにご来場者の数も増えましたから、その点ではまあ満足です。出来れば今の背景写真の(八重桜)ように多彩な投稿作品が花開けば「祭」らしくなって良かったんですが・・・。自己満足で留めておけば良いことですかね。
「当たり前でしょ?祐司君は夜まで我慢ね。」
「え・・・。」
「さ、祐司君。男連中はひとまず退散だ。」

 俺とマスターは大人しく部屋を出てドアを閉める。何だか悪さをして廊下に立たされた生徒みたいで情けない気もするが、場合が場合だけに仕方ない。晶子の着替えが終わるまで待つしかない。
 10分ほど過ぎただろうか。異様に長く感じられた時間が、ドアの向こうからの潤子さんの「入って良いわよ」の一言で終わりを告げる。俺はようやくか、という気分でドアを開けて中に入る。マスターも同じ気持ちだろう。一人の着替えのために締め出されては無理もない。まあ、マスターの目の前で晶子の着替えるところを見られたくないという気持ちはあるが。
 半袖のシロのポロシャツにベージュのキュロットスカートという、昨日の夜と同じ服装の晶子は、取り込んだ水着とタオルとビーチパラソルを持っている。クーラーボックスは本体そのものが重いし中身もまだかなり残っているから、まさか晶子にこんな重たい物体を持たせるわけにはいかない。

「それじゃ、先に行ってきます。」
「おう、頑張ってこいや。」
「いってらっしゃい。気をつけてね。」

 マスターと潤子さんそれぞれの見送りを受けて、俺と晶子は部屋を出て一郎身へ向かう。窓から見た空は今日も快晴だ。夏らしい強烈な日差しと熱気、そして海が待っているだろう。午前中だしサーフィンスポットでもない海水浴場だから、それ程人は居ないだろう。存分に夏を満喫したい。来年はどうなるか分からないしな・・・。

雨上がりの午後 第798回

written by Moonstone

「言わなくても事情は分かるでしょ?さ、行った行った。」
「はい。」
「やっぱり締め出されるわけか・・・。」

2002/4/25

[眠いっす・・・]
 眠い日が続いています。今週は今のところ大したことはないんですが、先週が酷くて、少しでも気を緩めると意識が遠のく→常に気を張っていないといけない→余計に疲れる→・・・の悪循環を辿っていました。薬の影響もあるんでしょうが、やっぱり季節のせいもあるんでしょうかね?
 今週は1つの大きな仕事に(こいつのせいで今の病気を患った)一つの大きなピリオドが打てそうな段階に来たので、自然と気が入ります。もう少しで完成だ、と思いつつバグを取り除いていくのがワクワクするんですよね。でも、一つバグが取れると新たなバグが出てきて、まだ終らせないつもりかよ、と少々頭に来るものがありますが(^^;)。
 そんな中、今日は4/21に続いて新作を投入しました。前回の更新で開始したシリーズの新作です。一発ものなのでどれだけ前後の落差が大きく出来るかというところがなかなか難しいんですが、ファイルの使いまわしが出来るし(をい)、うまくいくとやっぱり嬉しいので、これからもネタが出来たら投入していこうと思っています。
幾ら口では辛い、悲しい思い出も何れ時間がセピア色のほろ苦い思い出に替えてくれるとは言えても、一度自分を痛い目に遭わせた相手をそう簡単に過去のアルバムの1枚にすることは出来ないだろう。無論、俺は自己矛盾だ、なんて批判するつもりはない。晶子曰く「同じ思いをした」者同士、その気持ちは多少なりとも分かるつもりだ。
 朝食が終わり、一旦全員で部屋に戻る。食後直ぐに動き回るのは良くないし、そんなに慌てなくても海は逃げて行きはしない。潤子さんが入れてくれたお茶を飲みながらテレビを眺めて−内容はどうでも良い。どうせ大したことを言わないし−くつろぎの時間を過ごす。
 自宅じゃこんな雰囲気でのくつろぎなんて考えられない。せいぜい音取りやアレンジに一区切りがついた時、軽く缶ビールを傾けるくらいだ。この雰囲気は晶子の家でくつろいでいる時ともちょっと違う。晶子との時はちょっと瀟洒(しょうしゃ)な感じだ。今は朝の家族団欒といった雰囲気だ。1年以上帰省していない俺は、ちょっとセンチな気分にさせられてしまう。
 茶を飲み終わったところで、俺はご馳走様でした、の一言を添えて湯飲みを机に置いて海に繰り出す準備を始める。外にハンガーで吊るして干してあった水着を取り込んでタオルとビーチサンダルを持ち、クーラーボックスを肩にかける。そこで潤子さんが制止する。

「ちょっと待った。祐司君、それにあなた。一旦部屋から出て。」
「おいおい、何だいきなり。」
「浴衣姿で昼間に海へ行くわけにはいかないでしょ?」

 潤子さんに言われてようやく事情を飲み込む。晶子は浴衣姿のままだ。このまま海へ繰り出すなんて、変人としか思われないだろう。一旦普段着に着替えなきゃならない。それで潤子さんのストップがかかったわけだ。

雨上がりの午後 第797回

written by Moonstone

 晶子も以前ふられたことがある、俺と同じような思いをした、と言った。俺にとって宮城に相当する男が帰省先に居るんだろうか?だとすれば、成人式の時にも帰省しなかった理由が分からなくもない。

2002/4/24

[まさかジャズ特集とは・・・]
 普段ラジオを聞いているんですが、流れてくる曲は大抵ポップス。私が聞くジャズやフュージョンの類はたまにパーソナリティの言葉の背景で流れる程度です。ですから私が聞かない洋楽などを流す番組では、手持ちのCDをイヤホンで聞いて作品制作をしています。耳障りだからです。
 ところが昨日(4/23)の夜の東京FM全国ネットの「やまだひさしのラジアンリミティッド」で、ジャズの特集をしていたんです。まさかと思いましたが、ゲストバンドのメンバーとのトークを中心に、スタジオでの生演奏もあって、久しぶりに心地良い響きに聞き入りました。その演奏もスタンダードなものではなくて独特の、且つ高度なテクニックを併せ持ったもので、これからチェックしたいバンドだな、と思いました。
 一度リクエストでジャズやフュージョンを要求して、「出来るものならやってみろ」と挑発しようと考えていたんですが(笑)、意外にラジオ番組編成者も視野が広いものなんですね。今度はT-SQUARE特集とかやってくれないかな〜。
「私も荷物持ち手伝いますよ。」
「じゃあ、手分けして行くか。」
「はい。」
「決まりだな。それにしても二人は元気だなぁ。やっぱり20代は違う。」
「俺、まだ20歳になってないんですけど。」
「でも今年なるんだろ?同じようなもんだ。19と20の差はないも同然。差が歴然と感じるのは29と30、それに39と40だな。俺が知る限りだが。」
「私もそれは実感したわ。29と30は気分的にかなり違うわね。」
「そんなもんなんですか・・・。」

 俺はまだ20になることに実感が湧かない。19と20で何が変わるかと問われたら、俺は選挙権が貰えて、酒と煙草が合法的に味わえるってことくらいしか答えられない。せいぜい成人式の日に高校時代のバンドのメンバーが勢揃いするという約束があることが他人と違うくらいだ。この約束だって珍しくも何ともない。18でパチンコ屋やX指定の映画が観れるようになったのと大差ない。
 そう言えば・・・晶子は俺より1つ上なんだよな。でも、成人式の時には帰省しなかったし、どうして帰省しないのかと聞いた時、行かない理由を聞かないで、と言ったことは気になるが、行っても良いことがないのか−精々市長とか教育委員会のお偉いさん方が『ありがたい』話をするくらいだというし−、余程顔を合わせたくない人物がいるかのどちらかだろう。
 顔を合わせなくない人物・・・。俺にとっては以前、幸せを一気に不幸一色に変えた宮城が該当する。でも、今となっては挨拶くらい交わせると思う。もう戻れない過去をどうあがいたところで変わらないものは変わらないんだから。宮城は俺ときれることになるとは思わなかった、とか言ったが、あれ以来音沙汰がないことを考えれば、所詮口からでまかせだったんだろう。

雨上がりの午後 第796回

written by Moonstone

「荷物だけ、俺が持っていきますよ。」
「そうしてもらえるか?ありがたいな。昼食食べたら、俺と潤子も海に繰り出すつもりだから。」

2002/4/23

[事故?それとも・・・]
 日曜の夜更新して確認をしようとトップページに入ったら、カウンタの数値がおかしい!全体を見回してみたら、全部おかしい!これまで積み重なってきたカウンタの数値が全部リセットされていたんです。昨日の午後見てみた一応元どおりになっていましたが、数値が数日前のものになっているようです。多分、復元に使われたログが数日前のものだったんでしょう。
 このカウンタリセット、以前にも1度あったと記憶しています。あの時はまだトップページのカウンタが5桁くらいでしたが、今回みたいにそれなりの数に達したところでやられたのは流石にショックでした。
 原因は分かりません。サーバーの事故か、不遜な奴による攻撃か・・・?私がここでお話する話題にはかなりきつい切込みを入れる時もあるので、それが怒りを買ったのか・・・?何れにせよ、攻撃なら卑劣で姑息な手段としか言い様がありません。カウンタの数値が減ったのはちょっと悔しいですが、更新は続けていきますし、切込みを弱めるつもりはありません。
 視線だけ動かして様子を窺うと、晶子は俺と同じく焼き魚の骨と皮を取り除きながら、御飯や酢の物に手を伸ばす。相当強く躾られたのか、晶子は和食を綺麗に食べる。徐々に骨と皮だけになっていく魚を見れば一目瞭然だ。こういうところ、俺自身は苦手なくせに相手の様子には結構こだわる。晶子は見ていて安心出来るし、羨ましくも思う。
 マスターは卵を器に割って入れて、近くにあった醤油を少し入れてよく掻き混ぜて、御飯にかけて口にかき込んでいく。潤子さんはゆったりしたペースで焼き魚や酢の物、そして御飯や味噌汁へ手を伸ばす。とりたてて会話もなく、それぞれのペースで朝食が進んでいく。

「今日はどうする?」

 暫く朝食が進んだところで、マスターが口を開く。俺と晶子、それに潤子さんが食べる手を休めて顔を上げる。

「食べ終わって少し休んでから海へ行こうかな、って思ってるんですけど。」
「私もです。」
「そうか。それならそれで良い。俺は午前中ちょっと部屋で休ませてもらうから。どうも身体が気だるくてな。」
「私も同じ。疲れが体の彼方此方に残ってる感じがするのよね。」

 そりゃそうだろう。夜、襖一つ隔てたこちら側にも届くほどの物音を立ててあれだけ激しく一戦交えたんだ。疲れてない方がおかしい。そうは思うが決してそれは口にしないことにする。口にしたら逆に守勢に回ることになるのが目に見えてるからだ。どうせマスターと潤子さんは夫婦という間柄を盾に、俺如きの突っ込みをかわして逆襲してくるに違いない。

雨上がりの午後 第795回

written by Moonstone

 俺達は誰が音頭を取ったわけでもなく、いただきます、と唱和した後朝食を食べ始める。俺はまず焼き魚から手をつける。俺は魚の骨や皮を取るのが少々苦手なので、左手を使いながら注意深く骨と皮を取り除いて、後で肉の部分をゆっくり食べるつもりだ。

2002/4/22

[変わらない日曜日]
 これまでの教訓を踏まえて、土曜の夜はA.M.2:00までに寝たんですが、一旦起きたのがA。M.9:30頃。どうも頭がすっきりしなかったのでまた寝たら、結局起きたのはA.M.10:30過ぎ。それから朝食を摂ってちょいとゲームをしたら逆点負けを喫して、悔しさが残ったまま作品制作を始めて、半分ほど進んだところでさっきの負けを帳消しにしようと再度ゲームをやって今度は勝利。
 さて作品制作の続き、としたかったんですが、どうにもやる気が起こらず、ベッドに転がり、結局P.M.7:00頃まで何もせず。夕食を食べてテレビを見た後、またベッドに転がって、P.M.11:00の30分前ごろにようやく起きて洗い物をした後、このお話をしています。何も出来なかったこれまでの日曜日と大差ない一日でした。
 ゲームでも体力や集中力を使っちゃうんでしょうかね。ということは、作品制作が終るまで、5分以上の休憩や水汲みといったごく短時間のこと以外はPCに向かわなければいけないってこと?週末は作品制作のためだけにあるような今日この頃、日曜日くらいだらだら過ごして良いのかも?
そういう見方からすれば、俺と晶子はマスターと潤子さんの策に填まる寸前だったというわけになる。見られるのを承知で一戦交えるなんて、晶子以上に策士だな。マスターと潤子さんは。

「丁度良い時間だ。朝飯食いに行こうか。」
「そうですね。」

 俺達一行はマスターを先頭に縦一列になって狭くて急な階段を下りて行く。マスターに続いて潤子さん、それに俺、晶子が続く。晶子が階段を下りる時になって手を差し出した。俺はどうして欲しいか察して、差し出された手を取ってゆっくり階段を下りて行く。夜あれだけ大胆で遠慮のない行動に出たっていうのに、今は手を繋ぐだけで胸が高鳴るのを感じる。どうなってんだ?一体・・・。
 食堂に着いて4人が座れるテーブルを見つけて、俺と晶子、マスターと潤子さんがそれぞれ並んで座る。何だか家族揃って朝食を摂るような感じがする。さっきマスターと潤子さんが言っていたことにも関係するが、俺はマスターと潤子さんが自分の親のように思える。勿論、本物の両親は居るが、夏休みも帰省せずにバイトに行っていると、マスターと潤子さんの方により親近感を感じてしまう。本当に親だったら、とさえ思うこともある。
 接している時間が長いと、自然と親近感が沸くものらしい。そう思うと宮城が「身近な存在」とやらに心惹かれたのも理解出来る。今更許す許さないを言うつもりはないが、宮城がそうなった気持ちが理解出来たことで、また一つ「良い思い出」の階段を上ったような気がする。
 少しして食事が運ばれてくる。焼き魚に付け合せの漬け生姜、卵に−小さな器に入っているところからして、多分生卵だろう−もずくと胡瓜の酢の物、そして赤味噌にご飯。オーソドックスにしてなかなか豪華な内容だ。最後にテーブルの隅にお櫃(ひつ)と大きめの急須が置かれる。御飯とお茶のおかわりはセルフサービスらしい。そう言えば夕食も同じだったな。

雨上がりの午後 第794回

written by Moonstone

 ・・・成る程。ラブホテルにエロビデオが置いてある意味が−実際確かめたわけじゃないが−分かったような気がする。他人が一戦交える様子を見て自分達も気分が盛り上がってくるってことか・・・?

2002/4/21

[ようやく「祭」らしいことが出来ました(^^;)]
 「祭」だ、と言っている割には定期更新しかしてないじゃないか、と言われても仕方のない状態が続いていましたが、今日の更新でようやく「祭」らしく、定期更新以外の作品公開が出来ました。開設当初はこんなことしょっちゅうだったんですけどねぇ〜。今じゃ定期更新が精一杯ですわ(苦笑)。
 内容の方は実際に見てもらうとして、公開した作品は短編2つです。日頃長編を書いている私が読み切りの、それも短編を執筆するのは今回が初めてかもしれません。前々からネタはあったんですが、何時公開しようかと考えているうちに「祭」が折り返し地点を過ぎちゃった、というわけです、はい(爆)。
 お陰で土曜日は、昼から夜まで食事とトイレと水汲み(飲む為のもの)以外はPCに向かい続ける羽目になりました。短編2つを書く前に連載の新作を書いていましたからね。かなりしんどい日程になりましたが、ネタが固まり次第新作を投入していく予定ですので、毎日チェックをお忘れなく(笑)。
 さて、着替えをどうするか・・・?俺はこのまま着替えをしても良いんだが、晶子が居るし・・・。何より晶子の着替えをどうするか、だ。俺が着替えている背後で着替えてもらう、という手もあるが、自分の着替えの手が止まってしまいそうな気がする。
 着替えの最中にうっかり−故意に、か?−後ろを向いてしまって、なんてことになったら、途端に頭のブレーカーが吹っ飛んでしまうかもしれないし、その様子をマスターと潤子さんに見られようものなら、役所へ連れて行かれて婚姻届に署名と押捺をさせられるに違いない。
 そんな妄想じみたことを考えていると、襖の向こうで物音がし始める。がさがさという物音に続いて、やや大きな物音がする。まさかあの夫婦、雰囲気が盛り上がったところで朝から・・・、なんてことしやしないだろうな?!
 その時、襖がそうっと開かれて、マスターと潤子さんが姿を現した。マスターは昨日寝る前に着ていた白いポロシャツに薄いアーミーグリーンの半ズボン姿で、潤子さんは浴衣を綺麗に着こなしている。夜何事もなかったかようなその姿に、俺は内心切り替えの早さに脱帽してしまう。

「あら、二人共起きてたの?」
「え、ええ。ほんの5、6分くらい前ですけど。」
「晶子ちゃんの浴衣・・・何ともなってないわね。」

 潤子さんはそう言うと、少し残念そうな顔をする。

「朝起きたら、流石に多少乱れてましたから整えたんですけど・・・それが何か?」
「そう・・・。頑張ったのに。」

 潤子さんは不満げな表情を浮かべる。頑張ったのにって・・・。もしかして、昨日襖一枚隔てた向こう側で一戦交えたのは、俺と晶子がそれにつられて同じように一戦交えることを期待してのことだったのか?

雨上がりの午後 第793回

written by Moonstone

 俺と晶子は襖の隙間から顔を離して、俺がマスターと潤子さんに気付かれないように、音を立てないように細心の注意を払いながら襖の隙間を無くす。そして何事もなかったように布団に戻って、晶子に倣(なら)いながら布団を畳む。これもマナーの一つだろう。

2002/4/20

[ボランティアとは?]
 文部科学省の諮問機関である中央教育審議会が、ボランティア活動を点数化して点数に応じて入試や就職に考慮させたり、公共施設の料金を割引にしたりする案を提案しています。・・・何か勘違いしてないか?この連中(- -;)。
 ボランティアはあくまで自発的に社会参加し、そこには感謝以外の「報酬」はありえないものではないでしょうか?それを点数化して入試や就職に考慮させたり、公共施設の料金を割引にしたりするというのは、ボランティアをしないと不利になるぞ、と脅しているようなものです。これはまさに「ボランティアの押し付け」に他なりません。
 今でも中学校で「奉仕活動」が内申点になって、「奉仕活動」を事実上強要していて、ボランティアや生徒会活動が点数稼ぎの場になってしまっています。それを国民全体に広げよう、というのは、要するに市民をただ働きさせたいということなんじゃないのか?中央教育審議会の連中は。私はこういう押し付けがましい面があるから、ボランティアが嫌いなんです。私は声を大にして言います。「やりたいならやってくれ。それをやる意思のない人間に強要するな。」
何より、俺をバックアップしてくれると言ってくれる晶子の気持ちに対して明確な返事をしなきゃならない。俺に残された時間は・・・あっという間に終わりを迎えてしまうだろう。それまでに結論を出さなきゃいけない。難しいことだが・・・重要なことだ。

「本物の子どもじゃないけど・・・今はあの二人が居るじゃないか。」
「そうね。私も祐司君と晶子ちゃんが、私達の子どもみたいに思えるわ。」
「あの二人が店に居てくれる時間は限られてる。あの二人が店を巣立っていく時は、笑って見送ってやろうじゃないか。二人の明るい前途を祈って。」
「私は・・・泣いちゃうかもしれない。ずっとお店に居て、って泣きついたりして・・・。」
「潤子は結構涙脆いからな。でも、あの二人には二人の人生がある。俺達が無理矢理それを自分達の方に引き寄せちゃ駄目だ。二人の未来に幸多きことを祈って、送り出してやろう。それが『親』である俺達の使命だ。」
「そうね・・・。二人が手を取り合って障害を乗り越えていって欲しい・・・。そして何時か一緒になって欲しい。二人もきっとそう思ってると思うから・・・。」

 マスター・・・潤子さん・・・。俺と晶子のことを色々真剣に考えてくれてるんですね。今の俺にはその思いに応えられるだけのものは持ってないですけど、必ずその思いに応えられるようにします。
 ふと晶子を見ると、その横顔は感動に溢れている。晶子もマスターと潤子さんの思いに共鳴したんだろう。たかが、と言っちゃ何だが自分達の店のバイトの身である俺と晶子のことを真剣に考えてくれている。俺より感受性の強い晶子がそのことを知って心を揺り動かされない筈がない。

そろそろ閉めるか?
ええ、そうですね。

雨上がりの午後 第792回

written by Moonstone

 ・・・今は・・・まだそれだけの固く強いものになっていないような気がする。こんなことじゃいけないことは分かってるつもりだ。来年にはもう、自分が進む道を決めなきゃならない時期に差し掛かるだろう。

2002/4/19

[大きなお世話]
 私がこのお話をしている時は大抵ラジオの音声が流れているんですが、そのCMの中で公共広告機構(AC)が流すものはどうにも大きなお世話だ、と思わせる押し付けがましいものが多いように思います。その典型的な例が「臓器提供意思表示カード携帯の呼びかけ」。「貴方の意思を携帯してください」だあ?あんなカードなんて幾らで偽造できるから、救急病院で担ぎ込まれたら、集中治療室という密室で「脳死」にされて、臓器を根こそぎ持っていかれる可能姓だってあるというのに(それだけ臓器移植ネットワークが信用ならない)、そんな物騒なもの持って歩け、と言うのはそれこそ「大きなお世話」です。
 あと「ものの未来を決めるのは人間です」っていう、ゴミ減量の呼びかけ。ややこしい分別収集を押し付けたばかりか、ゴミを減らせ、と一般市民に呼びかけるなんて筋が違うも良いところ。産業廃棄物やその処分過程で出る有害物質が野ざらしにされている現状を批判しないで、まるで一般市民に全責任があると言わんばかりのCMには腹が立つこと頻りです。
 そもそもこの公共広告機構とやら、誰がどういう目的で設立して運営している組織なんでしょう?政府に成り代わって「模範的国民」の育成に寄与する、なんて大層な理想でもあるんでしょうか?何にせよ、そんな組織の言うことなど「大きなお世話」でしかありません。
そう言えば以前、晶子と恋愛ものの映画を見に行ったな・・・。あれにもラストの方で愛し合った二人が朝を迎えるシーンがあったけど、こっちの方がよりリアルだ。何と言っても本当の夫婦だからな・・・。

「・・・こんなこと言っちゃ、いけないってことは分かってるけど・・・。」
「子どもが作れたら良いな、って言うのか?」
「・・・ええ。子どもを作らないってことは貴方と一緒にお店を始めることにした時に決めたことだし、今更前言撤回なんていうつもりもないわ。お店どころの話じゃなくなるって分かってるから。だけど・・・貴方とどんなに愛し合えてもその結晶が作れないのは・・・ちょっと寂しいな、って。」
「男と女の違いかな・・・。生ませる側にとっちゃ、生む側の心理が分かっているつもりでも核心までは掴めないものなのかもしれない。」
「これだけは誤解しないで。私は親に勘当されてまでも貴方と一緒になったことを少しも後悔してない。一緒に夢だった私達のお店を作ることと引き換えに子どもを作らないって決めたことも後悔してない。ただ・・・ちょっと我が侭を言ってみたくなっただけ。」
「俺だって、お前との子どもを見たいっていう気持ちはあるさ。普通の夫婦なら、そう思っても不思議じゃないんじゃないか?」
「ええ・・・。」

 そうか・・・。マスターと潤子さんの間にはそんな取り決めがあったのか。それにしても、潤子さんが親に勘当されてたなんて初めて知った。そうまでされてでもマスターと一緒になりたかったんだな・・・。それだけ深く、強く愛してた、否、愛してるだな・・・。俺も晶子とそんな強い絆を持ちたい。
 俺の場合、俺が音楽の道に進むと言ったら、親は何て言うだろう?そんな明日の我が身も分からない道を進むな、って強く止めるだろうな。それを押し切ってでも、場合によっては勘当されてでもその道を進む程の覚悟は、俺にはあるだろうか?それは晶子の人生をも左右することになる。それだけの覚悟が今の俺にはあるだろうか?

雨上がりの午後 第791回

written by Moonstone

 マスターの手に頬擦りしていた潤子さんが、如何にも幸せに浸りきっているという風にうっすらと目を開けてマスターを見る。本当にドラマや映画のワンシーンを思わせる構図だ。

2002/4/18

[今、日本国憲法存亡の危機!]
 去る4月16日、政府与党は戦時国家体制作りのための法律である有事法制三法案を閣議決定、昨日衆議院に提出しました。以前にも述べたように、有事法制は「日本が武力攻撃を受けた場合に必要」「不審船やテロに対応する為」などともっともらしい口実を並べていますが、実際はアメリカ軍とそれに付き従って行動する自衛隊が「円滑且つ効果的に」活動できるように公共施設や団体を動員し、国民に罰則付きで協力義務を負わせるという、日本国憲法並びに第9条の戦争放棄の精神に真っ向から背く法律です。
 およそ日本に武力攻撃を仕掛けてくる敵など考えられないと政府自身が認めているにも関わらずこんな無茶苦茶な法案が出てきた背景には、テロ対処を口実にアジアへの介入、侵略を行おうとするアメリカの意向と、「周辺事態法」でアメリカ軍に付き従う自衛隊が武力攻撃を受けると予測される辞退に至ったと主権者である国民ではなく首相が判断した場合に、自衛隊を遠慮なく「反撃」させたいという、与党三党の他、民主党の自民党系列議員、自由党などの右翼軍国主義集団の長年の野望があります。もはや公明党は「平和の党」の看板を完全に投げ捨てました。
 リスナーの皆さん、日本国憲法に真っ向から背くこの法律を許してはなりません。有事とやらの際に前線に放り込まれるのは政府与党や推進勢力ではなく、一般市民であるということを肝に銘じてください。この悪法の成立阻止に向けて、有事立法反対、アメリカ覇権主義を許すな、の声を今こそ大きくしましょう!この問題には思想信条は関係ありません。戦争に協力しない者が犯罪者とされるという、日本国憲法に真っ向から背く有事法制を許さない。この一点で共同し、政府与党をはじめとする右翼軍国主義の潮流を阻止しましょう!
流石に良く見えるようになったが、音を立てて気付かれたら大変なことになるだろう。あくまでも注意深く、慎重に慎重を重ねて向こう側の様子を窺う。それで俺は思わず声を上げそうになって、慌てて口を押さえる。
 布団の近くにはマスターが着ていた服と潤子さんが着ていた浴衣が乱雑に脱ぎ捨てられていて、胸の中程まで−勿論素肌が見えている−掛け布団を被ったマスターの左肩口を枕にして、潤子さんが素肌剥き出しの二の腕をマスターの胸に抱きつくように乗せて眠っている。仲睦まじい夫婦を絵に描いたような様子だ。「激戦」の後は仲良くお休み、ってことか・・・。全く見せ付けてくれる。
 俺が晶子に目配せして襖を閉めようとした時、潤子さんがもぞもぞと動いてマスターの肩から体を起こす。晶子と同じくポニーテールを解いた長い黒髪が、素肌が見えるはずの首から胸を覆い隠す。その穏やかな目と笑みは、眠っているマスターに向けられている。ドラマのワンシーンを思わせる。

「あなた。そろそろ起きて。」

 潤子さんが愛しげに言うと、マスターがうーん、という深呼吸か鼾(いびき)か分からない声を上げてから目を開ける。そして潤子さんの方を向く。潤子さんは穏やかな笑みを崩さない。

「もう朝か・・・。早いな。」
「なかなか寝させてくれなかったのは、一体誰よ。」
「お互い様だろ?」
「んもう。私が疲れて動けないのを良いことにしたい放題したくせに。」

 潤子さんが少しむくれる。潤子さんのこんな表情を見るのは初めてだ。夫婦だからこそ表れる、見せる表情なのかもしれない。そう思うと何だか二人が羨ましくて、こっちまでほのぼのした気分にさせられる。
 マスターが笑みを浮かべながら潤子さんの頬に手を伸ばす。潤子さんは目を閉じてその手にうっとりとした表情で頬擦りする。こんな表情も見たことがない。誰の手にも届かないほど深く愛し合っていることがこれでもか、というくらい伝わってくる。普段は夫婦らしいところを見せない二人だけど、店を離れて二人きりになっている今、夫婦の絆を満喫しているのかもしれない。・・・そうすると、こうして襖の隙間から覗き見していることが悪いことをしているように思えるな・・・。

雨上がりの午後 第790回

written by Moonstone

 俺の下側に潜り込むようにして覗き込んでいた晶子が小声で言う。もう少し開けないと部屋の様子は見えそうにない。俺はもう一度襖に手をかけて、蝸牛(かたつむり)が動くのと大差ない速さで、襖の隙間を目全体が入る分まで拡張する。

2002/4/17

[色々試してみるものです]
 依然終了しない厄介な仕事があるんですが、その原因は「電源をONにして2分くらいすると電源電圧が発振(ある周波数で一定の波形を繰り返すこと)するという、原因不明のバグがあったからです。当初は今回導入したCPLDが(動作書き換え可能な素子)悪さをしているのか、と思っていたんですが、CPLDがあるだけで電源電圧が発振するなんてありえないので、余計にわけが分からず放置していたんです。
 それが昨日、ふと「電源そのものはどうなんだろう?」と思って、機器内部の電源を切り離して外部の電源を繋げてみたら・・・全く発振しない!そこでその外部電源と同じ電源回路を作って機器内部の電源回路と切り替えて試してみたら、やっぱり発振しない!で、CPLD以外のICを一斉に組み込んで電源をONにすると、2、3分後に電源電圧が不安定になりました。・・・これで原因は判明しました。電源の電流が足りなかったんです。
 CPLDは実は以外に電流を食うICでして、元々の電源回路で取り出せる電流では不足していたようなんです。本来は大目の電流が取り出せる回路なんですが、使っている電源ICが電流をあまり出せないタイプらしいのと、トランスから(電圧を変化させるもの)取り出せる電流が0.5Aでは足りないのが問題のようです。で、トランスを発注。そういえば、電源ICも発注しなきゃな・・・。

「面白そうだな・・・。よし、覗いてみようか。」
「やっぱり祐司さんも興味あるんですね。」
「何と言っても、昨日の俺と晶子の火付け役だからな。」

 俺がそう言うと、晶子はぼっと頬を赤らめる。夜の自分の乱れ具合を思い出したんだろうか?あの時はお互い頭のブレーカーがぶっ飛んでいたから、隣ほどではないにしてもかなり大胆な行動に出た。頭が冷えた今思い出すと、やっぱり何とも言い難いものがあるんだろう。俺だってそうだしな・・・。
 晶子は頬を赤くしたまま俺から離れて、さっさと浴衣を調えると音を立てないように四つん這いになって襖の方へ向かう。俺もそれに倣って、出来るだけ音を立てないように襖へと向かう。果てさて、どうなっているやら・・・。俺の頭の中で様々な状況が浮かんでは消える。妄想機能は早くも機能全開らしい。男って生き物はこういうことに敏感なんだが、女の方も結構敏感なようだ。隣の様子を覗いてみようと言い出した晶子もそうだが、宮城も二人きりの時には結構大胆なことを言ったりしたっけ・・・。
 俺と晶子は襖にそっと耳を当てて、向こう側の様子を伺う。音は何も聞こえてこない。まあ、夜のあの音が朝っぱらから聞こえてきたら、あの二人の頭の中を疑わざるを得ないが。
 音が聞こえてこないことを確認して、俺は晶子と顔を見合わせて小さく同時に頷く。これからすることは只一つ。向こう側の様子を覗き見ることだ。襖が閉じられた場所に近い俺は、念のためと逸る自分の心を静めるために人差し指を唇の前に立てる。晶子は真剣そのものの表情で小さく頷く。
 俺は心臓がバクバクいうのを感じながら、音を立てないように襖をほんの少し、黒目の部分が入るくらい開ける。そして緊張で生唾を飲んで、出来た襖の隙間から向こう側を覗いて見る。だが、隙間が狭過ぎてはっきり見えない。布団があって、それが盛り上がっていることくらいは分かるんだが・・・。

よく見えないですね。

雨上がりの午後 第789回

written by Moonstone

 晶子が小声で大胆なことを言い出す。聞いた瞬間は確かに俺は驚いたが、襖の向こうがどんな状態なのか、興味が膨らんでくる。裸でぴったりくっついて寝てるか?意外と一線終えた後で服を着て、何事もなかったかのように寝ているかもしれない。

2002/4/16

[隊長!もう残り僅かです!]
 「祭」が折り返し地点に達したということで、背景写真を桜から八重桜に変更したんですが、如何でしょう?桜の時より派手になったような気がするんですが、まあ良いでしょう(笑)。
 さて、この日記と同時に掲載すること今日で788回を数える「雨上がりの午後」。これが1日1日書き下ろしているわけではなくて(一時はそういう時期もありましたが)、予め書き溜めておいたファイルからコピー&ペーストしていることは前にもお話しましたが、その書き溜めの残量がかなり減少してきました。ここ最近、平日でも疲れて居眠りしてしまい、更新直前に慌てて準備するということが続いてますし、定期更新の作品を制作する週末はそれどころじゃないですからね。この分だとあと10回くらいで底をついてしまいそうです(汗)。
 書き溜めと言えども作品には違いないですから、書くのにそれなりの時間を要します。まとまった時間が平日に取れれば良いんですがそうはいかないのが現実ですし・・・。シャットダウン以外毎日更新を続けてきただけに、それを途絶えさせないように何とかしたいと思います。
すると晶子は俺の首に回していた右手を俺の首と布団の隙間から取り出して、右側、左側の順で髪を背中に回す。左手は俺の首に回ったままだから、至近距離で雌豹が獲物を押さえつけたような悠然とした光景を見たような気がする。

「・・・おはよう、晶子。」
「おはようございます、祐司さん。」

 こんな至近距離で交わす朝の挨拶というのは、心をざわめかせる。夜の出来事が鮮明に思い出されて、身体が熱くなってくる。もう一度晶子を抱き締めて態勢を反転させたい衝動に駆られる。だがどうにかそれを抑える。朝っぱらから夜みたいなことをしたら絶対にマスターと潤子さんに突っ込まれる。
 マスターと潤子さんと言えば・・・昨日襖一枚挟んだ向こう側で随分大胆に一戦交えていたが、今は全く物音は聞こえてこない。まだ寝てるんだろうか?まあ、あれだけ派手にやったら朝の訪れにも気付かずにぐっすり熟睡、というのも無理はあるまい。朝食は確か8時だったっけ。今何時だろう?

「晶子。今何時か分かるか?」
「えっと・・・ちょっと待って下さいね。」

 晶子は身体をもぞもぞと前にずらしていく。恐らく枕元においておいた俺の腕時計を見るためなんだろうけど、こうやって密着した状態で動かれると・・・その・・・何と言うか、はっきり分かるんだよな。晶子の身体の凹凸が・・・。

「・・・7時半をちょっと過ぎたところですね。」
「まだ時間はあるな・・・。隣は戦いに疲れてぐっすりお休みってところか?」
「多分そうですよ。・・・ねえ、祐司さん。ちょっと覗いてみませんか?」

雨上がりの午後 第788回

written by Moonstone

 このままずっとこうしていられたら、と思っていたら、晶子の唇が俺の頬から離れる。それから少しして晶子がむくっと体を起こす。乱れた髪が頬を覆い隠していて、何だか幽霊を思わせる。

2002/4/15

[「祭」は折り返し地点です]
 4月第2回目の定期更新のこの日が、丁度「祭」の折り返し地点となりました。偶然にせよ、なかなか良い区切りですね。明日、ちょっとした更新を行う予定ですのでお楽しみに♪まあ、本当にちょっとしたことですけどね。
 折り返し地点に達した今日現在、投稿は未だゼロです。うーん、取って食われるわけじゃないんですから、気軽に投稿していただければ出来るだけ早急に(定期更新を待たずに)公開するつもりなんですが・・・。あまり構えないで気軽に投稿して欲しいと思います。
 で、私の方はもっと作品を公開したかったんですが、構想がいまいちしっかり纏まらなかったのと、土曜日に寝るのが遅かったのが響いて例によって例の如くまともに動けず、辛うじて3グループ更新となりました。その代わりといっては何ですが、次回定期更新前に小規模の更新を断続的に行うつもりです。ですので毎日チェックしてくださいませ。
こうして晶子を抱きしめることで柔らかさと温もりを感じられることがどんなに幸せなことか・・・。頭のブレーカーが吹っ飛んで逆上せ上がった思考回路に任せて大きな一線を超えなくて良かった・・・。

 俺の意識が闇から浮かび上がってくる。目の前が徐々に黒から白に変わり、そして木目模様がある天井へと変わる。身体が妙に思いと思ったら、晶子が俺の上で俺の首に両腕を回したまま眠っている。すーすーという規則的な寝息が耳に入ってくる。
 俺はというと、やはり晶子の身体を抱き締めたままだ。抱き合ったまま寝てしまったってわけか・・・。こんな形で二人の朝を迎えるのは勿論初めてだ。ちょっとした気恥ずかしさと共に嬉しさと幸せな気分が込み上がって来る。
 幾ら何でも俺が身体を動かして晶子を起こすのは気が引ける。このまま晶子が目を覚ますまでじっとしていることにするかな・・・。その方が俺としても良い感触が味わえて嬉しいし。
 波の音は殆ど聞こえてこない。夜が明けて人や動物が動き始めると、自然の音は案外あっさりかき消されてしまうものらしい。そう言えば、普段目覚ましの喧騒でようやく目を覚ます俺が自然に目を覚ますなんて滅多にないことだ。でも晶子と一緒に居るときは割と自然に目が覚めることが多いような気がする。「晶子効果」ってやつかな?

「ん・・・。」

 晶子が小さい寝言と共に首を動かす。自然と晶子の唇が俺の頬に触れる。思わぬ「プレゼント」に俺の胸が高鳴る。夜にあれだけ激しいことをしたっていうのに、夜が明けたら頬への偶然のキスだけでこんなにドキドキするなんて・・・。

雨上がりの午後 第787回

written by Moonstone

 晶子の嬉しい、幸せな気分にしてくれる言葉を聞きながら、俺は晶子の背中にそっと手を回し、きゅっと抱き締める。俺と晶子は暗闇の中でただ抱き合う。それだけで俺は充分幸せだ。

2002/4/14

[遅くなりました(汗)]
 ちょっと一休み、のつもりが熟睡に変わってしまい、またまた寝過ごしてしまいました(爆)。もう今日は普段の更新時刻を過ぎちゃってますので、先延ばしにしてきたこと、即ち「雇用確保の名目でベアゼロ回答を受け入れるのは何故問題か」ということについてお話しようと思います。
 雇用者側は一言目、二言目には赤字決算を理由にしますが、これらは雇用者側の都合か偽装されたものです。どういうことか?一つはリストラという名の首切り、転籍強要で生じた費用が(退職金などを大量に支払う為)かさんで赤字になるのを前倒しにする、言わば「自業自得型」。もう一つは儲かっているのに更に儲けを確保しようという、言わば「出し惜しみ型」があります。特に大企業ではこの両方が重なっていて、「儲けているのに出さない、さらに『リストラ費用』で累積した赤字を前倒しで計上して経営危機だと騒ぎ立てる」という悪質な詐欺まがいの口実に過ぎないのです。実際、大企業の貯め込み、所謂内部留保はこの不況下でも着実に増加しています。
 商業マスコミはそれにまんまと騙されて「リストラ、ベアゼロ止む無し」という論調を張り、それが雇用者側、とりわけ大企業やその株主に(持ち株会社はとりわけその傾向が強い。株だけで出来てる企業ですから)都合の良い風向きにされ、それに抵抗する労働組合運動を敵視する風潮が形成されてしまうのです。ですから、先の大手ページが正当な労働組合活動であるストライキをあたかも時代錯誤的且つ否定的に捉える発言をこの場で批判したわけです。これらの内容は早いうちに整理して、そのページの管理人様に抗議文としてメールを送るつもりです。

「したくないって言えば嘘になる。一線を超えることを全然意識しなかった。でも・・・晶子の変化で俺は、晶子がまだ完全に全てを許す気になってないと思った・・・。」
「・・・。」
「隣の部屋の生々しい物音を聞いた後で晶子が俺の布団に潜り込んできたから、その時点で俺は晶子がその気だと思い込んだ。俺はその気になってやりたい放題やった。だけど、晶子の足の付け根に俺の手が近付いた時、晶子の反応が変わった。緊張してるんじゃなくて、まだ心の準備が出来てない、って言ってるように思った・・・。」
「祐司さん・・・。」

 俺は晶子の方に顔を向ける。晶子は右半身を下にするように身体を起こして俺の方を向いていた。

「勢いだけで進んだら・・・それだけの関係になっちまいそうな気がするんだ・・・。時間をおけば良いとは言わないけど、俺も晶子も完全に全てを曝け出す気持ちが出来てからの方が良いと思うんだ・・・。そのために時間がかかっても構わない。かかっても変じゃないと思う・・・。」
「・・・。」
「晶子が抵抗しないのを良いことにしたい放題して来たのに急に抵抗されて、気分を壊されたから嫌になって止めたんじゃない、ってことだけは・・・信じて欲しい。」
「・・・一つだけ聞いても良いですか?」
「ん?」
「私のこと・・・どう思ってますか?」

 晶子の少し不安げな問いかけに、俺は思ったままを答えにする。

「愛してる・・・。」

 晶子の目が潤み、嬉しそうに顔が綻(ほころ)ぶ。そして俺に覆い被さるように抱きついて、首に両腕を回して強く抱き寄せる。

「私も・・・愛してます・・・。」

雨上がりの午後 第786回

written by Moonstone

 俺は無言で晶子の浴衣を出来るだけ直して、晶子の身体の上から脇に退いて仰向けになる。耳に再び襖の向こうから聞こえる物音と微かな波の音が聞こえて来る。

2002/4/13

[昨日の続き・・・といきたいところですが]
 私が寝過ごしてしまって更新時間に間に合いそうもないので、明日に延期させていただきます。期待していた方(居るのか?)御免なさい。今日は昨日の私の仕事についてお話します。
 4/9でお話した時に登場した国外の職員に依頼された回路基板を作り、配線作業を行いました。今回の回路基板は今まで作ってきた中で最小(縦25.4mm、横70.8mm・・・だったと思う)。そこに10×2ピンコネクタ、2×1ピンコネクタ、4×2ピンのコネクタ、そして3つのICが犇(ひし)めき合うというもので、機械加工による配線は(普通は超小型ドリルで配線の周囲に溝を掘ることで配線を形成する)電源ライン以外はとても無理。というわけで、太さ1mmくらいのビニル皮膜線を使って手で一つ一つ配線しました。
 回路は簡単なので失敗したらみっともない、というプレッシャーもありましたが3時間ほどで何とか完成。見た目にも注意して雑になったり基板から垂れ下がったりしないようにしました。で、昨日早速引き渡してチェックしてもらったところ一発OK!このところ仕事で行き詰まりが多かっただけに、関連書類を書く時は良い気分でした。この調子で他の仕事も進められたら、と思います。
俺と晶子の口は全開状態で、首を傾けて互いの口を横断するように重ね合わせている。舌を絡めるキスの時は必然的に口を開くが、ここまで大きく広げたことはなかったと思う。俺は勿論、晶子の頭のブレーカーも吹っ飛んだようだ。
 俺は右手をゆっくりと下半身の方へ動かしていき、もぞもぞとあるものを探す。ことがこんなに進んだら迷うことはない。胸の次に触りたい場所、太腿を探す。昼間見た時ほっそりしていた足は、それだけ無駄な肉がなくて引き締まっているっていう証拠だ。昼間の水着姿を思い浮かべると、俺の頭の中は極限まで熱くなる。早く触りたくて仕方がない。
 暫く宙をさまよった俺の右手に、滑らかな感触が伝わる。これだ!俺は掌全体を晶子の太腿の内側にくっつける。その瞬間、胸に触ったときのように晶子がびくんと身体をばねのように一度大きく動かす。俺はゆっくりと晶子の太腿を撫でる。晶子は身を何度も捩り、限界を思わせるほど呼吸を荒くする。
 俺は躊躇することなく手をじわじわと下へ向けて動かしていく。すると晶子の身体の動きが止まり、呼吸が荒っぽく投げ放っては取り込むようなものからん、んん、という声を伴うパルスのようなものに変わる。目を開けて見ると、晶子の眉間に皺が刻まれている。身体からはさっきまでの全てを曝け出すような開放的な脱力感が消え、硬直して微かに震えているのが分かる。両足が俺の身体をより強く挟み込む。
 それらを見聞きし、そして感じた俺の頭から、すうっと熱さが消えていく。俺は晶子の太腿から手を離し、両手を晶子の身体の横に置いて腕立て伏せのように身体を持ち上げて晶子から口を離す。晶子の身体の硬直と足に込められた力が消えて、弾力を取り戻す。晶子がゆっくり目を開けて俺を見据える。

「どうして・・・止めちゃうんですか・・・?」
「まだ早い・・・。晶子の身体がそう言ってた・・・。俺も・・・そう思った。」

 俺は身体を起こす。敷布団が捲れて晶子の状態が薄明かりの中に浮かび上がる。長い髪が敷布団に広がり、浴衣は乱れに乱れて胸の谷間は勿論、両側にある膨らみの一部が見える。下半身の方に目を向ければ、裾が完全に捲くれ上がって足と下着が剥き出しになっている。

雨上がりの午後 第785回

written by Moonstone

 俺は晶子の浴衣から左手をゆっくり引き抜き、晶子との深く濃厚なキスに専念する。互いの舌が絡み合い、互いの口の中を這い回り、互いの舌を吸う。

2002/4/12

[ちょっと気が引けますが・・・]
 某大手ページの(こことは比較にならない御来場者数を誇るという意味)日記に相当するコンテンツで、鉄道ストライキのことが書かれていました。それ自体は別に何ということもないのですが、私が気になったのは、そのストライキについて雇用確保のためにベアゼロ回答が当たり前のこのご時世に、と否定的な立場で書かれていたことです。
 ストライキは労働三権の(団結権、団体行動権、団体交渉権)一つであると同時に、雇用者に対する明確な意思表示であり、むしろ労働組合が正常に機能している証拠として歓迎されこそされ、批判されることはないと思います。最近の労働組合が雇用確保の名を借りたベアゼロ回答をすんなり受け入れたことに代表されるように頼りない、雇用者に都合の良い腑抜けた組合になっていることこそ批判されるべきです。
 雇用確保の名目でベアゼロ回答を受け入れることの何が問題かということについては明日にでもお話するとして、そのページでの日記に代表されるように、労働組合の行動を否定的に捉える向きが多いのは大問題です。それが雇用者、とりわけ大企業に都合の良い風向きを作ることに繋がっているのですから(マスコミ自身が安穏としていて広告主である雇用者サイドから記事を書くのも問題なんですが)。そのページはこのページとは比較にならないご来場者数を誇り、それだけ影響力も強いのですから、もう少し問題を掘り下げて述べて欲しいところです。他所様のページの内容を批判するのは気が引けるんですが、人間が部品のように、否、部品以下に粗末にされている現状ゆえ、あえてお話した次第です。
俺はこのまま浴衣の隙間に手を突っ込んで良いものかどうか迷って手を止める。あの独特の感触をこの手でじかに味わってみたいのは山々だが、晶子が嫌がるかもしれないし・・・。

「さ、触って・・・良い・・・ですよ・・・。」

 速くて荒い呼吸の中に晶子の無声音が混じってくる。俺は少し躊躇したが、思い切って浴衣の隙間に手を突っ込み、左側の膨らみを手で覆うように触れる。その瞬間、晶子の身体がびくんと反応する。普段胸に触れるときにはこれほど敏感な反応はしないのに・・・。それだけ興奮してるってことか?
 俺は手で晶子の胸を揉み解(ほぐ)す。自由自在に変形するその膨らみは思った以上に豊満で、俺の片手だけだと全体を掴みきれない。晶子の呼吸はより速く荒くなる。俺は晶子の胸の感触を堪能しつつ、首筋に付けた唇の動きを再開させる。二重の「攻め」が相乗効果を発揮したのか、晶子は身体をもぞもぞと動かしながら小さな喘ぎ声を上げる。その声を聞いていると俺は益々興奮してくる。もう頭のブレーカーが吹っ飛んだような感じだ。
 俺は唇を晶子の左の首筋から下顎から喉もとの辺り、そして右側の首筋へとゆっくり唇を這わしていく。途中からそれに舌を加える。晶子は俺の動きに従順に首を動かす。速くて荒い呼吸音は変わらない。
 唇を動かすことで疎かになっていた手の動きをより速く、そして少し力を加える。本当に柔らかい。それに凄く滑らかで・・・。服を通してではない、掌に直に伝わってくるそれらの感触を存分に堪能する。初めて触れる、晶子の手以外の素肌はきめ細やかで、絹の手触りよりずっと滑らかだ。
 俺は存分に晶子の胸の感触を味わった右手を引き抜くと、続いて左手を浴衣の隙間に差し込んで反対側の膨らみを掴む。俺は晶子の首筋から唇を離して晶子の唇を覆う。そして迷うことなく舌を差し出す。晶子の唇は待ちきれないと言わんばかりに、俺の唇が触れるとほぼ同時に開いて俺の舌を受け入れ、少しの間、俺がしたい放題にさせてから舌を絡めてくる。
 晶子の口の中で舌を濃密に絡ませながら、俺は晶子の胸をゆっくり、そしてじっくり掴んで彼方此方に動かす。晶子の鼻息が一層荒くなり、身体を何度も細かく捩(よじ)る。手が動くことで動きが鈍くなった俺の舌に、蔦のようにしっかり絡み付いて強く吸う。多少痛みを感じるが、それが一層俺の頭を熱く沸騰させる。

雨上がりの午後 第784回

written by Moonstone

 唇を晶子の首筋に付けたまま、俺は右手を晶子の浴衣の隙間へと動かす。汗を吸い込んで柔らかくなった布の感触の他に、滑らかで緩やかな凹凸のある感触を感じる。これって・・・胸だよな。

2002/4/11

[「平和の党」の看板はどうした?!公明党!]
 このページのトップでも反対を明記していて前にもお話したとおり、現在の国会に上程されようとしている有事法制は、「日本が武力攻撃された場合」という、政府自身が考えられないというおよそ考えられないことを口実にして、アメリカが「対テロ戦争」を口実にアジアの国に介入、侵略戦争を仕掛けた時、それに周辺事態法や参戦法で(対テロ特別措置法)協力している自衛隊が「武力攻撃を受ける恐れがある」と国民ではなく首相が判断した場合、日本国民を罰則付きで戦争に加担させるというものです。
 有事法制はNHKやNTTなど公共機関を総動員するのはもとより、物資の保管命令や陣地構築の為の土地の強制収用を拒否した場合などには罰則を科し、国民の基本的人権も「適切に制限」するという、戦争に協力しない者を犯罪者とする、戦争放棄を謳った憲法を完全否定する法律です。しかし、これまで「平和、福祉の党」を看板にしてきた公明党は、この法案に反対する姿勢を全く見せません。公明党に問います。何故反対しないのですか?そこまでして与党で居たいのですか?
 既に「福祉の党」という看板は、国民の医療費窓口負担を3割にすることをはじめとする一連の医療制度改悪に反対するどころか、それに関係する省庁の最高幹部である厚生労働相が公明党の議員だったりするところで完全に剥げ落ちています。そして今、「平和の党」という看板まで剥げ落ちようとしています。有権者、とは言っても大半は創価学会の組織票でしょうが、それを戦争に動員しようという憲法否定の法律に反対しないのなら、「平和の党」の看板を即刻返上し、自民、保守などと同様、右翼国家主義団体であることを内外に宣言すべきではないでしょうか?

「し、仕方ないだろ。あんな物音聞いた後なんだから。」
「でも、それは自然な反応ですよ。私も・・・何だか身体が熱い・・・。」
「・・・。」
「浴衣って・・・着崩れしやすいんですよね・・・。」
「・・・それがどうしたんだよ。」
「去年のクリスマスコンサートの音合わせでお店に泊まらせて貰った時、私が聞いたの物音もあんな感じだったんですよ。ベッドがぎしぎし言う音も混じってましたけど。」
「そりゃ、目も覚めるわな。」
「収まりそうにないから祐司さんの部屋へ避難することにした時は凄くドキドキして訳が分からないほどだったんですけど・・・一方で羨ましいなぁ、って思って・・・。自分を全部曝け出して愛し合えることが・・・。」
「・・・言っとくけど、俺も一応男なんだからな。」
「分かってます・・・。そうじゃなかったら・・・布団に潜り込んだりしませんよ・・・。」

 俺の頭の中で何かが弾ける。俺は身体を回転させると同時に晶子の背中に手を回して態勢を入れ替える。布団の端の方で俺が晶子の上に覆い被さったような状態になる。鼻先が触れ合うほどの距離で俺と晶子は見詰め合う。意識が急速に晶子に集約されていく。襖の向こうから聞こえる物音や窓の向こうから微かに聞こえる波の音は聞こえなくなり、代わりに晶子の早くて浅い呼吸音が聞こえて来る。
 晶子の両腕が俺の背中に回る。それと同時に俺は晶子との距離をゼロにする。唇に感じる柔らかい感触がすぐさま別の柔らかさと熱さを伴うものに代わる。俺は口を開いて晶子の下を受け入れる。
 一頻り互いの口の中で舌を絡ませて吸い合った後、ぷはっという音と共に口を離す。速度は速いまま、勢いが荒くなった俺と晶子の呼吸音が入り乱れる。晶子は目を閉じたまま足を動かし、俺は身体を挟み込まれた態勢になったのを感じる。俺の下半身と晶子の下半身が薄い布を通して触れ合っていることになる。そう感じると、俺は益々呼吸が荒くなってくる。
 俺は晶子の左の首筋に唇を押し付ける。はあ、という音が聞こえる。甘酸っぱい匂いと石鹸の香りが交じり合った何とも言えない良い匂いがする晶子の首筋に、俺は唇を這わせる。そして晶子の背中から腕を離し、晶子の両脇に置く。晶子は何一つ抵抗することなく、ただ速くて荒い呼吸音を繰り返すだけだ。
 俺は一旦晶子の首筋から唇を離すと、晶子の身体をじりじりと布団の真中辺りに持っていく。丁度晶子の頭が枕の上に乗る位置だ。そこで再び晶子の左の首筋に唇を這わせる。俺の背中に回っている晶子の手が何かを弄(まさぐ)るかのように動き、時にぐいっと俺を抱き寄せる。胸の感触がよりリアルに伝わってくる。もしかして・・・浴衣が乱れてるんじゃないか?

雨上がりの午後 第783回

written by Moonstone

「・・・祐司さん、興奮してますね?」

 晶子が顔を上げて囁くように尋ねる。

2002/4/10

[これは・・・どうかなぁ・・・?]
 えー、昨日と今日の連載はかなり際どい音声が続いております(汗)。今日の分なんて特に凄い(大汗)。これ、書いた後に読み返して果たしてこのまま載せても良いものか、と結構真剣に考えたんですが、この後に続くシーンへの繋ぎになるので、そのまま公開に踏み切りました。直接的な描写でないからまあオッケーでしょう。でも、直接的な描写よりこういう音声だけの描写の方が、より刺激が強いような気がするんですが・・・(^^;)。私の気のせい?
 ディープキスのシーンは何度も書いてきましたが、殆ど照れくさく思うことなく淡々と書けたんです。勿論読者の方が感情移入できるように(笑)表現を色々捻ったりしたんですが、所詮文章の上でのことだな、という思いから抜け出ることが出来なかったように思います。それがただ音と台詞を連ねただけの昨日今日のシーンだと、特に細工をしなくてもドキドキするものになるんですよね。
 それを踏まえると、読者を作品の世界に引き込むには文章の表現も勿論大事ですが、台詞や音が大きなウェイトを占めると言えますね。台詞や音にはその時の人やものの動きや心情を反映するものがありますから、これから書き進めていく上でも疎かには出来ないですね。
うん、ん、ん、ん、ん、ん、うくっ!
あ、あ、ああ、あ、あ、あっ、んああっ!
・・・ん・・・。
・・・ああ、はあ、はあ、はあ・・・。も、もっと・・・。
これからだぞ・・・。本番は・・・。

 かさっ、ずずっ・・・

もっと高く・・・。

 かさかさっ・・・

こ、こう?
そうそう・・・。いいぞ・・・ん!
!くはぁっ!あ、ああ、あ、あ、ああ・・・。
うん、くっ、くっ、ん、ん・・・。
 パン、パン、パン、パン、パン・・・

 ・・・あーっ!このまま聞いてたらこっちまでその気になっちまう!無視してとっとと寝るのが賢明だ。俺は四つん這いになって自分の布団に戻って頭まで掛け布団を被る。こうすりゃどうにか音は・・・一部聞こえてくるが許容範囲内だ。落ち着け、落ち着け・・・。波の音の方に神経を集中するんだ・・・。
 少ししてようやく心が静まりかけた時、俺の掛け布団が捲られて何かが侵入してくる。晶子!今は入ってくるな!俺が何しでかすか分からないんだから!だが、そうは思っても言葉が出ない。静まりかけていた心が再び激しく揺れ動き始め、無意識のうちに呼吸が荒くなってくる。俺は呼吸を鎮めようとするのが精一杯だ。
 だが、晶子はそんな俺の状況など知る由もなく、俺の肩口に頭を乗せて身体を寄せてくる。此処までは月曜日の夜と同じだ。しかし今日は足を絡めてきて、俺の左半身の上にうつ伏せになったような体勢になる。感づかれてしまっただろう。俺の下半身の一部があの物音にしっかり反応していることを・・・。

雨上がりの午後 第782回

written by Moonstone

あ・・・!はあっ、はあ、はあ、あはぁ、んふう・・・。
ん、ん、ん、ん、ん・・・。
 パン、パン、パン、パン、パン・・・

2002/4/9

[日本に来たなら日本語喋れ!]
 私の職場には国外からの職員が(入れ替わりが激しいですが)多いのです。国籍はそれこそ聞いてみないと分からないくらい色々で、一応英語が「公用語」となっています。
 でも私は思うんですが、日本人が国外に出たときはその国の言葉を喋らなければならないのに、何故日本に来た国外の人の言葉や「公用語」を使わなければならないんでしょうか?前々から疑問だったんですが、普段やれ愛国心だ、やれ日本語を見直せ、と声高に叫ぶ右翼国家主義連中が、何故この疑問を取り上げないんでしょうか?単に日の丸と君が代が大手を振って歩ければそれで良いとでも言うんでしょうか?所詮そんな連中の「愛国心」などその程度のものなんでしょう。
 昨日私が応対した国外の職員は(以前にも来た人物)日本語が全く通じないので、「公用語」で何とか応対したんですが細かい部分がなかなか通じず、結局その職員が所属するグループの人に通訳を頼む羽目になりました。私の「公用語」の能力が不足しているのは事実ですが、先にお話した日本人の悪弊を何とか変革しないといけないのではないでしょうか?「日本国」国民と言うのなら。
 晶子も声を潜める。その表情は当惑というか、期待と不安が交錯しているような感じだ。期待って・・・何考えてんだ、俺は。俺と晶子がそういう関係になるには時間をかけて段階を踏んで・・・って、そういう問題じゃない!俺は頭を強く何度か横に振って「邪念」を追い払う。

「明日もあることだし・・・寝るか。」
「ええ。」

 晶子からはさっきの俺の行動を問い質す言葉は出なかった。それに安心した俺は、電灯の紐を何度か引っ張って部屋の明かりを消す。一転して暗闇の世界になった部屋の中で、俺と晶子は布団に入って身を横たえる。疲労感がじわじわと頭を擡(もた)げてくる。このまま寝てしまえばそれで良い・・・。
 ・・・と思っていたら、何やら物音が聞こえて来た。晶子もそれに気付いたらしく、むくっと身体を起こして物音の方を向く。その物音は襖の方から聞こえて来る。俺は布団から出て音を立てないように襖に近付く。晶子もそれに続いて襖の直ぐ傍まで来る。物音は無声音と何かが蠢くような音で構成されている。

疲れたからって・・・そう簡単には・・・寝させないぞ・・・。
あ、は、はあ、はあ・・・。も、もっと・・・。
 ずずっ、もぞもぞ・・・
此処かな・・・?一番・・・感じる所は・・・。
ん、んん・・・くうっ、あ、はあ、くはっ、んくっ、はあ、そ、そこ・・・。

 お、おいおい・・・。まさかあの二人、襖一枚隔てたところに俺と晶子が居ることを忘れてやしないか?暗闇に慣れてきた目で晶子を見ると、晶子は襖に耳を向けて真剣な表情で聞き入っている。尚も途絶えることなく聞こえて来る物音を耳にして、俺は思わず生唾を飲み込んでしまう。

雨上がりの午後 第781回

written by Moonstone

「祐司さん。どうしたんですか?」
「ん?ああ、いや、何だか何時もと雰囲気が違うなって・・・。
私も・・・同じ思いです。

2002/4/8

[調子に乗っちゃいけません]
 土曜日、作品制作が無事終了したことで調子に乗ったのか、その後のネットサーフィンがA.M.4:00くらいまで延々と続き(他所様のページの掲示板への書き込みやこっちの掲示板のレスもありましたからね)、昨日(寝たのも昨日ですが)A.M.9:00頃目を覚ましたんですが起きる気がしなくて寝てしまい、朝食を摂る為に起きたのは結局A.M.11:00過ぎ。朝食を食べてもPCに向かう気は起こらないし頭がぼうっとするしで、それからP.M.7:00までベッドに転がってました。
 やっぱり身体はまだ回復してないことを実感しました。以前なら平気でPCに迎えたんですが、少なくともA.M.2:00には寝ないと翌朝からの行動に支障が出ることが実証されました。調子に乗ったのが失敗でした(反省)。
 それからこのお話をしている最中に京都府知事選挙の速報が流れたんですが・・・これほど痛い目に遭わされてもまだ「自民党」なんですかね?小泉「構造改革」の化けの皮が剥がれた今、抜本的な施政変革の絶好のチャンスだったのに・・・。もっと痛い目に遭わないと分からないんでしょうかね。日本人は。いい加減に戦前から受け継がれてきた思考を変えないと、また「何時か来た道」を歩むことになりますよ、本当に。
ちなみに最終地位は大富豪が晶子、富豪が潤子さん、俺が貧民で、マスターが大貧民。女性陣が勝って男性陣が負けた格好だ。こんなところでも女性が強い時代なんだろうか?
 それにしても今日は激戦だった。殆ど1回毎に目まぐるしく地位が入れ替わるなんてこのゲームじゃ珍しい。高校時代、バンド仲間と合宿した時に休憩がてらやった時は、大貧民に転落してから殆ど不動だったりすることが多くて、我が身の不幸を呪ったもんだ。大富豪からいきなり大貧民に転落、なんてこともあったし。
 マスターは全員のカードを纏めて角を床で整えて箱に仕舞う。白熱したゲームを反映してか、俺は汗だくになっている。晶子や潤子さんは揃ってポニーテールを解いて熱そうに襟元を前後に動かして換気している。・・・時々胸元が見えるんだけど・・・黙っておこう。浴衣って涼しいものかと思っていたけど、内側からの熱は対象外なんだろうか。

「朝食って何時でしたっけ?」
「8時だぞ。ふう、泳ぐより疲れたような気がするな・・・。」
「凄い激戦だったもの。疲れる筈よ。」
「それじゃ寝ましょうか。充分疲れたことですし。」
「そうしよう、そうしよう。お休み。」
「「お休みなさい。」」
「お休み。また明日ね。」

 俺と晶子が敷居を跨いで201号室の側に戻ると、潤子さんが襖を閉める。これで部屋は二つに分かれたわけだ。もっとも、襖一枚隔てただけじゃ分かれたことにならないような気がするが。
 さて・・・問題はここからだ。布団は2つ。だがご丁寧にもぴったりくっ付けて並べられている。多分、否、きっと晶子が俺の布団に潜りこんで来て、月曜日の夜と同じように俺の肩口を枕にして寝ようとするだろう。普段はさして気にならなくなったが、今日は場所も雰囲気も違う。和室に布団が2つ並べて敷かれていて、遠くに微かにだが波の音が聞こえる。新婚初夜を思わせる雰囲気に、俺は寝るか、の一言が言い出せない。

雨上がりの午後 第780回

written by Moonstone

「これで終わりにするか。もう12時超えたし。」

 マスターの「終了宣言」で俺は胸を撫で下ろす。2時間以上続いた大富豪。俺は最初のじゃんけん勝利が功を奏したのか、どうにか大貧民で終わることは免れた。

2002/4/7

[やっぱり疲れる〜]
 昨日は定期更新用の作品を執筆していたのですが、誤字脱字の訂正やら台詞の追加などで予定時間をオーバーしてしまい、結局1日1作品で終ってしまいました。以前みたいに徹夜とかすればもっと出来るんでしょうけど、今は身体がそれを許しませんからね〜。執筆スピードを上げないことには・・・。
 それに体力を使うの何の。どうにか1作品仕上げて、途中でストップしている作品制作の前に一休み、と思って横になったら1時間以上寝てしまって、このお話をするだけに終ってしまい、もう1作品、とはいきませんでした。ネットサーフィンしながら執筆するなんて器用なことは出来ませんからね。
 まあ、その甲斐あってか、書きたいシーンが書けて満足出来る作品が出来ました。今は[祭」期間中ですからさっさと公開するのも一つなんですが、この作品に関しては定期更新毎に1つ、としていこうと思います。どんなものかは、今度の定期更新をお楽しみに(^^)。うー、寝起きにいきなりお話すると、頭がふわふわしますね〜。今日も張り切っていこうっと。
「知ってますけど・・・、俺、滅茶苦茶弱いんですよね。」
「私の実家の方だと『大貧民』って言うんですよ。」
「ローカルでルールが違うからな・・・。今回はジョーカーを万能札(ふだ)にして、最高は2のカードで一番弱いのが3のカード。で、大富豪と大貧民はカードを2枚、富豪と貧民はカードを1枚交換。最初はじゃんけんで順番を決めてカード交換はなし。これで良いかな?」
「ええ、良いですよ。ジョーカー以外は俺が知ってるルールと同じですし。」
「分かりました。私が知ってるルールと同じですから。」
「私も異議はないわ。」
「よーし、それじゃ早速始めるか。」

 マスターは4人が輪になったところで意気盛んにカードをシャッフルして、潤子さんを基点にして時計回りに配る。俺は配られたカードを手に取って見る。・・・うげっ、いきなり4や5のカードかよ。このままじゃ大貧民決定だな・・・。
 カードが全員に配り終えられたところで、それぞれ手持ちのカードを確認する。俺は・・・正直言ってかなりきつい。余程運が良くないと大貧民確実だ。最初のじゃんけんである程度勝負が決まる。此処は絶対勝たないと・・・。

「よし、皆、準備は良いか?」
「はい。」
「ええ。」
「良いわよ。」
「それじゃじゃんけんだ。せーの・・・じゃんけん、ぽいっ!」

 マスターの掛け声で全員が一斉にそれぞれの手の形を前に突き出す。・・・勝った。珍しくじゃんけんに勝った。俺は思わずガッツポーズをしてしまう。これで弱い上に単品のカードを最初に処分できる。これは幸先良いかも・・・。

雨上がりの午後 第779回

written by Moonstone

「何やります?」
「4人居るんだ。何と言っても大富豪だろう。知ってるか?」
「あら、大富豪?二人じゃまともに出来ないし、丁度良いわね。」

2002/4/6

[ようやく週末か・・・]
 といった感じですね、今週は特に。仕事は立ち往生するし、私生活では精神的大ダメージを食らうしで、帰宅して夕食を食べた後、1時間ぐらい熟睡するのが当たり前になってました。それからページの更新準備を(このコーナーです)するので、とても作品制作、公開とはいかないのが現状です。メールのお返事が遅れているのもそのせいです。御免なさい。
 で、ようやく週末になったわけですが、今度は開催中の「祭」に向けた作品制作が必須になるわけで、1日1作品以上は制作しないと追いつきません。定期更新の分もありますから。まだ「祭」が始まって1週間も経たないんですが、どうも一人芝居で終ってしまいそうな予感がしてなりません。投稿は未だゼロですし、問い合わせも1件だけ。「3周年おめでとう」のメッセージさえありません。
 どうしてやることなすこと全て反応が著しく乏しいページになっちゃったんでしょう?投稿規程がなくて手を出しあぐねてきたのか、それともページそのものが名称からして引いてしまうもののせいか・・・。反応が乏しいので分かりませんが、自分で出来る部分は精一杯やりたいと思います。
「自分の彼女が一番に見えなかったら・・・彼氏失格ですよ。」
「おっ、祐司君。なかなか良いこと言うじゃないか。やっぱりそれくらいの気構えがないとな。」

 マスターがそう言って口元に笑みを浮かべる。そこには威圧感や嫌味は欠片もなくて、紳士を髣髴とさせる雰囲気すら感じる。

「俺が君の立場だったら同じことを言うね。晶子ちゃんも良いけど、やっぱり潤子が一番だ、ってな。そう思えないようじゃ駄目だね。」
「誰が一番か、なんてその人その人で違うのは当たり前ですよね。こういう場合。」
「そうそう。」

 俺はマスターの笑みに笑みを返して、晶子と手を離して荷物を鞄に仕舞う。奥に仕舞っておいた腕時計を見るとまだ10時にもなっていない。昼間結構泳いだからそれなりに疲れてはいるんだが、すぐ寝たいと思うほどじゃない。日頃立ち仕事が殆どで、店内を駆け回ったりギターを弾いたりしているうちに体力がついたんだろうか?

「どうする?もう寝るか?」
「まだ俺は眠くないです。」
「私も同じです。」
「そうか。じゃあ折角4人居ることだ。トランプで遊ぶか。」
「トランプ、持ってきてたんですか?」
「暇潰しには絶好の遊び道具だからな。さ、二人共こっちへ。」

 俺と晶子はマスターと潤子さんが座っている場所、敷居を越えて202号室側の「空き地」へ向かう。その間にマスターは鞄を弄(まさぐ)って掌大の長方形の箱を取り出して戻って来た。

雨上がりの午後 第778回

written by Moonstone

「・・・潤子さんも似合ってるとは思いますけど、晶子の方が良いです。」
「ありがと、誉めてくれて。それに安心したわ。祐司君がそこまではっきり言い切るなんて思わなかったから。」

2002/4/5

[連載第777回を迎えて]
 ♪な〜らんだ〜、な〜らんだ〜、スリーセブン♪ということで、連載「雨上がりの午後」が連載777回を迎えました。当初、こんなに長くなるとは思わなかったんですけどね。単純計算しても2年以上この日記(?)と共に書いてきたわけで、ある種のキリ番を迎えられたことが感慨深いです。途中で挫折しかけたり、書くのも嫌なほど滅入ったこともありましたが、続けてきて良かったです。
 この分だと1000桁の大台に乗るのはほぼ確実です。それどころか何処まで続くか私自身分かりません。ただ、ずっと前から思い描いているラストシーンを書き終えるまで、何としても続けていくつもりです。
 連載を原点とするNovels Group 3はChapter60を迎え、前から書きたかったアナザーストーリーも始めることが出来ました。恋愛ものとしてオーソドックスかもしれません。二人の性格ややり取りの手段が時代とはかけ離れているかもしれません。でも、私がこの世に送り出した登場人物、安藤祐司君と井上晶子さんの交流や時に葛藤を描き続け、ラストシーンを迎えさせてあげたいと思います。その時までお付き合いくだされば幸いです。
 俺が左手を差し出すと、晶子は早速右手を伸ばして俺の左手を握る。俺は晶子を先導して静まり返った廊下を歩き、階段を上っていく。左手を通して晶子の温もりが伝わってきて、それだけで幸せな気分になれる。晶子が俺の左手を握る力を緩めないのが尚更嬉しくて幸せに思う。

「「ただいまー。」」

 俺と晶子は201号室のドアを開けて挨拶と共に中に入る。中ではマスターと潤子さんがぴったり寄り添って座っていた。二人のこんな仲睦まじい様子を見るのは初めてだ。潤子さんはマスターの左肩に頭を乗せていたりするし・・・。俺と晶子が入って来たというのに離れる気配は全く見えない。なかなか見せ付けてくれるじゃないか、この二人。

「お帰り。あら、晶子ちゃんもポニーテールにしてるの?」
「はい。ちょっと思うところがあったんで・・・。」
「潤子に対抗しようとしたのかな?」
「・・・ええ。ちょっと。」
「あら、私に対抗しようなんて面白いじゃない。普段の服や髪型だと祐司君の視線が私に向くと思ったの?」
「そうは思いませんけど・・・私だってそれなりの格好をすれば違って見えるだろうし、何より祐司さんが喜んでくれると思って。」
「そう・・・。要するに私に対抗することで、祐司君の気を引こうと思ったわけね。初々しくて良いわね、そういう思いは。で、当の祐司君はお相手の今の格好を見て、私と晶子ちゃん、どっちが良いと思う?」

 潤子さんが悪戯っぽい笑みを浮かべて尋ねる。そんなの・・・決まってるじゃないか。

雨上がりの午後 第777回

written by Moonstone

「それじゃ、部屋に戻るか。」
「はい。」

2002/4/4

[桜舞う日に思うこと]
 私の職場の正門から敷地内へ上る坂の両側に桜の木が植えてあります。例年4月になると見事な桃色のゲートが出来上がります。そして間もなく、春風に吹かれた花弁が一斉に宙に舞い、それは綺麗な桜吹雪を見ることが出来ます。
 今年は例年にない速さで桜が咲き、4月を待たずに出来た桜のゲートは、一昨日と昨日で桜吹雪の舞台となりました。咲くのも早いし散るのも早いし、さらに日中は汗ばむほどの陽気で、冬から春への移り変わりを楽しむ間が殆どなかったような気がします。
 それにしても桜吹雪は綺麗ですね。吹き抜ける風に乗って桃色の花弁が舞い散る様子は、本格的な春の訪れを告げる自然の序曲とでも言いましょうか。これが今度は葉桜となって緑のゲートを作る頃、もう冬の装いとは暫しお別れとなります。それまでの期間、視線を下に向けると、草地の彼方此方に花開いたタンポポの黄色い花弁の鬣(たてがみ)を見ることが出来ます。
 譬え人が居なくなっても季節の移り変わりを反映する木々や草花の美しさに特別な感慨を抱くようになったのは、自分で写真を撮るようになってからです。精神的ダメージを受けたところに仕事が原因不明のバグで行き詰まった今こそ、ささくれだった心を季節の流れに晒して癒す必要があるのかもしれないですね。
 俺は風呂を出たところの廊下で晶子が出てくるのを待つ。晶子は髪が長いから洗うのに時間がかかるだろうし、湯船にのんびり浸かるタイプみたいだから−風呂に入る時間が夏になっても変わらないからそう思うだけだ−、暫く待つことになりそうだな・・・。まあ、湯冷めの心配もないし、待ってりゃ何時かは出て来るだろう。こういう時、俺は妙に気長になる。

「お待たせしました。」

 大体10分くらい経っただろうか。晶子が暖簾を潜って出てきた。その身体には潤子さんと同じ、紺の布地に朝顔が描かれた浴衣を纏っている。潤子さんに対抗するつもりなのか、茶色がかった長い髪をポニーテールにしている。晶子もあまりポニーテールにしないから−何でも頭が後ろに引っ張られるような感じになるらしい−、余計に新鮮に、そして似合って見える。

「私・・・どうかしましたか?」

 晶子が首を傾げながら問い掛けてくる。どうも晶子の浴衣姿&ポニーテールに見入っていたみたいだ。でも本当に夏らしくて良いよなぁ・・・。

「いや、晶子のその浴衣姿とポニーテールが似合ってるなぁ、って思ってさ。今まで浴衣姿なんて見たことなかったし、ポニーテールはたまにしかしないだろ?だから・・・。」
「潤子さんに対抗するつもりでやってみたんですけど、祐司さんに誉めてもらったらそれだけで充分嬉しいです。」

 晶子はにこやかに、本当に嬉しそうに言う。晶子は喜怒哀楽がはっきりしててそれが表に出るタイプだから、心底嬉しいんだろう。俺としては今の格好で一緒に祭りに行って貰いたい。きっと人目を引くだろう。否、引くこと間違いなしだ。俺はそう思う。

雨上がりの午後 第776回

written by Moonstone

 10分か15分くらいで俺は風呂から出る。身体と髪を洗って湯船に少し浸かれば充分だ。俺は、家では夏場、光熱費と水道料金の節約のためにシャワーだけで済ませているから湯船に入る必要はないんだが、折角用意されているから入ることにした。この辺、貧乏臭いところが出るな・・・。

2002/4/3

[歌詞って本当に必要なの?]
 まだ精神的ダメージから立ち直れないで居ますが、それをこの場までずるずると引き摺るのでは管理人兼担当者として失格ですので、ひと踏ん張りしてお話しようと思います。お話することが気晴らしにもなりますからね。
 世間では毎日のように新曲がリリースされ、あっという間に(期間の長短はありますが)過去のものになっていきます。その中で圧倒的多数の曲の歌詞が恋愛絡みだということにお気づきでしょうか?他には友情などの所謂「文部科学省検定済印」的な「良い」感情を題材にしたものくらいで、私がテレビやラジオで見聞きする限りでは、インストルメンタルや(歌なし楽器のみの曲の総称)社会的メッセージを込めた曲は非常に少ないと思います。
 恋愛ものの歌詞と言ってもくっつくか切れるかとか切ない思いとやらなど色々ありますが、その範疇でしか歌詞が書けないんでしょうか?Novels Group 3で(ここの連載が原点ですが)時々登場する「ENERGY FLOW」のように楽器音だけで人を引き付けたり、U2などのように社会的メッセージを乗せたりする曲がどうしてなかなか表に出てこないんでしょう?レコードメーカー各社やプロダクションに問います。少数派だからですか?大きな利益が望めないからですか?音楽と社会に接近することが社是に合わないからですか?
 歌詞と楽曲、どちらが優越する立場にあるか?鶏と卵の話に近いものがありますが、少なくとも歌詞の雰囲気を形成するのが楽曲であることは間違いないでしょう。極端な話、歌詞がなくても楽曲は成立しますが、歌詞だけでは文章の範疇から抜け出せません。ならば同じことしか書けないような歌詞などなくても良いのではないでしょうか?貴方がある曲に心惹かれるのは歌詞の内容が好きだからですか?それとも歌詞を乗せたあるフレーズが耳に残るからですか?音楽を聞く際、そんなことを少し考えてみては如何でしょうか?ちなみに私は後者です。
「あのー・・・。」
「一緒に入りたかったら、どちらかの家にお泊りするんだな。」

 マスターの言葉に俺はドキッとする。マスターと潤子さんは、毎週月曜日に俺が晶子の家に泊まっていることを知らないし、勿論教えていない。こんなこと知られようものなら、結婚式場の予約をされかねない。

「このお茶飲んだらお風呂に行ってきます。」
「晶子ちゃん。いっそ着替えは私みたいに浴衣にしたら?着心地良いし、祐司君を魅了するには格好の材料よ。」
「え・・・。あ、そうですね。私もその浴衣着てみたいですし。」
「良かったわねぇ、祐司君。晶子ちゃんの浴衣姿が間近で堪能できて。」
「堪能だなんて・・・。何か言葉の使い方間違ってませんか?」
「別にそんなことないと思うけど。」

 潤子さんはしれっと俺の「抗議」をかわして湯飲みを傾ける。年齢では10歳くらい違うだけで、こうも人の反撃を軽くいなせるものなんだろうか?人生経験は10年分以上違うのかもしれない。何せマスターと行動する時間帯が違ってなかなか会えないという障害を乗り越えて晴れて結婚した身だからな・・・。
 俺は残りの茶を一気に飲み干すと、ご馳走様でした、という言葉を残して立ち上がり、鞄が置いてある部屋の片隅へ向かう。晶子も俺の後を追うように茶を飲み干していそいそと鞄の方へ向かい、風呂へ行く準備を始める。
 下着と着替えのパジャマをバスタオルに包んでタオルを持って準備完了。出かけるときに持っていった財布と腕時計を代わりに鞄の奥の方に仕舞う。そして再び立ち上がると、晶子もバスタオルと浴衣とタオルを持って立ち上がる。何だかディレイを置いて自分の行動を見ているみたいだ。

「それじゃ、行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
「誰も居ないからって一緒の風呂に入ろうとするなよー。」

 マスター、余計なことを言わないでくれ。一瞬そういう状況だったらそうしようか、という考えが頭を過ぎったじゃないか。俺はマスターに顔を見られないように−考えが顔に出てるかもしれないから−晶子の手を取って部屋を出る。俺に手を取られた晶子は一瞬驚いたように目を見開くが、直ぐに嬉しそうな笑みを浮かべて俺についてくる。何時か二人きりで来れると良いな・・・。

雨上がりの午後 第775回

written by Moonstone

「貴方達もお風呂に入ってきたら?浜風で身体がべたついたでしょ?生憎男女別だけどね。」
「男女別ですよね?良かった。他の男のお客さんに私の裸見られなくて。」
「そうそう。晶子ちゃんの肌を見るのは祐司君だけだもんね。」

2002/4/2

[御免なさい・・・]
 今日はお話するだけの気力がありません。場合によっては当分立ち直れないかも・・・。そういう精神的ダメージを受けたということです。自業自得といわれればそれまでなんですが、あまりにも・・・痛いです。
「そう。私自身、浴衣好きだし。それにこの人も浴衣好きだから。もっともこの人の場合は着るより見る方が好きなんだけどね。」
「余計なこと言うなよ、潤子。」

 そうか。潤子さんの浴衣姿は自分の好みであると同時にマスターの意向に沿ったものというわけか。それにしても、マスターが浴衣好きだとは初めて知った。まあ、特別浴衣好きでなくても、潤子さんが着ると誰もが目を見張るものに見えるだろうが。
 俺と晶子は繋ぎっ放しだった手を−手を繋いでいることが意識になかった−ようやく離して机へ向かい、潤子さんが注いでくれた湯飲みを取って茶を一口流し込む。網戸から生暖かい微風が時折吹き込んでくる中で飲む熱い茶は、不思議と美味いと思う。夏だからといって冷たいもの、とは必ずしも言えないようだ。
 俺は視線だけ左右に動かして部屋の状況を見る。マスターと潤子さんの部屋、言い換えればこの机がある敷居の向こう一空間に二つ並べて布団が敷かれている。そして反対側を見れば、同じく8畳ほどの空間に二つの布団が並べて敷かれている。この布団の敷き方は、俺達が宿に着いてマスターと潤子さんが部屋を占拠した後で管理人の小母(おば)さんに指定したものだ。恐らく、否、絶対何か企んでいるに違いない。

雨上がりの午後 第774回

written by Moonstone

「そういうマスターと潤子さんは、何時戻ってきたんですか?」
「30分くらい前かしら。貴方達二人が居ない間にお風呂に入ってきたわ。」
「それで潤子さん、浴衣を着てるんですか。」

2002/4/1

[さあ、新年度と「祭」スタートです!]
 新年度最初の定期更新と新年度の最初の日が重なるというのはそうそうないことでしょう。どうにか定期更新と「創立祭&さくら祭」のスタートが出来てほっとしています。最初の一歩が踏み出せないことには話が始まりませんからね。
 意気込んでいた割には更新の量が少ないな、とお思いでしょうが、結局昨日も殆ど1日ベッドに転がっていたので、揃えようがなかったんです(爆)。「雨上がりの午後」アナザーストーリーは昨日から少しも進んでいない状態で、止む無く本編の方を急いで登場させた次第です。話が彼方此方飛んですみません(汗)。
 で、投稿作品は未だゼロです。こういうイベントでは参加作品がないことには私の一人芝居で終ってしまいますので、是非とも作品を投稿してくださいますよう、この場をお借りしてお願いいたします。・・・このコーナーのリスナーってせいぜい数十人ですから、効果があるかどうかは甚だ疑問ですが(爆)、何もしないよりはましでしょう。
俺は晶子を離すまいと左腕でしっかり晶子を抱き締める。晶子は俺の手と腕に結び付かせた手により力を込める。夏の暗闇の中で俺と晶子は互いの口の中を舞台にした濃厚な舌のダンスを繰り広げる・・・。

 俺と晶子が宿に戻った時、ふと見た腕時計は9時を過ぎていた。夕食後の散歩に出たのが7時過ぎくらいだったから、ほぼ2時間晶子と浜辺で二人きりの次官を満喫していたことになる。マスターと潤子さんは戻って来ているんだろうか?意外と恋人時代に戻った気分になって濃厚なラブシーンを展開しているかもしれない。でも、普段でも俺と晶子が居なくなれば二人きりになるんだから、案外あっさり二人きりの時を過ごしたかもしれない。
 民宿ならではとも言える、ギリギリで人が行き違える程の幅と急傾斜な階段を俺が先導する形で上り、201号室へ向かう。マスターと潤子さんは202号室だが、民宿らしく襖一つで何時でも部屋が繋がってしまう。
 俺達がこの宿に着いた時に、マスターと潤子さんが夫婦だということを口実にして、202号室を占拠してしまった。だから俺と晶子は必然的に同じ部屋、202号室と襖一つ隔てた201号室に入ることになった。全くあの夫婦は何を考えてるのやら・・・。

「おう、お帰り。もう戻って来たのか?」

 201号室のドアを開くと、襖の敷居を跨ぐ形で置かれた机に肘を乗せた、白いポロシャツに薄いアーミーグリーンの半ズボン姿のマスターが湯飲みを片手に俺と晶子を出迎える。マスターの直ぐ傍に居る潤子さんは、部屋備え付けの紺の布地に朝顔が描かれた浴衣を着て、珍しくトレードマークの長い黒髪をポニーテールにしている。潤子さんは俺と晶子が中に入ると、自分の湯飲みを置いて伏せられていた二つの湯飲みをひっくり返して、急須で茶を注ぐ。

雨上がりの午後 第773回

written by Moonstone

 再び二つの舌が激しく絡み合い、時に吸い合い、互いの口の中を行き来し、口の中を這い回る。波の音がどんどん遠くなっていくように感じる。それだけ今の快楽に浸っているという証拠だろうか。

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