芸術創造センター こぼれ話
Dropped talk of Performing Arts Center

2001年6月30日更新 Updated on June 30th,2001

2001/6/30

[1年の半分が過ぎようとしてますね]
 新世紀の幕開けだ、などと世間が騒いでいたのがつい先日のことのように思えます。今日に至るまでの間に、私は仕事に追われる中で心の余裕を失い、2ヶ月もの間、自宅療養をする羽目になりました。
 療養生活明けから約一月半が過ぎた今は体力を療養前に戻しながら、本格的復帰へ(それなりに残業が出来るくらいということ)向けて仕事と向き合う毎日です。昼間眠くなるのを除けば(薬の副作用と午前中の疲れが重なる為)、殆ど今の病気を患う前と大差ない状態です。このまま完治に至るようにしていきたいですね。
 ところで昨日は私の○○回目の誕生日でしたが、弟からFlashを使ったバースデーカードを貰いました。背景に倉木麻衣を据えるという念の入れ様(笑)と、誕生日プレゼントということそのものが嬉しかったです(^^)。
 幼い頃、否、私が独立するまでは弟とあまり仲良くなかったんですが、今では誕生日プレゼントをやりとりするほどになっています。何故なんでしょうね?やっぱり私が実家を離れて毎日顔を付き合わせることがなくなったことが影響しているんでしょうか?それまで疎ましくさえ思っていた相手が居なくなったことで、家族だったということを深く認識するからでしょうか?まあ、何にしても弟に限らず、誰かと仲良く出来るというのは良いことですよね(^^)。
 自分勝手に人と絆を捨てておきながらよくもまあ、あっけらかんと・・・。俺の歯がぎりぎりと軋む。幾ら過去の辛い経験と口では言えても、「加害者」を目の前にしてそんな達観が出来る筈はない。そんなことが出来るのは余程の大物か馬鹿かのどちらかだ。

「何にしても、もう俺に会う理由なんてない筈だ。早く帰りな。」
「・・・何でそんなに冷たいのよ。」
「宮城・・・。2ヶ月ほど前に俺に何て言った?もう忘れたのか?『貴方とはもう終わりにしたい』。『もう疲れた』。お前が俺に言ったことだ!」

 俺の口調が荒々しくなってきた。だが、口から迸る声に負の感情が混じるのを避けることは出来ない。あの時感じた、全てが足元から崩れるような感覚がくっきりと蘇ってくる。早くこの場から消えろ!優子、否、宮城!!もうお前の存在は俺にとって目障り以外の何物でもないんだ!!
 だが、宮城は俺の突き飛ばすような言葉に悲しげな表情を浮かべるものの、向かいのホームに足を向けようとはしない。まだ言い足りないのか?だがもう何を言っても無駄だ。俺とお前はもう・・・終ったんだから!お前が終らせたんだから!!

「私・・・あの時、祐司がさよならって言うとは思わなかった・・・。」

 ・・・何?

「きっと、私が最初に別れを仄めかした時のように引き止めてくれると思ってた・・・。私と別れたくないなら、そうしてくれると思ってた・・・。でも、祐司は、さよならの一言で電話を切った・・・。あの時、私・・・泣いたよ。家中に響くくらいの大声で。」

 ・・・何だよ、それ。

雨上がりの午後 第530回

written by Moonstone

「まずは挨拶からね。あけましておめでとう、祐司。」
「・・・何しに来たんだ。」
「何って・・・祐司に会いに来たに決まってるじゃない。」

2001/6/29

御来場者111000人突破です!(歓喜)

 ・・・このお話をお聞き戴いている頃には突破しているかもしれませんが、初の6桁ぞろ目「111111人目」は何方が踏むんでしょう?ご連絡戴けたら、通例に従ってトップページにお名前を掲載いたします。・・・そう言えばこのところキリ番とかぞろ目の報告がないですね。連絡待ってま〜す!(^^)/

[今日は私の○○回目の誕生日です]
 ○の中に入る数値はリスナーの皆様にお任せします。まあ、隠すほど大層なものではないんですが、リスナーの皆様に想像する機会をご用意したということで(笑)。
 男一人の誕生日で祝ってくれる女性(ひと)も居ませんが(別に欲しくないですけど)、去年の今頃を思い出すと、今生きているということを実感せずにはいられません。あの頃は本当に酷い状態でしたからね。頭の中に「死」の一文字が過ぎることがしばしばありましたし・・・。
 今の私にとっての誕生日は、前の誕生日から1年間生きてきたことを示す一里塚といえますね。特に今年は、昨年から1年以上続いている闘病生活の最中に迎えたということで、より感慨深いものがあります。まだ当分の間は闘病生活は続きますが、数々の危機をやり過ごして1年間生きていたことを自信にして、完全回復に向けて一歩一歩歩いて行きたいと思います。

「私は祐司さんと一緒だったらどういう行き方でも良いです。」
「・・・じゃあ、決まりだな。」

 俺は晶子の手を取って、北側にある特急券の自動発券機へ向かう。画面の指示に従ってタッチパネルを押して、最後に金を入れて「発行」と表示された部分に触れるだけだ。急行到着が近いことを知らせるアナウンスが流れ始めた頃、禁煙席で二人分並んだ座席を簡単に手に入れることが出来た。それぞれ切符と特急券を持って、間もなくホームに走りこんできた急行をやり過ごそうと、何時もより幾分下がった位置に立つ。
 降りる客は少ないが乗り込む客は多い。元々かなり混んでいた車内がさらに混雑を増す。俺の推測に間違いはなかったようだ。昼まで寝てて午後から初詣に行くのは俺と晶子だけじゃないってことか。

「祐司!」

 乗り降りする客が交錯するホームの何処からか、俺の名を呼ぶ声がする。・・・まさか・・・否、あの声は・・・その存在を否定しようにも否定しようがない。何で・・・何で、よりによってこんな時にのこのこと・・・!

「祐司!丁度良かった!まさかホームに居るなんて偶然!」
「晶子、行くぞ!」
「え、でも・・・。」
「良いから!」

 俺は晶子の手を取って急行に乗り込もうとするが時既に遅し。ホイッスルの音に続いてドアが閉まり、チンチンというこの場に似つかわしくない軽やかなベルの音がして、急行はゆっくりとホームから去っていく。ホームには10人前後の人影に加えて、俺と晶子、そして・・・優子、否、宮城が残された。
 黒のハーフコートとパンツに白のセーターという男っぽい服装の宮城が、俺と晶子のところに悠然と歩み寄ってくる。その口元には笑みさえ浮かべている。俺にはその笑みが、嫌がらせが成功した奴の嫌な笑みに見えて仕方がない。

雨上がりの午後 第529回

written by Moonstone

 正直言って満員電車は大学へ行く時だけで御免被りたい。だが、晶子が急行で行くと言えば、俺は折れるつもりだ。俺は晶子と一緒に居られればそれで良いし、乗る電車のことで新年第一日目から口論なんてしたくない。晶子は下唇に人差し指を当てて−可愛い仕草だ−少しの間押し黙ってから答える。

2001/6/28

[座り心地良い〜♪]
 昨日、職場に新しい椅子が納品されました。今までの椅子がかなり古くなったこと、同僚(先輩)の椅子がデパートの屋上の揺れる遊具のように(笑)、不安定に揺れ動くこと、さらに座り心地も良くなくて、大きめのスポンジを重ねて(緩衝材の再利用)簡易クッションをしている者さえ(私です(爆))居る始末、ということで、協議の末に新調することを決定したんです。
 早速座ってみましたが、普通に座るのは勿論、リクライニングさせたときも背凭れと座る部分が自然に動いて、良い気分でした♪。今までのはリクライニングは背凭れの部分だけでそれも少ししか出来なくて、やってみると小さな背凭れがギギギ・・・と軋む耳障りな音だけが良く響くだけでした(^^;)。
 基本的に私の仕事は座ってする作業が大半なので、椅子の座り心地は結構重要なんですよ。長時間座り続けることもあって、腰痛持ちの身に硬い椅子は辛かったです。これで安心してデスクワークができるというものです(^^)。ちなみに前の椅子は工作作業用に転用されたので、壊れるまで付き合いが続きます(笑)。
 食事の時に見ていたテレビでは、行楽地や初詣に向かう車で道路が彼方此方渋滞していると言っていたが、この風景を見ていると、そんな混雑は遠い世界の出来事にさえ思える。
 駅に着いても人の数はまばらだ。切符売り場には「月峰神社初詣往復割引切符発売中」と大書された看板が立てかけられている。その看板に書いてある駅名と路線図にある駅名を比べると、この路線を南端近くまで行った所にあることが分かる。昨日の晶子の話どおりだ。

「かなり距離ありますね。」
「ああ。ま、のんびり行こう。急ぐ理由なんてないし。」

 俺と晶子はそれぞれその往復切符を買って−切符を買うのに千円札を2枚以上入れたのは初めてだ−、改札を通って大学へ行くときに利用するホームへ向かう。ホームの人影は外よりは多いが、それ程の混雑じゃない。だが、到着する電車がどれだけ混んでいるかということが気にかかる。
 幾らホームに佇む人数が少なくても、電車の中が混んでいて、それが停車毎に人をどんどん拾っていったら・・・満員電車になるのは間違いない。よくよく見ると、ホームに居るのは俺と晶子のようなカップルや数人単位の男や女のグループが殆どだ。だとすると・・・俺の中の嫌な予感は間違いなさそうだ。その対策には・・・少々金はかかるが一つしかない。

「・・・晶子。さっき、のんびり行こう、なんて言っときながら何だけど、いっそ特急で行くか?」
「え?」
「多分このホームに居る人間の殆どは、月峰神社とかいう神社に初詣に行く奴だと思う。もう少ししたら来る急行がこの駅からさらに人を拾って行ったら、満員電車は必然。その次の特急だったら余分に金がかかるけど、全車座席指定だから間違いなく座れる。月峰神社への所要時間は路線図から推測して約2時間。どうする?」

雨上がりの午後 第528回

written by Moonstone

 着替えてコンビニで買った菓子パンと牛乳という簡素な食事を済ませた後、俺と晶子は自転車で−勿論何時ものスタイルで−最寄の駅へ向かう。駅に通じる大通りに出ても、車の数は少ない。まだ寝ているのか外出しているのか、間もなく正午を迎える街の風景は思った以上に静かだ。

2001/6/27

[今って梅雨じゃないの?]
 月曜に続いて火曜も見事なまでの夏日。昼食のために外へ出たときは勿論、帰宅した後も部屋の熱気と料理の熱気で汗だくになりました。窓を開けても効果なし。もう我慢も限界に達したので止む無くエアコンをドライモードで起動。すると5分かそこらで快適な状態になりました。こんなことならもっと早くエアコンを使えば良かったと思うばかり(^^;)。湿気を除くだけで随分違うものですね。
 しかし、雨が少ない梅雨ですね。この調子だと夏本番に給水制限が発令されるかもしれません。確かに雨は湿気も増えるし、洗濯物が干せない、行楽地に行けないなどの不都合を生じる場合が多いですが、そんな非難を受けても降り注ぐから、夏に水と親しむことが出来るんですよね。蒸し暑くなるのは止む無しとして、しっかり雨が降って欲しいものです。
 そういえば、ここ10年くらいプールや海に行ってないですね。泳げないのではなくて行っていないだけです。一度この夏に泳ぎに行きたいです。久しくしていない写真撮影を兼ねて2泊3日くらいで。
 お株を奪ったような数学的な晶子の言葉に俺は苦笑いするしかない。そうこうしているうちに、顔に触れる空気が暖かくなっているのに気付く。もう起きていい頃合だ。初詣もあるし・・・。

「暖房も充分効いたから、そろそろ起きるか。」
「うーん・・・。もう少し余韻に浸りませんか?」
「余韻って・・・。」
「冗談ですよ。」

 悪戯っぽい笑みを浮かべて、晶子は布団を弾き飛ばすように起き上がる。その瞬間、晶子のパジャマの裾が捲くれ上がって、はっきりくびれた白いウエストが見えた。初めて見る顔や手以外の晶子の肌を目の当たりにして、俺は思わず息を飲む。
 十分暖かくなったとはいっても、布団の温もりに比べれば部屋の空気は肌に染みる。だけど、このまま布団に潜り続けているわけにはいかない。起きることをもちかけたのは他ならぬ俺自身だからだ。晶子がベッドから降りるのに続いて、俺は上体を起こす。

「私、お風呂場で着替えてきますね。」
「ああ、分かった。」

 床の隅に置いてある自分の鞄から服を取り出すと、晶子は浴室へ小走りで向かう。別にそんなに急がなくても良いと思うんだが・・・。俺と一緒に初詣に行くのがそんなに心弾むことなのか、それとも布団の温もりに未練を感じている俺と違って、すっぱり未練を断ち切るためだろうか?後者のような気もするが、前者だと嬉しいな・・・。

雨上がりの午後 第527回

written by Moonstone

「祐司さん、人生経験豊富ですね。」
「おいおい。晶子の方が1年分長く生きてるんだから人生経験豊富だろ?」
「生きてる時間と経験の間には、どんな人にも共通な関数は存在しませんよ。」

2001/6/26

[何だ、この暑さはーっ!]
 月曜日、昼食を食べようと外に出たら、強烈な日差しに全身に絡みつく蒸し暑さ。今は梅雨・・・でしたよね?(一部地域を除く)食事を終えて帰ってきた(運の悪いことに帰りは上り坂だったりする)頃にはもうバテバテ。本格的に夏が来たら、この調子だと倒れそうな気がします(汗)。勿論、寒いのよりは遥かにましなんですが、あの暑さには参りました(- -;)。
 帰宅したら熱気が篭ってて、窓を開けて夜になってもなかなか冷気が部屋を満たしてくれません。冷房を入れるのは梅雨明けを目安としているので(光熱費の関係)、窓を開けて寝るしかありません。でも、これで寝られなくて翌日仕事・・・を繰り返すと、また心身に悪影響を及ぼすので、どうしても我慢できなかったら素直に冷房を使うことにします。まだフィルターの掃除してないんですけど・・・。
 私はかなりの汗かきなので、暑いと余計に水分補給の頻度が増えるんです。職場ではまだ氷を作っていないので水だけで我慢していますが、自宅では空いたペットボトルに(爽○美○のやつ(笑))水を入れて、冷やしてから飲んでいますが、大体1日で空になっちゃいます(爆)。

「今年初めてのキスにしちゃ、ちょっと過激だったな・・・。」

 俺が口を動かすと、口と口とを繋いでいた唾液の橋が切れて俺の唇に落ちる。俺は橋の残骸を舐めて取り除く。

「初めてだから余計に気合が入ったんですよ。」
「気合い、ねえ・・・。」
「それに・・・祐司さんの言葉に感動したから・・・。」
「失恋して暫く大暴れしてた俺が言っても、あんまり説得力がなかったかもしれないけどな。」
「いいえ。私、失恋して自分自身も何もかも嫌になったことがあるんですよ。だから凄く嬉しい言葉でした。不安が一気に吹き飛ぶくらい・・・。」

 晶子は笑みを浮かべながら、身体を再び俺の左側に横たえて擦り寄ってくる。俺を見上げるように見るその表情には、さっきまでの不安にし潰されそうな印象は感じられない。

「俺も・・・失恋した時はもう何もかも嫌になったさ。俺の荒れ様は晶子もよく覚えてるだろ?」
「ええ。」
「でも、そんな時を乗り越えたからこそ、今の俺と晶子の関係があるんだよな。またふられるんじゃないか、っていう恐怖を超えたから・・・人の恐怖が分かるんだと思う。だから、あの時の経験は無駄じゃなかった。・・・そう思う。」

 我ながら大層なことを言うものだと思う。ほんの2ヶ月ほど前までは、俺はもう駄目だ、もう恋愛なんて懲り懲りだ、とか思ってたくせに・・・。人間ってものは状況によって180度違うようなことが言えるのか。

雨上がりの午後 第526回

written by Moonstone

 舌を離した晶子がゆっくりと俺との間に距離を作り始める。俺は晶子の頭の拘束を緩める。俺と晶子の口を結ぶ橋が煌きを伴っている。

2001/6/25

[寝たり起きたりのんびりと]
 日曜日はまさにそんな日でした。更新準備はそれなりにしましたし、1日で昨日の残りの更新をするのは不可能と判断したので(土曜日みたいに早く目覚めなかったですし)、前日戴いた投稿作品を更新に追加して、連載を書いて今回の更新としました。
 本当はメールフォームのバージョンアップをしようと思っていたんですが、何をやっても「Internal Server Error」が(CGI作る方なら分かる恐怖の文字列(^^;))出てしまって、バージョンアップを諦めざるを得ませんでした。これが今回の更新で唯一と言って良い、心残りなことです。
 投稿規程は現在思案中です。現在の暫定的な規定でも(Moonlight PAC Editionに掲載)特別な問題はないと思うんですが、今のグループの分類から離れた投稿をどう扱うか(新規グループにするか既存のグループの方針を変えてそこに収めるか)、分類が同じだったらどのように表示するか、考えなければならないことは色々あります。出来れば次の定期更新で正式な規定をお知らせ出来るようにしたいと思います。
 晶子は動きでは何の反応も示さない。代わりに言葉を返す。

「自信はあると思います。でも・・・心の何処かで不安は消えずにあるんです。始まりがあれば終わりがある・・・。それが何時どんな形で表れるのか、それが怖いんです・・・。」

 俺は晶子のさらさらした髪をゆっくりと撫でる。少しでも晶子の不安を和らげたい。それに俺の不安も打ち消したいから・・・。
 晶子の抱く不安は俺も持っている。譬えどんなに小さくても、その気持ちは心から消えようとはしない。消そうと思っても消えない。逆にその気持ちがより大きくなって自分が苦しくなる。だから・・・大きくなる前に安心で不安を圧縮するしかない。

「怖いと思うのは仕方ない。俺だって同じだ。でも・・・それを表に出すのは止めた方が良いと思う。際限がないから・・・。」
「・・・そうですね。」
「昨日と今日で二人で年越し蕎麦食べたり乾杯したり、将来のことを話したりしたじゃないか。そうやって二人の思い出を積み重ねていけば、不安もそのうち潰れちまうさ。」

 俺がそう言うと、晶子が体を起こして腕を俺の両脇に立てて、丁度俺の真上に顔があるようにする。その顔には穏やかな微笑が浮かんでいる。何をするのかと思っていたら、晶子の顔が急に俺に迫り、唇が重なる。そして間髪入れずに舌が俺の口を割って入ってくる。
 俺も負けじと晶子の舌に自分の舌を絡ませる。晶子の頭に置いている手に力を込めて、より密着させる。新年の光がカーテンを通じて滲み出る部屋の中で、舌が絡み合って互いの口を行き来する艶かしい音がする。

・・・。

雨上がりの午後 第525回

written by Moonstone

「だから・・・距離があるから駄目になるとは言い切れないと思う・・・。」
「・・・。」
「晶子は・・・今の関係を続けることに自信がないのか?」

2001/6/24

[な、長かった〜]
 溜まりに溜まっていたメールのお返事を昨日一気に完了して発送しました。これだけで半日かかって、本来するはずだった更新作業は半分程度しか出来ませんでした(汗)。
 そんなに多かったのか、という問いに対する回答は「4通です」(爆)。何故こんなに時間がかかるかというと、戴いたメールは殆どがかなりの長文で、しかも内容が濃いんです。当然お返事する側としては神経を使います。言葉を選びながら書きますから時間もかかります。それでなかなかキー叩きが進まず、お返事が延び延びになっているところに新着メールが舞い込む・・・その繰り返しでトップページに表記せざるをえない羽目になりました。
 まあ、前回の「魂の降る里」公開直後に寄せていただいたもの以外、感想メールは1通も来てないので(^^;)、当面はメールのお返事に慌てることはないでしょう。メールには早め早めの対応が不可欠だと思いました。

「晶子・・・?」
「ずっと・・・祐司さんと一緒に居たい。離れたくない。離したくない。絶対に・・・。」

 晶子はそう言いながら、さらに俺のパジャマを掴んだ手に力を込める。普段の晶子からはちょっと想像し難いほどの怯えぶりだ。晶子がふられたことがあるということは知っているが、どんなふられ方をしたのかまでは知らない。もしかして、俺より残酷なふられ方をされたんだろうか?だとしたら・・・怯えるのは当然だろう。
 前に二人で映画を観に行った時に席から暫く立ち上がることが出来なかったし、ハンカチで涙の跡を拭いてやったらがばっと抱き付いて来た。そこから考えても、相当辛い記憶だということくらいは俺の頭でも想像はつく。
 俺の場合でも、思い出の品は悉く壊したし、暫くの間は酷い女性不信に陥った。そんな心の暴走をどうにか鎮めたからこそ、晶子との今の関係があるわけだ。その関係を失う怖さは・・・晶子も同じなんだ。

「距離は離れることがあるかもしれない。でも・・・心が変わらなければ大丈夫だと思う。否、大丈夫だ。」
「・・・。」
「だって・・・俺は優子、じゃなくて宮城と遠距離恋愛してたんだ。少なくとも4月からの数ヶ月は・・・。それが破局になったのは距離のせいじゃなくて、宮城の心変わりが原因なんだ。」
「・・・優子さんの気持ちが変わったのは・・・距離のせいじゃないんですか?」
「・・・そうかもしれない。だけどこれだけは言える。宮城の気持ちは変わったけど、俺の気持ちは変わらなかった。少なくともあの関係が終ったあの日までは・・・。」

 俺は天井を見上げながら淡々とした調子で話す。

雨上がりの午後 第524回

written by Moonstone

 晶子の呟きに似た言葉に続いて、俺のパジャマの胸の辺りがきゅっと掴まれて引っ張られる。言葉どおりというか、何かに怯えているように感じる。俺と同じく、ずっと続くと思っていた関係が切れてしまって辛く悲しい思いをした者として、今度は絶対、という思いが強いんだろうか?

2001/6/23

御来場者110000人突破です!(歓喜)

 ・・・昨日御来場者数の伸び悩みに酷く落ち込んでいましたが、どうにか1000の位が変わりました。これでまずは一安心です。

[明後日が定期更新だということは]
 すっかり忘れてました(猛爆)。てっきり来週かと思っていたんですよ。2週間なんてあっという間ですね。通院が1週間毎になってから(処方される薬の効き目を詳細に把握する為)より一層早くなったような気がします。
 次の定期更新では、更新が長く滞っているグループのてこ入れを目論んでいたんですが、今日明日ではとても無理。可能な範囲の更新になりそうです。
 何とかしたいのがメールフォームのバージョンアップと投稿規程の作成ですね。今までのメールフォームは内容をファイルに保存するだけで管理人である私が所定のファイルを調べないと駄目だったんですが、今度はアンケート部分を切り離してメールを管理人に送れるようにするつもりです。投稿規程も早めにきっちり作っておいて、その時になって混乱を引き起こすようなことにはしたくないんですが・・・今度の定期更新に間に合うか、かなり不安です(汗)。

「私、コンビニに行ってきますね。」

 そう言って布団から出ようとした晶子の腕を掴んで止める。

「祐司さん?」
「部屋が暖かくなってからでも充分だって。」
「あ、もっと二人だけの時間を堪能したいんですね?」
「ま、まあ、それもあるけど・・・。」
「じゃあ、祐司さんの言うとおりにしようっと。」

 晶子は腕を立てて起こしていた身体を再び俺の横に横たえて、ギリギリまで俺に擦り寄ってくる。まったくこの大きな猫は・・・。俺は苦笑いをするしかない。
 大掃除の日から晶子が泊まりこんで1週間も経ってないが、晶子が居て当たり前のような気がしてならない。そして今日帰ることが名残惜しいと言うか、何故帰るのかとさえ思ってしまう。それだけ俺の心の中に占める晶子の存在が確立されたということだ。
 だが、それだけ心の中に占める存在が大きくなると・・・失うことがとてつもなく怖い。まして今度は・・・偶然に偶然が重なって心を覆っていた重い雲が晴れた後に出来たものだ。それを無くしたら・・・俺はどうなるか分からない。俺は思わず晶子の頭に左手を置いてぐっと自分に近付ける。

「祐司さん?」
「・・・離れないでくれよな・・・。」

 俺は天井を見ながら呟く。すると晶子の頭が小さく動く。晶子の頭に置いた左手の動きからして、晶子は頷いたようだ

「私の方こそ・・・離れないで欲しい。絶対に・・・。」

雨上がりの午後 第523回

written by Moonstone

 俺はエアコンのリモコンに手を伸ばして、スイッチを入れる。電子音と共にエアコンの下部が開いて、電源のLEDが点滅する。霜取りをしているという合図だ。暖かい風が吹き出すまでまだ暫く時間はかかりそうだ。

2001/6/22

[気が重い・・・]
 久々に出ました。食べる気力も作業をする気力も奪うほどの憂鬱感(大汗)。原因は単純明快、このページのアクセス数が、109000人突破以降かなり伸び悩んでいるためです。原因が全く分からないので対策も立てられず、考えているうちに憂鬱感が噴き出たというわけです。
 帰宅しても料理する気力は勿論、食べる気力もなかったので、栄養剤と果物だけでおしまいにして、ベッドに飛び込んで不貞寝しました。今、目覚めてからお話していますが、多少楽にはなったものの、まだ憂鬱感は残っています。
 何か更新した時に反響が非常に少なくて(今はその少ない反響にさえ直ぐ応えられないんですが)、その寂しさをカウンタの伸びが打ち消していた面があります。・・・だから余計に寂しくて悲しいです。
 意識を覆う眠気にそろそろ寝ようか、と俺が切り出したのが確か3時くらいだったか・・・?それから交代で風呂に入って寝た。酒が入っていたせいか、擦り寄ってくる晶子に困惑と欲望をろくに感じることなく、すぐ寝てしまった。普段練習やらアレンジやらで3時頃まで起きているのもそれ程珍しくないんだが・・・。やっぱり夕食に加えて年越し蕎麦を食べて、缶ビールを飲みながら色々話をしたのが効いたかな・・・。

「ん・・・。」

 すぐ傍で寝ている晶子がもぞもぞと動く。そろそろお目覚めの時だろうか、と思ったら、晶子がゆっくりと目を開けて少し寝ぼけたような表情で俺を見る。一緒に寝ると、俺が先に目を覚まして、それから程なく晶子が目を覚ますというパターンがほぼ定着しているような気がする。

「・・・おはようございます。」
「おはよ。今11時少し過ぎたところ。」
「昼前ですか・・・。全然目が覚めなかったです。」
「俺もだよ。酒が入ってたせいもあると思う。」
「朝御飯、お昼と兼用ですね。直ぐ準備しますから。」
「いや、作らなくても良いよ。コンビニで菓子パンと飲み物を買ってくれば。」
「・・・良いんですか?」
「正月くらい楽して良いって。普段、飯作らせてばかりだし。」

 俺が身体を起こしてカーテンを開けると、眩い光に続いて蒼一色の空が見える。周辺の木や草は少しも動いていない。空気の冷たさは此処からじゃ分かる筈もないが、穏やかな晴れの日らしいということは言える。

雨上がりの午後 第522回

written by Moonstone

 光の中に溶け込むような感じで俺は目を覚ました。勿論布団の中で、だ。お約束と言うか隣、否、直ぐ傍には茶色がかった髪を湛えた頭がある。ぐっすり寝ている様子の晶子を起こさないように枕元の目覚し時計を見ると−目を覚ました時に起きれば良いという考えで、鳴るようにはしていない−、11時少し過ぎを指している。

2001/6/21

[『月石御影』を女として使ってみよう]
 皆様はじめまして。私、月石御影と申します。本ページ主幹のMoonstoneさんの秘書でございます。今日から皆様へのお話を担当させていただくことになりました。どうぞ宜しくお願いいたします(礼)。

 ・・・あまりこれまでと変化ないですね(^^;)。一人称は「私」で同じ、口調も基本的にですます調ですからやっぱり同じ。これじゃ変化がないのはむしろ当然、と。それに、このページに来てくださる方で特にこのコーナーをご覧の方には、昨日の段階で正体ばれちゃってますからね。果たしてどういう形で使えば良いのやら。
 何故そこまで「月石御影」に固執するのかというと、気に入ったからとしか言いようがありません。気に入ったからこそ、日の目を見れるようにしたいと思うのが親心(?)。でも今の段階では、チャットや書き込みの時に使うか(混乱起こしそうであまり良くないかも)、このページの何処かを担当させるか、そのくらいしか思い浮かびません。果たしてどうしたものでしょう?
祐司さんの進路に私は勿論、誰かがアドバイスすることは出来ても咎める権利はない筈です。だから、祐司さんは自分の進路を模索して、行きたい方向に進んでいけば良いんじゃないかと思うんです。」
「・・・そうだな。」
「祐司さんにとって大切なことなのに、私はそれしか言えません。さっき言ったとおり、私にはアドバイスは出来ても咎めたり妨げたりすることはできませんから。でも、少しでも祐司さんの気持ちが和らげば・・・嬉しいです。」
「・・・ありがとう。それで充分だよ。」

 俺の弱気を責めることも、気持ちを高揚させようという意思もない晶子のアドバイス。だからこそ余計に気が楽になる。

「いざとなったら、二人の食い扶持(ぶち)ぐらいはどうにかしますよ。今のバイトを続ければ、結構なお金になりますから。」
「二人って・・・。」

 晶子が何食わぬ顔−頬の赤みがさっきより少し増したような気がするが−で言った一言に、俺は苦笑いするしかない。二人一緒に住むことを分かるように仄めかしているんだから。

「嫌ですか?」
「・・・その時は頼むな。」
「ええ。」

 晶子は微笑みを浮かべて頷く。この微笑が何時までも晶子頼みにならないように、自分が進む道を今から少しずつでも探していこう。自分の腕を信じるのも由(よし)、無難な道を選択するも由。晶子が言ったとおり、俺の人生は俺が決めるものなんだから・・・。

雨上がりの午後 第521回

written by Moonstone

 晶子が俺の自問に回答する。その言葉の中に叱咤や激励の色はない。

「プロのギタリストを志すのも、企業や官庁に就職するのも、祐司さんに決定権があることですよ。

2001/6/20

[昨日お話したかったことは]
 ズバリHN(ハンドルネーム)のことです。Master's Profileにあるとおり、私のHNである「Moonstone」は自分の誕生石が(今月ですね)由来です。ネット作家としてデビューして以来ずっとこのHNを使っていていますが、最近ふと新しいHNを思いついて、どう扱おうか思案しています。
 そのHNは「月石御影」。「つきいしみかげ」と読みます。「Moonstone」をそのまま日本語にすれば「月石」。それを姓にしてしっくりする名前を思いついて出来たものです。男性でも女性でも通用すると思うHNですが、ネットデビュー以来約5年くらい使ってきた今のHNを変える気は毛頭ありません。でも、折角良い感じになった新HN「月石御影」を何かで使ってみたいという気持ちもあるんですよ。
 このコーナーのお話役にするのも一案ですし、このHNで女性を演じるのもまた一興(?)。暫く考えてデビューの場所と機会を考えてみようと思います。
「疲れ方?」
「ライブの時は、終ってから直ぐに次はここをこうしたいとか、次に繋がる課題を列挙して考える余裕があったけど、大ステージじゃそんなこと考える余裕は全然なかったよ。兎に角無事に終って良かった、としか思えなかった。そのときの課題を挙げて対策を練るのは学祭が終ってからくらいだったかな。」
「大変だったんですね。」
「まあな。でもこの曲をやろうとか、MC(註:Master of Concertの略。曲間の喋り)はこんな話題にしようとか考えたり、演奏そのものも一旦始めてしまえば楽しかった。前にも言ったかもしれないけど、やっぱり自分が楽しめないと良い演奏は出来ないからな。」

 妙に饒舌になっている自分。酒が入ったせいだろうか?それとも自分の経験談だからだろうか?元々それ程酒に強い方とは言えないし・・・。

「・・・俺、どうしたいんだろう?」
「え?」
「ギターのプロになりたいっていう気持ちはある。だけど自分の力量が何処まで通用するか分からない。それに色々なプレッシャーに勝てるかどうか分からない。そこまでしてプロになりたいのか、それも分からない。」
「・・・。」
「このご時世だから、あと2年、否、もしかしたらあと1年くらいで自分の進路を決めないといけないと思う。その時までに自分の行く道を決められるか・・・分からない。分からないことが多すぎる・・・。」
「・・・無責任な言い方に聞こえるかもしれませんけど・・・、祐司さんの気持ち次第だと思います。」

雨上がりの午後 第520回

written by Moonstone

「ああ。でも学祭以外のライブは学校の体育館とか音楽室で、客も100人や200人、それに顔見知りも多かったから、大ステージの緊張克服には繋がらなかったと思う。疲れ方も全然違ったしな。」

2001/6/19

[どうしても平日の夜は・・・]
 眠くなって仕方がないです(汗)。本業の疲れに炊事や洗濯の疲れが加算されてきますからね。今こうしてお話している前に連載を休み休みしながら書き終えて、暫く横になってからやっぱり休み休みしながらお話しています。ああ、悲しきかな体力のなさ(泣)。
 ・・・此処まで話したところで横になったら、今度は本格的に寝てしまって日付を超えてしまいました(爆)。時間で言えばやっぱり2時間。何時になったら溜まってるメールのお返事出来るのやら・・・。一度「メールお返事書きますシャットダウン」をして、メールのお返事に集中した方が良いのかな?
 本当はお話したいことがあったんですけど、残っている眠気が「早く寝ろ〜」と五月蝿いので明日にします。・・・忘れてなければ(爆)。

「それでは歌っていただきましょう!曲は勿論『Stand up』!」

 興奮気味の司会者の紹介を受けて、ステージの照明が絞られた中でギターのストロークとハイハットがリズムを刻む。8小節分続いた後ドラムが入って、倉木麻衣が歌い始めると同時に、明るい照明がステージを照らす。カメラが歌う倉木麻衣を正面から少しずつアップにしていく。そして総立ちで曲に合わせて手拍子をする満員の観客席を映す。
 会場の盛り上がりぶりに触発されたのか、晶子が身体でリズムを取りながら歌詞を口ずさんでいる。新しいレパートリーにほぼ内定しているだけに、歌う感触を身体で感じ取っているようだ。かく言う俺も無意識に身体でリズムを取っていることに気付く。
 CDのブックレットの写真からは、ちょっとクールで大人っぽいイメージを受ける彼女だが、こうして軽快なリズムの曲を歌っている姿は元気いっぱいで、如何にも若手シンガーというイメージだ。こういうイメージのギャップを見ると、どちらが本当の彼女、倉木麻衣なんだろうと思ったりもする。
 最後の「Stand up!」を観客と一緒に歌って演奏は終る。と同時に大きな歓声が会場に噴出す。新年最初に相応しい盛り上がりを生んだ「Stand up」を歌った倉木麻衣は観客に向かって深々と一礼した後、笑顔で手を振りながら歓声に応える。

「やっぱり凄いですね。あんなに大勢のお客さんの前で普段以上に歌えるなんて・・・。」
「だからプロなんじゃないか?俺も高校の時に3回の学祭でバンド演奏したけど、学校関係者と外来の客を合わせてせいぜい1000人くらいでも相当緊張して、ステージに出るまで足がガクガク笑ってどうしようもなかったな。」
「でもステージ演奏はそれだけじゃなかったんですよね?」

雨上がりの午後 第519回

written by Moonstone

 となると期待は益々膨らむ。CDで歌声だけ聞くのと歌っているところを見ながら歌声を聞くのとでは全然違う。コンサート会場ならさらに違うだろう。出来れば一度、彼女のコンサートを聞きに行きたい。勿論、晶子と一緒に・・・。

2001/6/18

[連載でやってしまいました(^^;)]
 倉木麻衣の年越しコンサートを(爆)。彼女は、現時点では年越しコンサートはおろか、各地でのライブも(今、私がチケット獲得を狙っているやつです)まだやっていないんですが、話の展開と私の意向を踏まえて、現状に先んじてやっていただきました(笑)。
 私はコンサートを見に行くのは未経験なんですけど、コンサートに出た経験はあります。小学生から中学生くらいの時に、通っていた音楽教室で他の教室の人と合奏で出場したんです。周囲は女の子ばかりでしたけどね。
 で、連載上のコンサートで何を歌うかですが、これは明日になったらお分かりいただけます。感の鋭い方はもしかしたらお分かりかもしれません。そう、「あの曲」です。以前に連載で「あの曲」を出したのは、此処に通じる伏線だったんですよ。勿論私の趣味が多分に含まれているということは言うまでもありません(笑)。

「じゃあ、そうしなよ。俺も無理強いするつもりはないし。」
「・・・御免なさい。折角の好意を反故にして・・・。」
「謝らなくても良いって。ほらほら、折角二人一緒に新年を迎えたんだから楽しくやろう。な?」
「そうですね。」

 沈んでいた晶子の顔にようやく笑顔が戻る。俺は胸を撫で下ろして、缶ビールをぐいっと一気に呷る。やっぱり新しい年の始まりには笑顔や陽気さがよく似合う。どうも音がしないと思ったら、テレビの音声がミュートされたままだった。俺はリモコンのボタンを押して音声を復活させる。

「では、新年最初を飾るに相応しいナンバーをお送りいただきましょう!会場と中継が繋がっております!倉木麻衣さーん!」
「はい!あけましておめでとうございます!」

 テレビから聞き覚えのある名前が聞こえてきて、俺と晶子はテレビ画面に向き直る。画面には大勢のファンからの声援を受けながら笑顔で手を振っている彼女、倉木麻衣が映っている。
 テレビの番組とは別の会場でコンサートをしていて、多分カウントダウンもやったんだろう。そして、俺と晶子が見ている番組で新年最初の曲を歌うという。普段あまりテレビを見ない俺だが、たまたまこの年を跨ぐ番組で彼女を、それも歌うところを見れるというのは幸運という他ない。

「倉木麻衣さん、年越しコンサートやってたんですね。」
「歌うところがテレビ放映されるのって、これが初めてなんじゃないか?」
「そうかもしれませんね。マスメディアに殆ど顔を出さない人ですから。」

雨上がりの午後 第518回

written by Moonstone

 数百円のことなら別に気遣わなくても良いのに・・・。まあ、俺とて強要する気は毛頭ないし、強引に勧めてちょっと前みたいに泣かれでもしたら、それこそ困る。この場は俺が引くのが賢明だろう。

2001/6/17

御来場者109000人突破です!(歓喜)

 ・・・やっぱり「魂の降る里」効果でしょうね。そう言えばそろそろ「111111HIT」が近付いてきました。ぞろ目の瞬間は何方が見るんでしょうか?

[目覚ましを遅い時間にセットしたのに・・・]
 いつも起きる時間に目覚めてしまいました(汗)。普段は起きるのに手間取るのに(それを見越して早めにセットしてある)今日に限って目覚めすっきり。朝食を食べてから溜まった空きペットボトルをリサイクル箱(と言うのか?)のある店に向かったのですが、時間が1時間ほど早くて家に引き返してちょっと朝寝(爆)。
 正味2時間ほど寝た後、店に赴いてペットボトルの処分と買い物を済ませました。あのチケット入手に必要な爽○美○を買いに一度自宅に戻ったので、正午を跨ぐ形になりました。軽い昼食を食べて今度は昼寝(爆)。またも2時間ほど寝た後、ようやくまともにPCに向かいました。
 今度は朝と違って目覚めがすっきりしなくて、夕食も栄養剤と軽食で済ませました。どうにか連載を書き終えたのが21:00少し前。今尚眠くてかなり筆が鈍っています。いい加減戴いたメールのお返事をしないといけないんですが・・・肝心な時に言うこと聞かないんですよね、今の私の身体は(- -;)。
 留守番電話だと親相手でも丁寧な言葉遣いになってしまうのは不思議だ。受話器を置いて小さく溜息を吐く。横からくすくすと笑う声が聞こえる。

「な、何だよ・・・。」
「いえ、緊張してる祐司さんが端から見てて面白くて・・・。」
「うー、俺、電話苦手なんだよ。ほら、前に晶子に留守番してもらってた時とか、あれ何時だっけ・・・、あ、初めて晶子の家で練習した日にこれから行くって電話した時とか、滅茶苦茶緊張したんだぞ。」
「でも、留守番電話を相手に話す時って、意外と緊張しますよね。私も高校の時に友達の家の留守番電話でかなり緊張したんですよ。」
「何だ。晶子だってそんなに俺のこと言えないじゃないか。」
「うーん・・・。言われてみれば確かにそうですね。」
「あ、あのなぁ・・・。」

 何と言えば良いやら・・・。あっさりと俺と同じ自分の「弱点」を認めた晶子に、俺は次の言葉が見当たらない。苦笑いを隠すようにビールを少し多めに飲む。缶ビールをテーブルにおいて、ふと思ったことを口にする。

「・・・晶子の方は良いのか?実家に電話しなくて。」
「え、私ですか・・・。私の家に帰ってからで良いです。」
「俺は男だしあんまり実家と電話してないから、新年の挨拶くらいは、と思って電話したけど、晶子は女だしそれに一人暮らしなんだから、新年の挨拶の電話した方が良いんじゃないか?」
「私の実家、此処から相当距離があるんですよ。だから祐司さんの電話を使うのは迷惑だと思って・・・。」
「良いよ、別に。挨拶と近況報告なら数百円くらいで済むだろうし、そのくらいの電話料金が増えても構いやしないよ。」
「・・・やっぱり私の家に帰ってからにします。」

雨上がりの午後 第517回

written by Moonstone

「えーっと、祐司です。あけましておめでとうございます。早々に例の神社へ初詣に出掛けましたな?こっちは元気でやってるんで安心してくださいませ。それじゃ・・・。」

2001/6/16

[本日0:30を越えて・・・]
 食事の後片付けは・・・まだ(汗)。洗濯物を干すのは・・・まだ(大汗)。このページの更新も・・・まだ(滝汗)。1時間近くPCの前に座って何をお話しするか考えた故の悲劇(?)です。食事してからまた寝たんですが(「クレヨンしんちゃん」は見ました(爆))、目覚めが悪くて頭が半分以上寝てるような感じです。欠伸も頻繁にしてますし・・・。
 別に落ち込むようなことがあったわけではないんですが、このところちょっと気分が沈んでいて、深夜のほぼ無音状態の部屋で、ぼんやりと考えていたりします。このページのこと、仕事のこと、他人との繋がりのこと、病気のこと、その他色々なことを。
 このお話をお聞きして戴いている頃には、恐らくPCの電源を落して寝る準備をしているでしょう。明日は明日でやることがありますから、存分に寝て身体と心を休めようと思います。

「まあ、こういう時は駅に行けば何か案内があるだろうから、駅に行ってみるか。出掛けるのは・・・何時にする?」
「早く行っても意外に人は多いですからね。昼過ぎにゆっくり出掛けるのも一案だと思いますよ。」
「それもそうだな。じゃあ、暫く缶ビールでも飲みながらゆっくり過ごして、眠くなったら素直に寝て、行ける時になったら出掛けるか。・・・何だか凄い過ごし方だけど。」
「良いんじゃないですか?たまにはそういう時間に縛られない生活も。」
「そうだな。普段は何かと時間がないとかギャーギャー言ってるし・・・。」

 幾ら大学生といっても、時間が自由に使えるのは一日の半分あれば良い方だ。俺や晶子みたいにバイトしているなら尚更、思い通りに使える時間が減る。今は時間があるからこそ、贅沢な使い方をしても良いだろう。

「あ、そうだ。祐司さん。実家に新年の挨拶の電話かけたらどうですか?」
「・・・すっかり忘れてた。じゃあ、ちょっと良いか?」
「ええ。どうぞ。」

 俺がテレビの音量を絞ろうとリモコンに手を伸ばそうとした時、晶子がテレビの音声をミュートしてくれる。リモコンの方に伸ばしかけた手をテーブルの隅にある電話機に伸ばす。そう言えば自分から実家に電話かけるなんて何時以来だろう?・・・少なくとも思い出せないほど前のことらしい。
 俺は市外局番から実家の電話番号を押して−以前、市外局番を忘れてダイアルするのを2回連続でやってしまって、相手先に注意されたのを思い出す−、右耳に当てる。コール音が続くが一向に出ない。5、6回コールしたところで、ガチャッと音がしてようやく出たか、と思ったら、留守番電話のメッセージが耳に入ってくる。・・・やっぱり出掛けてたか。メッセージが終ってピーッという電子音が鳴った後で、ちょっと緊張しながら「新年のご挨拶」を話す。

雨上がりの午後 第516回

written by Moonstone

 そうか、そう言えばカウントダウンの前にそんなやり取りがあったな・・・。でも、譬えそういうことがあったといっても、実際に自分が労わる立場になったら必ず出来るというわけじゃない。晶子の労わりが心に染みる。晶子も俺が帰省しなかった理由を追求しなかった時にもこんな風に感じたんだろうか?

2001/6/15

[歌詞を全部削除しましたが・・・]
 どうしても釈然としません。一昨日に「某音楽利権団体」というキツい表現を使ったのも、その団体がオリジナルのMIDIやMP3作品の著作権を保護するわけではなく、売れているという一定の基準を満たしている曲を管轄して、その曲の使用に使用料を取るか作品の削除を暗に強要するという、ある意味、所場代を取り立てる暴力団と同じようなことをしているからです(オリジナルでないMP3は違法と言うしかないのは確かですが)。
 その団体のやり口は、売れなければ音楽じゃない、と言っているようなものです。社団法人という準公的機関であるなら、音楽市場にあるかどうかで著作権の有無を言うのではなく、音楽全般の著作権を守って然るべきではないでしょうか?
 取り易いところから金を取るのは消費税と同じ感覚です。つまりは彼らの傲慢さは政府与党と同じです。このような傲慢さは厳しく批判されるべきである、と私は思います。
 年始の挨拶を交わした俺と晶子は、テレビを見ながら缶ビールを飲む。少しして俺から話を切り出す。考えてみると、結構珍しいことかもしれない。

「初詣に行ける場所って知ってるか?」
「徒歩や自転車で行ける範囲では、私は知らないです。」
「うーん・・・。此処は新興住宅地みたいだからな。ちょっと遠出しなきゃ無理か。」
「電車で行ける範囲だと、確か・・・南の方に大きな神社があったと思うんですけど・・・。」
「・・・俺の地元から電車で少し行った所に結構大きい神社があるんだけどな・・・。此処からだと電車乗り継いで2時間半くらいはかかる。」
「そこでも良いんじゃないですか?」
「・・・地元だからなぁ・・・。中学や高校の時の連れに顔を会わす可能性があるから、特に高校の時の連れや顔見知りの奴に晶子と一緒に居るところを見られたら、鬱陶しいことになるな・・・。」

 嫌な予想が俺の頭を過ぎる。それを思うと益々地元に足を向けるのが嫌に思えて仕方がない。

「鬱陶しいこと・・・?」
「会えば絶対、何で優子、否、宮城と別れたんだ、って聞かれるに決まってる。そんなこと説明したくないし、俺が無視したところで追求が止まるとはとても思えない。それに・・・もし宮城と鉢合わせになったら・・・最悪だ。」
「それじゃ、そっちの方は避けたほうが良いですね。新年早々嫌なことに出くわすなんて、誰だって避けたいことですから。」
「・・・悪いな。場所そのものは良い所なんだけど・・・。」
「誰だって聞かれたくないことはある、って祐司さん自身が少し前、あ、もう去年ですけど、そのときに言ったことじゃないですか。気にしなくて良いんですよ。」

雨上がりの午後 第515回

written by Moonstone

「今年もよろしくな。」
「こちらこそ、宜しくお願いしますね。」

 年始の挨拶を交わした俺と晶子は、テレビを見ながら缶ビールを飲む。少しして俺から話を切り出す。考えてみると、結構珍しいことかもしれない。

2001/6/14

御来場者108000人突破です!(歓喜)

 ・・・昨日表記するのを忘れてました(^^;)。それはさておき、一気に増えましたね。やはり「魂の降る里」効果(笑)でしょうか?

[片や遅れ、片は使用不能(汗)]
 遅れているのはメールのお返事。戴いてから1週間以内にお返事していないメールが3通ほどあります(汗)。ページの更新やら作品制作やら、時間に余裕のある日に寝てしまって、残り僅かな時間で(最低でも6時間寝ないと辛い)更新作業に追われる羽目になったやら、様々な事情で遅れに遅れています(大汗)。戴いたメールには(変なものでない限り)きちんとお返事はしますので、もう暫くお待ちください(_ _)。
 使用不能なのは掲示板。2日くらい全くアクセス不能な状態が続いています。画面すら表示されないんじゃどうしようもありません。こういうとき、レンタルCGIは困るんですよね〜。ただ復旧するのを待つしかありませんから。かと言って自分のサーバーに掲示板CGIを設置したら、今までの書き込みが勿体無いですし管理も自分の責任になりますからね。今日の更新の時に復旧していれば良いんですが・・・。
 そんな会話を交わしているうちに、テレビ画面に表示されている巨大なディジタル時計は23:59を回った。もう今年の残り時間は秒単位になってしまった。本当に時が過ぎるのは早い。晶子と一緒に居る時は尚更だ。
 俺と晶子は缶ビールのプルトップに手をかけて、ディジタル時計の値に注目する。1秒毎に増えていく値がいよいよ50に差し掛かる。そして50になった瞬間、俺と晶子はほぼ同時にプルトップを開ける。プシュッという空気が抜けるような音がして、少しの泡が出来た穴からはみ出て来る。

「「「10、9、8、7、6・・・」」」

 テレビで始まったカウントダウンに合わせて、俺と晶子も揃ってカウントダウンを始める。新しい年はもうそこまで迫っている。

「「「5、4、3、2、1、0!」」」

 ディジタル時計が0:00を示した瞬間、テレビから歓声とも絶叫ともつかない声が溢れ出し、ステージ上の出演者がグラスを掲げて、続いて周囲とグラスを合わせる。俺と晶子は向き合って缶ビールを合わせる。

「「おめでとーっ!」」

 満面の笑顔で缶ビールを合わせた後、よく冷えた缶ビールを口に運んでぐいと傾ける。泡を含んだほろ苦い液体が喉を冷やしながら腹に入る。・・・美味い。よく飲んでいるビールがこんなに美味く感じた時はない。
 缶ビールをひと飲みした俺は、テーブルに一旦缶ビールを置く。同じく缶ビールをテーブルに置いている晶子の頬は、ほんの少し赤みを帯びている。酔いが顔に出やすいタイプなんだろうか?

雨上がりの午後 第514回

written by Moonstone

「テレビの表示が10秒切ったら開けよう。」
「それで0:00丁度で乾杯、ですね。」
「そういうこと。」

2001/6/13

[あかん、長いこと寝てもうた(大汗)]
 食事済ませた頃から、それまで続いていた眠気が急に強くなって座っているのも辛いレベルに達したので、30分くらいで目覚められると良いなぁ、と思いつつ横になったら、目が覚めたのは約3時間後でした(爆)。テレホーダイタイムにはギリギリ間に合いましたけど。
 6/12は朝からちょっと具合が良くなくて、仕事でも今日は疲れがかなり蓄積したので、帰宅して食事済ませたら寝てしまいそうだな、と思ってたらそうなっちゃいました。確率高い予想ですね。・・・これは予想の範疇とは言えないか(爆)。
 さて、先日某音楽利権団体が非商用のページに存在するMIDIやMP3、そして歌詞にも一律に使用料を徴収するという暴挙(敢えてこう表現します)に出るという情報が入りました。このページのMIDIは自作ばかりですので良いとして、問題は歌詞を一部引用しているNovels Group 3です。一部引用ならOK、ということを耳にしてコーナー掲載分に関しては歌詞の一部を引用して、雰囲気がより出て良いかな、と思っていたんですが・・・。
 私は、前にGIF圧縮の特許料を徴収するという情報を受けて、他所様のバナー以外のGIFを全て排除したのと同じように、掲載分の歌詞を全部削除する方針です。利権団体に美味しい思いをさせるわけにはいきません。GIFの時に比べればはるかに楽な作業ですからね。早速今日作業するつもりです。
 晶子は軽く俺にキスして煌く橋を落すと、俺の正面にあった身体を俺の横に戻して、そして再び俺の左肩に頭を乗せる。まるでさっきのことが一瞬の夢、或いは妄想だったように感じる。
 テレビの時刻表示を見ると、年が代わるまであと3分もない。晶子とかなり長い間、少なくとも10分くらいはディープキスを交わしていたらしい。時間を早めたんじゃないかとさえ思う。テレビでは出演者が−倉木麻衣の姿はない−シャンパンの入ったグラスを受け取っている。・・・そういえば・・・。

「なあ晶子。ビール飲めるか?」
「ええ。それなりには。」
「よし、それじゃちょっと席外すから。」

 晶子が俺の肩から頭を退けた後、俺は冷蔵庫を開けて中に置いてあった缶ビールを2つ持って自分の席に戻る。曲のアレンジを考えていて煮詰まった時に、気分転換と高揚を兼ねて缶ビールを1本飲むことが多いから、5本くらいは常備している。缶ビール1本で頭がふわっとした感じになって、煮詰まっていた問題が一気に解決したり、さらにはアレンジが一気に終ってしまったりもする時がある。
 酒はある意味、合法ドラッグと言えるかもしれない。実際、気分が高揚したり、飲みすぎると依存症になったりするのはドラッグと同じだ。気分がふわっと楽になるのは良いとしても依存症になったら洒落にならないから、飲むなら1日1本と決めている。・・・まあ、あの夜は例外中の例外だが。

「あ、テレビの真似してビールで乾杯するんですね?」
「そうそう。たまには良いだろ。」
「私を酔わせてどうするつもりなんですか?」
「お、おい。俺は別にそんなつもりで・・・」
「冗談ですよ。」
「・・・あ、あのなぁ・・・。」

 まったく、泣いたと思えばにこやかに笑うし、妖しく迫ったりもするし・・・。でも、こういう表情の豊かなところが晶子の魅力の一つなんだよな。俺は苦笑いするしかない。

雨上がりの午後 第513回

written by Moonstone

 さっきまでの悲しげな表情から一転して、悪戯っぽく笑って言う晶子に俺は全く反論できない。確かに最初のうちは何の前触れもなしに唇をくっ付けられて、さらに舌が俺の口を割って入って来たから戸惑っていたが、結局は自分からも舌を絡めて、晶子の口の中に遠慮なく舌を出し入れしたしな・・・。

2001/6/12

[あと半月ほどですか・・・]
 倉木麻衣のライブチケット応募締め切りまで(爆)。早い段階で確か6通ぐらい送りましたが、終盤の駆け込みと言いましょうか、そのために自宅では爽○美○を飲みまくっています。
 元々何かの作業をするときには大抵の場合、飲み物を傍に置いているんですが、薬を飲む時が迫っている時や○健○茶が冷え切っていない時以外、マグカップの中には爽○美○が入っています(笑)。500mlの場合はマグカップに注がずに直に飲んでますけどね(つまりは2リットル版も飲んでるというわけです)。
 まあ、別に飲まなくてもシールさえ集まればそれで目的は果たせるわけですが、大小の未開封のペットボトルが床を占領するのは忍びないというか鬱陶しいし勿体無いので、シールを蓋から剥がして、その後律儀に飲んでいます(笑)。
 当たるかどうかは勿論分かりませんが(相当数の応募があるんでしょうねぇ)、もし当たったら、この場で報告しようと思います。写真撮影がOKなら写真も撮りたいですね。引き伸ばしてポスターに出来ると良いなぁ〜(笑)。
 慰めるつもりで俺がそう言うと、突然晶子が俺の肩から離れて俺の両肩をがっしりと掴んで唇を唇で塞ぐ。突然のことに俺は目を大きく見開く。視界いっぱいに映る晶子の閉じた両目からは涙が流れている。

「・・・む・・・むさこ・・・ちょ・・・ちょっと・・・!むぐっ!」

 少し開いていた俺の口に柔らかいものが押し入ってくる。・・・舌だ!俺は抵抗する術もなく、晶子の舌を受け入れる。晶子の首が少し傾き、さらに晶子の舌が俺の口の奥深くに進入してくる。そして俺の舌に絡み付けてくる。突然のことに混乱したか、或いは興奮からか、何だかもうどうでも良くなった俺は目を閉じて、晶子と舌を絡ませ、互いの口の中に舌を行き来させる。

・・・。

 ・・・俺と晶子の間にようやく距離が出来る。距離と言っても5cmあるかないかというところだが。俺と晶子の口の間には、電灯で照らされて彼方此方で煌く粘性のある橋が架かっている。俺は晶子の頬に出来ている涙の筋を指先で軽く拭ってやる。晶子の涙は・・・見たくない。

「・・・付き合い始めて1週間経つか経たないかで、さっきみたいなキスは・・・ちょっと・・・刺激が強すぎたかな・・・?」
「好きだって意思表示をするのに時期なんて関係ないでしょ?私は・・・祐司さんに大好きだって言う代わりにキスしたんです。それに・・・」
「それに?」
「祐司さんも最初のうちは戸惑ってたみたいですけど、結構積極的だったじゃないですか。」
「う・・・。」

雨上がりの午後 第512回

written by Moonstone

「こんなこと言うのも何だけどさ・・・、俺と晶子は互いに心に傷を抱えてる身なんだよな。何か嫌なこととかあったらずっと自分の心の奥深くに封印しておくのもひとつだし、言った方が気が楽になるようだったら相手に言える。そういう関係になれると良いな。」

2001/6/11

[ふいーっ、疲れたぁ(-o-;)]
 割と余裕がありましたが、某作品の追い込みはやはり大変でした。書けば書くほど文字が増殖していって、ようやく出来たと思ってファイルサイズを見たら29kB(汗)。一先ず今回書きたかったことはほぼ書けたので、今回書けなかった部分は次回に譲ることにします。
 無事に定期更新が出来ましたので、安心してお返事が滞っているメールの対応が出来るというものです(^^;)。如何に普段寄せられるメールが(DMとか妙なサイトの宣伝は除く)少ないといっても、早め早めに対応していかないと、かなりの大事になるものですね。
 そう言えばこの週末、昼まで寝ることなく、昼寝こそしましたがかなり規則正しい生活が出来ました。今の身体では徹夜や不規則な生活をすると、なかなか元どおりになりませんからね。と言いつつ、土曜日の夜は某作品の執筆&某所でのチャットで3:30近くまで起きてましたけど(爆)。
 何はともあれ、6月最初の定期更新が無事に完了して良かったです(^^)。更新には前々からの準備が必要なことを痛感させられました。当然と言えばそうなんですが、それがなかなか出来ないんですよね(^^;)。無理にならない範囲で地道に作品制作、そして更新、といきたいところです。

「晶子・・・。」
「・・・祐司さん。お願いですから・・・そのことについては聞かないで下さい・・・。」

 呟きにも似た晶子の声には全く普段の張りがない。その表情は長い髪に隠れて見えないが、どうやら訳ありらしい。それも、俺が優子とのことについて触れられた時と同じ、或いはそれ以上に思い出したくないことがあるらしい。

「・・・分かった。もうこのことについては聞かない。」
「・・・御免なさい・・・。」
「晶子が謝る必要なんてないさ。誰だって一つや二つ、聞かれたくないことはあるしな・・・。かく言う俺だって、あんまり優子とのことは聞かれたくないし・・・。悪かったな。妙なこと聞いたりして。」

 晶子は俺の左肩に凭れて視線を下に落したまま首を横に振る。その動作にもやっぱり普段のきびきびした様子は見えない。相当なことがあったんだと推測するしかない。まさかこんなことになるとは思わなかったが、幾ら彼氏彼女の関係といっても無闇に相手の心の暗部に踏み込むべきじゃない。本当に悪いことをしたと今更ながらそう思う。

「祐司さんって・・・優しいんですね。」

 気まずい雰囲気が漂う中、晶子がぽつりと漏らす。

「そんなことないよ。まさかそうなるとは思わなかったと言っても、晶子に嫌な思いをさせてしまったくらいだし・・・。」
「それは祐司さんが知らなかったから仕方ないです・・・。それよりも、私を労わってくれたことが凄く嬉しい・・・。」

雨上がりの午後 第511回

written by Moonstone

 晶子からの返答はない。見ると、俺の左肩に凭れている晶子は視線を下に落して押し黙っている。答えたくないのか?だとしたら・・・どうして?

2001/6/10

[金曜の夜は・・・]
 眠気に従って大人しく寝ました(笑)。眠たい中で制作を続けようとしても能率が上がりませんし、何より寝た後、何時になったら起きれるか分からない(汗)。目玉になる(と思う)某作品もかなり書けているとはいえまだ途中ですし、その他にもすることはあったので万全の体制で追い込みをしたかったんです。
 で、追い込み第一日目の土曜日はそれなりに作業を進めることが出来ました。グループ1つが更新準備が整い、もう1つのグループが昨日から今日にかけての追い込みで恐らく間に合うと思います。やっぱり前々から少しずつ準備しておいて正解でした。二日プラス少々であれだけ台詞が乱れ飛ぶ(以下、ネタバレに近くなるので省略(爆))。
 そうそう、昨日の更新で一時、トップページに「メールフォームがおかしい」という表記をしましたが、あれは私がメールフォームの機能を勘違いしていただけで異常はありません(^^;)。でもメール処理をどうにかしないとなぁ・・・。
「私は5月2日ですよ。」
「へえ。じゃあ4ヶ月くらい、俺と晶子の年が2つ違う時があるのか。」
「そうなりますね。そう言えば、長いお付き合いなのに、今まで誕生日のことは一度も話題にならなかったですね。」
「長いお付き合いって・・・正式に付き合い始めてからまだ一月も経ってないぞ。」
「良いんですよ。こういう場合は。」
「おいおい、良いのかよ・・・。」
「良いんですっ。」

 押し切られてしまった・・・。まあ、中学や高校なら兎も角、大学じゃ浪人や留年で同じ科の人間が全て同じ年度の年齢とは限らないし、そのほうがむしろ珍しいくらいだからな。現に俺も実際こうして一つ年上で学年は同じの晶子と付き合ってるわけだし・・・。

・・・ん?

ちょっと待てよ・・・。俺は現役で且つ飛び級なしで今の大学に入ったから、大学1年で19歳。これはこれで不具合はない。だけど晶子は誕生日が5月2日で今20歳。だったら・・・晶子は来年の−もう間もなく「今年」になるが−成人式なんじゃないか?・・・そうだ。間違いない。

「晶子って・・・今20歳だよな?」
「そうですよ。」
「で、誕生日は5月2日・・・。だったら今度の成人式の出席者に該当するんじゃないか?なのに実家に帰らなくて良かったのか?」

雨上がりの午後 第510回

written by Moonstone

「なあ、晶子。」
「何ですか?」
「誕生日って・・・何月何日?俺は9月6日だけど。」

2001/6/9

御来場者107000人突破です!(歓喜)

 ・・・ちょっとペースが上がっているようです。『「魂の降る里」待ち』でしょうか?最近の更新から約一月半経過しているので、何とか更新したいです。

[・・・やっぱり眠いです]
 金曜日は午前中設計をしていたら酷い眠気のあまり舟を漕いでまして(これは寝不足じゃなくて、私の病気の症状です)、午後は主な作業場所を普段の場所とは違うところに移しての肉体労働。流石に疲れましたね。
 帰宅して夕飯を食べ終わり、まだ間があるな、と思ってベッドに横になっていたら電話のコール音で起こされて、実家からの電話を終えて時刻を見たら、「クレヨンしんちゃん」見逃しちゃってまして(爆)、ちょっと(かなり?)がっくりして再び横になったら目覚めたのは22:00少し過ぎたところ。連載の書き溜めが殆ど底をついた状態だったのを思い出して、急いで執筆に取り掛かりました。
 夜は昼間と違って少し寝てもなかなかすっきりしないです。週末は定期更新の準備が控えてますから、この更新を終えたら大人しく寝た方が良さそう・・・。でも、定期更新の準備に専念したいなら連載を書き溜めておいた方が安全ですし・・・。どうしたものですかね(^^;)。

「そう・・・ですよね。二人で一緒に新しい年を迎えられれば、それで良いんですよね・・・。」
「・・・ああ。」
「こうしてると凄く安心できます・・・。」
「そうか?」
「ええ・・・。」

 俺はそれまでテーブルの上にあった左腕を徐に晶子の左肩に回す。今度は肩の上じゃなくて横、言い換えれば腕の付け根だ。これだと「肩に手を置く」じゃなくて「肩を抱く」という感じだ。それに呼応するかのように、晶子がより身体を密着させてくる。仮に人間の体が土や泥で出来ていたら−旧約聖書みたいだな−、一体化していてもおかしくないくらいだ。
 この家は新興住宅地の中にあるから、どれだけ耳を澄ましても除夜の鐘の音は聞こえない。音量を少し上げたテレビの音声以外、何時もならこんな時間に走る必要はないだろうと思うこと頻りの車の走行音も、若者の集団らしい近所迷惑な大声も聞こえない。新しい年になったら一気にそれらが街中に溢れ返るとは思えないが、本当に静かな夜だ。

 テレビ画面の左隅に表示された大型ディジタル時計は−司会者の一人が傍に立っているからその大きさが分かる−、もうこの今年があと30分に満たない時間で過去になることを示している。
 この間、晶子との間に会話らしい会話はしていない。でも、こうして晶子の肩を抱いて一緒に居るだけで、時間は早く流れていく。それはこの時間が楽しいとか嬉しいとか、そういう時間だからだろう。ちなみに大学の講義、特に専門教科は時間が過ぎていくのがやたらと遅い。
 過ぎ行く時間・・・色々なことがあった今年ももう残り僅かだ。俺は間もなく訪れる新しい年に20歳になる。晶子に追いつくわけだ。・・・そう言えば、互いの誕生日はまだ言い合ってないな・・・。折角の機会だから知り合っておくかな。

雨上がりの午後 第509回

written by Moonstone

 俺が某有名ユニットの演奏を聞き流しながら言うと、俺の左肩にコツンと何かが軽く当たる。左を見ると、晶子が頭を俺の左肩に乗せている。これくらいなら多少心拍数が上がるくらいで応対できる。

2001/6/8

[お食事中の方、すみません(_ _)]
 このお話を始める前から腹の具合が異常に悪くて大変な目に遭ってます。帰宅してからこのお話を始めるまでにトイレに駆け込むこと多分9回(こんなこと普通カウントしないでしょ?)。3回程は出て直ぐに逆戻り(爆)。体からごっそりと水分が抜け落ちたような気分です。余計な脂肪が抜け落ちてくれると嬉しいんですけどね、って余裕かましてる場合ではありません(猛爆)。
 原因は分かっています。今服用している下剤です。私の病気の治療薬は副作用として眠気と(これは以前からお話してますよね)便秘があるんです。眠気は我慢する以外どうしようもないですが、便秘には下剤を対策として服用しています。その下剤、定期的に効くなら問題ないんですが、数日音沙汰がないと思ったら、ある日ある時突然爆発的に効果を発揮する傾向が強くなってきて、昨日はその「厄日」だったわけです。冷えた牛乳を飲んだのも(品質保持期限はOK)多少影響しているかもしれませんが。
 眠気の方はどうにか耐えられるようになってきたので、こっちの方も安定して欲しいものです。今服用している薬を飲まなくて良くなる、つまりは今の病気が治るまで付き合っていかなきゃなりませんからね〜(^^;)。
「ええ。多分祐司さんと一緒に大学に行ったりしてるうちに、祐司さんの手に落ちたのか、って思われて、それが彼方此方に噂になって広まったんだと思います。」
「手に落ちた、ねえ・・・。そう言えば俺も前に同じ科の奴に聞かれたな。文学部の美人と付き合ってるのか、って。俺の科の方は智一が居るから、噂を広げてくれって言ってるようなもんだからな。」
「色恋沙汰の噂話はかくも早くに広まらんかな、ってところですね。」
「おっ、さすが文学部。古典の一節風に締めたな。」

 俺と晶子は顔を見合わせて笑う。アルミホイルの鍋焼きうどんを食べている状況だったら、こんな楽しい時間は望めなかっただろう。テレビで番組を適当に選んで、その音声を聞きながら年と年の繋ぎ目を無機質に一瞥するか、あの出来事を蒸し返して散々心の中を荒らしまわっていただろう。どちらにしても、全く前向きじゃないことには違いない。
 良好な雰囲気で年越し蕎麦を食べ終わり、晶子が洗い物を終えて戻ってくる。二人密着した状態でテレビの音声を少し上げて見る。番組は生中継の歌番組とカウントダウンをごっちゃにしたものだ。もう「今年」が「昨年」に、「来年」が「今年」に変わるまで1時間ほどしかない。
 その番組では、俺がよく聞く系統のミュージシャンは勿論居ないから−歌はないし、所謂Jポップよりはマイナーだしな−、俺が耳を傾ける曲を演奏するミュージシャンは今のところゼロだ。耳を傾けたくなる曲となると、あるかないかということ以前の問題だ。
 そんなJポップに対する俺の認識の中で、例外的な存在になった倉木麻衣は出るんだろうか?晶子の新しいレパートリーにほぼ内定した「Stand up」あたりを生で歌ってくれると嬉しいんだが。そう思っていると横に居る晶子が俺の左腕を突付いて尋ねる。

「倉木麻衣さん、どうなんでしょう?」
「何とも言えないな・・・。最初から見てたら出演者の全容が分かったかもしれないけど・・・。まあ、これを最後まで見てれば嫌でも分かるし、新年を二人で見れればそれで良いんじゃないか?」

雨上がりの午後 第508回

written by Moonstone

「よく覚えてますね、祐司さん。ええ、そうです。でも、声をかけられるのは以前よりかなり減りましたよ。」
「そうなのか?」

2001/6/7

[仮眠を通り越して]
 熟睡しちゃいました。昨日の20:00頃から今日の1:30頃まで(爆)。起きてるうちに食事の後片付けや洗濯やっといて良かったです。昨日ちょっと肉体労働や作業場所の行き来が多くてかなり疲れていたせいもありますが、半分は不貞寝に近かったです。職場で困ったことを上司から通達されましてね・・・。
 勿論、通達はある意味筋が通ってますし、普段から色々気遣ってくれる上司を恨む気持ちはさらさらないんですが(上司はあくまでも通達しただけですし)・・・せめてかつてほぼ毎日のようになっていた「1日の2/3労働」の分を考慮してくれないものか、と思いましてね・・・。通達後も帰宅後もそのことが頭から離れなくて、今日の分の連載すらまともに書けなくて、憂鬱な気分でベッドに横になったら約5時間半過ぎていた、というわけです。
 起きた後は、まだ多少憂鬱な気分は残っていますが、自分の中でかなり消化できたので、連載を書いてこのお話をして、これまでの通例から約3時間遅れての更新となりました。そういうことがありましたので、更新の遅刻はご容赦ください。(_ _)
 やっぱり病気なんてするもんじゃないですね。まあ、病気になりたいと思ってなる人なんてまず居ないと思いますけど・・・。某機構のCMで「自己チュウ」とやらを批判していますが、結局その「自己チュウ」で居る方が得な世の中なんですね。改めてそう思いました(溜息)。
「ええ。そこで私をアピールしよう、って思うんですよ。」
「ふーん・・・。そんなもんなのか。」
「勿論、アピールに失敗しないように、っていう緊張感は付きまといますけどね。でも、それは大抵良い方向に働くんですよ。」

 なかなか面白い−興味深いという意味で−話だ。食事を進める手を遅くして、その話に意識の焦点を合わせる。

「男の方は・・・どうだろうな・・・。割と高嶺の花に惹かれる傾向があるかな?才色兼備とか深窓のお嬢様とか。」
「へえ・・・。女の人とは逆なんですね。それで、祐司さんから見て、私はどう映ったんですか?」
「まあ、最初の頃はその・・・あんなことがあって思考が悪い方に悪い方に向かうようになってたから論外として、それから少しして客観的に見た時はかなり美人だな、って思った。勿論、今でもそう思うけど。」

 照れているのか嬉しいのか、晶子の頬がほんのり紅い。今はまかりなりにも交際相手だからそれこそ主観の方が客観より強いが、晶子がかなりの美人だ、という見解に変わりはない。それを淡々と口にしただけだ。こういう言い方は時に相手の心をざっくり抉ってトラブルを招くこともあるんだが。

「それに今思うと、まだ俺の心がささくれ立っていた時から、雰囲気が他の女と違ってたな。チャラチャラ着飾って自分をこれ見よがしにアピールするわけでもなし、姉御(あねご)面して取り巻きの男を大勢引き連れて新しい取り巻きを物色することもなくて、自然体で、でも迂闊に声をかけ辛い雰囲気みたいなものはあったように思う。」
「そうですか?伊東さんは気軽に声をかけてきましたよ。」
「智一は、好い女だ、と思えば躊躇なしに声かけるタイプだからな。それに以前、晶子も言ってたじゃないか。よく声をかけられるって。でも、どうして自分に声をかけたのかって聞いたり、自分が今の容姿でなかったら声をかけたのか、とか聞いたら、相手が困ったような顔をするとか。」

雨上がりの午後 第507回

written by Moonstone

「女の人はね、祐司さん。何でも完璧にこなす男の人には近付き辛いんですよ。私が手を出す場所がない、って。むしろ、ちょっと変な言い方ですけど、隙がある人の方が近付きやすいんですよ。」
「その隙ってやつは、俺で言うところの食事や掃除ってことか?」

2001/6/6

[珍しい日と雨中の帰路]
 昨日は珍しく朝から眠気に翻弄されることがなく、一日快調に仕事をこなすことが出来ました。配線をちょっと勘違いして「予備実験では出来たのに〜」とパニックになりそうになりましたが(^^;)。まあ、これは珍しくないことなので気にしない、気にしない(爆)。
 で、帰ろうと外に出たら、霧雨より少し大きい粒の雨が降っていました。自転車を置いていくのはちょっと不安もあるし、それ程大した降りではなかったので、自転車で強行突破しました。幸い途中で大降りに晒されることなく(以前やられたんですよね〜)、無事帰宅することが出来ました。
 帰宅して夕飯の仕込みを終えてテレビを見たら、私の住んでいる地方が昨日入梅したとのこと。これから暫くは洗濯物を家の中で乾燥させる日が続くんですね。でもこの時期に雨が降らなきゃ夏に水不足だ、と騒ぐことになりますから、週末くらい晴れてもらう程度で(勝手なこと(^^;))しっかり降ってもらいたいものです。
 俺が音頭を取って食事の前の挨拶を済ませた後、二人同時に食べ始める。蕎麦は茹で過ぎず固過ぎず、丁度良い具合に茹で上がっている。そこに香り豊かな出し汁が食欲をそそる。天ぷらを少し齧ってみると、カリカリとした食感の中に出汁が染み込んで、これまた美味い。まさかこんな本格的且つ美味い年越し蕎麦を食べられるとは・・・俺の運もまだまだ捨てたもんじゃないってことか?

「美味いな、この蕎麦。天ぷらのアクセントも最高。」
「そうですか?そう言ってもらえると嬉しいです。」
「晶子と出会ってなかったら、一人で鍋焼きうどん食ってただろうなぁ。あのアルミホイルで出来てるやつ。」
「実家に帰ったら、美味しい天ぷら蕎麦を食べられたんじゃないですか?」
「・・・そうかもしれないけど、実家に帰るのが面倒で此処に居たかもしれない。となると、結局はアルミホイルの鍋焼きうどんで終わりだな。」

 年越しだから、といって俺が料理をしようとするとはとても思えない。実家にも帰らないとすれば、やっぱりアルミホイルの鍋焼きうどんが関の山。侘しい年越しになっていただろう。それはそれで侘しいとは思わなかったかもしれないが。

「祐司さんって、食事と掃除に関しては面倒の一言で終っちゃう人ですね。」
「・・・嫌になった?」
「いいえ。それだけ正直で分かりやすいと、私が出る幕は此処だな、ってよく分かりますから。」
「出る幕?」

雨上がりの午後 第506回

written by Moonstone

「それじゃ・・・」
「「いただきまーす。」」

2001/6/5

[闘病は何時まで続くやら]
 心身の方は小康状態を保っていて、大きく改善したわけでもなく、逆に悪化したわけでもなし。長期レンジで見ればそれなりに回復したと思いますが、今の病気特有の症状、即ち午前中から昼頃までやたら眠くて、午後からは割と快調という現象が続いているので、まだ完全回復宣言は出来ないでいます。
 ふと思ったのですが、昨年の今頃は最悪でした。何時自殺してもおかしくないような洒落にならない状態でしたからね(大汗)。いや、本当に。それと比べれば随分良くなったとも言えます。
 思えば、あの酷い状況でもそれまで通っていた病院では、3つの科に様々な検査を点々としても原因不明、異常なしばかりで、止むに止まれず今の心療内科に駆け込みました。それは確か7月。もうすぐ1年になろうというところです。あっという間ですね。夕食後に翌日分の薬の仕分けをするのが日課になっていますが、これが一日でも早く過去の記憶になるようにしたいものです。せめて午前中の眠気さえ無くなれば良いんですけどねぇ〜(^^;)。

「そろそろ年越し蕎麦の準備しますね。」
「ああ、俺が手伝うことはあるか?」
「直ぐ出来ますから私一人で大丈夫ですよ。」

 晶子は俺の後ろ側を通り抜けて台所へ向かう。晶子が作るのはざる蕎麦じゃなくて掛け蕎麦だ。ざる蕎麦用の容器なんてないし−そもそも俺が一人でざる蕎麦を作るなんて想像もつかない−、丼は3つくらいあるから−幾ら何でもインスタントラーメンはせめて丼で食べたいものだ−、必然的に此処で作れるものは掛け蕎麦になる。
 少しして香ばしい出汁の匂いが漂ってくる。蕎麦を茹で上げた晶子は予め出しておいた二つの丼に蕎麦を入れて、その上に夕食の天ぷらを作る時に用意しておいた年越し蕎麦用のかき揚げを載せて、さらに出し汁をかける。晶子特製の年越し蕎麦の完成だ。
 俺も立ち上がって台所へ向かう。晶子に何もかもさせるわけにはいかない。少なくとも自分の分を持ち運ぶことくらいはしないと・・・。

「あ、祐司さん。私が運びますから・・・。」
「自分の分くらい自分で運ぶよ。」
「・・・ありがとう、祐司さん。」
「それにしても美味そうだな。さ、早く食べよう。」
「ええ。」

 俺と晶子はそれぞれ両手で丼を持って自分の席へ向かう。テレビと向かい合う席の右寄りの位置に俺が座り、左寄りの席に晶子が座る。丼からは眼鏡をかけていたら間違いなく曇る程の湯気と、出汁の美味そうな匂いが立ち込めている。

雨上がりの午後 第505回

written by Moonstone

 俺と出会えて良かった、という言葉が嬉しい。俺の顔に微笑が浮かぶ。控えめなテレビの音声が−晶子が点けて音量を絞ったんだろう−去り行く年と訪れる年の繋ぎ目が近いことを知らせる中、徐に晶子が立ち上がる。

2001/6/4

[春の夜の怪談(?)]
 昨日の深夜(6/3)、更新を完了して某作品の執筆をしていた時、何かが私の頭の右側を掠めて、PCの液晶CRTの(ノートPCですので)右隅に張り付きました。それは・・・体長5cmはあろうでかいゴキブリ(猛爆)。その場で一瞬硬直した私は手近にあったCDのケースを手に取ってゴキブリ目掛けて叩きつけましたが、ゴキブリは直前に退散。
 私はPCを置いている机の上を逃げ回るゴキブリを懸命に追い回して、机の上から床に追い込んで一撃を食らわせようと尚も追いかけようとしたんですが、そのときしていたイヤホンに(音楽聴きながら執筆してたので)引っ張られてその場で尻餅(^^;)。
 幸いなことに、ゴキブリは戸棚の下でじっとしていたので、ゴキブリ狙撃率100%の強力な殺虫剤を手に取って、私の動きを察してか隙間に逃げ込もうとしたゴキブリ目掛けて噴射。無事退治してティッシュで掴んでとどめとばかりに握り潰してゴミ袋に放り込みました。
 しかし、一体何処から忍び込んでくるんでしょうねぇ。昨年相当数狙撃して倒したんですが・・・。何時の間にか背後を取られましたし。飛びついた先が私の後頭部じゃなくて良かったです、本当に(^^;)。
「前の心理学の講義でそういう話があったじゃないですか。人は短時間で長い夢を見ることがあるって。」
「・・・そう言えば・・・そんなこと言ってたな。」
「で、どうでした?祐司さんの見た長い夢は。」

 俺はテーブルに片肘を乗せて、その手に顎を乗せて少し考えてみる。色々なことがあった今年1年。優子との初詣に始まり、二人共第一志望の進学先に合格、二人っきりの温泉旅行、新生活の始まり、優子との別れの兆し、優子からの突然の別れの宣告、そして晶子との出会い。
 晶子にストーカーのように追いまわされ、講義だけじゃなくてバイト先まで同じになって、疎ましさと女一般に対する嫌悪感が次第に変わっていき、初めての晶子との衝突で気付いた俺の気持ち・・・。晶子からの愛の告白を受け、ずるずるとクリスマスコンサート直前まで引き摺った返事。ようやく互いの気持ちが明らかになった嬉しさ。もう味わえることはないと思っていた俺に降りかかった新しい幸福な気分と新しい幸せな時間。単純に振り返るだけでも色々なことがあった。これを一言で言い表すなら・・・。

「・・・色々なことがあったな、ってことがまず一つ。」
「もう一つは?」
「晶子に逢えて良かった、ってことだな。」

 答えを期待するように俺の顔を覗き込んでいた晶子が、ほんのり頬を赤らめて嬉しそうに微笑む。期待通りの答えだったと考えて良いだろう。でも、言ったことが俺の本心であることには変わりはない。

「そう言う晶子はどうなんだ?」
「祐司さんと同じで・・・、色々なことがあって、その中で祐司さんと出会えて良かった、って。」
「そうか・・・。」

雨上がりの午後 第504回

written by Moonstone

「俺もそうなんだけど・・・こんな短い時間で1年分の回想が出来てしまうもんなのか、不思議でならないな。俺はてっきり晶子が、考え込んでいるうちに自分の世界に入った俺を不安半分不満半分で見てたんじゃないかって思ったんだけど。」

2001/6/3

御来場者106000人突破です!(歓喜)

 ・・・このコーナーを更新するだけでもコンスタントにご来場いただいているようで管理人の私は嬉しいです(^^)。定期更新でしっかり更新できるように作品を制作しようと思います。

[ある歯止めがないと・・・]
 寝たら最後、なかなか起きれません(汗)。昨日も平日と同じ時間に起きて、しっかり目を開け続けていられるように訓練しようと目覚ましをセットしたんですが・・・背後のスイッチを切って寝てしまい、目覚めたのは正午少し前でした(爆)。
 金曜日に寝た時間は普段より1時間ほど遅いくらいで、平日ならどうにか起きれるんですが(起きなきゃあかんわな)、休日は駄目ですね。「休みなんだから寝させろ!」という意識が強く働くようです(^^;)。それに某作品の執筆最中に休憩がてらちょっと横になろう、と思ってベッドに横になって、目が覚めたら3時間時計の針が進んでました(爆)。これじゃ休憩とは言えませんな(汗)。
 まあ確かにPCに向かってキーボードを叩いていると、肩は凝るし目はチカチカするし腰も痛くなるしで、結構疲れるものなんですが・・・。やっぱりここでも「休みなんだから存分に昼寝させろ!」という意識が働くようです。歯止めがないと寝てばかりになるのが、昨日の「実験」でよく分かりました(^^;)。
最後に残ったはんぺんは晶子が取って半分食べた後、晶子が残りを俺に差し出した。所謂間接キスというやつだが、かなり緊張した。直接のキスはしているくせに・・・妙な話だと我ながら思う。

 その日以来、晶子は此処に、つまりは俺の家に居る。今日が大晦日だから既に3泊している。朝はキスで起こされるのは29日の朝から今日までで3日連続だ。俺が晶子より早く起きることが出来れば俺から出来るんだが・・・って、何を考えてるんだ、俺は。
 そういえば、この一年を振り返っているうちに随分時間が流れたんじゃないかと思う。晶子にしてみれば、自分をほったらかしにしておいてずっと考え事してる、と怒っても無理はない。そう思って壁の時計を見ると、何と言うことか、最後の「兎さん林檎」の食感を堪能してから10分ほどしか経ってない。俺は目を擦って再び壁の時計を見るが、やっぱり針は10分程度しか動いていない。

「どうしたんですか?」

 何時の間にか−俺がこの1年を回想している間だろうが−俺の隣に居た晶子が尋ねてくる。晶子も俺が10分間で1年間の回想をしていたとは思いもよらないだろう。

「ん、いや、今年一年を振り返ってみててさ・・・。」
「じゃあ、私と同じですね。」
「え?!」
「私も林檎を食べ終えてから、祐司さんの横で今年一年を振り返っていたんですよ。ああ、こんなことがあったなぁ、って。」

 晶子も1年間を回想してたのか・・・。それにしても、10分程度の時間であれだけ長い回想が出来るものなんだろうか?

「回想って、今年の正月から?」
「ええ、そうですよ。」

雨上がりの午後 第503回

written by Moonstone

コンビニ頼りの生活がこんな形で役に立つとは思わなかった。そのアイデアに晶子も賛成してくれて、早速コンビニへ向かった。思い思いの具を突っ込んだ入れ物を持って帰って、俺と晶子は初めて両者共健康体で夕食の時を過ごした。

2001/6/2

[帰宅していきなり・・・]
 ベッドに倒れこんで寝てしまいました(汗)。昨日は回路制作で頭を悩ましていたところに、依頼者から話に聞いてない仕様を言われて、驚いた後がっくり。完成に近付いていた回路を2つに分離するか、無理矢理1つに閉じ込めるかであれこれ考えているうちに精神的疲労がどんどん蓄積。帰宅しても夕食を作る気も起こらず、着替えてベッドにばったり(汗)。偶然目覚ましがセットされていたので(背面のスイッチを切ってなかった)、「クレヨンしんちゃん」は見れました(笑)。
 で、その後も空腹感は感じても食事を作る気は起こらず、経口栄養剤とチョコレートと牛乳で間に合わせました。そして再び就寝(汗)。目が覚めたのは丁度22:00で、それから今日の更新に取り掛かりました。このお話をしている最中も眠気が残っているので、更新とメールのチェックを終えたらまた寝るでしょう。今度は朝まで、否、昼過ぎかな(爆)。
 今日の眠気は疲労もありますが不貞寝(ふてね)に近いですね。思うように回路も作れず、どうにか形になってきたところで「此処をこうしてね」と仕様変更をいきなり言われたら・・・ねぇ(溜息)。落ち込んだままだと来週からの仕事に響くので、この週末で気分を盛り返したいところです。それにしても眠いなぁ〜。
でも、晶子を抱き締めて唇を合わせる中で、互いに好きだと口にすることの大切さを、過去の経験を踏まえて俺は感じた。

 そして自宅の大掃除。あれだけの規模だと引越しかと思われても仕方がないほど洒落にならないものだった。一人じゃそれこそ雑誌を重ねて隅の方に置いて、はい、おしまい、としてしまっただろう。幸い晶子が手伝いに来てくれた上に、掃除の手順まで指揮してくれた。実家から持ってきた溜まり溜まった雑誌も一気に捨てることになって、家具の色が新品の時のそれを取り戻した。
昼には休憩を兼ねて外食に出た。行き先は『Alegre』。俺が優子と朝を迎えた時、必ず朝食を食べに行った喫茶店だ。そこで俺は過去と正面から向き合い、そして清算するつもりだった。俺達のことを出汁にしてあれこれと妙な噂話をしていた主婦連に、晶子がコップの水をぶちまけて怒声をぶつけるという、普段の晶子からは信じられないようなハプニングもあったが、かつて必ず座っていた席を晶子の後ろ側にして、俺は晶子にこの店に来た理由を話した。何時も座っていた席には座れなかったが、それで晶子に優子の面影を重ねることにならなくて良かった、と思った。

 何時終るのか予測もつかなかった俺の家の大掃除も、夕方には全身に蓄積された疲れと引き換えに終わりを告げた。文字どおり隅から隅まで掃除した俺の部屋は見違えるほど綺麗になった。晶子はさらに俺の服の整理もしてくれた。晶子が居なかったらどうなっていたか、考えるだけでも恐ろしい。
その晶子と夕食をどうするか話していたとき、何気なしに晶子が発した「疲れた」という言葉に過敏に反応した−優子が使った絆を切る鋏だ−俺に、晶子は労わると同時に叱咤してくれた。言葉の隅々まで過去に拘っていたら、何時までも優子の幻影に振り回されることになる、と。あの言葉は聞いた時には確かに厳しいものだったが、俺が過去と向き合う姿勢を正してくれたと思う。

 言葉の綾で眠気がすっかり吹き飛んだ俺と晶子を襲ってきた空腹感をどうしようかと考えているうちに、俺がコンビニでおでんを買うことを思いついた。

雨上がりの午後 第502回

written by Moonstone

そして俺と晶子は波の音を背景に抱き合い、女にとっての「好きだ」と言われる気持ち良さと安心感を語り、そして唇を重ねた。周囲に人影が見えなかったせいもあるだろう。冬の海が演出する寂寥感のせいもあるかもしれない。

2001/6/1

[朝は眠い〜]
 多くの方はそうお思いでしょう。私も勿論そうですが、毎日となるともう大変です(汗)。どれだけ寝ても午前中は酷い睡魔に晒されて、目を開けているのも辛いくらいです(大汗)。これ、私の病気の症状の一端なのは勿論、その薬の副作用からも来ているものなので、避けては通れません。どうしたら睡魔を緩和出来るか、試行錯誤してみました。
 その1「夜早く寝る」。簡単且つ解決に近い(と思われる)方法ですが、既に失敗(爆)。普通だったら7時間半も寝られれば眠気は吹っ飛ぶ筈なんですが・・・。その2「朝ギリギリまで寝る」。・・・起きられない危険性が高いので不可(爆)。その3「いっそ休む」。・・・限度ってものがあるでしょう(汗)。よって不可(爆)。
 その4「今の病気を治す」。そりゃそれが一番良いに越したことはないですが(薬も飲まなくて良いですし)、治すために処方どおりの薬を飲んでいるわけで・・・。結局現状に甘んじるしかないみたいですね(^^;)。
そこで晶子は「奥さん」と呼ばれたが全く動揺することなく、「ご主人」の俺が、晶子が選んだ魚を受け取ることになった。晶子は「奥さん」と呼ばれたことが嬉しくて仕方ない様子だった。夫婦ごっこ、と言ってしまえばそれまでだが、俺も悪い気はしなかった。もし幸せな時間の一例を挙げるなら、これも一つに挙げることが出来るだろう。

 買出しが終って仕分けも済んだ後、暇を持て余すのも勿体無いと思った俺は、晶子に日帰り旅行気分で外に出ないか、と尋ねた。晶子がそういうことに反対する筈もなく、晶子が行きたいと言う海に近い駅を推測して「柳ヶ浦」という駅へ向かうことにした。さして珍しくない電車での喧騒を聞き流したのもつかの間、俺と晶子は「柳ヶ浦」というその駅で降りた。駅を降りて直ぐ、これでもか、と言わんばかりに海に近いことと歓迎の看板が掲げられていた。俺の推測が珍しく当たったわけだ。
冬の海は灰色の空と相俟って寂寥感を醸し出していた。そんな中、寒風にも負けず海岸で遊んでいる子ども達を見て、俺と晶子は昔と今の子ども達が置かれている状況の違いを−落差といったほうが良いかもしれない−話した。話すといっても俺が自論を吐き捨てるように言って、晶子がそれに同感するようなものだったが、晶子もそういう「固い」話が出来ない息苦しさを口にした。花の女子大生といっても頭はファッションだの流行だのブランド物だのといった話しか出来ない中で、かなり息苦しく思うことがあると晶子は言った。

 人と人との繋がりが大学ではもう希薄になっている、という話から一転して、晶子が「私達みたいなカップルを除いて、ね」と尋ねつつ、俺に回答を迫った。俺が肯定すると、それまでの切なげなものから一気に明るくなった表情で晶子はいきなり俺に抱き付いて来た。俺は好きだと口にすることの重みは関係が始まっても別の形で存在することを思い知った。

雨上がりの午後 第501回

written by Moonstone

その買出しで一番驚いたのは、晶子が自分で魚を捌いて刺身を作る、と言い出したことだ。目が怖いだのぬめっとしてるだの、その切り身とかは平気で食べるし、爬虫類は可愛いと言ったりする女が巷で目立つ中、晶子の品定めが始まった。

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