芸術創造センター こぼれ話
Dropped talk of Performing Arts Center

2001年7月31日更新 Updated on July 31th,2001

2001/7/31

[今度は肩かー!]
 数日前、こむら返りを起こしてのた打ち回り、脹脛の痛みがなかなか取れなかった私ですが、キャプションどおり、今度は肩を攣ってしまって酷い目に遭いました(汗)。それもよりによって利き腕の方だからもう大変。ひたすら我慢して肩が元どおりになるのを待つしかありませんでした(大汗)。
 幸い10分ほどで収まりましたが、あの痛みはこむら返りに匹敵するものでしたね。前のこむら返りといい、今回の方の引き攣りといい、やっぱり運動不足が影響しているんでしょうか?ちょっと真剣に考えたほうが良さそう・・・。
 さて、今メールフォームの改良をしているんですが、どうしても上手くいきません。きちんと直した筈なのに、「Internal Server Error」が出るばかり。効率よくメールフォームのお返事が出来るようになる予定なんですが、何時になったらできるやら・・・(汗)。

「悪い悪い。さっきまで寝てた。目覚ましかけてなかったし。」
「まあ、今日は正月休みだし、あんたも大学休みだろうから良いけど・・・普段ちゃんと大学行ってる?」
「行ってるに決まってるだろ。1年と2年のうちに教養課程の単位全部と専門課程の一部の単位を取らなきゃ、留年になっちまうんだから。」
「そう。念のため言っとくけど、家(うち)には4年分以上の学費を払って仕送りをする余裕はないからね。」
「分かってるって。バイトで生活費を補充するって約束したうえで此処で一人暮らしすることを許してくれたんだろ?」
「そんだけ分かってりゃあんたは大丈夫だと思うけど、変な宗教団体とかに入ったりしてない?あんた、昔から自分が信じたことや自分の主張とかは頑として曲げない子だったから。」
「そんな団体に入ってたら、まともに生活費稼ぐ時間なくなる。」
「それもそうね。他に何か変わったことない?」
「いや、別に。」
「そう。じゃあ、身体に気を付けるのよ。それから留守番電話にメッセージ吹き込んであったわね。1日遅れだけどおめでとう。」
「おめでとう。」
「父さんもあんたがまともに生活してるか心配してるから、何かあったら直ぐに連絡しなさいよ。」
「分かった分かった。」
「それじゃ電話切るから。ちゃんとしなさいね。」
「はいはい。」

雨上がりの午後 第561回

written by Moonstone

 この声は俺の母親の声だ。電話に出るのが遅れたのが原因か、やや声が荒い。ステレオの時計を見てみると、12時をとっくに過ぎている。昨日夕食でおでんを食べてから深夜まで新しいレパートリーを選んだり軽い練習をしていたし、休みだから、と目覚ましもかけなかったからこんな時間まで寝てたわけか。

2001/7/30

[私は投票に行きました]
 徹夜して一番乗りを目指しましたが、先客が居て逃してしまいました。うーん、残念(2番目でした)。選挙の結果について思うことは人それぞれでしょうが、私は1回痛い目に遭わないと事の本質が分からない人が多いらしいと思います。
 さて、徹夜の間何をしていたか、と言いますと、次回定期更新へ向けての作品制作とPSのゲームをしてました。PSゲームに手を出すのは徹夜の間が初めてではなくて、数日前からちょくちょくやってました。でも、それまで1年程ゲームをしてなかったんですよ。何故かやってみようかな、という気になりまして、久しぶりにPSのコントローラを手に取りました。
 まあ、空白期間が長かったですからスイスイとクリアできる筈もなく、あえなくゲームオーバーになるばかり(^^;)。何度も繰り返していると自分が凄く情けなく思えました。前なら突破できたのに〜!o(><)o
 ちなみに徹夜中にやったPSのゲームは、「オーダイン」「アサルト」(ナムコミュージアムVol.4)「ドラゴンスピリット」(ナムコミュージアムVol.5)。一昔前のゲームばかりですね(笑)。
・・・ルルル、トゥルルルルル・・・。
 ・・・ん?何だ?この音・・・。
トゥルルルルル、トゥルルルルル。
 ・・・電話?
 音の正体が分かった俺は起き上がろうとするが、横で寝ている晶子に左手と左腕をがっちり掴れていて身動きが取れない。電話はベッドから出ないと出られない位置にあるから、どうにかしないことには・・・。
トゥルルルルル、トゥルルルルル。
 鳴り続ける電話は、恐らく実家からだろう。昨日はかかってこなかったが−初詣や親戚めぐりで家に殆ど居なかったんだろう−、今日は普通に店を営業しているか正月休みを満喫しているかのどちらかだろう。その「一環」で俺が新年のメッセージを吹き込んだ留守番電話を聞いて、電話してきたことは十分に考えられる。兎に角、晶子の「腕固め」から脱出しないと・・・。

「ん・・・。どうしたんですか?」

 「腕固め」をしていた晶子が、俺の足掻きで眠っていた意識を覚醒させられたのかようやく目を覚ます。だが、まだ寝ぼけているのか、俺が「腕固め」からどうやって脱出しようか足掻いていることには気づいていないようだ。

「電話鳴ってるんだよ!頼むから手と腕、放してくれ!」
「はーい・・・。」

 少々間延びした返事と共に、晶子はようやく「腕固め」を解く。俺はベッドから出て床に落ちていた上着を取って羽織りながら受話器を取る。

「はい、安藤です。」
「あんた、こんな時間まで寝てたの?」

雨上がりの午後 第560回

written by Moonstone

 晶子は俺から受け取った合鍵を財布に入れると、俺と一緒に歩き出す。俺と晶子の手が触れ合うと、どちらからともなく手を取り合って互いの指の間に自分の指を挟み込む。もう手を繋ぐのは無意識のレベルに達したのかもしれない。この手同様・・・晶子を手放したくない。絶対に・・・。

2001/7/29

[今日は参議院議員選挙の投票日]
 有権者の方は必ず投票に行きましょう。P.M.8:00まで投票上は開いてますし、投票はほんの数分(時間帯によって違うかもしれませんが)で終ります。何より、日頃の政治に対する不満を票に替えて意思表示が出来る稀少な機会です。
 「どの候補も同じ」「どの政党も変わらない」そうでしょうか?討論番組を見たりや法定ビラを読んだりすれば、自分の思想信条や思い描く社会とよく似た政党や候補者がある筈です(完全に一致する場合は珍しいです。人間ですから何所か違う点があっても不思議ではありません)。それを見極めるのが有権者の権利であり同時に責任でもあります。
 投票に行かずにその結果に怒ったり、その後の政策遂行に不満を言ったりする資格はありません。その人は有権者の権利と責任を放棄したんですから。「自分一人投票に行かなくても変わらない」その考えが積み重なって、組織票選挙や「ぐるみ選挙」を横行させているんです。そのことを忘れないで下さい。

「これは・・・今から晶子のものだ。落とさないようにな。」
「・・・はい。」

 そう答えて鍵を握った晶子の顔にようやく微笑みが戻る。思いの行き違いがあったんだから後味の悪さは仕方ない。あれだけ厳しい口調で跳ね除けておきながら未練がましいと思われても仕方ない。でも、過去を振り切らなきゃいけないこともある。今日は・・・そのことを改めて学んだように思う。

「さて・・・今日の夕食、どうします?」

 晶子がその場の雰囲気をがらりと変えることを言う。腕時計を見るともう5時を回っている。正月だから営業している料理屋は殆どないだろう。それに、正月早々晶子の手を煩わせるわけにはいかない。何時来ても良いから、と言われたとはいえ、腹が減ったから、とマスターと潤子さんの家に押しかけるのは幾ら何でも勝手が過ぎる。となると・・・。

「コンビニのおでんで済ませるとするか。」
「私が作っても良いんですよ。」
「正月休みくらい、食事を作る手間は出来るだけ省こう。晶子も電車の往復と初詣の歩きで結構疲れただろ?」
「正直言うと・・・確かにそうです。」
「じゃあ、決まりだな。早速買ってくるか。」
「あ、私も行きます。」

雨上がりの午後 第559回

written by Moonstone

「今、俺が心を向ける相手は晶子、お前なんだ。それくらいは分かってるつもりさ。」

 俺は晶子の手を取って、その柔らかい掌に宮城から取り戻した合鍵を置く。

2001/7/28

[う〜、気分悪い〜]
 心理的にではなく物理的に、です。原因はおよそ見当がついています。木曜日の夕食で「夏バテを乗り切る体力を」とニンニクを1/4食べたことです。それも半分生の状態で。しっかり焼けていれば甘くなるんですが、幾つかは異様に辛かったですからね。ニンニクはしっかり火を通さないと胃に相当のダメージを与えることは知っていたというのに・・・。完全に私の失策です。
 胃に相当なダメージを食らったお陰で、金曜日はまともに食事が摂れず(食べ物を想像するだけで胃液が逆流するような感じがする)、かなりバテてます(汗)。定期更新の前じゃなかったのがせめてもの幸いです。文章考えて書けるレベルじゃないですからね。今の体力では(汗)。
 体力つけようと思って逆に弱らせてしまったんじゃ、話にならないですね(^^;)。胃の調子は1日2日あれば回復すると思いますので、次回定期更新に向けて身体のリハビリを兼ねてPCの前に向かおうと思います。・・・今度は眠気にやられそうな気がしないでもないですが(爆)。
 宮城は寂しげな笑みを残して玄関へ向かい、静かに出て行く。以前なら、晶子を毛嫌いしていたときなら引き止めていたかもしれない。でも、今の俺には宮城を引き止める理由は何処にもない。ただ、黙ってその後姿を見送るだけだ。
 ドアが閉まり、部屋には俺と晶子が並んで佇む。送風するエアコンの軽い音が、妙に心に響く。寂しいから・・・?否、そんな筈はない。宮城との思い出の品は全て壊し、千切り、破壊し尽くした。唯一形を残しているのは、俺の手にある合鍵だけだ。しかし、これも行く末は決まっている。
 なのに・・・何故・・・こんなにも後味の悪さが残るんだろう?俺の心の何処かに宮城に対する未練がまだ少しでも残っているとでもいうのか?あの日の夜の電話が俺を試すものだと分からなかったことを、言い換えれば宮城の気持ちを想像だにしなかったことを悔やんでいるとでもいうのか?

「祐司さん。」

 晶子がそっと呼びかける。

「本当は・・・追いかけられるものなら追いかけたいんでしょ?」
「・・・別に・・・そんなことは・・・。」
「隠そうとしなくて良いんですよ。今日の祐司さんと優子さんの話を聞いていて、祐司さんが動揺するのは無理もないって思いましたから。」
「・・・。」
「電話一本で捨てられたと思ってたのが実はそうじゃなくって、相手の気持ちを試す意図を含んだものだったって知ったら、誰だってそんな話聞いてない、って思いますよ。相手が去っていくのを見て後味悪く感じますよ。」
「・・・。」

雨上がりの午後 第558回

written by Moonstone

「合鍵は返したけど・・・諦めたわけじゃないからね。」
「・・・好きにしろ。」
「それじゃ・・・またね。」

2001/7/27

[足の硬直感が取れません(汗)]
 それどころか、脹脛を軽く押したりするだけでも痛いです(泣)。勿論歩くときは足を引き摺る羽目に。マッサージするといいのかもしれませんが、やり方知らないしなぁ・・・。収まるまでひたすら我慢するしかないようです。
 そして昨日は運の悪いことに雨。自転車で強行突破できるような降りじゃなかったので(東京ほど酷い降りではなかったですが)、前日まで汗が滴るほど晴れておきながらそれはないだろう、と思いつつ足を引き摺りひたすら歩くことに(泣)。泣きっ面に蜂とはこのことですね。
 まあ、なし崩し的に梅雨明けしたことを思うと、1日2日くらいはしっかり雨が降らないと取水制限という恐怖の「自然の制裁」が待ってますから、雨を悪者扱いするのは良くないですね。でも、出来ることなら足が痛くないときに降って欲しいです。我侭ですけど。
「・・・被害者だなんて思ってないわよ・・・。祐司を試すつもりが本当にふっちゃうことになって、祐司を今怒らせてるのは他ならぬ私なんだから・・・。」
「そこまで分かってるなら、どうして合鍵を返すのを渋るんだ?!」
「祐司は・・・自分がふられたら何もかも否定するの?思い出も、私自身も、何もかも・・・。」
「・・・終った関係にしがみついてどうしろっていうんだ?俺は・・・自分から離れたものに何時までもしがみついてるわけにはいかないんだ。」
「それは、横に居るその女(ひと)のため?」
「・・・そうだ。」

 俺は少し後ろ髪を引かれるように感じながらも言い切る。俺にとって・・・宮城はもはや心の奥底にしまわれた思い出の登場人物でしかない。今は・・・新しく手に入れた晶子との絆をもっと強めたいし、思い出をいっぱい作りたい。それだけだ。
 宮城は、俺がはっきり言ったのがショックだったのか、視線を下に落とす。それを見ていると胸が少し痛むが、そんな同情的な感情に身を委ねるわけにはいかない。ここはきっぱりとした態度に出る時だ。晶子の為にも自分の為にも、そして・・・俺の残像を追う宮城の為にも・・・。

「・・・これ。」

 宮城はパンツのポケットに手を入れて、手にしたものを軽く俺の方に投げて渡す。俺が受け取ったものは、キーホルダーを付けていない鍵だ。俺が此処に引っ越して最初に宮城と会った日に渡した合鍵。これが俺の手に戻ったことで、宮城との絆の全てが途切れたように思う。

雨上がりの午後 第557回

written by Moonstone

「・・・私が持ってちゃ・・・駄目なわけ?」
「ふざけるのもいい加減にしやがれ!俺を試したくせに被害者面して、今度は晶子との戦況を有利にする為に合鍵を返さないっていうのか?!」

2001/7/26

[痛いーっ!足攣ったあーっ!]
 昼休みに食事を軽く済ませて(ちょっと夏バテ気味)のんびりしてたら、ふとした拍子に足を攣ってしまいました(汗)。脹脛(ふくらはぎ)が引き攣る所謂「こむら返り」ってやつです。もう痛いの何の。でもそれで悲鳴をあげたらそれこそ大騒ぎになるので(いい笑いものになる)、歯を食いしばってこむら返りが収まるのを待ちました。
 でも、こういうときに限ってすんなりと収まってくれないもの(汗)。こむら返りは延々と続き、私はひたすら歯を食いしばってのた打ち回るのみ。本当に痛いんですよね、あれは。それも何の予兆もなく起こるから、回避しようがないときたもんだ。
 懸命に耐えること約5分。ようやくこむら返りは収まりましたが、脹脛の硬直感が残って、昨日一日、移動の度にこむら返りを起こした足を引き摺って歩きました(汗)。帰宅して夕食を済ませて、今こうしてお話している間も硬直感は少しですがまだ残っています(大汗)。運動不足が原因なんでしょうか?
 宮城はわざわざ俺と晶子の間を通って玄関へ向かう。多分さっきの行動は何時か俺と晶子の関係を断ち切ってみせる、という無言の宣戦布告なんだろう。俺は歯噛みしながら晶子を見ると、晶子も眉を吊り上げた厳しい表情で玄関へ向かう宮城を見詰めている。
 そう言えば・・・肝心なことを言ってなかった。これを言い忘れると、また帰宅したら宮城が待っていた、なんてことになりかねない。

「宮城。合鍵を・・・返せ。」

 俺が言葉を投げつけると、宮城の動きが止まる。しかし、止まったところから次の動きがない。玄関に向かって立ち尽くしているといった感じだ。何を考えているのか知らないが、合鍵を取り戻さなければ、帰宅したら宮城が待っていたなんてことになるのは明らかだし−晶子に俺を奪ってみせる、と宣戦布告したくらいだ−、何より宮城はもう俺の家の合鍵を持つ権利はないんだから。

「まさか・・・持ってないとは言わせないぞ。」
「持ってるわよ、勿論・・・。それ使って今日此処で留守番してたんだから。」
「留守番なんて頼んだ覚えはない。それは別としても、合鍵を返せ!宮城!」

 何やら時間稼ぎまがいのことをして合鍵の返却を渋る様子の宮城に、俺は無意識のうちに声を荒らげる。それとも晶子に宣戦布告したから、決定的なアイテムを手放すわけにはいかないとでもいうのか?
 時間が重く流れ、宮城が振り返る。その悲しげな表情が、余計に俺の怒りに油を注ぐ。他の男や付き合っていた頃ならその表情に心を揺さぶられるだろうが、関係が切れた今は小細工か芝居にしか見えない。

雨上がりの午後 第556回

written by Moonstone

 ハーフコートを着た宮城が言う。何を今更・・・。自分が3ヶ月前、俺に何を言って関係を断ち切ったんだ?さらにそれが俺の気持ちを試すためだったというのが余計に腹立たしい。

2001/7/25

[連日暑いですね〜]
 ラジオを聞いていたら何でも気温が40℃に達したところがあったとのこと。そこまでには及ばなくても37℃や38℃と、人間の体温と同等以上の気温が各地で観測されたそうです。これは猛暑を通り越して酷暑ですね。完全に(大汗)。
 私は暑いのには割と平気な方なんですが、日中外を歩くのはかなり堪えますね。汗はどんどん出るし(出ないと問題だそうですが)、強い日差しで目がきちんと開けられないし、サンダルを持参するようになって正解だったと思っています。靴は気密性が高いので、足が熱くなるんですよね。
 帰宅して中に入ると、存分に温められた空気が淀んでいるのはお約束(^^;)。換気をすると多少涼しくなるんですが、外の空気が生ぬるいので湿気はかなりのもの。結局エアコンのお世話になります。やっぱり湿気がないとかなり違いますね(ドライしか使わない人)。それにしても、ろくに雨も降らないままなし崩し的に梅雨があけてしまったので、水不足は大丈夫なんでしょうか・・・。
「本当はな。だが・・・本来居る筈のないお前が此処に居る以上、中に入る訳にはいかない。それとも・・・お前が出て行くか、だ。」
「・・・祐司。」
「宮城。お前にはもう俺の名前を呼ぶ資格はない。さあ、このまま居座るか出て行くか、好きな方を選べ。」

 俺は宮城に二者択一を迫る。過去と現在の彼女を突き合わせるわけにはいかない。往路の駅でも晶子と宮城の間でかなり激しいやり取りがあった。今度は言葉だけでは済まないかもしれない。大袈裟かもしれないが、昨今はその大袈裟なことが起こっても珍しくない時代だ。対立の構図は俺が回避するしかない。
 俺と宮城、そして俺の後ろに居る晶子の間に重苦しい沈黙が漂う。急激にッ闇が広がり、辺りを闇に包んでいく中、俺は宮城と向かい合い、目で俺が望む回答をするように迫る。それから少しして、その場で彫像のように動かなかった宮城が動きを見せる。

「・・・帰るわ・・・。」

 伏目がちに、そして呟くように宮城は言う。そしてドアを一旦閉めてドアチェーンを外してドアを大きく開ける。頬に突き刺さり、切り裂くような冷気のまただ中に居る俺に、ドアの向こうから暖かい風が流れてくる。エアコンを使っていたか・・・。まあ、この寒さだ。それくらいは止むを得ないものとして目を瞑ることにするか。
 俺がドアに手をかけると、優子はドアから手を離して小走りで奥へ向かう。確か晶子はハーフコートを来ていたと思う。恐らくそれを取りに行ったんだろう。俺は晶子を先に中に入れて、続いて俺が入ってドアを閉める。宮城が出て行くことを考えて、鍵はあえてかけないでおく。

「・・・まさか、此処まで嫌われてるとは思わなかった・・・。」

雨上がりの午後 第555回

written by Moonstone

 「先客」は宮城だった。そう、宮城はこの家の合鍵を持っている。そして一人の時にはドアチェーンをかけるように言ったのは、この俺だ。

「ドア、開けるね。」
「・・・要らん。」
「え?何で?帰ってきたんでしょ?」

2001/7/24

[いろいろ消しました]
 掲示板JewelBoxは昨日深夜から未明にかけての「荒らし」行為の為閉鎖しました。掲示板で「荒らし」が出来なくなったら次は、となりそうな一行リレー専用掲示板WordSpheresもあわせて閉鎖しました。ここは埃に埋もれたようなもんでしたけど念のため(^^;)。巻き添え食ったような感じですが。
 一昨日から昨日にかけてトップページのカウンターが急増しましたが、それも「荒らし」の一環だと分かり、メッセージを削除しました。ちょっと考えれば分かることです。トップページだけカウンターがどかどか増えて、グループ単位では何時も大して変わらないペースでしたからね。
 メッセージを送りやすい掲示板を閉鎖したので、感想は少なくなっても仕方ないでしょう。良ければメールフォームを使ってやってください。こいつもまた不憫ことに殆ど使われてませんので(汗)。
 風はやはり冷たい。雲も疎らな良い天気だが、太陽の光もこの冷気を打ち消すには程遠いようだ。夏と同じ太陽かと思うと不思議でならない。車も滅多に通らない登り坂を上っていく。それで空気を切ることで生まれる風がさらに剥き出しの頬に突き刺さる。冬の昼間には夕暮れが徐々に近付いて来る。早く家に帰ろう・・・。
 自分のアパートの駐車場で晶子に降りてもらって、俺は自転車を押して自分の部屋のドアの近くまで持っていく。そこで俺は異変に気付く。・・・家に人の気配がある。まさか、という嫌な予感が俺の頭を過ぎる。俺はポケットから鍵を取り出して近付いて来る晶子に掌を向けて無言で制止する。

「・・・。」

 俺はゆっくりとドアの鍵穴に鍵を差し込んで左回りに回す。するとガチャッという音と共にドアの鍵が開く。鍵は閉まっていたようだ。次にドアのノブに手をかけてゆっくりと開けようとする。しかし、半身が入るくらい開いたところで止まってしまう。見ると、しっかりドアチェーンがかかっている。推測は確信に変わった。間違いなく中に人がいる。そしてその人とは・・・

「・・・開けろ!」

 俺は開いたドアの隙間から大声で声を投げ入れる。すると、奥の方からとたとた・・・と走り寄ってくる足音が聞こえる。そして「先客」がドアの隙間から姿を現す。

「・・・やっぱりな。」
「おかえり、祐司。」

雨上がりの午後 第554回

written by Moonstone

 俺は晶子を乗せた自転車のペダルを漕ぎ始める。昼過ぎの正月の町は本当に静かだ。月峰神社でのあの喧騒が嘘のように思える。正月=初詣というのは、むしろ少数派の行動なのかもしれない。逆に何処の家も出かけていて一種のゴーストタウンになってしまっているのかもしれない。

2001/7/23

御来場者117000人突破です!(歓喜)

 ・・・一体何事?(大汗)この前の月曜日は(7/16)新作を追加しましたが、それ以来今日までこのコーナー以外更新してないのに・・・。天変地異の前触れでしょうか?(それはないでしょ。幾ら何でも)

[反動・・・かな?]
 土曜日には精力的に作品制作や編集に打ち込んだ私ですが、日曜日は1日の半分くらい寝てました(汗)。本当はもう1編仕上げたい連載作品があったんですが、一先ず目標は達成したから(「魂の降る里」の最新作執筆)今回はもう良いや、と思いまして(^^;)。
 隔週なんてあっという間ですからね。今日の定期更新が済んだら、次回定期更新(8/6)が控えてますから、暢気に構えてると1日2日で急いで準備、なんてことになります。最近の定期更新は「雨上がりの午後」+別の作品1編という形が定着しているので、それに安住しないで豪華な布陣を敷きたいです。

「美味しいお酒ですね。」
「ああ。スッと喉を通っていった。口当たりもなかなか・・・。」
「祐司さん、お酒よく飲むほうですか?」
「それ程飲む方じゃないけど・・・アレンジとかで煮詰まったりすると気分転換に缶ビール一本くらい飲むかな。」
「あまりアルコールに頼っちゃ駄目ですよ。」
「分かってるさ。ミュージシャンにアル中やヤク中が結構多い理由は俺自身よく分かってるつもり。だから缶ビール1本って決めてるんだ。それでも出来なかったら諦めて寝るか別のことするさ。」
「それなら良いんですけど・・・無理は絶対にしないで下さいね。」
「ああ。心配してくれてありがと。」

 俺の口元が自然に緩む。晶子が俺の身を案じてくれる・・・。それだけでも充分幸せだ。去年は楽園からいきなり地獄に叩き落されてさ迷い歩いた年だったが−最後の3ヶ月は別として−、今年は良いことが色々とありそうだ。晶子との思い出をいっぱい作りたい。あの女、宮城の残像を打ち消すくらい・・・。

 俺と晶子は何時も使っている駅に降り立つ。ほろ酔い気分も2時間の電車の旅で吹っ飛んだ。あの程度の量でフラフラになっていたら、家でアレンジしていて煮詰った時に缶ビール1本飲んだらばったりいってしまう。
 俺は自転車置き場から自転車を持って来て、俺がサドルに跨ると晶子が後ろに飛び乗ってくる。新しい年になっても変わらないものもあるが、これもその一つと言って良いだろう。

「それじゃ、行くぞ。」
「はい。」

雨上がりの午後 第553回

written by Moonstone

 空になった杯を下ろすと、俺と晶子は顔を見合わせて微笑む。腹に入った酒のせいか、身体がほわんと火照ってくるのを感じる。日本酒ならではの喉の通りの良さと、後に来る酔いのギャップの大きさは日本酒ならではだ。

2001/7/22

[意外に進むこともあるもので・・・]
 執筆の遅さではなかなかのものだ、と自負する私ですが(自慢にならん)、場合によってはあっという間に書き上げてしまうこともあります。何かのきっかけと勢いづけるものさえあれば。
 今回、某連載作品の最新作を書いていたんですが、あれよあれよという間に半日で完成してしまいました。予定では土日の二日かかるはずだったんですが(汗)。今回の速さは展開が前から決まっていたことと、音楽で耳を塞いでいたことが要因だと思います。展開は決まっていても直ぐに書けるわけではないんですよ。その作品を見てもらえれば分かると思いますが、前半で文字が多いと尻込みしてしまうんですよ(展開で大凡の文字の多少が分かるので)。
 で、その作品は台詞が多い後半部分だけある程度できてたんですが、耳をイヤホンで塞いでお気に入りの「Perfect crime」の中でさらにお気に入りの曲を連ねたループを作成しておいて、それを延々と流す方策を採ったんですが、これが大成功。途中昼食と1回の休憩を挟んで実質5時間で書き上げました。楽しみな方は明日の定期更新をお待ちください。

「結局マスターと潤子さんにも知られちまったけど、俺は少しも後悔してない。マスターと潤子さんも何となく知ってたみたいな感じだったし、それよりも・・・、俺は自分の気持ちをはっきり言えたことが嬉しい。」
「祐司さん、最初手を離そうとしたけど、結局ずっと握っててくれましたよね。あれ、凄く嬉しかったです。」
「最初は照れくさかったし、マスターと潤子さんに今の俺と晶子の関係をあれこれ言われるのが・・・何て言うか・・・やっぱり慣れないから照れくさかったから離そうと思ったんだけど、晶子は離しそうになかったし、もう見られたんなら良いや、って思ってさ・・・。良い意味で開き直ったのが良かったかな?」
「そうだと思いますよ。」
「さて・・・二人残ったところで祝杯でもあげますか。」
「はい。」

 俺と晶子はお神酒を配っている場所へ向かう。勿論手を繋いだままで。お神酒を注いでもらう杯をもらう時になってようやく手を離す。杯を持った手は・・・何となく寂しく感じる。晶子の手がなくなった手−杯は右手で持っている−を見ていると、妙に手持ち無沙汰になったように感じる。それだけ晶子の手を離したくなかったということか?
 御神酒の配給(?)は滞りなく進んでいって、俺と晶子は巫女さんにお神酒を注いでもらう。そして後続の列の人の邪魔にならないよう、そそくさと人と人との間隔に余裕がある、マスターと潤子さんに出くわした辺りに向かう。

「それじゃ・・・今年も益々良い年でありますように・・・。」
「「乾杯。」」

 俺が音頭を取ると、俺と晶子は自然に杯を軽く合わせてぐいと一気に御神酒を飲み干す。量は新年を迎えた時に飲んだビールに比べれば微々たる物だ。日本酒かビールかという好みを−俺はビールの方が好きかな−除けば、簡単に一気飲み出来る量だ。

雨上がりの午後 第552回

written by Moonstone

「・・・私、嬉しかったです。」

 晶子が大きな瞳を少し潤ませている。やっぱりはっきり言ったのが功を奏したようだ。

2001/7/21

[大事故を目の当たりにして]
 昨日、某所の花火大会に行ったのですが、とんでもないことが起きました。なんと花火が発射台(といえば良いのかな?)で炸裂したんです。それも1発ではなく4発くらいの大きめの花火が(汗)。
 最初は演出か、と思ったんですが、周囲にいた水上警察の船が何隻も(発射場所が海だったので)その発射台が置かれているフロートに集まっていくところを見ているうちに、周囲を埋め尽くしていた観客が続々と帰路につき、私も警察発表で花火が注視になったことを知って帰ることにしました。
 帰りは昨年同様、歩いて目的の駅へ向かったんですが、あんな事故を初めて目の当たりにしたショックか途中で道を間違えてしまって(単に方向音痴なだけという話もある(爆))、危うく帰れなくなるところでした(^^;)。歩いた時間は推定2時間半。勿論足は疲れましたが、良い運動になりました。来年は無事に最後まで花火大会が続くと良いのですが・・・。
俺自身、こんなにはっきり答えられると何だか気持ち良い。胸の痞えがなくなって、心を覆っていた雲が一気に晴れていく。例えればそんな気分がする。

「こんな状況で・・・言い訳なんて出来ないですよ。」
「そりゃそうだ。うーん、一本取られたな。」
「でも良いことじゃない。新しい恋をして自分を変えたんだから。それに、晶子ちゃんだって嬉しいでしょう?」
「はい。」

 晶子は本当に嬉しそうな笑顔で答える。そんな表情を見ていると、俺も心の奥底から嬉しさが湧き上がってくる。

「さて・・・潤子。俺達は帰るか。車だから道が混んでるかも知れんし。」
「そうね。あ、そうそう。祐司君と晶子ちゃん、帰省する予定ある?」
「いえ。もう今の家に居るつもりです。」
「私もです。」
「それじゃ、明日にでも家に来てみない?正月料理をご馳走してあげるから。」
「潤子。それじゃ二人っきりの時間を邪魔することになるぞ。」
「それはこっちの台詞ですよ、マスター。」
「うおっと。また一本取られたな。でも、潤子お手製のおせち料理や雑煮もあるから、良ければ何時来ても良いから。」
「「ありがとうございます。」」
「さて・・・潤子、行くか。」
「ええ。」

 マスターと潤子さんは残っていたお神酒を一気に呑んで、「返却箱」なる入れ物に杯を放り込んで、俺と晶子に手を振ってその場を後にする。その場に取り残されたような俺と晶子は顔を見合わせる。

雨上がりの午後 第551回

written by Moonstone

「ほう・・・。祐司君、随分はっきり言うじゃないか。てっきりどう言い訳するものかと思ったが。」

 マスターは意外そうな顔をしている。俺がこんなにはっきり言うとは思いもしなかったんだろう。

2001/7/20

御来場者116000人突破です(喜)

 ・・・新作を公開した割には勢いが良くないですね。まあ、明日無くなるかもしれないページですから、どうでも良いこと(もの凄く投げやり)。

[ちょうどキリが良いですね、連載の回数]
 ページ閉鎖するなら明日が適当か、などと思うこと頻り。「魂の降る里」も書く気はあってもタダ見されるくらいなら、書かずに放っておくか書いても非公開にした方がまし、なんて思ったり。タダ見が多いのは事実なんだからしょうがない。私は慈善や奉仕なんてものが大嫌いですから、タダ見という慈善行為の承認や、タダ見のための奉仕活動(執筆)なんて絶対したくないです。
 試しに今度の定期更新で「魂の降る里」最新章を公開して、1日で増えたSide Story Group 1のカウンターの過半数だけメールや書き込みがなかったら、容赦なくページを閉鎖するのもまた一興。それで私を恨むなんて筋違い。メールや書き込みをしない輩の責任なんですから。
 これだけページ閉鎖を口にするのも、昨日同様すこぶる機嫌が悪い為です。前の月曜にアップした作品の感想は、待てども待てども今日までたった1通。誰がまともに更新する気になりますか?今日で最後にするか、本当に!ええ?!(激怒)

「やっぱり年越しも初詣も一緒だったってことは、祐司君と晶子ちゃんは良い関係ってこと?」
「・・・そうです。ちゃんとっていうか、俺が晶子に好きだって言って付き合い始めてからはまだ一月に満たないですけど。」
「あら、そうだったの?私てっきり祐司君が寝込んだ時か、クリスマスコンサート前の音合わせの時からだと思ってたけど。」
「祐司君、意外に奥手だな。」
「まあ・・・俺がはっきりしなかったから、ずるずると引き延ばしてそうなったんですけど。」
「此処は一つはっきりさせて欲しいんだが・・・、何て言って告白したんだ?」

 マスターの意地悪な質問にも、俺は少し間を置いて事実をそのまま告げる。

「・・・今の関係は確かに心地良いけど、そのままで終らせたくないから、俺と付き合ってくれ、って言いました。」
「今の関係、っていうと、師弟関係と友達関係をごっちゃにしたような関係だったときのこと?」
「はい。好きだって言うことでその関係が終ってしまうのが怖かったんですよ、俺。だから・・・ずるずると先延ばしにしてて・・・。」
「ずるずると先延ばし・・・ねえ。今の話し振りからすると、そんなことがあったようには思えないけどなぁ。」
「俺が・・・また傷つくことを過剰に怖がってたんですよ。もっともそんなこと、今だから言えることですけどね。ふられて呑んだくれて大暴れした頃じゃ、そんなこと思いもしなかったですよ、きっと。」

 我ながら饒舌だと思う。これが開き直った結果だろうか?でも、悪いことをしたわけじゃないし、今の晶子との関係を尋ねられたら事実を告げるのみ。俺は前にそう決めたんだ。ここではっきりしなかったら・・・晶子はどう思う?そんなこと・・・考えなくても分かる。

雨上がりの午後 第550回

written by Moonstone

 潤子さんの表情は、容疑者に決定的な証拠を突きつけて自白を迫る女刑事みたいだ。だが、言ってしまったものは政治屋でもない限り引っ込めたり取り消したり出来ない。此処まで来たらもう開き直って、質問やからかいに答えるしかない。

2001/7/19

[今日は非常に機嫌が悪いので]
 一言言っておきます。

辞めますよ?!

・・・どうも単なる脅しとしか思ってないようですね。以上。
「私達は早朝向こうを出て、初日の出がある頃に此処に着いたんだけど、大混雑でね。ある程度人が少なくなるまで待ったのよ。彼是4時間くらい。」
「4時間もですか?」
「まあ、余裕は充分あるし慌てて参拝することもないと思ってな、それまで商店街や屋台を回ったりしてた。まあ、参拝には結局1時間くらいかかったが。」
「俺と晶子は昼過ぎに出発して特急に乗って来たんです。」
「ほう、そうか。じゃあそれまで二人で仲良く寝てたってことか。」
「ええ。・・・!!」

 しまった、と気付いた時はもう遅い。マスターの誘導尋問に見事に引っ掛かって、年越しを二人一緒にしたことは勿論、一緒に寝てたことまで認めてしまった。なんてこったぁ・・・。これで俺と晶子が只のステージ上でのパートナー同士という関係じゃないことを認めてしまったことになる。マスターはしてやったりと言わんばかりにニヤリと笑い、潤子さんはへえ、そうだったの、という表情をしている。

「そうかそうか。知らぬ間にそこまで仲良くなってたのか。うんうん。新年早々幸先良いこった。」
「さっき祐司君、晶子ちゃんのこと名前で呼んだものね。今までお店では苗字呼び捨てだったのに。それでピンときたわ。」
「・・・そうでしたか?」
「そうよ。凄く自然な感じでね。今更間違えました、なんて言い訳は通用しないわよ。」

雨上がりの午後 第549回

written by Moonstone

 まずは新年の挨拶。これは別に逃げも隠れもする必要はない。

「まさか此処で二人に会うとは思わなかったわ。」
「私もです。」
「もう参拝は済ませたのか?お二人さん。」
「ええ。ついさっき・・・。」

2001/7/18

[AM8:00、頭痛と目眩によりKO]
 キャプションどおりです(爆)。起きた時から頭痛と目眩が酷くて満足に歩くことも出来なかったので、仕事休みました。月曜日に睡眠薬を処方してもらってそれを飲んだのがいけなかったか・・・?あまり睡眠薬と相性良くないので。かと言って飲まないことにはまともに寝られませんし・・・。
 頭痛は昼頃に緩和されてきて、夕方頃になってようやく収まりました。勿論その間、殆ど横になってましたよ(KOされた身だから)。もしかしたら軽い風邪をひいていたのかもしれません。此処暫くの睡眠不足で抵抗力が落ちている可能性もありますし。でも今いろいろ薬飲んでいるんで、風邪だからといって迂闊にその辺の薬を飲めないんですよ(薬の飲み合わせってやつ)。
 このお話をしている時点では、多少頭痛の余波が残っていますが、まあ大丈夫でしょう。念のために早く寝るつもりです。年休の残りが少ないので(3月〜4月で半分以上使った)体調管理を相当しっかりやらないと駄目ですね。仕事も大詰めの段階ですし、一日でも早く終らせてスカッとしたいものです。
 何だか会話が噛み合ってないように思う。まさかマスターと潤子さんのペアにこんな場所で出くわすとは思わなかったという意外性のせいだろう。マスターと潤子さんは俺と晶子の存在には気付いていないらしい。

「どうします?新年の挨拶をしに行きます?」
「ちょっと待って・・・。」

 俺は思考を巡らせる。晶子の言うとおり、俺と晶子の方から近付いて新年の挨拶を交わした方がベターと言えばベターだ。だが、俺と晶子が付き合っていることをマスターと潤子さんは知らない筈だ。言ってもいないし。もし見つけられでもしたら、何をどう言われるか分かったもんじゃない。100%散々からかわれて突付かれるのがオチだろう。だとすれば・・・。

「・・・二人の邪魔はしない方が良いんじゃないかな。」
「それもそうですね。」
「まあ、御神酒は後でも飲めるし・・・」
「あら、祐司君と晶子ちゃんじゃないの。」

 休憩所に入るか、と言う途中で潤子さんの「割り込み」が入る。しまった、と気付いた時はもう遅い。マスターと潤子さんが俺と晶子の方にやって来る。もう観念するしかない。せめて繋いでいる手を離そうと試みるが、晶子は全く離す気がないらしくて手を離してくれない。もうどうにでもなれ・・・。

「あけましておめでとうございます。」
「・・・あけましておめでとうございます。」
「「あけましておめでとう。」」

雨上がりの午後 第548回

written by Moonstone

「マスターと潤子さんもこの神社に来てたんですね。」
「な、何でまたこんなところに・・・。」
「やっぱり、初詣でしょう。」
「そ、それはそうだとしても・・・。」

2001/7/17

[一応、継続決定ですが・・・]
 これでこのコーナーも毎日更新を続けることになりました。しかし、今日発表した「見解」にあるように、無反応が長く続くことがあれば(長いかどうかは私が判断する事項です)、予告なしに更新停止orページ閉鎖ということはありえます。
 これを横暴だ、と言われるのは筋違いです。タダ見タダ聞きしておいて更新停止orページ閉鎖で文句を言うのは、商品を万引きしてその味や使い勝手が悪いと店に文句を言うのと同じです。よく考えてみてください。
 早速このお話をしている最中に確認しても、メールや掲示板の反響はないようです。ほとぼりが冷めたからもう良いや、などと思われているんでしょうか。まあ、何にしてもこのページ運営の決定権は私にあるということは忘れないで下さい。
ちょっと不安な気もするが、何れ何処かに出るだろう、と、かなりアバウトな思考で進む。一応晶子をリードするような状態だが、案外晶子も俺と同じく、何れは人の多いところに着くでしょう、なんて考えてるかもしれない。
 蛇行の殆どないその道を歩いていくと、やがて急に開けた場所に出る。そこには休憩所と書かれた看板を掲げた建物があって−神社の建物に似せてある−、中にはかなりの人が長椅子に座ってひと時の休息を取っている。そしてその近くでは、巫女数人による御神酒が振舞われている。
 こちらの巫女もさっきの弓道着姿の女性達と同じく、なかなかの美人揃いだ。多分アルバイトだろうが、選ぶ際に容姿も考慮しているんだろうか?あの中に晶子を混ぜても遜色はないと思う。だが、不特定多数の男の好奇の目に晒されるとなると・・・やっぱり嫌だな。勝手な話だが、俺にも立派に独占欲があるということか。

「・・・ねえ、祐司さん。」
「ん?ああ、何だ?」
「あそこに居る人って・・・マスターと潤子さんじゃないです?」
「ええ?!」

 思わず素っ頓狂な声を出した俺は、晶子が指差す方、御神酒が振舞われている辺りから少し距離をおいたところを見る。あの髭とヤクザの幹部か組長みたいな風貌のロングコートを着た男性と、女優を思わせる容姿にやはりロングコートを着てショールを肩にかけた女性の組み合わせは・・・間違いなくマスターと潤子さんだ!二人揃って杯を持ってにこやかに談笑しているあのアンバランスな組み合わせを晶子は勿論、俺も見間違うはずがない。

雨上がりの午後 第547回

written by Moonstone

 俺の歩く方向に晶子は何も言わない。ただ俺の手をしっかり握って左腕で俺の左腕を軽く抱きかかえている格好でついて来る。両側に幹の太い杉の木が無数に聳え立つ道にはあまり人影はない。

2001/7/16

御来場者115000人突破です!(歓喜)

 ・・・早いですね、かなり。4、5日で1000の位が変わるということは、平均で1日約200人のご来場者があるということですが・・・俄かには信じ難い現象ですね。此処1、2日は改善されているとはいえ、基本的に更新しても無反応なのに・・・。

[出鱈目な休日の過ごし方]
 此処1年ほどは休日でも1時くらいには床に就いて、朝は平日とあまり変わらない時間か昼頃まで寝るという、割と規則正しい生活を送っていたんですが、土曜日の深夜はメールと掲示板のレスに(まさか4つもあるとは・・・)連載の書き溜め、そして本日公開の作品執筆、と壮絶に忙しかったので、床に就いたのは明け方でした(爆)。
 しかし、今の私は睡眠障害が出ているので1時間半ほどで目覚めてしまい、寝直してもも同じだったので、諦めて起きて次回定期更新の準備をしていました。結局昼寝で2時間ほど眠ったのが一番長かったかな(汗)。
 このコーナーをご覧戴いている頃には、ページ運営の継続か停止かの決定を下しているでしょう。その結果は明日のページの状態で分かります・・・。
 俺はあまり背が高い方じゃない。実のところ、晶子とも頭半分くらいしか差はない。あの人だかりで様子を窺うのはかなり難しそうだ。諦めた方が良いかも知れない。・・・せめてあと10cm、否、5cm背が高けりゃな・・・。
 そう思っていたら、もう充分見たのかどうか知らないが、人ごみの一部が離脱してその部分に空白が出来る。俺は晶子の手を引いてその空白の部分に入る。多少前に人がいるが、どうにか何をやっているのかが見える。
 人ごみの原因は、弓道着姿の女性が数人で入れ替わり立ち代りで的目掛けて矢を放っていることだった。どの女性もかなりの美人揃いだが、中でも晶子と同じように茶色がかった長い髪をポニーテールにした女性は矢を放つ動作が凛としていて凄く様になって見える。辺りを見回してみると男性の姿が多いのはそのせいかもしれない。

「弓道を神社でするなんて珍しいですね。」
「ああ。でも違和感は無いな。見ろよ。晶子と同じような髪の女性(ひと)もいるぞ。」
「あ、確かに居ますね。綺麗な女性ですねー。」
「晶子も弓道着着てやったら、結構様になると思うけどな。」
「私は運動神経鈍いですから、変なところに矢を当てちゃいますよ。」

 晶子ははにかみながら言う。その様子に俺は思わず笑みを浮かべる。嫌味のない自然な晶子の表情は本当に魅力的だ。こういう晶子の表情がずっと俺のほうを向いていて欲しい。さっきの参拝ではずっと一緒に居られるように、と願ったが、もう一つ追加したいところだ。
 暫くしてどちらが言い出したわけでもなく、俺と晶子はその人だかりを後にする。人垣が出来る理由はもう充分に分かったし、折角来たんだからもっと別の場所へ行ってみたりして、晶子と二人の初詣を楽しみたい。本殿への参拝までに相当歩いたくらいだ。もっと他に見たり楽しんだり出来る場所はある筈だ。
 少し歩いていくと、参拝への往路に沿った復路が二手に分かれる。このまま往路に沿った道を進めば必然的に最初の場所に戻るだろう。だとすれば当然、進む方向は往路に沿った道から外れる方だ。

雨上がりの午後 第546回

written by Moonstone

 俺と晶子はその人だかりの方へ向かう。俺と晶子より先を歩いていた人の様子を観察すると、やはり人だかりに興味を示すが、そこから人だかりに加わるか通り過ぎるかは五分五分といったところのようだ。後者はかなりの人だかりの様子からして、ろくに見えやしないと思って諦めたくちだろう。

2001/7/15

[急に増えましたな・・・]
 メールや掲示板の書き込みが。「これ以上無反応が続くなら、コンテンツ抹消するかページ閉鎖するぞ」とある意味「脅し」を(勿論7/13付で言ったことは本心)したところで、どうせ反応はないだろうと予測してたんですが・・・。ちょっと意外です。
 まあ、これが何時まで続くかどうかなんですが・・・、一時の嵐で終るんじゃないかと予測してます。このひねくれ者、と思われるでしょうが、何分無反応状態が長く続いたもので、悪い方に悪い方に考えてしまうんですよね(汗)。
 昨日はエヴァSSを書いてました。「魂の降る里」とは別シリーズのものです。「魂の降る里」はその作品が仕上がってから、メモ書き状態の記述内容を整理して形にしていくつもりです。今週は3連休があるので、何としても「魂の降る里」の最新作をアップしたいところです。
 あと、金曜日から続いていた目眩はまだ続いていますが、発生する頻度がかなり減ったので一安心しています。酷い時は数秒間隔で襲撃されましたからね。こちらは一字の嵐で収まって欲しいです(^^;)。

「ねえ、祐司さんは何をお願いしたんですか?」

 晶子が尋ねてくる。・・・ちょっと口にするには恥ずかしいが、晶子には話しても良いだろう。願ったことも晶子に関係することなんだから。

「・・・晶子と仲良くやっていけるように、って。」
「私は、祐司さんとずっと一緒に居られるように、ってお願いしたんですよ。」
「殆ど同じだな。」
「そうですね。表現が少し違うくらいで。」

 晶子は嬉しそうに俺の左手を握る手にきゅっと力を込める。俺もその愛情表現に応えるつもりで、晶子の手を痛くないくらいにしっかり握る。・・・本当に柔らかい手だ。力を込め過ぎるとひしゃげてしまいそうだ。
 坂を下り終えると、なだらかで広い道に出る。俺と晶子とは逆の方向へ歩いていく行列を、杉の林の向こう側に観ることが出来る。多分、本殿へ向かう行列だろう。これから混雑と前進の遅さ、それに急傾斜の階段が彼らを待っていると思うと、ちょっと同情してしまう。
 さっきまでの混雑が嘘のように広々とした道を歩いていくと、前方から歓声とどよめきが交互に、時には同時に聞こえてくる。人ごみも出来ているようだ。何かイベントを−こういう場所ではちょっと合わない単語だが−やっているらしい。

「何やってるんでしょうね?」
「参拝は済んだよな・・・。正月限定のイベントか何かじゃないか?」
「行ってみます?」
「そうだな。行ってみるか。」

雨上がりの午後 第545回

written by Moonstone

 後ろからの圧迫に急かされるように、本殿の正面向かって左側に逸れる形で本殿を後にする。今までの混雑が嘘のように、人と人の間に充分な余裕が出来る。やはり白い砂利が敷き詰められた、広くて緩やかに下る坂を降りる。

2001/7/14

[怒りはまだ収まらず]
 昨日付の日記で、更新しても全くと言って良いほど反響がないことに今までになく立腹した私ですが、一日経った今でも怒りが収束する気配はありません。それどころか、体調の悪さが(頻繁に意識が蒸発するような酷い目眩がする)重なって、何で反響のないページを、身体に負担をかけてまで律儀に日付が変わるとほぼ同時に更新せにゃならんのだ、と思って1:00過ぎまで寝てました。
 それからメールチェック。ほぼ予想どおり反響は僅か1通。溜息混じりに掲示板JewelBoxをチェックしたら珍しいことに2件も書き込みがあったので、そのレスをしながらお話しています。
 「魂の降る里」を読まれた方は意外に多いようですね。まあ、新作を公開するとカウンタがどかっと増えるので、分かって当然なんですが。勿論、反響は皆無に近いですけど。
 この分だと、Side Story Group 1以外は更新停止の検討は避けられないですね。まあ、更新を停止しても何も反響はないでしょうから、管理人権限を活用すればそれで良いこと。さて、何時更新を止めちゃいますかね。あはははは・・・(Fade out)。
 俺と晶子は多数の人波に乗って進む。やはりかなり混みあっているが、密着している俺と晶子は人波にもまれて引き剥がされることなく、ゆっくりと人波に乗って前進していく。
 緩やかに、そして不規則に蛇行する白い道に沿って進んで行くと、両脇にロープが張られて警官が拡声器で四列に並ぶように繰り返すようになった。さらに別ルートからやって来た人も人波に復帰して混み具合が再び激しくなってきた、どうやら本殿に近いようだ。俺は歩調をコントロールして、ある四列の中に俺自身と晶子を入れるのに成功して、次第に減速してきた人波に乗って進む。
 本殿に到達する前には、かなり傾斜がきつくて、さらに長い階段がある。此処で混雑がピークに達しているらしく、階段を上っていく人波のスピードはそれこそ亀が歩くのと大差ない。否、もしかしたら亀より遅いかもしれない。

「足元、気をつけろよ。」
「はい。」

 木で組んだ骨組みに白い砂利を敷き詰めた感じの階段は、実際上ることになって、その傾斜のきつさに呆れてしまう。そこまで「持ち上げ」なきゃならないほどご利益があるんだろうか?そんな愚痴めいたことを思ってしまう。晶子に注意を促すのは勿論、自分も足元に気をつけないと・・・。踏み外したら笑いものになるか、周囲を巻き込んで大迷惑をかけるかのどちらかだろう。
 階段を一つ上る度に暫く−およそ5分くらい−立ち止まり、を何度か繰り返しているうちに、ようやく本殿が姿を現し始める。そこに使われている木の色は褐色を帯びてない。まだ作られて間もないようだ。
 ようやく試練と言っても過言でない階段を上りきった俺と晶子は、人の頭の隙間から垣間見える賽銭箱に向かって、財布から取り出した10円玉を放り投げる。そして手拍子を2回打って祈る。本当の参拝はもっと複雑なんだが、こんなところでそれをやったら迷惑でしかない。それに、手順を踏まないとご利益がないというなら、そんな神様なんざこっちから願い下げだ。

雨上がりの午後 第544回

written by Moonstone

 進むに連れて人波の一部が散開していく。彼方此方に白い砂利が敷き詰められた道があって、その人その人それぞれのルートで参拝するんだろう。この神社に来たのは初めてだが、俺の地元に近い神社もこんな感じで道が彼方此方にあって、最終的に本殿に集約されてお参り、となっていたから、規模もその神社とよく似ているこの神社もそういう作りになっているんだろう。

2001/7/13

[いともあっさりと、まあ・・・(- -;)]
 一昨日私をイライラと混乱とやる気喪失に追い込んだ回路のトラブルは、たった1つのICを(集積回路。ムカデみたいなやつ)取り替えただけで呆気なく、本当に呆気なく解決しました。昨日、この場で「信号レベルが多少きっちりしていない」と言いましたが、それがIC破壊の合図だったわけです。何時の間に壊れたのか知りませんが(妙な取り扱いをしたわけでは決してない)、全く迷惑な話です(怒)。最初から壊れてた可能性も否定できないですしね。

[我慢の限界は近い!]
 まあ、それは解決したから良いとして・・・、ページの更新に対して反響がまるでないという現状には全く変化がありません。そんなにつまらないんですか?!じゃあ何故ご来場されるんですか?!私がその「つまらない」作品制作やページ運営にどれほど労力を使い、神経をすり減らしているかご存知ですか?!
 イラストがないとつまらない、とか、小説読むの面倒、とかおっしゃるなら、どうぞカラフルなイラストがいっぱいあって、見て楽しめるページへ行ってください。私はイラストが描けない代わりに写真のコンテンツの他、多彩なコンテンツを用意して、それらをどうにかやりくりしてるんです。それがつまらない、とおっしゃるなら、もう無期限ストライキを決行するか、ページ運営を停止するしかありません。今度の週末で反響がないなら、真剣に無期限ストライキかページ運営停止を考えます!勿論、このコーナーも対象です!
 何故管理者自身がろくに更新せずに投稿で成立しているページや、放っておいても毎日数百数千のアクセスが得られるページがあるのか、私には理解出来ませんし、許し難いことです!今日の発言に対する異論反論は一切認めません!

「祐司さん?」

 晶子の問いかけで俺は我に帰る。だが、心を覆っていた不安という暗雲が晴れたわけじゃない。晶子は俺の様子が変わったことに−自分自身ではあまりよく分からないが−間違いなく問い質すだろう。
 ・・・素直に言うべきだろうか?晶子に余計な心配をかけたくないから素直に言うのも一案だ。だが、素直に言うにはちょっと情けない話だ。適当に誤魔化して内面の葛藤にしておくべきか・・・?

「どうしたんですか?急に表情が曇ったように見えるんですけど・・・。」
「・・・いや、ちょっとな・・・。」
「言ってくださいよ。私で良ければ。」

 晶子は労わるように俺に言う。その柔和な表情が崩れることを考えると、こんな情けないことを言いたくない。でも、晶子には何でも言える存在でいて欲しい。そんな葛藤の末に−恐らく数秒間が開いただろう−、俺は呟くように晶子に問いを投げかける。

「俺は・・・晶子の理想になってるか?」

 晶子の表情が一瞬真剣なものになる。でもその表情は直ぐに柔和さを取り戻し、晶子は俺を見ながら言葉を返す。

「何でも真剣に考えたり、しっかり自分の考えを持っていて、何時もしっかりしようと頑張ってる、今の祐司さんの全てが私の理想ですよ。」
「・・・ありがとう。」
「でも、あんまり自分を苦しめないようにしてくださいね。お互いに至らないところをフォローすれば良いんですから。」
「そうだな・・・。俺と晶子は・・・パートナーだからな。」
「そうですよ。」

 晶子は微笑みと共に、俺の言葉を肯定する言葉を返す。パートナー・・・。優子、否、宮城との絆が切れたあの時以来、もう二度と使いたくないと思っていた、互いの親密さを表す単語。俺はその単語を初めて晶子に言い、晶子はそれを肯定してくれた。これで俺と晶子は名実共にパートナーになれた。そんな気がする。

雨上がりの午後 第543回

written by Moonstone

 微笑みを交えた晶子の言葉に、俺は思う。俺は・・・晶子の理想像になっているんだろうか?そして、なろうとしているだろうか?晶子の優しさに甘えるだけになってやしないか?そんな焦燥感を併せ持った不安が俺の心を駆け巡る。

2001/7/12

御来場者114000人突破です!(歓喜)

 ・・・予想以上に早いですね。まあ、113000人突破と前回の定期更新の余波でしょう。所詮エヴァのSSでもっているページですからね(投げやり)。

[気分最悪・・・(- -#)]
 実質2日で組み立てましたよ。だから多少雑になってるところもあるでしょうよ。でもね、これまで稼動実績のある回路構成で何故言うことを聞かない?!信号は多少きっちりしてないとはいえ、充分動作する範囲なのに何故動作しない?!
 昨日幾ら調べてもまったく原因不明でもう嫌になって、自棄になって帰宅してから栄養剤二缶+果物で夕食を済ませて、それ以後22:00過ぎまで不貞寝してました。闇の中でのバグ探しが今日も続くかと思うと、嫌で嫌でたまりません。言うこと聞かない回路構成は勿論、一発で動く回路を作れない自分自身が。
 そしてページを更新しても反響は皆無。プライベートで良いことが(ページの反響)あれば多少気は安らぐでしょうが、それもないから本当につまらないです。もう辞めようかな。このページの運営。ページの内容は自分だけ鑑賞できれば良いんですし。

「はい、240円のお返し。ありがとう。」
「どうもご馳走様。」
「ご馳走様でした。」

 俺はつり銭を受け取って財布に放り込むと、晶子の手を取って神社へ向かう人波に戻る。人波はゆっくりとではあるが確かに前に進んでいる。入場制限とかはやっていないらしい。やはり「時差初詣」の「効果」はあったようだ。

「さっきはご馳走様でした。」
「ああ、良いよ。あれだけ食べて2000円いかないんだから安いもんだ。それより・・・晶子の食べ方が自然体で、見てて安心できた。」
「振る舞いを隠す必要なんてないですからね。でも、雰囲気に飲まれてちょっと食べ過ぎたかも・・・。」
「屋台の食べ物はそういうもんさ。大勢の人が居て、その中である屋台で食べ物を買って食べる・・・。それも祭や初詣とかみたいに人で賑わう場所でものを食べる醍醐味なんじゃないか?」
「そうですね。私も実家に居た時、祭とか初詣とか行きましたけど、やっぱり何処かの屋台で何か食べてましたよ。」
「初詣なんてある意味、祭みたいなもんだからな。それに今日太った分は後で取り返せば良いことだし。」
「んもう。祐司さんってば、意地悪なんだからぁ。」

 晶子は頬を少し膨らませて俺の左腕を自分の左手で抱え込み、俺を上目遣いで見る。その可愛い仕草に俺の口元が緩む。さらに厚手の服を通して伝わる柔らかい感触に、緩んだ口元がさらに緩みそうになったところでどうにか堪える。

「悪い悪い。でも、ああいうのをあれくらい食べたくらいで、そんなに体重やプロポーションに影響ないだろ?」
「まあ、そうですけどね。やっぱり気にはなりますよ。」
「今の晶子なら、気にする必要はないと思うけどな。」
「何時でも好きな人の理想でありたいですからね。気は抜けないですよ。」

雨上がりの午後 第542回

written by Moonstone

「1760円だよ。」

 店の主人の回答を受けて、俺は財布から手早く2000円を取り出して主人に渡す。主人は俺から金を受け取ると、串を差し入れる手を一時休めてレジを開けて、つり銭を手早く取り出して俺に差し出す。

2001/7/11

[体調最悪・・・(- -;)]
 先週の土曜日から続いていた体調の悪さが昨日ピークに達して、吐き気と胃の圧迫感、それに眠気が重なって、午前中は作業机に突っ伏して、昼休みもどうにか昼食を口に押し込んでから寝てました(汗)。
 それでもどうにか仕事は組み立てを完了して残りは動作試験のみ、というところまでこぎつけました。本当は大事を取って定時に帰るつもりだったんですけど(午後からもあまり調子良くなかったので)、昼間のロスタイムの分を取り替えそうと思って、根(こん)詰めてやってしまいました。
 その疲労が夕食後に(どうにか栄養剤の世話になりませんでした)噴出して、3時間近く寝てしまいました(爆)。今日の更新が遅れたのはそのためです。今日、組み立てを完了した機器の動作試験をするんですが、果たしてきちんと動作するかどうか・・・。本来なら不安でたまらないところですが、先の眠りが効いたのか、「まあ大丈夫でしょ」と楽観視してます(笑)。しかし、組み立てが実質2日で終ったのはかなり迅速だったな、と我が事ながら思っています。
 俺も晶子もモツ煮込みの串を手に取る。俺と晶子は思わず顔を見合わせてくすっと笑う。そしてアツアツのモツ煮込みを口に運ぶ。熱さが冷気で丁度良い感じに和らげられて、こりこりした食感とじっくり染み込んだ味噌味が絶品だ。晶子もちょっと熱そうに、でも美味そうに食べている。その様子を見ていると、何だか嬉しい。これも幸せってものなんだろうな・・・。
 時々客が入れ替わる中、俺と晶子はモツ煮込みとフライを次々食べていく。晶子は数本食べて終わりかと思ったが、モツ煮込みとフライを交互に且つ軽快に口に運んでいく。こういう言ってみれば「泥臭い」場所で、それも量を控えたりすることなく食べる晶子の様子は、逆に自分の在るがままを見せているように思える。
 男の前に居る時と女だけの時では食べるスピードも量も違うっていう話を聞いたことがあるが、晶子はそんなタイプじゃないようだ。否、もしかしたらそういうタイプなのかもしれないが、俺の前ではもう隠す必要もないと思っているのかもしれない。どちらにしても、妙に自分を飾ったりしない晶子の様子は俺も気を使う必要もないし、安心して一緒に居られる。
 暫く存分に食べた後、晶子は持っていた串を取り皿に置くと、一度軽い溜息を吐く。俺は空になったフライの串を取り皿に置く。俺はもう十分食べたが晶子はどうだろう?

「もっと食べるか?」
「いえ、もう充分戴きました。」
「そっか・・・。じゃあ小父さん、お勘定。」
「はい、どうもありがとう。」

 味噌の入った桶や油に忙しくモツや衣のついた鶏肉を放り込んでいた、頭にタオルを巻きつけた中年の男性が−この店の主人だろう−、俺から取り皿を受け取って串の数を素早く目で数える。こんな状態で一本一本数えていたら客の食べるスピードや客の入れ替わりに追いつけまい。

雨上がりの午後 第541回

written by Moonstone

「どっちをどれだけ食べても良いよ。空になったらまた取るから。」
「はい。それじゃ戴きます。」
「俺も戴きますっと。まずはこっちかな・・・。」

2001/7/10

[買いました、はい]
 倉木麻衣の2ndアルバム「Perfect Crime」を。発売開始日より約1週間遅れましたが、限定生産品じゃないですから発売日当日でなくても良いということで。1stアルバムよりカラーの写真が増えて、これだけでも良かったですね。何処かの庭園で微笑んでいる写真は特に気に入りました(^^)。クールな印象のある彼女ですが、笑顔をもっと見せても良いと思いますね。
 さて内容なんですが、シングルや「名探偵コナン」のエンディング曲になっていたりで(うち1曲「always」は現時点でもそう)耳にしたことのある曲が多くて、歌詞の中で聞き取れなかった部分はこうだったのか、と思いつつ聞いてました。1stアルバムよりアップテンポでポップスに近い曲が多くて、R&Bに拘らないものに仕上がっていて良かったです(^^)。
 私のいち押しはアルバムのタイトルでもある「Perfect Crime」と「Reach for the sky」、そして「Stand up」と「always」ですね。特に「Perfect Crime」はポップスにかなり近くて、カッコ良いです。興味のある方は是非聞いてみてください。
 歯応えも結構あって、串に刺したモツに味噌味がたっぷり染み込んでいて美味い。その他に駒切れにした鶏肉を串に通したフライもあって、ソースをかけて食べるのがこれまた美味いんだよな。
 俺は匂いを辿ってかなりの人だかりが出来ている屋台に辿り着く。予想どおり煮えたぎる味噌の桶とフライを揚げる油の桶の中に材料が入れられていて、老若男女様々な客が煮込みあがったモツや鶏肉のフライを口に運んでいる。

「祐司さん、急に何処かに向かって早足になったのは、このためだったんですね?」
「ああ。これが結構美味いんだよ。・・・モツとか嫌いか?」
「いいえ。今日みたいに冷える日は、こういう食べ物が特に美味しいんですよね。」
「じゃあ、此処にするか。」

 俺と晶子は丁度人波に「復帰」した家族連れのスペースに入って、俺が取り皿を−スーパーで商品を入れたスチロールのトレイそのものだ−一つだけ取る。二人一緒だから皿も一つで良いだろう。

「こういうのって、食べ終わった串の数で代金が決まるんですよね?」
「ああ、そうだけど?」
「私の分もお皿取ってくださいよ。自分の分は自分で払いますから。」
「良いって良いって。二人で何時ものように食べても値段は知れてるだろうし、二人一緒の方が支払いも楽だろ?」
「・・・すみません。」
「こんなことで謝る必要なし。さて、幾つか取るからちょっと待っててくれ。」
「はい。」

 食べ物を取るのに邪魔になると察したのか、晶子はようやく俺の左腕を解放する。雰囲気がそうさせるのか、俺は随分大きな気分になってモツ煮込みとフライの串をそれぞれ5、6本ずつ取り皿に取って、フライの串をソースの入った桶に一度突っ込んで再び取り皿に戻す。そして俺と晶子の前に取り皿を移動させる。

雨上がりの午後 第540回

written by Moonstone

 暫く時間が経ったところで−距離としてはあまり進んでない−、俺は以前嗅いだことのある匂いを感じ取る。この匂いは・・・モツ煮込みだ。実家に居た頃、年越し蕎麦を食べてから初詣に出掛けた先の神社の−実家に電話で新年の挨拶をしようとした時、留守番電話になっていたのは多分そのせいだ−沿道で、行きか帰りのどちらかで必ず食べていたものだ。

2001/7/9

[憂鬱な日曜日]
 土曜日には一気に「Moonlight」と「Moonlight PAC Edition」を仕上げた私ですが、日曜日は生気を殆どなくして日中ずっと横になってました。健康な方から見ればなんと勿体無いと思うであろう、最近ずっと続いているこの症状は「サンデーブルー」というもので、私のような心の状態にある人がなるものだそうです。同様の症状で「マンデーブルー」というものもあるそうですが、幸いそれはありません。あったら洒落にならないんですが(仕事ありますからね(汗))。
 よって今回の定期更新も数の面で小規模なものになってしまいました。1日あれば連載の書き溜めも相当出来ますし、上手くいけば作品が1つ書き下ろせるんですが、その行動の拠り所となる心がこんな状態ではどうしようもありません。
 定期更新日を月曜日にしたのは作品制作の追い込み時間を増やしたいという考えからなんですが、これじゃ意味がないですよね(^^;)。今の病気を治すことが根本的解決法なんですが、一体何時になったら治るんでしょうね・・・。やりたいことが出来ない苛立ちだけが積み重なっています。

「この神社のご利益って、何なんでしょうね?」
「さあ・・・。予備知識なしで来たからな・・・。無難なところじゃ家内安全とか安産祈願、他に学力向上とか良縁祈願とか・・・そんなところだろうな。」
「良縁祈願は私と祐司さんにはもう必要ないですよね?」
「ああ。これ以上の縁はないと思ってる。」

 晶子の何かを期待するような−期待していることは簡単に分かる−問いに、俺は迷うことなく答える。晶子と付き合っているという今の良縁以上のものを望むのは、幾ら何でも欲が深すぎる。俺には晶子さえ傍に居てくれれば、もうそれで充分だ。
 人波が流れる沿道には、数々の屋台が軒を連ねている。焼き烏賊や林檎飴、射的や輪投げ、お面やみたらし団子といった、祭の屋台と殆ど同じ面々だ。違うところといえば金魚掬いがないくらいか。境内に真っ直ぐ向かわずに屋台で立ち止まる奴が結構居るし、その上、帰りの客の列も同一ルート上にあるから、元々それ程広くない沿道が余計に狭くなっているようだ。
 しかし、様々な食べ物の匂いが鼻を擽るのは間違いない。菓子パンと牛乳で済ませた食事で胃が満足していないのか、足を止めて食べ物を、という気分になってくる。屋台の前に立ち止まって上手そうに食べ物を頬張る姿を見せられると、妙に腹の虫が騒ぎ立てる。

「祐司さん。何か買って食べません?」
「そうだな。出来れば温かいものが良いかな。」

 俺の心を読んだかのような−表情とかから察したのかもしれない−晶子の誘いを断る理由はない。人波に乗って進みながら二人で食べ物の屋台を物色する。

雨上がりの午後 第539回

written by Moonstone

 その人波に従って俺と晶子は巨大な紅い鳥居を潜る。人波に流されるがままに進んでいくと、さらに人の数が増す。前方に森が見えるが、多分境内はあの森の中にあるんだろう。神社が森の中にある例は枚挙に暇がない。

2001/7/8

御来場者113000人突破です!(歓喜)

 ・・・早いなぁ〜。Side Story Group 1を更新するだけでこうも違うものなんですね。私としては、創作部門のグループを更新した時も、同様にとまではいかなくても多くの御来場者を迎えられたら、と思います。

[一気に仕上げた抗議談話]
 7/6付の日記で書きましたが、今回のJASRACの行動は極めて官僚主義的で、横暴の一言に尽きると思います。それに対する抗議の意思表示として、1年近く更新されていない「Moonlight PAC Edition」で抗議談話を掲載することを決めました。
 その内容は明日の定期更新でご覧戴くとして、土曜日に上位紙の「Moonlight 」と併せて一気に仕上げました。勢いがあったからでしょうねぇ。計4時間以上で休憩2回も気にならなかったです。もっとも仕上げた後で夕食をまともに作る気力と体力はなかったですが(汗)。
 私の抗議行動がJASRACに届いたり、多くの賛同者を得られるとは考えていませんが、だからと言って沈黙したままでは何も良くなりません。ささやかでも意思表示するときはするということが必要だと思います。
 好きな人・・・か。晶子は「頬にキス」をはじめとする愛情表現は頼まなくても度々するが−照れくさいだけで勿論嫌じゃない−、言葉にするのは割と少ないと思う。そのせいか、心がじんと震えて、そこから染み出した温かい何かが全身を満たしていくように感じる。
 俺と晶子は共に「好きだ」という言葉をあまり口にしないタイプだと思う。俺自身、晶子に告白した時も確か、付き合ってくれ、とは言ったが、好きだ、とは言ってない。もしかしたら、今日宮城の前で言ったのが初めてかもしれない。
 もっとも、告白するより前から互いの家に出入りしたり、一つの布団で一緒に寝たりと、かなり仲が深まったカップルのようなことが先に幾度となくあったから、俺が告白するという「区切り」を除けば、好きだ、と相手に言わなくても相手の気持ちは分かっているから敢えて言わなくても良い、と無意識のうちに思っているのかもしれない。

 そんなことを考えているうちに、電車はかなり減速していた。窓から見えるホームの風景には、ラッシュアワーを思わせる混雑がある。その混雑は俺と晶子が乗っている電車が入ったホームではなく、線路を挟んだ向こう側で展開されている。初詣を終えた人の「帰宅ラッシュ」だろう。これで神社の人ごみが綺麗さっぱりなくなる筈はないし、あの混雑を見ると「時差初詣」は意味がなかったように思う。
 電車が更に減速して、家族連れや友人同士らしい男や女の数人のグループ、それにカップルらしい男女のペアがかなりの数並んでいるホームに到着する。既に出口付近は降りる人間でいっぱいのようだから−例によって、止まる前から出口に向かう奴も居た−、完全に止まって出口付近の混雑が解消されるまで待っていても差し障りはないだろう。
 電車が前のめりになる軽い衝撃と共に完全に停止する。ドアが開いたのか、出口付近の人だかりが動き出す。俺と晶子は席を立って出口へ向かう。ちなみに俺の左腕はしっかり晶子に抱えられたままだ。少なくとも改札まではこの体勢が続くだろう。・・・改札を過ぎれば元どおり、という気がするが。

「凄い混雑ですねー。」

 改札を出て−やはり晶子は改札を通った後、俺の腕を再び抱え込んだ−案内表示に従って月峰神社へ向かう出口から外に出て、晶子は開口一番そう言った。確かにこの混雑は凄い。目的地へ向かう、というより、人波で目的地へ流されると言った方が良さそうだ。

雨上がりの午後 第538回

written by Moonstone

「そんなこと良いんですよ。祐司さんがゆっくり私の方に凭れてきたから、あ、眠そうだな、って思って・・・。」
「晶子は優しいよな、本当に。」
「好きな人には出来る限りのことをしたいですから。」

2001/7/7

[七夕の日に願うこと]
 もう七夕やクリスマスだと言う年齢じゃないんですが(笑)、願い事はそれなりにあります。小学生まで住んでいたところは家の敷地内に竹が生えていて、それを父親が切り取って願い事を書いた短冊を吊るしたものです。中学以降は竹ととは縁のない住宅密集地に住んでましたので、家族の中で七夕のことはすっかり忘れ去られてしまいました。今も竹とは無縁の場所に暮らしていますが、ちょっと昔に戻った気分で願い事などしてみようかと(笑)。
 まず挙げるなら何と言っても今の病気が完治することですね。今週は全般的に心身の調子が芳しくなくて、週の半ばは出来ることなら休みたい、とすら思ったくらいです。それに毎回の医療費も結構な額になるので、1日でも早く治って欲しいと切に思います。
 あと願い事を挙げるなら・・・やっぱり潤いのある社会になって欲しいということですね。特に外で遊ぶことすらままならない危険と息苦しさに苛まれる子ども達にとって住み良い社会は、大人にとっても住み良い社会である筈です。「子は親や社会の鏡」というくらいですからね。
 晶子はそう言って俺の腕を手繰り寄せる。左に傾いた俺の頬に何度目かの熱い点が出来る。・・・こういう愛情表現はせめて人の居ない場所でやって欲しい。幸い、通路を挟んで並んでいる席に人は居ないし、これもこれで嫌じゃないのもこれまた事実だが・・・この「頬にキス」攻撃はかなり強烈だ。緩やかな眠りが意識を覆いつつあったが、この一撃であっさり吹き飛んでしまった。
 電車は途中、一足先に駅を出た急行を追い抜く。あの急行に乗っていれば優子、否、宮城と面と向かうことはなかっただろう。でも・・・晶子のことが好きだ、と初めて公言できたし、それで俺自身の気持ちも再確認できた。だから急行に「逃げ」なくて良かったのかもしれない。

「−次は月峰神社前、月峰神社前です。」

 車内に流れたアナウンスで、霞みがかかっていた俺の意識を元に戻す。俺の身体が左に傾いていることに気付いて姿勢を元に戻す。何時の間にかうつらうつらして、晶子の肩に凭れる格好になっていたみたいだ。

「大丈夫ですか?眠そうですけど・・・。」
「いや、ちょっとうつらうつらしてただけだから。」
「それなら良いんですけど・・・。」

 晶子は不安を隠さずに言う。俺のことを心配してくれる気持ちは勿論嬉しいが、それに甘えて晶子を不安に晒すわけにはいかない。

「慣れないクッションの良さと、電車特有の眠気を誘う揺らぎで眠く感じただけだから、晶子が心配することなんてないさ。それより・・・肩貸してくれてたみたいだな。ありがとう。」

雨上がりの午後 第537回

written by Moonstone

「確かに・・・初めてだな。マスターや潤子さんにも言ってないし。まあ、まだ面と向かって聞かれたことないけど。」
「マスターや潤子さんに尋ねられた時も、ああやってはっきり言って下さいね。」

2001/7/6

[売れなきゃ音楽じゃないのか?]
 7/1から既存曲のMIDIデータ掲載に対して、JASRACが著作権使用料の徴収を始めました。それを回避する為か、私の巡回コースに入っていた幾つかのページからMIDIが消えてしまいました。
 確かにその楽曲を作った人に著作権はあります。しかし、カラオケのようにMIDIを商業利用しているとか、音質が原曲そのままのMP3なら兎も角、限られた音色で作って原曲に似せるという感じのMIDIに著作権使用料を払わなければならないというのはおかしな話です。ヴォーカル曲ならヴォーカルを入れられるはずもないですから尚更です。それに加えて、「音楽著作権保護」を掲げておきながら、私のページのMIDIのようなオリジナル曲は保護しない。そして登録する条件でもどれだけ売れているかが問われるなど、これでは音楽の著作権を守るというより、著作権を出汁にした利権団体と言わざるをません。
 まかりなりにも「芸術」をページ名称に掲げる芸術創造センターの管理人であり、JASRACが著作権を保護しないオリジナルMIDIを公開している私としては、JASRACの暴挙に対して何らかの形で抗議の姿勢を表明したいと思います。

「此処だな。」
「あ、私もです。」

 自分の持つ特急券を左手に持った−右手はまだ俺の左腕を抱え込んでいる−晶子の顔にようやく笑顔が戻る。やっぱり晶子の笑顔は見ているだけで心がほんわかと温かくなる。この笑顔を・・・大切にしたい。
 特急券では俺が窓側、晶子が通路側で今の状態と逆になる。まあ、ペアのシートだしどちらが何処に据わっても何も問題はない。そう思っていると、晶子が俺の腕を抱えたまま窓側の席に座る。俺は引っ張られる勢いに躓きそうになりながら、荷物を投げ出すような感じでどかっと晶子の横に座る。

「なあ晶子。もうそろそろ・・・。」
「嫌です。」

 晶子は苛めっ子のような表情で舌を少し出して所謂「あっかんべえ」をする。どうやら当分、もしかしたら食事とかトイレとか、止むを得ない場合を除いては、今日いっぱい離して貰えないかもしれない。・・・まあ、これはこれで嫌じゃないことは確かだが。
 暫く会話のない時間が続く。電車が線路を走る微かで規則的な音と振動が眠りを誘う。ホームでの俺を巡る争いが作り出した緊迫感が嘘みたいに思える。しかし、まさか優子が「奪還宣言」をするとは・・・。俺を試すようなことをしておいて今日の今日まで事情を話さなかったくせに・・・勝手な奴だ。

「私・・・嬉しかったです。」

 不意に隣の晶子が言う。勿論、俺の左腕はしっかり抱え込まれたままだが。

「何が?」
「祐司さん、初めて他の人に私のことが好きだ、って言ってくれたでしょ?それが凄く嬉しくて・・・。」

雨上がりの午後 第536回

written by Moonstone

 1両通り抜けた車両の番号が特急券にある車両番号と等しいことが分かると、俺は特急券の座席番号と窓の上部にある座席番号を比べながらゆっくり歩いていく。そして丁度車両の中央付近、進路方向に対して左側にある二つ並んだシートの片方の番号と俺の持つ特急券の番号が一致する。

2001/7/5

[消えない不安]
 闘病生活が(今の心療内科に行くようになってからとして)間もなく1年を迎えようとしています。体調も食欲も行動する気力もある程度は元に戻りました。でも、最後のヤマ場に差し掛かった仕事の(これが病気の遠因でもある)ことを思うと、突発的に大きな不安に晒されます。
 自分に出来るんだろうか?時間だけが過ぎていくんじゃないか?そんな不安が自分の中でどんどんと膨れ上がって、全身に悪寒が走ります。その不安が憂鬱感に変貌すると薬でも解消されなくて、食事も機械的に作って食べて、ぐったり身体を横たえる他ありません。今こうしてお話ができるようになるまで帰宅から3時間以上かかりました(汗)。
 別に完成を急かされているわけでもないので不安がる必要はないのですが、何せその仕事は過去16時間労働を幾度となく強いられ、さらに一時は行き詰まって精神的に最悪の状況に追い込まれた嫌な記憶があるので、どうしても不安が先立つんですよね・・・。こんなことを話せる人は周囲にいないし、どうしたら良いんでしょう・・・(溜息)。
恐らく徹夜か朝早くに起きて初詣や親戚周りに行った帰りだろう。俺は電車の方に身体の向きを変えて−勿論左腕をがっしり抱えている晶子もだ−、首だけ後ろを向いて宮城にとどめの一言を投げかける。

「それじゃ早く家に帰りな。あと、就職活動頑張れよ。じゃあな。」
「祐司・・・。」

 再び列車の方に向き直った俺は、晶子と共に特急に乗り込む。宮城が俺を追って乗り込むのかと思いきや、その気配はない。チラッと背後を見ると、宮城はその場から動こうとせず、俺と晶子を見送るようにその場に佇んでいる。
 ホイッスルに続いてドアが閉まる。もう一度確認がてらチラッと背後を見ると、宮城はその場に突っ立ったまま、俺の方をじっと見ている。その目の中で嫉妬と執念が激しく燃えているように見えてちょっと怖い。
 もう後ろを振り向くのは止めよう。このまま何度もドアを隔てて宮城を見ていると、そのうち望郷にも似た感情が湧きあがってきそうだ・・・。もう宮城との関係は終ったことだ。今は晶子と色々な思い出を作るべき時だ。それが俺の気持ちに正直な生き方だ。それで間違いない・・・。
 電車が軽い衝撃の後にゆっくりと加速を始める。俺は気持ちを今の状況に集中する。特急券をコートのポケットから取り出して座席のある車両を目指して、正面向かって左側のドアを開けて中に入る。俺の左腕をがっしり抱え込んでいる晶子はまだ離そうとしない。もう宮城は居ないのに・・・。俺が切れた過去の絆の方を向くかもしれないという強い不安感があるからだろうか?
 客は居るが所々に空席が目立つ車内は、流石に余分に金を取るだけあってゆったりとした作りになっている。俺と晶子が横に並んで歩くことがぎりぎりではあるが出来る。線路を疾走する音はするが、通学の時に乗る一般車両のようにそれが車体に影響を及ぼすことは少ない。整列した座席がそのまま線路の上に浮いて走っているように感じる。

雨上がりの午後 第535回

written by Moonstone

 アナウンスから程なく他の列車とは彩色の違う、見た目にも特別車と分かる列車がホームに入ってくる。甲高いブレーキの音が止むと、折畳式のドアが開く。中から出てくる人の数はやはりまばらだ。

2001/7/4

御来場者112000人突破です!(歓喜)

 ・・・早い・・・のかな?今回はカウンターをよく見てなかったので(寝ぼけてたせいもある)断定は出来ません。まあ、カウンターが増えるに越したことはないので良しとしましょう。

[ちょっと困ってます]
 何かというと此処最近「O(若しくは「ら」)のキーレスポンズが不安定なんです。ローマ字入力の私にはかなり深刻な問題です。例えば「俺と一緒に」が「れちっしょに」とか得たいの知れない表現になってしまうんですよ(汗)。
 連載では語り部の安藤君の一人称が「俺」なので、必然的に「O」のキーを叩く回数は多くなります。それ以外でも「O」キーを叩く機会は多いですからね。キーを叩いていくうちに(一応ブラインドタッチです)、妙な文字列が表れて目を疑うことしばしばです(大汗)。
 これは私がキーを強く叩く癖のせいでしょう。キーを連打する時のカタカタいう音が好きなんです(爆)。今メインで使っているノートPCをサブPC(デスクトップ)のキーを叩く力そのままに叩いてますからね。場合によっては修理に出さないといけないかも・・・。
 対する宮城は晶子の気迫に臆することなく−二人共かなり気が強い一面がある−、晶子を見据えて口を開く。

「じゃあ・・・方針を変えるわ。私は絶対、貴方から祐司を奪ってみせるから。」
「!」
「み、宮城・・・。」
「私は祐司の好物も苦手な食べ物も、癖も身体の特徴も、家族の顔も何もかも知ってる。少なくとも貴方よりは、祐司のことを知ってるわよ。」
「・・・私は今の祐司さんが好きなんです。知らないことは・・・これから教えあったり一緒に過ごす中で少しずつ知っていけば良いことですから。」

 宮城は俺との付き合いが約3年続いたことを前面に押し出す。思わぬ宮城からの「宣戦布告」と、宮城の俺に関する知識の豊富さを見せ付けられた晶子は、対抗することはしても押されている感は否めない。此処は俺が晶子に助け舟を出さないと・・・。

「俺のことをどれだけ知ってても、それが俺の気持ちの向きを変えることには直結しないぞ、宮城。」
「突破口になる可能性はあるわよ。」
「今、俺が好きなのは俺の傍に居る晶子だ。それにお前、最初に別れを仄めかした時、俺に言っただろ。『身近に居ると一番安心できる』って。そのとおりだよ。俺にとって身近に居て一番安心できる存在は俺の隣に居る晶子だ。その安心感と俺の晶子に対する気持ちの何処に突破口を見出すつもりか知らないが、諦めた方が良いと言っておく。昔のよしみでな。」
「祐司さん・・・。」

 ちらっと晶子の顔を見ると、少し頬が赤らみ、瞳が潤んでいる。俺が自分の気持ちをはっきりと自分の「宿敵」に言ったことが嬉しかったんだろうか?
 特急の到着を告げるアナウンスが流れる。晶子と宮城のぶつかり合いはこれでおしまいだ。俺の今の気持ちに変わりはないことを加えて。

雨上がりの午後 第534回

written by Moonstone

 晶子は宮城にそう言い放つと俺の左腕を取って、自分の右腕をぎゅっと絡み付ける。コートやセーターを挟んでも感じるその場所独得の柔らかい感触が、確かに俺の頭に伝わる。この感触には無意識に心拍数を上げる効果がある。

2001/7/3

[静寂の中、暫し考えてみましたが・・・]
 お話するネタが全然浮かんできません(爆)。思いつくものといえば、仕事で3時間程ファイル生成が上手くいかなくて、半ば自棄でPCを再起動して同じことをやってみたら上手くいったことくらいですね。これには怒りを通り越して呆れましたよ。
 あ、そういえば、明日7/4に倉木麻衣のニューアルバムが出ますね。連載の中では既に発売されていますが(笑)、今度は「Stand up」や「Reach for the sky」(昼休みにテレビで流れていて歌詞を覚えた(笑))のように、私が知ってる曲が多そうで楽しみです(^^)。
 ・・・何だかんだ言って、それなりにお話しましたね(^^;)。日記だからその日の出来事を書かなきゃならない、っていう規則はないわけですから(自分のページですし)、思いつくまま適当にお話すれば良いんですよね。どうも私は思考が硬直しやすいので、肩の力を抜いて柔軟になれるようにしたいです。
会っただけで嫌悪感を感じるような相手ともう一度やり直すなんて器用な芸当は、俺じゃとても出来ない。
 どちらが悪いとは不問とするにしても、あの日の夜の電話で宮城との関係は終った。今はこの町で出会った晶子と付き合っている。これが俺の偽らざる気持ちであり、ことの推移だ。俺はその気持ちを宮城に突きつけたに過ぎない。宮城には冷酷に思えるだろうが、二股かけられるほど俺は器用じゃない。宮城には諦めてもらうしかない。
 俺の突きつけた最後通牒で、宮城は俺から視線を逸らして少し俯き加減になる。そのままこの場を去るかと思いきや、宮城は再び顔を上げて神妙な表情で口を開く。

「もう一度じゃなくて・・・最初から始める。」
「どういうことだ?」
「私と祐司が今日出会ったところから始めるのよ。」

 な、何だ?宮城の奴・・・。表現を替えても結局俺とよりを戻したいことには変わらないじゃないか!だが、宮城の目は本気だ。だったら何で・・・何であの夜、あんなことを言ったんだ!

「まだ貴方は自分のしたことの重さが分かってないようですね。」

 晶子が宮城に厳しい目を向ける。宮城も負けじと瞳の鋭さを増す。

「今、祐司さんは私と付き合ってるんです。最初から始めるも何も、貴方が祐司さんとの付き合いを再開することは不可能なんです。目の前の現実をしっかり認識してください。」

雨上がりの午後 第533回

written by Moonstone

 俺はいたって冷静に、優子に対して最後通牒を突きつける。あの日の夜と立場が逆になったような感じだ。だが、俺が言ったことは全部、俺が思うことだ。もうどう転がしても優子、否、宮城に気持ちを向けることは出来ない。

2001/7/2

[絶不調の休日]
 土曜日に続いて日曜日も身体の不調が続いて、昼間は殆ど寝てました(汗)。当然のことながら、次回定期更新へ向けた作品制作も思うように進みませんでした。軽い風邪をひいたのか、微熱と倦怠感が体を包んでいます。今、こうしてお話しているのも辛いくらいです。
 することはいっぱいあるのに思うように進まない=>焦りを感じ、同時に自分の不甲斐なさに怒る=>ストレスになって蓄積される、という悪循環になりそうです。身体の具合が悪いんだから仕方ない、と割り切れれば良いんですが、それが出来ない性格なんですよ。真面目なのか融通がきかないのか分かりませんが・・・。
 こんな状況ですので暫くこのコーナーが短くなるかもしれませんが、どうかご容赦願います。可能な限り毎日更新は続けますので、これからもご来場の折、このコーナーをお聞きくださると嬉しく思います。
 晶子も、俺の部屋の大掃除の休憩時に俺と晶子を中傷する主婦連にコップの水をぶちまけた時のように、眉間に皺を寄せて宮城と対峙する。アーケード状のホームは二人の声を取り込んで、遠い山彦のように僅かな残響を生む。ホームに居る人々が俺達、否、晶子と宮城の方に視線を向けているようだ。
 一人の男を巡って今の彼女と元の彼女が言い争う。第三者から見れば羨望や嫉妬を抱きそうなシチュエーションだが、当事者の俺には何も良いことはない。それに自分を巡って女が争う構図なんて真っ平御免だ。そんなものを悠然と眺めていられるほど、俺は人間が出来てない。俺は晶子を制するように晶子の前に左腕を伸ばして、俺の方を向いた宮城に言う。

「宮城・・・。お前の意図を知らなかったにせよ、あの夜の電話で俺はお前に捨てられたと思った。お前が最初に別れを仄めかした時にすっぱり別れてりゃ良かったと思った。」
「・・・。」
「苦しかった。悲しかった。憎らしかった。やり場のない気持ちをどうしようもなくて、友人や晶子に当り散らしたりしたこともあった。でも、晶子は・・・すれ違ったことはあったけど、俺を理解してくれた。晶子が言ったように同じようなことを経験した似た者同士として、そして・・・俺を好きでいてくれる女として・・・。」
「祐司を好きなのは、私だって同じよ。」
「だけどお前は、あの日の電話の後、直ぐに俺に真意を説明しなかったじゃないか。それはどう考えたって、俺と別れたいと本気で思っているとしか思えなかった。」
「う・・・。」
「俺は今、晶子と付き合ってる。俺が告白したいっていう意味ではまだ間もないけどな。俺は・・・晶子が好きだ。この気持ちに嘘偽りはない。もう・・・お前とのことは良い思い出だけ残しておきたいんだ。だから・・・帰ってくれ。」

雨上がりの午後 第532回

written by Moonstone

「私は祐司を捨ててなんてないわ!ただ・・・祐司に理解してもらえなかっただけよ!」
「貴方の言葉で祐司さんが貴方に捨てられたと思ったのは事実でしょう?!手前勝手な自己弁明はもう止めて下さい!」

2001/7/1

[修羅場にも色々ありまして]
 あと1週間少々に控えた次回定期更新の準備は勿論(なのに寝たり起きたりしてるし(爆))、連載も安藤祐司君の元彼女(宮城優子さん)が現れて修羅場の雰囲気。付き合っていた頃は仲が良かっただけに絆が切れた反動も大きいのか、安藤君の態度はかなり冷たいですが、連載開始当初の(Novels Group 3のChapter1冒頭を参照して下さい)電話でのやり取りに昨日今日のような背景があったとは思いもしなかったでしょう(威張るなよ)。
 こういう状況が我が身に降りかかったら、リスナーの皆さんはどうしますか?私(念のため言っておきますが私は男です)だったら安藤君以上に冷たい態度に出るんじゃないかと思います。一度別れたい素振りを見せられて必死で繋ぎとめたのに、電話で別れたいと言われた上に、それが自分への気持ちを確かめるものだったと知ったら、とても許せないですね。相手の言葉には一切聞く耳持たないと思います。
 逆に安藤君が女性で、井上晶子さんや宮城さんが男性だったらどうなるんでしょう?女性は猫みたいなもので、相手が追い縋ってくると余計に嫌うという話を聞いたことがありますが、実際のところどうなんでしょう?もし女性の方がお聞きでしたら、ご意見をお寄せくださると幸いです。勿論、男性の方のご意見もお待ちしております。内容の守秘義務は厳守します。
祐司の家に行った時の祐司の言葉で私、ようやく悟った。あんな人を試すようなこと、するんじゃなかったって・・・。」

 何を今更・・・。勝手すぎる!

「あれから以前『身近な存在』って言ったことのある、同じバイト先の人と付き合った。でも半月経たないうちに別れた。その人じゃ、祐司の代わりにはならなかったから・・・。」

 俺の代わりを探すくらいなら、俺自身を求めれば良いじゃないか!それにもしその男が俺の代わりになったら、そのまま付き合ってたんじゃないのか?!

「だから祐司・・・。ごめんなさい。もう一度私と・・・」

 パシンという軽く乾いた音が響き、宮城の顔が横を向く。俺の隣に居た晶子が一歩前に進み出て、その右腕が胸の前を横切っている。何が起こったのか容易に分かる。宮城は打たれた左の頬を押さえて再び正面を向く。だが、視線は俺じゃなくて晶子の方を向いている。

「優子さん・・・でしたよね?貴方の言い分、勝手過ぎます。」
「・・・。」
「祐司さんがどんなに苦しんで悲しんだか・・・想像できます?何も信じられなくなって、見るもの全てが醜く歪んで見えたんですよ・・・。」
「・・・そういう貴方、祐司のこと全て分かってるみたいに言うけど、何処まで祐司のこと分かってるの?」
「同じような経験をしたから分かります。結婚したい、とまで思った相手にある日いきなり捨てられたんですから。」

 晶子の言葉を受けて、宮城の眉が吊り上る。最初に俺に別れを仄めかした時とよく似た表情だ。・・・また嫌なことを思い出しちまった。

雨上がりの午後 第531回

written by Moonstone

「前に私がこの駅を出たところで祐司と出くわしたのも、別の日に祐司の家に行ったのも、祐司と会いたくて、それに祐司の気持ちを確かめたかったから・・・。でも、祐司はどの時も冷たかった。そして今も・・・。


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