芸術創造センター こぼれ話
Dropped talk of Performing Arts Center>

2000年11月30日更新 Updated on November 30th,2000

2000/11/30

[兎に角眠い・・・]
 療養明けから朝は勿論、午前中までずーっと眠くて、夕方も身体がだんだん疲れてきてるなぁ、というのが感覚で分かります。全身がじわじわとだるくなってくるんですよ。身体がまだ完全じゃないので、直ぐ疲れが溜まって、寝て一旦回復させてもすぐに蓄積するんです(医者も疲れが溜まり易いのは仕方ないと言ってた)。
 酷いときは目の焦点さえ合わせられなくて、片目で作業をしないといけないんです。やっているのは精密な仕事なのに目や集中力に支障を来していると大変困ります。さらに帰宅してからも、食事をしてから1〜2時間寝てからでないとこのコーナーが書けないくらい疲れが溜まっています。こんな状態でも自分で食事を用意せにゃならんのは一人暮らしの大変なところです。
「・・・。」
「勇気は凄く要りました・・・。私だって祐司さんとよく似てる、ううん、殆ど同じなんですよ。ふられたことだってあるし、それまで続いていた良い関係、私から見てですけどね、それを壊してしまうかもしれない・・・。そう思うとそう簡単に大切な言葉を口には出来なかったんです・・・。」

 晶子も俺と同じだったんだ・・・。境遇も心境も。でも、晶子はさらに親密な関係を望んで大切な言葉を口にしたんだ。それに俺が応えなけりゃならない義務はない。義務はないが・・・。
 言わばぬるま湯のような今の関係に浸りきって、そこから前へ進もうとしない。進めないし、進みたくない。けど此処で進まなかったら今度は何時こんな恵まれた状況に巡りあえるか分からない。如何すりゃ良いんだ・・・?
 このままバイト仲間と音楽のパートナーの関係だけで良いのか?それはずっと続くわけじゃないってことくらい分かってる。3年になれば俺は実験やレポートが格段に増えるらしいから、今みたいに毎日バイトには来れなくなるだろう。それにこのご時世だ。就職活動だって始めないといけないかもしれない。今の関係のままじゃ、だんだん晶子と疎遠になっていくのは自然の成り行きだ。

・・・今の関係をそのまま思い出に変えるつもりか?
それは・・・嫌だ!

 このまま良い思い出だけで終わらせたくない。もう・・・思い出だけの関係なんて沢山だ!これがどんな結果になるかどうかは、先へ踏み出さないと・・・分からないじゃないか!

雨上がりの午後 第355回

written by Moonstone

「私は雰囲気があった勢いでいえたようなものなんです。本当はあのままでも良かったかもしれない、って思うこともあります。でも、もっと深く付き合いたい、もっとこの人のことを知りたい・・・前からそう思ってたんです。それには今の関係から一歩前に進まないといけない・・・。そのための言葉があのときの言葉だったんです。」

2000/11/29

ご来場者73000人突破です!(歓喜)

 ・・・早すぎる(汗)。「魂の降る里」を更新するとこうなるんですよね。その割にメールは少ないですが(これは何時ものことか)、きっちりお返事しますので(^^)。

[この寒空の下・・・]
 まさか帰宅してからもう1回仕事場に戻ることになるとは思いませんでした(汗)。仕事ではなくて薬の入った袋を忘れたんです。今の私は10種類以上に及ぶ薬を飲んでようやく普通の生活が出来る状態ですので、薬を忘れたと気付いたときは愕然としましたよ、ええ(^^;)。
 直ちに薬を取りに仕事場に戻って即自宅にUターン。只でさえ少ない体力を使ったので(自転車で行った)もうフラフラ。テレホタイム直前まで寝てました。自分が必要なものを忘れるなんて、情けない話です。置いておいた場所も何時もと変わらないというのに(爆)。
 そんなことは分かってた。分かっていたけど・・・俺は晶子の忍耐力の上に胡座をかいていたんだ。俺が好きだから、ずっと待っていてくれるものと勝手に思い込んでいただけ・・・。自惚れもいいところだ。
 智一は何時晶子を誘い出すか分からない。気持ちが揺らいでいるところに誘いを受けたら・・・もしかするとコンサートに出ずに誘いに応じるかもしれない。今まで練習してきたからといって必ず出るという保証はない。だとしたら俺は、俺は・・・。
 でも、まだどうしても喉の奥から言葉が出てこない。何故だ?緊張しているからか?否、違う。返事を告げて恋人同士になれば終わりがないとは絶対言い切れないからだ。実際前がそうだったんだから。
 今の関係なら仮に疎遠になってやがて思い出の一つに変わっても、あんなときがあったなぁ、と懐かしく思い出せるだけで済むだろう。しかし、仮にも恋人同士になったら、そんな綺麗な終わり方を望むのははっきり言って無理だ。必ずどちらかが傷つくんだ。もう、あんな思いをするのは御免だ、という気持ちが喉に蓋をしてしまっているんだ。

「・・・晶子・・・。」
「・・・はい。」
「俺は・・・結局逃げてるんだと思う。返事をして今の関係が変わることで、終わりが来るかもしれない、それでまた傷つくかもしれないって、怖がってるんだと思う・・・。」
「・・・。」
「正直な話、今の関係が気分的に楽なんだ。変に気を使わなくて良いし、勘繰ったり詮索したりしなくて済むし・・・。結局これも逃げ口上だけどな。」
「・・・それは、私も同じですよ・・・。」

 寒空の下、充満する冷気の中で俺と晶子は向かい合う。

雨上がりの午後 第354回

written by Moonstone

 何故待ってられないのかと晶子を責めることは出来ない。待てるだけ待つということを受け入れたのは他ならぬ俺なんだから。それに、待てるだけ、というのは一生を約束したものじゃない。晶子が限界と感じたときまでだ。

2000/11/28

[町に電飾現れる頃]
 通り道の家では結構な割合で電飾が壁や垣根に飾られるようになってきました。中には店顔負けの電飾もあります。・・・そう、とうとう近付いてきたんですね。クリスマスというやつが。そういや、TVやラジオとかでも聞こえてくるよな。
 クリスマスなんてもう縁遠い話です。去年一昨年なんてそれどころじゃなかったですし(仕事で無茶苦茶な状況だった)、二人で豪華なディナー・・・なんて別次元の話です。値段が2倍以上することは知っているので、ぼったくってるよなぁと思いつつ、自分は何時もどおり料理して食べるだけ。大体その時期は寒さ絶頂期だから、如何寒さを凌ぐかの方が大事です(私は寒さが嫌い)。
 そもそもこの不況、不況と言われる世の中、バブル時代のようなクリスマスを過ごせるんでしょうか。単に貧富の差が激しくなっただけで、それをIT革命やら何やらで夢を見させて誤魔化しているだけのような気がします。
 俺と晶子を乗せた自転車が晶子のマンションの前に着く。すると直ぐに晶子が自転車を降りる。何時もは降りてくれと言うまで降りないのに・・・。今に限って何だ、一体?

「・・・祐司さん。」

 マンションの出入り口を背景に晶子が語りかけてくる。背後の光を逆光で受けるその表情は何所か切なげで、見ているだけで罪悪感を感じてしまう。

「まだ・・・言ってくれないんですね。」
「・・・。」
「待てるだけ待ちますって言ったのは私ですけど・・・返事が待ち遠しくてじれったくて・・・。今までにも何度かチャンスはあったと思うんですけど、祐司さんは何も言ってくれなかった・・・。」
「・・・。」
「待てるだけは待ちます。これは確かです。でも、何時まで待てるか分かりません・・・。無理強いするつもりじゃないですけど・・・早く言って欲しい・・・。そうでないと、私・・・。」
「晶子・・・。」
「待ちきれないかもしれない・・・。」

 晶子の言葉はずるずると返事を先延ばしにして来た俺にとって最後通牒に等しい。智一が今日突きつけた宣戦布告と相俟って、俺は返事をするかどうかぎりぎりのところまで追い詰められたような気がする。

雨上がりの午後 第353回

written by Moonstone

 坂を登りきればあとは殆ど水平だ。坂で手間取った分、俺は快調に自転車を走らせる。自転車なら5分ほど走れば晶子の家に着く。

2000/11/27

[ちょっと復活]
 ここ3日間どん底状態でしたが、少し持ち直したので作品制作を少しやりました。エディタの画面を見るのも苦しいということはありません。なかなか進みませんけど(汗)。
 テキストってかなり書いたな、と思って容量をみるとたった数kBだったりするんですよね。今使っているエディタで200行単位、それも1行100字以上を何度も含んでようやく20kBいくかいかないかですからね。なかなか出来た、という実感が湧かないんです。それが徒労感に繋がりやすいのかな、と思います。
 CGは私の知るところではないですが、MIDIは作っていくうちに形になっていくのが分かりますからね。一方テキストは何所で区切りをつけるかで完成とする「区切り」が変わってきます。それに展開をどうするか考えておかないと収拾が着かなくなりますし・・・なかなか難しいものです。
 思えば今まで晶子との関係は殆どなし崩し的に進んできた。返事を返せるまで−返事を返してもだが−区切りをはっきりさせないといけない。このままだと何時の間にか一緒に住んで・・・、なんてことになりかねない。

「今日はもう良いか・・・。晶子、帰るぞ。」
「帰るって・・・私の家ですか?」
「それ以外何所があるっていうんだよ。送ってくから。」

 俺が立ち上がってコートを羽織るが、晶子はのろのろと立ち上がってベッドに置いてあったコートを羽織る動作も随分鈍い。やっぱり帰りたくないんだろうか・・・。
 だが、ここで晶子を泊めたら、それこそもうなし崩しで「通い婚」状態になっていくだろう。それはやっぱり拙い。何所かではっきり区切りというかけじめをつけないと・・・。まずつけなければならないけじめは、晶子への返事なんだが・・・。
 俺が晶子を先導する形で部屋を出て自転車の鍵を外す。俺が自転車に乗ると晶子も後ろに座って俺の腰に手を回す。今度は密着度が割と低い。今まで自転車に乗るときは思い切り密着して当たり前だっただけに、晶子の様子が気になる。

 俺は自転車を闇に漕ぎ出す。それと同時に前輪近くにあるペダルのような部分を踏んでライトを点ける。こうすると数段ペダルが重くなるが、無灯火だといきなり自転車や歩行者と出くわしたりするから、点けておかないと危ない。
 通りに出てから少し進むと緩やかな上り坂がある。歩く分には大したものじゃないが、自転車で、しかも二人乗りだとかなり辛い。ペダルを回すのがかなり大変だ。だが、此処で晶子に下りてくれ、なんて言えない。懸命にペダルを回して坂を登る。

雨上がりの午後 第352回

written by Moonstone

 今日はこのくらいで良いだろう。俺はギターのストラップから身体を抜いてギターを壁に立てかける。時計を見ると、もう11時を過ぎている。そろそろ晶子を家に送っていかなきゃならない時間だ。そうしないと・・・泊まりになってしまうだろう。

2000/11/26

ご来場者72000人突破です!(歓喜)

 ・・・割とハイペース。先週エヴァSSを公開したからでしょうね。・・・以上(爆)。

[相変わらずやる気なし]
 定期更新の準備が出来ていたこともあって、殆どベッドに転がってました(爆)。折角休みがあったのだから、一気に作品制作を進めるのが本当なのでしょうが、やる気にならないんだからしゃあない。そもそも反応もろくにないものを作るのに気合が入るはずもないというもの。
 親から毎日のように来る電話は、元気を出せだの気分転換をしろだの・・・。それが出来ないから苦しんでるってことを全く分かってない!結局誰にも私の気持ちなんか分からないことがよく分かりましたよ。
「だって、祐司さんは祐司さんですよ。自分が自分が、ってでしゃばり過ぎるのは良くないですけど、普段どおりに演奏すれば良いと思うんです。」
「・・・そうだな。」

 普段どおり。これは簡単そうで実は難しいことだ。所謂「自分のスタイル」が出来ていないとあの人のように、とかこうやって出来たら、とか思ってそれに技量がついてこなかったりする。そして上手く出来ない、と悩むわけだ。
 そういう意味では、俺はまだ「自分のスタイル」が自分の中で確立できていないようだ。ペアで演奏する曲だから音の強弱やテンポに気を配るのは当然だ。でも、自分の演奏が出来なきゃ「主力」の方に振り回されてしまう。主導権争いとは次元の違う「自己主張」が出来て初めて、アンサンブルとして成立するんだろう。

「もう一回、聞いてくれるか?」
「ええ、勿論。」

 井上の微笑みに俺は返して再びフレットと弦の上に指を置く。そしてフレットの上を滑らせ、弦を爪弾く。・・・今回も良い感じだ。俺が奏でるフレーズに合わせて思わず小さくハミングする。良い気分で演奏できているのが自分でも分かる。これを本番にそのまま持ち込みたいものだ・・・。
 演奏を終えると、再び晶子の拍手が起こる。たった一人の拍手でも、満足できる演奏が出来たから疲れを癒すと共にもっと頑張ろう、という気になる。一人で練習していると、どうしても自己満足で終わってしまうから、他人から拍手をもらえるのは、それなりの演奏が出来たことを示す客観的な証拠といえる。

雨上がりの午後 第351回

written by Moonstone

「今度の方がずっと良いですよ。凄く自然で全然違和感がなかったです。」
「自分の演奏に集中するのが一番みたいだな。潤子さんに負けないようにとか、考えない方が良いわけか。」

2000/11/25

[1時間以上PCの前に居ても]
 お話しすること思い浮かばないです。気付いたら日付が変わっちゃいました。兎に角憂鬱で仕方ありません。何もする気が起こりません。正直、PCのエディタの画面を見るだけでも憂鬱です。
 巡回するページも随分減って(1/3くらいになった)、ぼんやりとカウンターの推移を見ていて、何で更新しなくても増えるんだろうなぁ、とやるせない気持ちになるばかり。何だか馬鹿にされているようで悔しいです。
 明日は定期更新ですが、大体の準備は出来ています。殆どの場合水族館の水槽のように眺められ、通り過ぎていくだけのコンテンツを・・・。

「何で上手くいかないんだろうなぁ・・・。」
「私が言うのもなんですけど・・・意識し過ぎなんじゃないですか?」
「意識って何を?」
「潤子さんがすらすらと弾きこなせるってことですよ。何だかあの部分だけ左手の動きがちょっとぎこちないってような気がするんです。」

 なるほど・・・。確かに潤子さんのピアノを意識してはいるが、それが度を越して演奏に影響が出たって訳か・・・。そう考えると確かにいくらやっても上手くいかないということが理解できる。
 しかし、こういうときにはやはり他人の存在は欠かせないと思う。自分では妥協で済ましてしまいそうなところでもしっかりと指摘してくれるから・・・。もっとも相手を選ばないと居ない方がましってことになるが。
 コーヒーをゆっくりと飲み終えた後、再びギターのストラップに体を通し、フレットと左手の位置を合わせる。そして念のためチューニングを確認する。もうこれはおまじないみたいなものだ。肩の力を抜いてフレットに軽く手を触れ、右手を弦に添える。一度深呼吸してからフレーズを弾き始める。
 ・・・軽い。今度はフレットの上を左手が滑らかに動く。キュッ、キュッというフレットノイズと共に動く両手にも違和感がない。指がフレットと弦の上を軽やかに踊る。続くフレーズも妙に力んだりしない。・・・これなら完璧だ。
 弾き終えてふーっと大きく溜息を吐くと、パチパチと拍手が飛ぶ。晶子が満足げに微笑んでいる。

雨上がりの午後 第350回

written by Moonstone

 晶子からコーヒーカップを受け取る。紅茶とはまた違う芳香が疲れた身体と心に染み透る・・・。一口啜ってもう一度溜息を吐く。

2000/11/24

[寝てばっかり・・・]
 23日は寝てばかりでした。食事も回数だけは3回摂りましたが、回数だけで内容はもはや食事じゃありません。寝てるときと食べるとき以外では、定期更新の準備を少ししたくらいですね。どうせSide Story Group 1で「魂の降る里」を更新したときくらいしかメールこないから、手軽に出来るところだけちょこまかとやっておきました。勿論体裁は整えてますけど。あ、あとこのコーナーか。
 1週間や2週間メールなしなんて珍しくもないし、体裁整えてもきちんと見ていてくれているのか疑わしい・・・。なのにきちんと作品揃えてタグ組んでも空しいような・・・。やっぱり真面目は報われないですね。「あの手」に打って出るのも一つですけど、嫌がらせみたいだし・・・。ま、別に良いかも。
 ・・・兎に角、今は練習に専念しよう。そして晶子に完璧だと言わしめて、今日は遅いからとか言って自宅に送り届けよう。それが賢明だ。
 だが、世の中思うようにはいかないものだ。晶子が中学時代の嫌な教師を髣髴とさせるほど駆け下りるフレーズの部分を指摘してくる。それが自分でも分かっているから言い返せない。問題の前半部分に絞り込んで何度も繰り返すが、やはりモタったりつんのめったりする。・・・だんだんイライラしてくる。

「祐司さん、ちょっとストップ。」
「何だよ、いきなり。」

 上手くいかない腹いせみたいに語調が荒くなってしまう。言ってから後悔しても遅いんだが。

「ちょっと休憩しませんか?ずっとだったから疲れたでしょう。」
「ああ、まあ・・・な。」
「私がコーヒーを準備しますね。」
「悪い・・・。」

 俺はギターのストラップから身体を抜いて、ギターを壁に立てかけて深い溜息を吐く。肝心の部分がなかなか上手くいかなくて腹立たしいし、それを晶子にぶつける自分が情けなく思う。
 晶子はさっき使ったカップを洗い、布巾でさっと拭うと湯を沸かしてインスタントコーヒーを入れる。まるで自分の家みたいに手際が良い。前に俺が寝込んだときに色々整理してたみたいだから、その時覚えたんだろうか?

雨上がりの午後 第349回

written by Moonstone

 前は病気だったが、今日は変な言い方だが全くの健康体だ。来客用の布団なんてある筈もないし、ベッドで一緒に寝ることになるんだろう。そうなったら・・・気持ちを伝えるどころか、緊張感で固まってしまうか衝動的に覆い被さってしまうか・・・自分でもどうなるか分からない。

2000/11/23

[感謝は要らない。報酬が欲しい]
 むちゃ荒んだキャプションですが、今の私の心境は言ってしまえばずばりこれです。仕事でも私が成しえた仕事は前面に出ることがなく、大きなものの一部として何気なく使われていく。このページの更新にしても、カウンターが1日にどれだけ増えようが、感想メール(私にとっての報酬)が1通もない場合が殆ど。徒労感だけが積み重なっていきます。
 個人的な繋がりは望みません。所詮私の気持ちなんて誰も分からないでしょうし、分かってくれない相手との繋がりは気を使うだけです。それより報酬が欲しい。仕事なら給与や休暇、ページの運営なら感想です。何十万のカウント数を誇ってレスしなくてもメールが届いて書き込みがあるようなページからすれば、せせら笑うようなちっぽけな希望ですけどね。
−勤労感謝の日にあたって−
 この部分でちょっとモタったか・・・?だが、今は通り過ぎた音符を逆戻りすることは出来ない。次に来るフレーズに備え、そして流れを妨げないように弾かないと・・・。
 トリル(2つの音を早く繰り返すこと)もあり、この曲は前半が特別難しい。後半はまだ簡単な方だが、ここで潤子さんのピアノがより迫ってくるから、音の粒をきっちり立たせないといけない。一瞬たりとも気が抜けない。やはり、まだ練習不足か・・・?
 ・・・どうにか弾き終えた。暖房をかけてあるがそれが暑く感じる。一旦ギターのストラップから身体を抜いて、セーターを脱ぐ。額から滲み出る汗をシャツの袖でぐいと拭う。

「あの・・・いいですか?」
「何?」
「前半の音が駆け下りて行くところが、ちょっとリズムが狂っていたような気がします。あと、後半は音が強すぎるっていうか・・・。」
「やっぱり前半のあそこが拙かったか・・・。後半の音の強さは潤子さんのピアノと掛け合うにはあれで丁度良いくらいだと思う。」
「楽器同士を合わせるのって、難しいんですね。」
「潤子さんはこの部分、すらすら弾くんだけどなぁ・・・。俺の場合、フレットを動かすスピードがまだ不安定みたいだ。」
「じゃあ、もう一度弾いてみましょうよ。」
「・・・もう一回か・・・。」

 確かにこの不完全なままで完了とするには自分自身納得がいかない。コンサートまであと数日だから完璧にしておきたい。だが、この曲はけっこう長いから、何度か繰り返していると本当に深夜になってしまう。そうなると・・・晶子が泊まって行って良いですか、なんて言いかねない。

雨上がりの午後 第348回

written by Moonstone

 呼吸を整えて数回ゆっくりと呼吸してからフレーズを奏で始める。フレットの上を左手が滑る。右手が忙しなく現を爪弾く。フレットの上を指が滑るとき、キュッ、キュッ、キュッという独特のノイズが入る。

2000/11/22

[21日は朝から・・・]
 最悪に近いくらい調子が悪くて大変でした。まだ日によって浮き沈みが激しいようです。こういう日に限って条件の悪いことがあったりして、余計に疲れました。今日もまた色々ある予定になっているのでどうなることやら・・・。

[予想どおりの茶番劇]
 自民党を変えるために、とか言って立ち上がり、幕末の志士を気取ったかのような某氏2名の派閥は結局欠席、不信任案は否決されました。主流派の某氏から離党勧告や除名をちらつかせるような発言が出た時点で、多分賛成には回らないだろうと思っていましたが、そのとおりになってしまいました。
 何故か。それは自民党に居るのと野党(共産党は論外)に居るのとでは業者団体から得られる「うまみ」が全然違うからです。その「うまみ」を手放してまで賛成に回る覚悟はなかったのです(一致点を見出そうとしてたしね)。
 過去自民党を離党した人は全て別の「うまみ」を確保しています。民主党しかり保守党しかり。その上政党助成金を山分けしているんですから、こういう集団は当選させないのが最も賢明なのですが、日本の有権者ではあと100年経つか戦争で負けるかしないと出来ないでしょう。
 最後のフレーズを引き終えて左手をフレットから離すと、小さな、しかし温かい拍手が飛ぶ。手を叩く晶子の表情は明るい。それを見るだけで上手く弾けたんだな、と思う。思い込みかもしれないが・・・そう思う。

「凄く良い感じでしたよ。心にじんと来ました。」
「これはもう今更間違ってたら駄目なんだよな。でも上手いだけじゃ駄目だし・・・。難しいな、こういう曲は。」
「情感もバッチリでしたよ。聞いてて自然に身体がふわふわ揺らぐような・・・そんな感じがしました。」
「それならこれは大丈夫だな。まずは一安心だ・・・。」

 晶子から最高ともいえる反応が寄せられたことで、この「AZURE」は完璧に仕上がったと思う。じゃあ次は「EL TORO」か・・・。これは音合わせでも潤子さんのピアノの音圧に圧倒されて歩調を合わせるのが精一杯ってところがある。此方の方こそ晶子にしっかり聞いてもらいたい。

「次は・・・『EL TORO』だな。」
「それって・・・潤子さんとペアを組んで弾く曲ですよね。」
「今まで潤子さんのピアノに圧倒されっぱなしだったからな。この場で完璧に仕上げておきたいんだ。」
「じゃあ、私もしっかり聞いてますね。」

 チューニングはさっき確認したばかりだが、改めて確認する。・・・OKだ。左手とフレットの位置が引きやすい位置にあるかどうか確認する。・・・これもOKだ。あとは、俺の腕次第か・・・。潤子さんが弾くピアノに負けないように、且つ前面に出すぎて五月蝿くならないような程度で弾かなきゃならない。・・・俺にとってはこの曲が一番難しいかもしれない。

雨上がりの午後 第347回

written by Moonstone

 もし晶子が初めて店に来たときにこの曲を演奏してなかったら、どうなっていただろう?ただのウェイターと初めての客として、それも一応顔見知りという状況下で席に案内していただけだろうか?人と人との出会いは偶然と偶然が重なって生じる一種の奇跡なのかもしれない・・・。

2000/10/29

ご来場者71000人突破です!(歓喜)

 ・・・SIde Story Group 1の更新のせいでしょう。いや、そうに違いない(きっぱり)。このグループを更新すると一気にカウンターが回るのは前からの現象ですからね。・・・創作系もたまには見てくださいな(^^;)。

[事態は急を要する]
 低血圧で朝にあまり強くない私は腕時計のアラームに続いてステレオのタイマーをセットしているのですが、たまにステレオが稼動しないことがあります(汗)。その事態が現実になって遅刻する羽目になったので、急遽目覚し時計を購入することにしました。二度寝することを考えてしつこくアラームがなるタイプです(笑)。
 音も結構大きいので、これなら多分大丈夫だろうと踏んでいますが、ステレオのタイマーが稼動しなかったのはショックだなぁ。シンセやその制御用PCと共に10年選手だから、そろそろ交換のときかも・・・。PCの方は「不正終了」とは無縁に動いてます(DOSだもんね〜)。今使ってるシーケンサがWindowsで動けば、と微かな期待を抱いています(笑)。
 俺にとっては既成事実の最後の積み上げというような歌詞だけに、ちょっと気恥ずかしい。それにしても晶子のヴォーカルも立派になったものだ。感情を込めて−多分意識的だろうが−情感たっぷりに歌い上げる様は、歌姫と呼ぶに相応しい。・・・大したもんだ。
 練習は丹念に進めていく。少なくともペアで演奏する曲は完璧にしておかないといけない。定番のクリスマスソングは勿論、「THE GATES OF LOVE」や「FLY ME TO THE MOON」も念入りに練習しておく。今日が事実上最後のつもりで臨んだせいか、俺も晶子も熱が入る。
 一息ついてふと時計を見ると、とっくに11時を過ぎていた。本当にこういうときの時間の過ぎる速さは一瞬に等しい。早く晶子を自宅へ送り届けて自分のソロ曲の練習をしないと・・・。

「今日はこれくらいにしておこう。もう11時過ぎたし、家に送っていくから。」
「まだ練習は途中ですよ。」
「あれだけ繰り返してもか?喉潰れるぞ。」
「祐司さんのソロ曲を聞いてませんから。私がじっくり聞いて出来具合を見ますね。」

 そう来たか・・・。だが、俺のソロ曲まで練習してチェックをしていたら確実に時間は日付を超える。・・・そのまま此処で一泊しようなんてことは・・・考えていそうだな。今までの経験からして。
 まあ、俺のソロ曲をチェックしてもらうのは悪くない。早速引いてみるか。俺のソロ曲といえば「AZURE」。そして潤子さんとペアを組む「EL TORO」。この2曲はギターが前面に出るからミスは尚更許されない。念のためチューニングを確認して、ギターのストラップの位置を少し直して万全の体勢にする。観客が晶子一人とはいえ、練習とは思えない緊張感が俺の全身を駆け抜ける。
 少し間を置いてから「AZURE」のフレーズを奏で始める。何度も弾いたこの曲・・・情感を醸し出すのに苦労した曲・・・そして晶子が初めて耳にした俺の曲・・・弾いている間に様々な思い出が頭の中を駆け抜けていく。

雨上がりの午後 第346回

written by Moonstone

 そうだ、この曲を背景に俺は晶子から気持ちを告げられたんだ。選曲を誤ったかな・・・。兎に角、自分が言った以上は始めなきゃ仕方ない。俺はアレンジした4小節分のイントロを爪弾く。そして立ち上がった晶子のヴォーカルが加わる。

2000/11/20

[殆ど寝てたぁ・・・]
 本当はこういう休みの日に作品制作を進めるべきなんですけどね、どうもやる気が出ずに日曜は殆ど寝てました。多少は手を出したんですけど、話が思うように展開しなかったり、考えてるのが億劫になったりして横になってる間に寝入ってしまったんですよね(汗)。動き回っていた土曜日の反動が、日曜になってどかっとやってきた感じです。
 最近身体のバランスが取れなくなってきたというか、よくよろめいたり転んだりするんですよね。立ち上がったり座ったりするときに特に。服用している薬の副作用なんでしょうか?単なる運動不足で筋肉が弱ってるだけかもしれませんが(爆)。転ぶのも馬鹿に出来ませんからね。以前顔面を派手に怪我したり、コンクリートに脳天をぶつけたりと(これは痛かった)、一つ間違えると洒落にならないことになりますから。

「まだ・・・将来は決めてない。選択肢の一つではあるけど。」
「私もそうですけど・・・祐司さんは、やりたいことを見つけることが必要ですね。」
「・・・そうだな。」

 やりたいこと・・・そう問われると何と答えて良いか分からない。思えば中学、高校と只漠然と言われるがままにテキストをこなし、テストを受け、こうして大学まで進学してきたように思う。
 そして3年、否、2年ほど後にいきなり将来を決めろと迫られる。理不尽といえば理不尽だが、将来を漫然としか考えていなかった俺達にも問題はある。
 本当に・・・俺は何をやりたいんだろう?音楽?音楽は確かに好きだが、職業とするにはその実力が足りないだろうし、プロデューサー天下の音楽業界では、俺みたいな人間は即干されてしまうだろう。じゃあ、サラリーマンや公務員といったホワイトカラーか?・・・何となくイメージが湧かない。

「練習・・・しませんか?」

 晶子が俺の顔を覗き込んで言う。何時の間にかまた俯いて思考の渦に飲み込まれていたようだ。あれこれ考えるのは良いことかもしれないが、それも度が過ぎると慎重すぎるとか臆病とかになる。・・・今の俺がきっとそれだ。

「あ、ああ。また考え事してた・・・。そうだな、練習始めるか。」
「何から始めます。」
「まあ、まずは『THE GATES OF LOVE』からだろう。プログラムでも最初の方だし。」
「私達の思い出の曲でもありますからね。」
「・・・始めるぞ。」

雨上がりの午後 第345回

written by Moonstone

 プロになりたい・・・。そういうことも考えたことはある。だが、百戦錬磨の実力者が伯仲する中、果たして自分の力量で食っていけるのか、大きな不安要因がある。無難にサラリーマンや公務員というのも一つだが・・・あまり協調性がない俺には向いていないような気がする。

2000/11/19

[ちょっと大きなお買い物]
 週末は最低でも1回は外に出ます。買出しのためなんですけどね(^^;)。土曜日は買出しの量も少なくて今日の更新の準備をしてちょっと横になっていたんですが、ウィンドウショッピングでもしてみようかともう一度外に出ました。 今、アロマテラピーにちょっと興味があってそういう店を探して暫くうろうろしていると、目に留まったのがフロアーチェア(つまりは座椅子)。色も好きなベージュがあって急に買いたいと思い始めました。1年に数回しかない「衝動買いしたい気分」です(笑)。
 アロマテラピーは薬を服用している私には良くない副作用が起こる可能性があるらしいので、注目はもっぱらそのフロアーチェアへ。値段を見ると本体とカバーをあわせて5000円以上。普段買出しでも3000円程度で押さえている私にはちょっと大きな買い物。しかし、現状の襖が背凭れ、座布団が座る部分というメインPCの操作環境に相当前から居心地の悪さを感じていただけに、思い切って買いました。ううっ、約6000円が飛んでった・・・(未練がましい)。
 で、家でカバーを取り付けて(ちょっと面倒だった)座ってみると・・・こりゃ楽だ♪。適度に柔らかくてくつろげます。以前の環境とは大違いで大枚(というほどでもないが)はたいた甲斐がありました。
 その店には他にも結構良さそうなものがあったので、またあの店に行ってみようかな。でも、女の比率が圧倒的に多いのがちょっと・・・(^^;)。

「いいよ晶子。俺が後で洗っておくから。」
「でも・・・。」
「ここは俺の家なんだから、晶子は気を使わなくて良いんだよ。」

 やれやれ・・・晶子は本当によく気が回る奴だ。俺なんて、晶子の家で食事や紅茶をご馳走になっても、流しに持っていくという気さえ起こらないというのに・・・。単に横柄なだけか。
 俺はギターのチューニングをして、指慣らしの為に思いついたフレーズをさらさらと引き流す。・・・今日も良い感じだ。すると拍手が起こる。晶子が感嘆した表情で手を叩いている。

「凄い凄い。さっきのって思いついたフレーズですよね?それをその場で演奏するなんて・・・凄いです。」
「あのフレーズは本当に単なる思いつきだから、別にどうってことはないさ。指慣らし程度のものだから。」
「何だか・・・祐司さんってプロの人みたい。」
「プロの人はもっと凄いさ。俺はアレンジに楽譜を書くけど、プロはそんなもの書かない人が多いし、ぶっつけ本番できちんとフレーズを弾きこなすくらいだからな。」
「上には上が居るってことですね・・・。」
「そりゃそうさ。それに少しでも近付きたいって思って練習してるけど、なかなかプロみたいにはいかないな。」
「私から見ると、祐司さんって十分プロとしてやっていけると思うんですけど・・・。将来はプロを目指すんですか?」

 いきなり晶子は難しい質問を向ける。将来のことなんて小さい頃は人並みに考えてたが、今は漠然とも思いつかない。あと3年と少しで・・・自分の将来を決めなきゃならない。俺はどうしたいんだろう?まだ実感が湧かない。

雨上がりの午後 第344回

written by Moonstone

 晶子もコーヒーを飲み終えて、俺のコップと一緒に流しに持っていく。多分洗うつもりなんだろう。

2000/11/18

[派閥抗争は珍しくないけれど]
 今内閣不信任案の提出にあわせて自民党の一部が賛成に回る構えで、反対する一部が「賛成すれば除名する」とまで言い出しています。結局は次期政権を見据えた権力闘争で、派閥がある自民ならではの迷走劇なわけです。マスコミもそう批判してます。
 少々堅い話になりますが、政党はある政策、理念の実現に向けて結成される結社であり、その理念が違うのであれば徹底的に議論して、どうしても一致を見なければ組織(この場合は政党)を離れ、自民党時代に得た政党助成金も返還すべきです。マスコミは政党の重みが分かってませんから(だって彼らにはそんな知識ないから)此処まで言えませんが。
 「派閥力学」「派閥間の権力闘争」とマスコミは批判します。それは良いでしょう。なら、派閥を作らず(作ってはいけない規則がある)理念一本で活動している共産党になると「自由がない」「党内論議が出来ない」と批判するんでしょう?単なる共産党嫌いじゃないですか?筋が通ってないですぜ、マスコミさん!
「へえ。ご実家って自営業なんですか。」
「ああ。親が二人でやってる。丁度今のバイトと同じ飲食店。まあ、あんなに洒落た店じゃなくて食堂みたいな感じだけど。」
「家は二人揃って公務員なんです。市役所に勤めてて職場結婚。ありがちでしょ?」
「公務員か・・・。親は後を継がせる気はないって言ってるし、なれるなら公務員になれってよく言ってたな。」
「結構残業とか多くて大変みたいですよ。だから私がちょくちょく夕食の仕度をするようになって、それで料理を覚えたんです。」
「ふーん。・・・で、晶子は年末年始どうするんだ?」
「帰って来い、とは言われてるんですけど、祐司さんが帰らないって言うし、あまり帰ろうとは思わないです。」
「やっぱり心配なんじゃないか?女の一人暮らしだし。」
「一緒に居てくれる人が居れば何の問題もないんですけどね。」

 晶子はそう言って俺の方をチラッと見る。・・・このままだと気がついたら一緒に住んでたってことになりかねないな・・・。今でも俺が殆ど毎日晶子の家に行ってるし、既成事実がどんどん積み重なっているような気がする・・・。
 コーヒーを飲み終えてカップをテーブルに置くと、俺は早速ギターとアンプの用意を始める。この家に晶子を連れてきたのは練習をするためだ、と自分に言い聞かせる。そうでないと雰囲気に浸りきってしまいそうになるからだ。
 自分の家だから勝手は知ったものだ。ものの5分も経たないうちにギターのセッティングは完了する。晶子の家のときはベッドに腰掛けるが、今日は自分の椅子にどっかと腰を下ろす。何となくそれだけで気分が落ち着くのはやはり自分の家だからだろうか?

雨上がりの午後 第343回

written by Moonstone

「いや、月1回程度しか電話かかってこないし、夏も帰らなかったから、向こうも帰ってこないと思ってるんじゃないか?それに家は自営業だし、年末年始もあまり関係ないから、手伝わされる可能性が高いんだ。」

2000/11/17

[まず1日クリア(笑)]
 果たしてきちんと朝起きて仕事場へ行けるのか、と不安があったのですが、無事成功。昇圧剤(?)で血圧を上げるまでが大変なんですけど(汗)。やることはたんまり溜まったメールの処理、書類やパンフレットの整理、そして新しい仕事に向けての勉強に別の新しい仕事の開始・・・たっぷりありました(^^;)。
 そうこうしている間にあっという間に定刻を過ぎて気がついたら部屋には私一人。勝手にぶっ飛んでくれた(PCが悪い(怒))仕事のやり直しをしてたらいきなりTEL。こんな時間に珍しいと思って受話器を取ると、なんと母親(汗)。完全復活でないのに何を遅くまで仕事しとるか、とえらい剣幕で叱られました。そうは言ってもある程度はやらなきゃ明日以降また大変だし・・・ねえ。

 確かに完全復活ではありません。1日に何種類もの薬を飲んで(粉薬は苦い)どうにか身体を制御しているような危なっかしい状況です。それでも仕事、即ち職業人として復帰した以上やることはやらないといけません。何処ぞの女性団体のように此方の状況も知らずに「仕事人間」と一方的に批判されても聞く耳持ちません。私だって可能なら早く帰りたいんですから・・・。
 俺はコーヒーを飲むときは砂糖とクリープは欠かせない。昔からそうしないと飲めない。紅茶はどういうわけかストレートで飲めるが・・・変な話だ。
 俺は一つのカップにクリープを1杯入れて、もう一つのカップに砂糖1杯半とクリープ1杯を入れる。湯も沸いてきたので、交互にカップに入れながらスプーンでゆっくりかき回す。
 インスタントだから湯が沸く時間が出来る時間とほぼ等価だ。トレイなんて洒落たものはないので、俺は両手に一つずつカップを持って、クリープだけ入れた方を晶子に差し出す。

「はい。出来たぞ。」
「ありがとう。いただきます。」

 晶子は雑誌を床に置いてコーヒーを飲む。そろそろエアコンも効いてきたようだ。俺は机にカップを置いてコートを脱いでからコーヒーを飲む。冷え切った身体が芯からじわりと温かくなってくる。
 晶子もエアコンの効き具合を感じたのか、カップを机に置いてコートを脱ぐ。改めて見ると、セーターの上からでも晶子の身体の線がよく分かる。特に胸の部分の隆起が・・・って、こんなこと考えてどうするつもりだ、俺は!

「祐司さんは、年末年始どうするつもりなんですか?」

 優子の身体の線をまじまじと見詰めていた俺に晶子が尋ねてくる。いきなりだったのでちょっとびっくりしたが、どうにか平静を保って答える。

「んー、多分帰らないつもり。」
「どうしてですか?ご両親、心配してるんじゃ・・・。」

雨上がりの午後 第342回

written by Moonstone

「晶子。砂糖とクリープはどうする?」
「砂糖は要らないので、クリープだけ入れてもらえませんか?」
「分かった。」

2000/11/16

ご来場者70000人突破です!(歓喜)

 ・・・放ったらかしでも増えるものですね(^^;)。11/12にエヴァSSが公開されると期待された方にはすみません。それまでには間に合わなかった新作を来週日曜日に公開する予定です。

[今日から活動再開です]
 1ヶ月に及ぶ療養を終えて、このコーナーも正式に再開します。エンジン全開、とはいきませんが気長に続けていこうと思います。今飲んでいる薬の影響で朝が更に弱くなったので(副作用の眠気がちょっとキツい)ちゃんと仕事場へ行けるのかどうか不安です(^^;)。こちらに戻って来て療養期間が終わるまでの間、まともに普段起きる時間に起きられたのは良いけれどもう眠くて眠くて・・・。1時間くらい余分に寝ないとすっきりしません。
 休んでる間の仕事がどうなってるかは知ったことじゃないとして(そう考えないとまた不安になる)きちんと朝から晩まで居眠りせずに勤務できるかどうかがまず問題になりそうです(汗)。
 結局私の病気なんて、過労が積もり積もって神経に来たようなものなので、眠くなるのは当然かと、ある種居直るのも必要かもしれません(笑)。
 俺は鞄の中から鍵を取り出してドアの鍵を開けて先に中に入る。ダイニングの電灯を点けると、晶子の部屋とは全然違う雑然とした部屋が暗闇の中に浮かび上がる。このまま部屋に入れるのは・・・ちょっと恥ずかしいな。
 だが、片付けるまで外で待っていてくれとは言い辛い。外は思いのほか寒いからだ。止む無く先に上がるとリビングの電灯を点けて散らばっているCDやら雑誌やらを適当にまとめて、エアコンの電源を入れる。急場だから止むを得ない、と自分を納得させる。

「お邪魔しまーす。」

 晶子は俺が言いに行くより先に上がりこんできた。緊張感は微塵もないらしい。流石にエアコンが効いていないからコートは着たままだ。

「エアコンが効くまでちょっと時間がかかるから、適当にその辺に座ってくれ。」
「はい。あ、雑誌読んでて良いですか?」
「ああ、どうぞ。俺は・・・もうちょっと部屋片付けるから。」
「はい。」

 くそっ、こうなることが分かってればあらかじめ掃除しておいたんだが・・・。急場しのぎでCDを棚に放り込み、雑誌を纏めて机の上に置く。これが精一杯だ。普段しないことをいきなりしようとするから取り繕う程度のことしか出来ない。
 まさか今から掃除機をかけるわけにもいかないし、少々埃っぽいが止むを得まい。とりあえず、エアコンで部屋の空気が暖まるまで、インスタントコーヒーで身体の中くらい暖めようかと思う。

「コーヒー入れるから。・・・インスタントだけど。」
「ありがとう。じゃあ待ってますね。」

 コートを着たまま雑誌を読んでいた晶子が答える。俺は二人分のコーヒーカップを用意し、湯を沸かして、まずインスタントコーヒーをスプーン1杯ずつ入れる。

雨上がりの午後 第341回

written by Moonstone

 晶子も心得たもので、此処で自ら自転車から降りる。俺も続いて自転車から降りて自転車を押してドアの前まで押していく。晶子のマンションと違って、俺のアパートには自転車専用の置き場はないから、自分の部屋の前に止めるしかない。この辺り、生活環境の違いを感じる。

2000/11/12

ご来場者69000人突破です!(歓喜)

 ・・・やっぱり「魂の降る里」が大きいみたいですね。珍しく多かった先週のメールも殆ど「魂の降る里」の感想でしたし(^^;)。「契約家族」の感想メールがあったのも嬉しかったです♪あのグループ、感想少ないですから(1年以上1通も来やしないNovels Group 1よりはましだけど(溜息))。

[完全復帰間近・・・と思う(爆)]
 丸一月に及ぶ長い療養生活も、定期更新の単位で考えるとあっという間ですね。活動再開まで今日を含めてあと4日となりました。予定どおり16日付から正式に活動を再開します。勿論、このコーナーも再び毎日更新になります。
 具合の方は随分良くなりました。まだ完全ではないですが(暇さえあればゴロゴロしてたし(^^;))、「ただ生きているだけ」という感覚はすっかりなくなりました。
 療養の後半には遠出して写真を撮りに行きました。今年は紅葉が遅れていて思うように撮れなかったのが残念ですが、色々と撮ってきました。近々新写真集としてお見せしようと思います。
 多少でも何か出来れば、と思って持ってきたPCにも多少の作品の書き溜めと多くの写真が残りました。流石に一月あると色々出来るものですね。
「ああ。コンサートの本番も間近だし、今日は練習しておいた方が良いかと思ってな。」
「・・・。」
「べ、別に家に連れ込んでどうこう言うんじゃないから。」

 最後は余分だったか・・・。晶子が俺の家に来るなんて、前に俺が熱を出して寝込んだとき以来だから、どうしてもその辺を意識してしまう。何せ前は・・・健常な状態だったら思わず抱き締めたりしてたようなことが多かったから・・・。

「そうですね。今は一分一秒を惜しんで練習しておくべきですね。」
「また寒い思いをすることになるけどな。」
「私はそんなに寒くないですよ。祐司さんとくっついてれば。」

 最後の方は声が弾んでいるように聞こえる。俺と二人乗りするときは合法的に密着できるからな・・・。まあ、俺も悪い気はしないし・・・良いか。

 紅茶を飲み終えて少しくつろいだ後で、俺と晶子は再びコートを羽織って外に出る。晶子が管理人に頼んでドアを開けてもらい、俺は一足先に自転車置き場へ向かう。一応街灯はあるが、この暗い中チェーンロックを手探りで外すのはちょっと難しい。
 チェーンロックを外して自転車を正面入り口前まで押していくと、外に出た晶子が何かを期待するような顔で待っていた。期待していることは分かってる。俺が言うより先に、晶子は自転車の荷台にそそくさと横座りする。・・・素早い。
 俺は小さい溜息を吐くと自転車に跨る。それを待っていたかのように晶子の両腕が俺の腰に回る。そして背中に何かが密着してくる。・・・何時もと同じだ。俺は何も言わずに自転車を漕ぎ出す。夜間だから早速灯火するが、その分ペダルが重くなるのが難点だ。俺の自転車には電動なんて洒落たものはついてない。
 晶子の家から俺の家までは、多少の起伏はあるが全体的にはやや下り坂だ。割と楽に進める。何時もは歩く道程を自転車で走ると異様に早く感じる。あっという間に俺の家があるアパートが見えてきた。スピードを緩めてアパートの前で自転車を止める。

雨上がりの午後 第340回

written by Moonstone

「・・・晶子。」
「はい?」
「今から・・・俺の家で練習しないか?」


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