【単独制作作品No.98 冬の布団の中】

written by Moonstone

はー、ぬくぬく…。一晩潜った布団は本当に温かい。
上下の毛布のフワフワ感と、頭以外の全身を包み込む温もりが何とも心地よい。
まだ暗い部屋。この時期でこの暗さは多分7時前だろう。
枕元のアラームは放置。今日は休みだし、何より手を一瞬たりとも外気に晒したくない。

冬は寒いから起きるのが特に辛いけど、この布団の温もりは冬しか味わえない。
布団に入る時は冷たいけど、少し経てば暖房要らずの小さな空間の出来上がり。
全身を優しく包むこの温もりは、布団に居る限りずっと感じられる。
何時もは後ろ髪を引かれる思いで離れるしかない布団の温もりに、首までどっぷり浸り続ける。

あー、ぬくぬく…。本当に温かくて気持ち良い。
気ままに布団の中でコロコロ転がってみたり。普段はこうしてると余計に起きられなくなる。
…うっ、寒い!うっかり布団が捲れてしまった。
毛布と掛け布団を隔てた世界とは、今日は出来るだけ関わりたくない。

本当は、休日には色々したいことがある。掃除とか買いものとか趣味とか。
だけど、目が覚めてこの温もりを感じると、今度で良いかと思ってしまう。
漸く布団から出る決心が出来た頃には、1日の半分近くが過ぎてしまってる。
だけど、それでも「まあ良いか」と思わせる不思議な力が、冬の布団にはあるんだよなぁ…。
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