【単独制作作品No.46 雨晴陰陽歌(ウセイインヨウカ)】

Written by 岡田珠華

決して雨が好きなわけじゃない
雨水の跳ね上げも 纏わりつく様な湿気も
濡れる手足も 制限される行動も
どんよりした薄闇色の空も
全ては憂鬱の素 全ては鬱陶しさの素
けれども・・
この雨の憂鬱さと鬱陶しさがあるから
晴れ渡る空の心地良さがある

ごらんよ 薄闇に支配された空の端を
少し明るくなっただろう?
もう直ぐこの雨も止んでくれるだろう
そうすれば この厚い雲は一気に割れ始める
厚い雲の上には晴れ晴れとした青空が広がっている
太陽が顔を出せば 何処かに虹がかかるかもしれない
想像してごらんよ
どんよりした雨の後に晴れ渡る 爽快な空を
雲から雲へとかかる 虹の架け橋を
少しは気分が晴れないか?

この世の全ては陰と陽・・
辛い思い出があるからこそ 楽しい思い出が素晴らしく感じる
憂鬱な雨の日があるからこそ 曇りのない青空が心地良く感じる
この世の全ては陰と陽・・
辛い思い出ばかりでは心が滅入るばかり
でも 楽しい思い出ばかりではその楽しさも半減してしまう
雨の日ばかりでは面白くない
でも 晴天の日ばかりでは変化の無さに飽きてしまう
この世の全ては陰と陽・・
人間は 身勝手に創られた生き物かもしれない
でも そんな色々があるからこそ「楽しい」のだと・・

決して雨が好きなわけじゃない
けれども
雨の後に訪れる 晴れ渡る青空の爽快さはたまらなく好きだ
でもそれは
あの雨の憂鬱さと鬱陶しさがあるから成せる技
決して雨が好きなわけじゃない
けれども
雨の日があるから 晴れの日の楽しさがある

ならば 雨の日を楽しもう
いずれやって来る晴天の楽しさを何倍にもしてみせよう
そう思えば
地に落ちる雨音も 何かを打つ雨音も
ちょっと外れ加減の音楽に聞こえないかい?

決して雨が好きなわけじゃない
でも私は
雨の後に広がる空の青さを知っている
薄闇の雲を割って射し込む日の光を知っている
まだ霞の取れきらない空にかかる虹を知っている

早く雨が止まないものかと・・
私は
差している傘を呪文の様にクルクルと回す

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