雨上がりの午後

Do you love me？-Yuhji Side Vol.1-

written by Moonstone

※註：第1部までを先にお読みくださると、よりお楽しみいただけます。※

一体何なんだ、この井上って女は･･･。
ストーカーのように俺を付け回した挙句、バイト先にまで押し込んできやがった。
俺に兄の面影を重ねてるみたいだが、勝手に期待されても迷惑なだけだ。
俺はお前の兄貴じゃない。兄貴と会いたけりゃ会いに行け。

それに･･･、どうせ飽きたらポイ、だろ？
分かってるんだよ、俺には。つい最近、そういう目に遭ったんだから･･･。
ずっと大好きだからね、とか言ってたくせに。
何時までも一緒に居ようね、とか言ってたくせに。
身近な相手とやらが見つかるや否や、俺はポイ捨てされたんだ。
信じてたのに。愛してたのに。一生懸命だったのに。
あんな辛酸を舐めさせられるくらいのは、もうまっぴらだ。

だけど･･･、憎しみと疑念で塗り潰せない一角がある。
逢って間もない俺を自宅に引っ張り込んで、紅茶を飲ませた。
俺のギターをじっと聞いて、驚嘆のままを口にした。
そんなあどけないとも言えるこの女を、俺は突き放せないでいる。

Do you love me？
井上からそんな言葉が届いてくるように思う。
NOと言いたい。でも、言い出せないでいる。
こんな甘い性格だから、都合良く振り回されてポイ捨てされるんだろう。
つくづく自分が情けない。
だけど･･･、心の何処かでその言葉を聞きたがってるような気がする。
Do you love me？
井上の接近ぶりは、単なるブラコンじゃないような気がする。
俺に新たな愛の路を見出そうとしているんだろうか？
迷惑だ、と言い切れない。言いたくない、という気持ちも･･･ある。

Do you love me？
無限の回廊に誘い込む問いかけを、今も感じる。
俺は･･･、どうしたら良いんだろう？

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