Saint Guardians

Scene 6 Act 3-2 強敵U-RivalU- ある聖職者の光と陰−前編−

written by Moonstone

 東の空が黄金色に輝き始めた頃、アレンは目を覚ます。長年主夫業に携わってきたが故の体内時計は非常に正確だ。
少し頭の中に薄い霞となって残っている眠気を目を擦ることで大方消したアレンは、ベッドとしているソファから出て一度欠伸をして伸びをする。
徐にソファとテーブルを挟んでベッドと向かい側を見る。カーテンが閉じらているためまだ暗い室内の一角が、微かにオレンジ色の光を放っている。
アレンは首を傾げる。光を発している部分は浴室に隣接する脱衣場のドアだからだ。
 昨夜最後に風呂に入ったのはアレンだ。勿論風呂を出て着替えてからランプを消した。それに、ずぼらなフィリアじゃ当てにならないから、という本人も
全否定出来ないリーナが提示した理由で部屋のランプを全て消したのもアレンだ。
浴室に隣接する台所に視線を移すが、灯りらしいものは一切見えない。消し忘れたかな、と思いつつアレンはまだ頭にごく薄いながらも霞がかかっているのを
感じながら、ランプを消すべく浴室へ向かう。
 ランプを灯すこと自体は熱した炭でも魔法でも出来るが、油がないことにはどう足掻いても点けられない。油が切れた場合は従業員か警備の兵士に
申し出れば無料で補給してくれるのだが、警備の兵士に扮装した何者かに深夜襲撃された経験をクリスとルイが抱えているし、ほとぼりが冷めるのを
虎視眈々と狙っている可能性もないとは言えないから外部の人間とは極力接触を断った方が良い。
それに、ランプが家具の中でも高級品に属する田舎町で生まれ育ったアレンは、無人の部屋でランプを灯すのが勿体無く思うのだ。

 アレンは、隙間からその輪郭を描くように光るドアを開ける。一瞬のタイムラグの後、アレンの頭から完全に眠気が吹き飛ぶ代わりに身体が硬直する。
光を放っていたのは、浴室に通じる脱衣場のランプだった。ここまではアレンの予想どおりだ。
そのランプの灯りにルイが照らされていた。これは予想外だ。
しかもルイは下着姿で、アレンから見て左半身を見せる形で服を着ようとしていたのだ。これも予想外だ。
 ドアが開けられたことに気付いてその方向を見たルイも、驚きのせいで表情も動きも完全に固まってしまっている。
灯りと闇が交錯する空間で時間がゆっくり流れていく。
目を見開いていたルイの唇がようやく動き始め、言葉を紡いでいく。

「ア・・・アレン・・・さん・・・?」

 その振り絞るような声でようやく我に帰ったアレンは、急いでドアを閉めてその横の壁に背中を押し付ける。頬をその髪のように赤くしたアレンは、勢いよく
鼓動する胸を両手で押さえて呼吸を鎮めようとする。目を閉じなくとも、その頭には先程まで結果的に凝視していたルイの半裸体がしっかり焼きついて
いるのがアレンには分かる。
美しく輝く長い銀色の髪、ふっくらとして凹凸が明瞭な身体の稜線、胸と腰を控えめに被う白の布。アレンには刺激が強すぎるもののオンパレードだ。
 下着姿見たんだから謝らなきゃいけないだろう。でも何て言えば良いんだ?
胸を両手で押さえて荒い呼吸をしながらひたすら自問を続けていたアレンの隣で、ドアがゆっくりと開いてルイが顔を出す。

「アレンさん。もう・・・着替えは済みました・・・。」
「・・・あ、そ、そう・・・。」

 どうにか返事はしたものの、アレンはなかなかルイの方を向けない。ルイの下着姿とそれを見てしまったという消せない事実が頭にあるからだ。
何かにつけて迫って来るフィリアは兎も角−アレンにはそうとしか思えない−、レクス王国で拉致されたリーナを救出した時、下着姿を見られたことでリーナが
激怒して、自分がリーナ曰く「急性の熱病」を罹患していた上に着地の代償に骨折していなかったら間違いなく殺されていただろう。
それ以外にもリーナは、下着を選んでいるところを覗き見しようとしたイアソンの股間を力任せに蹴り、未だに根に持っている。
 今回下着姿を見た相手は、キャミール教第二の聖地と称される国の女性。しかも聖職者で未婚。純潔を汚された、と非難されて警備の兵士を呼ばれて摘み
出されるか、護衛のクリスに原形を留めぬほど叩きのめされるかの選択を迫られても不思議ではない。思わぬ目の保養、などと思う以前にどんな制裁が
下されるかとビクビクしているアレンの隣に、ルイが脱衣場から出て来る。

「こちらを向いても大丈夫ですよ。」

 ルイの小声での「了承」に、恐る恐るアレンは首を回す。
紫の模様が袖や襟元などに添えられた、ランプの灯りで浮かび上がる純白の服装は、魔術師が着るローブと違って肌の露出が殆どなく、シーナがカルーダの
魔術大学の特別講義で着用した専用のローブの風格とは違う、素朴だが清楚な雰囲気を醸し出している。

「綺麗だね・・・。」

 視線と同時に心も釘付けにされたアレンが思わず漏らした言葉に、ルイは嬉しそうな微笑みを浮かべる。

「これは私が村から持って来た礼拝用の正装なんです。」
「礼拝?」
「ええ。これからクリスを起こしてきますね。」

 ルイは静かに歩いて、いかにも気持ち良さそうに眠っているクリスの元に歩み寄る。

「クリス、起きて。礼拝を始めるわよ。」
「・・・んにゃ?・・・あ、そっか。今日は礼拝の日やったっけ・・・。」

 安眠を妨害されて怒るかと思いきや、意外にもクリスはすんなり目を覚まして上体を起こす。眠気を払うべく大欠伸をしてから目を擦る。

「んじゃ、ちょっくら着替えて来るわな。」
「ええ。」
「あれ?・・・あそこに居るんて、アレン君やないの?」

 ベッドから出ようとしたクリスが、暗闇の中に浮かぶ人影を見つける。そのままの姿勢と眠気眼でルイの方を向く。

「何なん?ルイ。礼拝ついでに結婚式に持ってく気なん?」
「そ、そうじゃなくて、私が起きて間もなくアレンさんが起きたのよ。」
「ふーん・・・。そなら22)こんきに23)アレン君も礼拝させたらどや?あんた祭祀部長やから、授杯24)出来るし。」
「アレンさんはこの国の人じゃないし、この国の風習に従わせたり入信させることを無理強いさせるわけにはいかないわ。」
「それもそやな。」

 ルイと小声で会話したクリスはベッドから出て、脇に置いてあったリュックから服とリボンを取り出すと、小脇に抱えて脱衣場へ向かう。
脱衣場に通じるドアの前に突っ立っていたアレンの隣に来たところで、クリスはアレンの方を向く。まだ眠そうな顔に悪戯っぽい笑みが浮かんでいる。

「な、何だよ。」
「着替え覗くんやったら、ルイのにしときな。覗き甲斐あんで。」
「な・・・。」

 カーテンが閉じられている上にランプの灯りがドアで遮られていたため、アレンは再び頬が内側からの熱で紅潮したのをクリスに見られなかった。
静かに閉じられたドア越しにうっすら鼻歌が流れる中、アレンはカルーダ王国を出る前にイアソンが言っていたことを思い出す。
 此処ランディブルド王国は「キャミール教第二の聖地」と称されるほどキャミール教の影響が強い国で、生活の隅々にまでキャミール教の戒律が染み込んで
いると言っても良い、とイアソンは言っていた。ということは今から行うらしい礼拝は勿論、昨日の朝ルイがティンルーを飲んでいたことも、キャミール教の
戒律を遵守したものだと考えられる。
ルイを護衛すること以外は完全に旅行気分なのに重ねて大食漢で大酒飲みで、陽気を通り越して破天荒とも言えるクリスでさえもその身に染み付いて
いるのだから、やはりキャミール教の影響は相当強いのだろう。
建国の経緯上、元々信仰心が薄い部類に属するレクス王国で生まれ育ったアレンは、こんな朝早くから宗教儀式か、と少し呆れる。
 程なく鼻歌が止んでドアが開く。出て来たクリスの服装を見てアレンは驚きで目を見開く。
クリスはこれまでとは違って、白の長袖シャツと明るい茶色のズボンという服装で、若草色の髪を束ねるリボンも白だ。シャツの裾はズボンから出している。
これまでの言動や仕草からは大きくかけ離れた清楚な雰囲気のクリスを見て棒立ちしてしまっているアレンを見て、クリスは怪訝そうに首を傾げる。

「どないしたん?アレン君。何か妙なもんでも見たみたいな顔して。」
「・・・その服装。」
「ああ、これ?結構似合うやろ?18歳の可憐な女武術家やからね。」

 クリスはファッションショーか何かのモデルのようなポーズで、その場でくるっと一回転して見せる。
長寿と美貌で名高いエルフの血を引く国の国民らしく、クリスもアレンと殆ど変わらない身長で、スタイルもルイほどではないがかなり良く、顔立ちも良い。
どうしても大食いや大酒飲みという面に目が行ってしまうが、身なりを整えれば何処から見ても健康的な年頃の女性だ。

「んでも、あたしに惚れたら駄目やで?」
「ほら、クリス。始めるわよ。」

 後ろからルイが、やや早口で促すような口調で声をかけてくる。

「はいはい。アレン君誘惑するんは後でどんだけでも出来るしな〜。」
「ちょっと・・・!」
「嘘やて、嘘。んじゃ頼むで、ルイ。」

 ルイを突いてその反撃をさらっと受け流したクリスは、アレンの方を向く。

「アレン君。悪いけどさ、湯沸かしといてくれん?礼拝終わったらティンルー飲むで。」
「分かった。」

 やはり朝ティンルーを飲むのはキャミール教の戒律の一つなのか、と確信したアレンはしかし、クリスの依頼をすんなり承諾する。
アレンは信仰心が薄いといっても宗教嫌いというわけではないし、味も香りも良いティンルーを飲むことそのものは結構気に入っている。それに湯を沸かせる
状態にするにはそれなりに時間がかかる。朝食の準備があることも考えると、竃に火をつけておいて損にはならない。
 アレンが台所に向かう一方、ルイは窓の近くに立って外を向く。クリスはその後ろで屈み、両膝を付く、どちらの表情も神妙だ。クリスとルイは胸の前で両手を
組んで目を閉じる。少しの間を置いてそれまで閉じられていたルイの唇が開く。

「大いなる主よ。昔あられ今あられこれからもあられる貴方が、貴方の作り給いし子の傍にあられることに感謝し、これより祈りを捧げます。」

 ルイの言葉はフィリアとリーナが寝ていることを考慮してか小声だが、透き通る声は静かな室内ではよく通る。
クリスはこれまでの様子からは信じられない程じっとしている。両手を胸の前で組んで目を閉じたまま、微動だにしない。

「我々の喜びの光を増し、怒りの炎を鎮め、悲しみの涙を拭い、楽しみの輝きを磨く貴方の無償の愛は、全ての貴方の子が享受出来るものです。その無償の
愛に応えるには、貴方が与えられた戒律を生きる規範とし、教書の言葉を正しく理解し、貴方がおられることに感謝し、祈りを捧げることで示されるものです。
祈りは貴方への無償の報酬。無償の契約のみが貴方と我々の関係を構築していることはひとえに、貴方が全ての子に平等であられるからです。
我々は生きる上で様々な苦難に遭遇します。その苦難に心を痛め、時に生きることに疑問を抱くこともあります。しかし、貴方が傍にあられることを思うことで
貴方が無償で与える愛が痛んだ心を癒し、生きることに向かい合う力を与えられます。我々の命は貴方がくださったもの。その命を大切にし、他人の命も
大切にすることは、ひいては貴方の無償の愛を他人に分け与え、貴方の教えを尊重して生きることを喜びとすることに繋がります。我々はそれを自覚し、
その気持ちを祈りとして貴方に示すことで、貴方の無償の愛に応えるものです。」

 ルイはすらすらと祈りの言葉を紡ぐ。決して棒読みではなく、現に神を前にして感謝の意を表しているようだ。クリスも普段の奔放ぶりが嘘のように、
敬虔な信者という表現が相応しい祈りを続けている。
 アレンが火をつけた竃が十分な熱量を発し始めた頃、クリスとルイの祈りは終わりに差し掛かる。

「−貴方に祈りを捧げる日を迎えられたことに感謝し、次の祈りの時まで貴方が昔も今もこれからも我々の傍に居られることを思い、貴方の無償の愛を享受し、
貴方が我々に与えられた命を大切にすることを、貴方と貴方との契約の名の元に誓います。シーン・メスタ25)。」
「シーン・メスタ。」

 クリスとルイは目を開けて組んでいた両手を解く。クリスは立ち上がって小さい溜息を吐く。

「さーて。次はティンルータイムやな。あれ飲まんと一日始まったっちゅう気がせえへんのよね。」
「私は着替えるから、クリスは先に台所へ行ってて。」
せっか26)。あたしは着替えるの面倒やからこのままで居るわ。この格好やとアレン君誘惑出来そうやし。」
「クリス!」
「嘘やて。んなことせえへんよ。」

 クリスは何時もの調子に戻って台所へ向かう。ルイはやや不安そうな表情で脱衣場に通じるドアを開けて中に入る。
アレンがやかんに湯を入れて竃にかけて椅子に座っていると、クリスが入って来る。

「おっはよ。アレン君。」
「あ、クリス。おはよう。礼拝は終わったの?」
「うん。ルイは普段着に着替えとるで、もうちょいしたら来るわ。何なら見に行ってもええで?」
「そ、そんなことするか。」

 即答したアレンは、ルイの下着姿を思い出して頬を赤くする。
クリスは暢気に鼻歌を歌いながらアレンの左隣に座り、大欠伸をする。まだ眠気が残っているらしい。

「・・・あのさ、クリス。」
「ん?何や?」
「さっき礼拝してたのは、キャミール教の戒律の一つなの?」
「あー、あれ?7のつく日は朝礼拝するんよ。戒律やなくて風習。」
「戒律と風習ってどう違うの?」
「簡単に言うと、戒律はキャミール教で守らな駄目とされとる規則で、風習はこの国で昔から続いとること。キャミール教絡みのもんもあるけど、別にしたく
なけりゃせんでもええし、出来へんかったらせんでもええ。そんなもん。」

 アレンはイアソンから得ていた情報との食い違いを感じる。
戒律が生活の隅々に染み込んでいるという情報とは違い、先程の礼拝もキャミール教の体裁は成しているようだったが、するかしないかは自由意志という。
「キャミール教第二の聖地」というくらいだから、あれをしなければならない、これはしてはならない、とガチガチに凝り固まっているかと思っていたが、実際は
聖職者のルイが「世俗的」なこのオーディションに出場しているし、クリスは食べるわ飲むわ、カジノで遊び倒すわとやりたい放題したい放題。疑問が次々
湧いてくるアレンは首を傾げる。
 その時、白の半袖ブラウスと淡いブルーのミニスカートというシンプルな服装に着替えたルイが入って来る。ブラウスの裾はクリスと違い、ミニスカートの
中に入れられている。

「おはようございます。」
「おはよう、ルイさん。」
「おっはよー。」

 ルイはアレンの右隣に座る。やかんが湯気を立て始めるにはまだ時間があるようだ。アレンは先程から膨れ上がるばかりの疑問を、本職であるルイに
尋ねたいと思う。
聖職者という凡そオーディションとは無縁の職業、しかも祭祀部長という役職にある人物が、休職届を出しているとは言え、出場は何の問題もないと言う。
尋ねようとアレンが口を開きかけた時、やかんの蓋がコトコトと音を立てて揺れる。

「湯沸いたみたいやな。」
「じゃあ、ティンルーを入れるわね。」
「ルイ。あれやないと嫌やで。」
「大丈夫よ。昨日のうちにきちんと棚に入れておいたから。」

 クリスの子どもっぽい我が侭に微笑みを浮かべ、ルイは席を立って小走りで竃へ向かう。
ずやかんを竃から降ろし、戸棚から陶器製のポットとカップを3人分、そして赤褐色のものが入った瓶を取り出す。次にルイは瓶の蓋を開け、右手に持った
瓶の口を左手に当てて少し傾け、瓶を軽く揺すって中に入っていたもの、クリスとルイの故郷ヘブル村特産のティンルーを少しずつ取り出す。掌で1セム
程度の山を作ったところで、ルイは瓶をテーブルに置いてティンルーをポットに入れ、瓶の蓋を閉める。
続いてポットにやかんから湯を注いで蓋をしてから軽く揺すり、カップに向かって傾ける。茶褐色の液体が湯気と共にカップを満たしていく。ルイは一気に
1つのカップ全てをいっぱいにするのではなく、3つずつ何度かに分けて注ぐ。
 3つのカップ全てにティンルーが入ったところで、ルイはポットをテーブルに置き、カップを1つ手に取る。そしてクリスに渡そうとしたところで、クリスが右手を
広げて制する。

「先にアレン君にあげなよ。」
「え、でも・・・。」
「昨日渡したんやろ?今更何遠慮しとんねん。」

 クリスは昨日と同じく薄気味悪い笑みを浮かべ、ルイは頬を赤らめている。ルイが、否、聖職者がティンルーを他人に渡すことに何か意味があるのか、と
アレンは思う。

「ほら、早(はよ)せんと折角のティンルーが冷めてまうで。」

 クリスが言うと、ルイは恐る恐るといった様子でアレンにティンルーが入ったカップを差し出す。

「どうぞ・・・。」
「あ、ありがとう。」

 アレンはルイからティンルーの入ったカップを受け取る。続いてルイはクリスにカップを手渡す。
ルイがアレンの右隣に座り、3人揃ってティンルーを啜る。薔薇に似た芳香が心を優しく包み込み、アレンは思わず小さな溜息を吐く。

「本当に美味しいね、これ。」
「そやろ?この味と香りがこれの売りやからね。アレン君の国にはティンルーってあらへんの?」
「あるのかもしれないけど、国では飲んだことない。父さんを攫ったザギを追う道中だったから、町でこうやって寛ぐ時間は殆どなかったのもあるし。」
「そりゃ確かに、父ちゃんを攫われたんやから早いとこ助け出したいやろし、町で暢気に寛ぐ暇あらへんわな。ま、目的は違(ちご)ても折角お祭り騒ぎ
真っ最中のこの国に来たんやし、此処には色々店も揃とるから、見たり食べたり飲んだりするとええで。見るっちゅうたらイチ押しはやっぱ銀細工やな。」

 初日、出逢って間もないアレン達とクリスとルイのペアが、クリスの提案で店を回った時、銀細工を売っている店も幾つか見て回った。銀細工、と一口に
言っても指輪やペンダントといった比較的身近な装飾品に始まり、馬に乗った騎士の像や羽を広げた天使の像などもあった。像はどれも細かいところまで
作りこまれていて、その暖かい輝きも相俟って、アレン達の目を引くには十分だった。

「銀で思い出したけど・・・、銀って聖職者の証なんだよね?」

 アレンは、薬の力を借りて本当に女になってまでこのホテルに潜り込むきっかけとなったこのオーディションのチラシの宣伝文句を俎上に乗せる。

「そうそう。銀は悪魔を退ける力があるから聖職者の証って言われとるんよ。実際、聖職者の浄化系魔術27)は悪魔を消滅させられるし。」
「私が着けているこのブレスレットも、銀で出来ているんですよ。」

 ルイはアレンに袖を少し捲って右腕を見せる。浅黒くて細い手首には、装飾品と言っても通用する、緻密な彫刻が施されたブレスレットが白銀の輝きを
放っている。その手の甲の側には、小指大の大きさのエメラルドらしい澄んだ緑色の宝石が填め込まれている。司教補の称号を示すものだ。
 魔術師が称号に応じた宝石のついた指輪を填めるように、聖職者は称号に応じた宝石28)のついたブレスレットを填める。勿論、左手の甲には賢者の石が
埋め込まれている。これとセットになることで魔術を使えるようになるという仕組みは魔術師と変わらない。傾向などが違っても聖職者が使える衛魔術も
れっきとした魔術だから、その称号を示す目的も兼ねてこうしたブレスレットを填めているのだ。

「魔術師だと称号が1つ違うと同じ魔法でも威力が違うらしいけど、聖職者もそうなの?」
「その傾向はあります。ですけど私のような聖職者の場合、その魔法の強さは称号のみで左右されるものではありません。心が重要なんです。」
「心?」
「ええ。聖職者は人を助け、守ることが第一義的な任務です。そのことを念頭に置かないと、称号が高くても魔法が本来の力を十分発揮しないことも
ありますし、その逆もまた然りです。聖職者の場合、称号はその段階で無理なく使用出来る魔術を示す目安で、必ずその魔法の効力が保障されるというもの
ではないんです。」
「せやから聖職者はなかなか称号が上がらへんのよ。使用実績積んで魔力が増えたら称号アップ、っちゅうわけやあらへんから。」

 ルイとクリスの説明どおり、聖職者の称号アップは一筋縄では行かない。
心、すなわち他者を助け守るという気持ちが伴わないことには魔法は十分な効力を発揮しないし、使用実績を積んで魔力を挙げても称号アップには
繋がらない。逆に言えば、14歳にして司教補に昇格したルイの精神的成熟度は非常に高いということだ。
アレン、クリス、ルイはティンルーを飲みながら、様々な話題に花を咲かせる・・・。
 7ジムを過ぎた頃にフィリアとリーナをアレンが起こし、全員で朝食を食べた。勿論食事はアレンとルイが作ったものだ。クリスが言うところの「ティンルー
タイム」が終わった後、アレンが厨房に申し出て食材を運んでもらい、アレンとルイが手分けして料理した。
 野菜と卵のサンドイッチとティンルーを主体にした朝食は大好評で、以後もこのままアレンとルイが5人分の食事を担うことが再確認された。無論アレンは
朝食や昼食くらいはホテル内の喫茶店で済ませよう、と異議を唱えたものの、フィリア、リーナ、クリスの連合軍の勢いと口に勝てる筈がない。観念した
アレンは溜息を吐いたが、ルイと互いの料理のレパートリーや地元の料理を話したりするのは少なくとも嫌ではないので思い直した。

「なあ、アレン君。ちょいと買い物に付き合ってくれへん?」

 アレンとルイが後片付けを終えて間もなく、突然クリスがアレンに依頼してきた。

「菓子とか酒とか買いに行きたいしさ。頼むわ。」
「店の場所は知ってるだろ?クリス一人で行って来なよ。」
「この可憐な女武術家一人ではちょいと持ちきれへん量やろうから。」

 一体どれだけ食べて飲んでをするつもりなのか、とアレンは首を傾げる。これまでの経緯を思い起こしてみてと、クリスの飲み食いの量は尋常ではない。
優にアレンの倍は食べているし、カーム酒など水と言わんばかりだ。

「可憐ってあんた、あれだけ食べて飲んでしてるくせによく言うわね、そんなこと。」
「可憐さを保つには食よ、食。食べやな人間生きてけへんやろ?」
「昼間っから酒飲んでるし。」
「ええやん。パーソンカード見せれば文句なしに買えるし、昼間から酒飲んだら駄目っちゅう法律あらへんもん。」

 フィリアの突っ込みにもクリスはまったく悪びれた様子を見せない。

「んじゃアレン君。ちょいと頼むわ。リーナ。アレン君借りるで。」
「ご自由に。」

 朝食が済んでから昨日図書室から借りてきたという薬剤師関連の書籍を読んでいたリーナはあっさり了承する。その視線は広げられた本に向けられた
ままで、自分の正規の護衛が離れるにも関わらず他人事としか考えていない様子だ。
クリスはルイが管理している遊興費が入った皮袋を受け取ると、颯爽と立ち上がる。

「クリス。私が行くわ。」
「あんたは本選出場者なんやから、此処でのんびりしとんな。そのうち昼御飯作ってもらわなあかへんし。」

 クリスはルイの申し出を断ると早速ドアへ向かう。ちょっと躊躇したものの、アレンはクリスの後を追う。護衛対象であるリーナが許可を出した以上は
クリスの申し出を受け入れないと、リーナが感情の波を一気に高める可能性があるからだ。

「フィリア。あんたは此処に居なさい。」

 フィリアが後を追うべく立ち上がったところで、リーナが本に視線を向けたまま言う。

「な、何でよ?!」
「何度同じこと言わせる気?あんたはこのホテルに居る間、あたしには絶対服従の立場よ。護衛は護衛らしく、万一に備えて結界でも張っておきなさい。」

 リーナが顔の向きはそのままで、視線だけを隣のフィリアに向ける。フィリアから見たリーナの姿勢も相俟って、その視線には猛烈な威圧感が篭っている。
昨夜自分の立場を思い知らされたばかりの上、更にリーナの意向に反する行動を取れば、間違いなく殺害されるか強制退去かの選択を迫られる、と思った
フィリアは、ドアを開けて出て行くアレンとクリスを指を咥えて見詰めるしかない。フィリアは自分とリーナ、ルイが居るソファがある一帯を包み込むように
結界を張る。
 クリスがアレンを連れ出して何をするつもりなのか、と不安なのはフィリアだけではない。ルイも同じだ。
買い物に行くなら、長年同じ村で暮らしてきた縁で趣味や嗜好を熟知している自分を連れて行けば良い筈だ。そもそもクリスは自分の護衛という立場だから、
自分を伴って部屋から出れば何ら問題ない。それに、クリスは見た目細身でも重装備の兵士を自分の手足のみで倒せる力の持ち主。いかにクリスが大食漢と
言えども、クリス一人で十分だろう。なのに何故アレンさんを誘い出したのか、とルイは疑心暗鬼に陥る・・・。
 雑貨屋や酒屋などでしこたま菓子や酒を買い込んだクリスは、上機嫌で鼻歌を歌って帰路に着く。袋はぎっしり詰まっているが数は2つ。酒の瓶が重量を
増しているとは言え、アレン一人でも十分持てる重さだ。
何故ルイでなくて自分を連れ出したのか分からないアレンが首を傾げる材料が更に増える。クリスが歩いていく方向が、アレン達が居る部屋から離れていく
ものになったからだ。アレンがこのホテルに入ってまず最初に把握した全容から推測するに、アレン達の部屋がある階のラウンジに向かっているらしい。
 まさかラウンジで自分の飲み食いに付き合えと言うつもりじゃないだろうな、とアレンが思う中、アレンとクリスはラウンジに到着する。ラウンジには誰も居ない。
元々このホテルに滞在しているオーディション本選出場者は警戒心が高いあまり、食事など必要時以外は部屋から出ないのだ。
 クリスはソファにどかっと腰を下ろす。アレンはその向かい側に座る。早速飲み食い開始か、と思うアレンは、クリスの表情を見て驚きで目を見開く。
今までの飄々とした陽気一色のものではなく、しんみりしたものになっていたからだ。

「・・・何であたしの買い物に付き合わせられたんやろう、て思とるやろうけど、こうでもせえへんとアレン君と一対一で話出来へんでな。」
「話?」
「うん。アレン君に知っといて欲しくてさ。ルイのこと。」

 ルイの名が出たことで、晴れ間を見せたアレンの心の雲行きは再び、否、先程より怪しくなる。

「・・・あの娘(こ)、全然表に出さへんけど、今まで滅茶滅茶苦労してきてん。」
「苦労って、聖職者の修行?」
「それだけやあらへん。普通の人間やったら自殺しとるか犯罪に走るかのどっちかになっててもおかしあらへん29)人生歩んで来とるんよ。」

 クリスは神妙な面持ちで話を続ける。

「あの娘のお母ちゃん、どういうわけか戸籍上は死んどることになっとったんよ。アレン君の国はどうか知らへんけど、この国は戸籍制度が滅茶しっかり
しとってな。戸籍には誰が何時生まれて何処に住んどるか、家族構成はどないなっとるか、っちゅうことがしっかり記録されとるんよ。」
「戸籍上死んでるってことになってると、何か問題あるの?」
「死んどるのに生きとるっちゅうことやから、幽霊やな。姿は見えるけどこの世のもんやあらへん。せやから家持ったり就職したり出来へんねん。ルイの
お母ちゃんは、そういう状態であたしが住んどるヘブル村に、輸送用の馬車に紛れて入って来たんよ。さっきも言うたけど、幽霊が家持ったり就職したり
出来へんし、死んどる筈の人間が生きとるちゅうことで、ルイのお母ちゃんは何処にも行く宛がなくて、中央教会付属の慈善施設が保護したんよ。」
「・・・。」
「ルイのお母ちゃんはルイを身篭っとったんよ。そんでルイは生まれた。せやけど、戸籍上死んどる人間から生まれた子ちゅうことで、村じゃお母ちゃん共々
まともに相手されへんかった。ルイはゾンビの子、死人の子、言うてしょっちゅう苛められとった。・・・あたしが6歳の頃やったな・・・。」

「やーい!ゾンビの子!死人の子!お前なんかとっとと墓場行け!」
「教会で浄化してもらって、早よあの世行ってまえ!」

 10人以上の幼児が男女問わずはやし立てる。その中心で、銀色の髪の浅黒い肌の幼女が蹲って泣いている。ルイだ。
ルイへの苛めは容赦ない。最早拷問と言っても過言ではないほど執拗だ。
 ルイを取り囲んではやし立てたり小突いたりしていた幼児の一人が、側頭部に蹴りを食らって弾き飛ばされる。
突然の事態に驚いた幼児達が見ると、若草色の髪を紐で結わえてポニーテールにした幼女が険しい表情で身構えている。クリスだ。

「止めな!よってたかって人苛めて、恥ずかしあらへんの?!最っ低やな!」
「うげっ!クリスじゃねえか!」
「どうしてあんた、こいつの味方するん?!」
「あんた達が苛めとる相手が、ゾンビや幽霊みたいに脅かしたり悪さしたりしたん?!何もしとらへんやろ?!」

 うろたえる男児と食いかかる女児に、クリスは眉間に皺を寄せて身構えたまま怒鳴る。

「せやけど、こいつの母ちゃん、死んどるんやで!」
「何言うとんねん!ちゃんと息したり食べたりしとるやないの!死んだ人間がそんなことするか?!」
「死んどるのに息したりしとるから、ゾンビや言われとるんやないの!」
「ゾンビや幽霊みたいに何も悪さしとらへんやろ!あたしから見れば、あんた達の方がずっとかゾンビや幽霊やわ!」
「こいつ!」

 ルイを苛めていた幼児達は一斉にクリスに襲い掛かる。しかし、クリスは数の差をものともせずに拳や蹴りで幼児達を倒す。武術学校に通っているクリスに
とっては稽古にもならないレベルだ。
クリスに叩きのめされた幼児達は、捨て台詞を残したり泣いたりしながら逃げていく。
 幼児達が居なくなったのを確認して、クリスは警戒態勢を解いてルイに歩み寄り、ズボンのポケットから取り出したハンカチを差し出す。救いの手が
差し伸べられたことで、ルイは顔を上げている。その頬と瞳にはまだ涙が残っている。

「もう大丈夫やで。」
「どうして・・・助けてくれたん?」
「ああいう奴等は許せへんねん。さ、涙拭きな。」

 ルイはクリスからハンカチを受け取って涙を拭き、クリスに返す。

「あんたの名前、ルイやったよな?」
「うん・・・。」
「あたし、クリス・キャリエール。クリスでええよ。これから苛められたらあたしに言いな。あたしが苛めた奴ぶっ飛ばしたる。」

 クリスは微笑みを満面の笑顔に変えて右手を差し出す。

「今からあたしとルイは友達や。仲良うしよな!」
「うん・・・。」

 おずおずと差し出したルイの手を、クリスはしっかりと握る。
 アレンは息を飲む。あの柔らかい物腰の背景に苛烈極まりない日々があったとは、まったく想像も出来ない。
同時に、村八分にされることも厭(いと)わずにルイを助け、友人と名乗りを挙げたクリスの勇気と正義感にアレンは感服する。

「−で、ルイが5歳になった時、ルイとルイのお母ちゃんがおった慈善施設を管轄する中央教会が役所と掛け合って救済策を出したんよ。」
「救済策?」
「ルイのお母ちゃんが教会の下働きになることを条件に、戸籍にルイをルイのお母ちゃんの子どもとして登録する、っちゅうこと。んでも、それで
終わらんかった・・・。」
「何かあったの?」
「ルイが、自分は正規の聖職者になる、って言い出したんよ。」

 クリスは小さい溜息を吐いてから話を続ける。

「正規の聖職者になるっちゅうことは半端やあらへんねん。この国では花嫁修業とかで聖職者になる女が滅茶多いけど、それは正規と違うからや。
花嫁修業とかの俄(にわ)か聖職者は、教会に金払うて礼拝の仕方とかマナーとかを教わる程度やからええけど、正規の聖職者は役人と同等の扱いやから
教会の名簿に登録されて、この国の教会人事服務規則に従わなあかん。小さいからゆうて修行や仕事が楽になるわけあらへん。辞職届が受理されへんのに
辞めたりしたら犯罪者や。正規の聖職者は扱いがしっかりされとる分、規則とかは滅茶厳しいんよ。大人でも2/3は1年で根ぇ上げてまうくらいや。」
「・・・。」
「勿論ルイのお母ちゃんや聖職者は止めたけど、ルイは絶対譲らへんかった。お母さんを少しでも楽にしたい、っちゅうてな。それでルイは戸籍に登録
されて、中央教会で修行始めた。傍目から見とっても滅茶厳しいのに、ルイはちっとも弱音吐かへんだ。その成果やろうな・・・。7歳でもう司祭補30)になって、
それ以降とんとん拍子に称号上げてった。村には中央の他に東と西に教会があるんやけど、1年毎に村の3つの教会を異動する度に役職が上がってったよ。
その度に最年少記録更新や。そんなんやから、ルイが東地区教会の福利部の役員になる前後あたりから、ルイ宛に異動要請が何度も来たよ。勿論条件は
ええのばっか。中にはこの国の中央教会からのもんもあったよ。この国の中央教会の聖職者ゆうたら国の役人よりずっとか格上やし、ルイの昇格のテンポから
しても、将来的には王国議会議員31)になるのは間違いあらへん。普通やったらそんな異動要請来たら、泣いて喜んで飛びつくわ。」
「でも、ルイさんは断ったんだよね?」
「そう。その話聞いた時には村の人は勿論やけど、流石にあたしも驚いたよ。で、ルイに何で断ったん、って聞いたらこう言うた・・・。」

「私はこの村が好きなの。村だけじゃなくて村の人も。だから離れたくないの。クリスとも離れたくないし、何より・・・お母さんと離れたくない。
この世でたった一人の私のお母さんと離れたくないの。私は異動出来るけど、下働きのお母さんは異動出来ないから独りになっちゃうでしょ?」

「あの娘はホント、お母さん思いなんよ・・・。お母ちゃんがあんな状態やったせいで小さい頃から散々な目に遭ったんや。普通やったらお母ちゃん恨んでも
おかしあらへん。それにあんだけ苛められたんや。あたしやったら自分苛めた奴全員ぶっ殺しとるところやのに、ルイはそうならへんだ・・・。歳は一応
あたしの方が上やけど年上やて意識せえへんし、出来へんのは、ルイの方がずっと本当の意味で大人やからなんよ。ルイはホント、聖職者の鏡や。村で
あの娘が『村一番の聖職者』言われとるんは当たり前やと思う。」
「そうだよね・・・。」
「で、14歳で司教補昇格と同時に村の中央教会の祭祀部長に就任。勿論最年少や。アレン君の国ではどうか知らへんけど、この国の教会で祭祀部長
っちゅうのは滅茶尊敬される役職なんよ。そんくらい優遇せえへんと他の町の教会から待遇不相応て抗議されたり、国の中央教会が引き抜きに来ても
不思議やあらへんしな。もうその頃には、ルイを悪う言う奴なんて誰もおらへんようになっとったよ。それどころか、ガキん頃にルイを苛めとった男共がルイを
『村で嫁さんにしたい女No.1』て口揃えて言うまでになったよ。あの娘、滅茶美人やからな。ルイを射止める男は誰か、いう話を聞かへん日を探す方が
難しいくらいやわ。」

 そこまで話したところで、クリスの表情に深い陰が差す。
逃げ出したくなる、否、逃げ出しても不思議ではない逆境を跳ね返して、偏見を尊敬や羨望に変えたルイに何かあったのだろうか。過去の苦しさや悲しさを
おくびにも出さないルイに何が隠されているのか、とアレンは思う。
少しの沈黙の後、クリスは話を再開する・・・。

用語解説 −Explanation of terms−

22)そなら:「それなら」と同じ。方言の一つ。

23)こんきに:「この際」と同じ。方言の一つ。

24)授杯:キャミール教における正式な入信の儀式。キリスト教の洗礼に相当する。ランディブルド王国では祭祀部長が直接行うのが通例。

25)シーン・メスタ:キャミール教における祈りの言葉。「貴方と貴方の子に光あれ」という意味。

26)せっか:「そう(か)」と同じ。方言の一つ。

27)浄化系魔術:衛魔術の一系統。悪魔やアンデッドなど、暗黒や毒の属性を持つ魔物に絶大な効力を発揮する。衛魔術で数少ない攻撃系の魔術でもある。

28)称号に応じた宝石:キャミール教における称号は魔術師と同じく15段階で、該当する宝石は魔術師と同じである。

29)おかしあらへん:「おかしくない」と同じ。方言の一つ。

30)司祭補:キャミール教の下から2番目の称号。昇格の平均年齢は10代前半と言われている。

31)王国議会議員:ランディブルド王国の議会は一院制で、一等貴族の当主全員と、国王に任命された二等、三等貴族の当主、そして王国首都フィルにある
王国の中央教会と各地区(フィルでは東西南北と港湾、首都の6つ)教会の代表者で構成される。それだけ教会の影響力は大きいのだ。


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