written by Moonstone
※先に本編(No.33)をお読みくださると、よりお楽しみいただけると思います。※
ある日曜日の午後。阿笠邸のリビング。「ブランド物をこれ見よがしに見せびらかすのは、ファッションセンスのなさを自ら証明しているのと同じよ。」
志保が以前園子に言った言葉が、志保のブランド物に対する哲学を端的に証明している。「A man is known by the company he keeps.」
それを聞いた彼らは頭に疑問符を浮かべて顔を見合わせた後、志保が言ったことをあれこれ話し合った後「コンパで誘えってことか」と自分達で納得して、「どうしたの?園子。こんな時間帯から。」
志保が尋ねると、一瞬の間を置いて絶叫が飛び出す。「あの2人、まどっころし過ぎるのよ〜!」
予測していたのか携帯電話から距離を置いていた志保は、発信元である園子の絶叫が始まった瞬間にストップウォッチのストップボタンを押していた。『5秒78・・・。前回より3秒52早いわね。』
やはり志保は園子が絶叫するのを予測し、その上通話開始から絶叫までの時間を計測していた。前回の時間を記憶しているのも志保らしい。「園子が今回もいきなりキレたってことは、あれから2人には何の進展もなかったってわけね?」
「そうよ!全っっっく進展なしよ!もう、見ていてじれったいったらありゃしないわ!」
「前々回の『毎日の手作り晩御飯作戦』に続いて前回園子が提案して決めた『手作りのお弁当作戦』でも、進展がなかった・・・。難しいわね。」
「ったく・・・!蘭のお父さんをハワイ・サイパン美人コンパニオン同伴豪華旅行でなだめすかして、蘭を毎晩新一君の家に出向いて夕食を作れるようにしたのに
進展なし!この時点でも重大問題なのに、前回決定した作戦で蘭に入れ知恵して新一君に毎日お弁当を作ってあげるように唆しても駄目!どうしてこうも
進展しないのかって志保!おかしいと思わない?!」
「まあ・・・、仕方ないんじゃないかしら。」
「工藤君ああ見えて結構、億手だから。」
志保があっさり言うと、園子のボルテージは一気に最高潮に達する。「億手なんてもんじゃないわ!!毎日の彼女の手作りお弁当に加えて、毎日彼女が自宅に来て夕食を作ってるのよ?!昨日も蘭がそっちに来たでしょ?!」
「ええ。蘭さんが工藤君と一緒に帰って来たわ。工藤君が持っていた買い物袋の中身から推測するに、蘭さんは工藤君の好物をメニューに選んだようね。」
「今日も警視庁管内で工藤君が出向くような事件はなかったから、トロピカルランドに行った帰りにショッピングセンターに立ち寄るんじゃない?」
「そうよ!蘭と新一君が、今日の開園と同時にトロピカルランドに入るのを家(うち)の専門部隊が確認してるわ!その後は一頻りアトラクションを楽しんで
お昼は園内のイタリアンレストランだったこともね!」
「お昼の時に蘭が『今日も買い物に付き合ってね。』って言ったら、新一君は二つ返事でオッケーよ!今は残りのアトラクションを遊んでる最中、って
さっき専門部隊から報告があったわ!」
「ということは、今日も蘭さんが工藤君の家に夕食を作りに行くのは間違いないわね。毎週末の食事が殆どポアロになってる小五郎さんには少々気の毒だけど。」
「小五郎さんを生贄にした食事関連の作戦が2つとも上手く機能していないから、もう少し様子見が適切なんじゃないかしら?」
「甘い!甘いわよ、志保!蘭と新一君が何時何処でキスするかの賭けが始まってるのよ!なのに肝心の2人はキスどころかいまだに手も繋げてないなんて、
おかしいと思わない?!」
「工藤君が少しでも蘭さんに手が出しやすいように、と自宅に入れる口実を作っても尚進展しないんだから、ま、当面様子見が適切じゃない?」
「甘ーい!!毎日お昼は彼女の手作りお弁当!!その上夕食は彼女が自宅で手作り!!彼女手作りのお昼と夕食を美味しくいただいたら、次は彼女を美味しく
いただきます、って展開するのがお約束ってもんでしょうがー!!」
「お約束という定義が成立するかどうかは微妙だけど、そういう展開になっても不思議じゃないわね。」
「食事作戦が上手く機能しないとなると、別の角度から作戦を立てる必要があるわね。」
「例えば?」
「蘭さんは空手部に所属してるけど、工藤君は部活に所属してないから蘭さんの帰りを自宅で待ってるのよね?」
「そうよ。外が暗くなってる時は新一君が迎えに来てるけど、蘭を襲おうなんて自殺行為そのものよ。」
「私もそう思うわ。だから園子。新たな作戦として『毎日一緒に登下校作戦』を提起するわ。」
「毎日一緒に登下校・・・?ああ、そう言えば蘭は空手部の朝練がある時は先に登校してるわね。放課後はさっき言ったとおりだから、結構バラバラね。」
「その時間も一緒にすれば、蘭さんと工藤君の接触時間が延長出来るし、新たに誰かを生贄にする必要もないし、最も適切だと思うんだけど。どう?」
「さっすが志保!ナイスアイデア!」
「決まりね。志保は明日学校で蘭さんに話を持ちかけてみて。私は電話で工藤君の琴線に触れておくから。」
「オッケー!じゃあね!」
そのカタログの一品が後に蘭の手に届くことになるのだが、これはまた別のお話・・・。
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