カードキャプターさくら Side Story
Bug Buster 知世
Buster 7 −ある教師の災難−
written by Moonstone
陽気な天候のある日曜日のこと。
バグバスターという名のテロリスト知世が命を賭けて(命かかっているのは対象者の方か)守ると心に誓うさくらが、繁華街を歩いていた。
今日の夕食当番はさくらであるため、学校から帰宅後、その買出しに出かけていたのだ。
で、バグバスター知世の専属諜報員ケロちゃんは、さくらに頼んで縫いぐるみのふりをして、さくらの胸ポケットに収まっている。
さくらの一人での外出時には必ず何らかの手段で同行若しくは尾行し、悪い虫が接触して来ようものなら即知世に通報するのが
専属諜報員ケロちゃんに課せられた重要な使命である。
というか、万が一にもさくらが悪い虫の手に落ちたら、ケロちゃんが明日の太陽を拝める保障は何処にもない(汗)。
ちなみに知世の宿敵(と勝手に決め付けた)悪い虫の筆頭格である李小狼は、前回(Buster6)知世が仕掛けた爆弾テロを食らって未だ入院中である。
そんなこんなでケロちゃんは、知世から渡された新装備、超小型携帯電話を装着している。
耳にイヤホン型の受話器部分を入れ、口の部分にマイクが来るようになっている。アナウンサーが装着しているものを想像していただければ良い。
さくらには「知世がアクセサリー言うてくれたんや」と言って誤魔化している。
まかり間違っても、ケロちゃんが知世の手先(笑)になってさくらを常時監視しているということを知られるわけにはいかない。
秘密を漏らしたらどうなるか。封印の獣が墓石の下に封印されるのは目に見えている(汗)。
大方の買い物を済ませたさくらが歩いていると、ふとあるものが目に入る。
目を凝らして見てみると、それは、スーツ姿のさくらのクラス担任、寺田良幸とさくらの友人、佐々木利佳の二人である。
利佳は余所行きの服らしいお洒落な服を着ていて、寺田と仲睦まじく談笑しながら歩いている。
傍目から見れば仲の良い父娘であるが、二人の関係が双方真剣な恋愛関係であることは二人だけの秘密である。
「あ、寺田先生と利佳ちゃんだ。何処か行くのかな?」
寺田と利佳が交際しているということなど勿論知らないさくらは、寺田と利佳がたまたま出くわして、意気投合したのだろうと思う。
勿論、さくらの胸ポケットで縫いぐるみのふりを決め込んでいるケロちゃんも、寺田と利佳の姿を捕捉している。
常にさくらの周囲に目を配り、悪い虫の接触を即知世に通報しなければならないため、ケロちゃんは気の休まる時がない。
ケロちゃんは事前に知世から寺田と利佳の顔写真を見せられているため(友枝小学校全学年のクラス写真を見せられて全員の顔と名前の暗記を強いられた(汗))、
寺田と利佳の顔と現状は直ぐにその脳みそにインプットされる。
まあ、こんなことは報告しても騒動に結びつきやせんやろ、とケロちゃんは比較的楽観視している。
バグバスター知世が狙うのはさくらに近付く悪い虫であって、寺田と利佳がその対象(被害者)になるとは考え・・・たくないところだ。
しかし、悪い虫と判断するのは知世である。
それも厄介なことに、知世の主観的且つ一方的な思考回路によって判断されるのだ。
そのお陰で、以前にさくらの実兄である桃矢がターゲットにされて、桃矢の怒りが縫いぐるみのふりを決め込むしかないケロちゃんに向けられ、
さくらが止めなかったら絞め殺されていたであろうという危機的状況に追い込まれた前例がある。
『・・・ま、まあ、知世も流石にさくらのクラス担任いうだけで、あのおっちゃん(寺田)をターゲットにはせんやろ。』(汗)
ケロちゃんは一抹の不安を覚えながらも、懸命にそれを打ち消そうとする。
バグバスターモードに突入した知世の主観的且つ一方的な思い込みを止めることは、封印の獣と言えども不可能だ。
それなら専属諜報員を辞めろ、とお思いだろうが、知世の「甘いもの沢山ご馳走しますわ」攻撃を受けて、ケロちゃんはあっさり懐柔されている(汗)。
この食い意地が張っているところを利用されているということを、いい加減認識するべきだぞ、ケロよ。
兎にも角にも、ケロちゃんの縫いぐるみのふりを決め込みつつの諜報活動は、さくらが買出しを終えて帰宅するまで続いた。
諜報員活動も楽じゃないのだ。
その日の夜。
夕食を終えたケロちゃんは、さくらが風呂に言ったのを見計らって知世に定例報告の電話をする。
電話は大きさの関係で見つかる危険性が高いこれまでの電話から、新兵器の超小型携帯電話に切り替えている。
これなら縫いぐるみのふりを決め込みながら報告を行うことも出来る。
しかし、こんな代物を作ってしまえる知世の母親が経営する会社の技術力は大したものである。
それが悪い虫退治の道具に転用された結果は・・・小狼の三回に及ぶ病院送りに代表される(汗)。
んでもって、ケロちゃんの報告は、さくらが帰宅してから買出しに出たところに入る。
ケロちゃんはさくらに近寄る悪い虫が居なかったことを報告していき、電話口の知世も安心した口調で応答する。
このままなら今日は知世がバグバスターモードに突入することはあらへんやろ、とケロちゃんは楽観視しながら報告を続ける。
「−そいでな、さくらの買出しに同行しとる最中、あの寺田ゆうおっちゃんと佐々木利佳やったか?あの二人が一緒に居るところを見たんや。」
「寺田先生と利佳ちゃんが?」
「・・・あ、ああ。でも寺田のおっちゃんはさくらに色目使ったりするようなことはせんかったで。」(汗)。
一瞬悪い予感が頭を掠めたケロちゃんは、必死に言い訳、もとい、ありのままの状況報告をする。
現に寺田は利佳とのデートで頭がいっぱいだったらしく、さくらに気づくことすらなかった。
デート中に他の異性に意識を向けるのは甚だ不謹慎であるが、それもさくらに向けられない限りは問題ない筈だ。そうであって欲しい。
ケロちゃんがそう思う中、電話口の知世からの応答が途絶える。
寺田と利佳が一緒に居ることが知世の逆鱗に触れたか、と思いつつ、ケロちゃんは受話器越しに話し掛ける。
「と、知世?どないしたんや?」
「・・・いけませんわ。」
「え?」
「ケロちゃん。確認のため伺いますけど、寺田先生と利佳ちゃんは仲良くされていたのですよね?」
「あ、そ、そうや。で、でも、寺田のおっちゃんはさくらに色目使とらへんで。ホンマやで。嘘やないで。」(大汗)
冷や汗が大洪水の如く溢れ出るのを感じつつケロちゃんが懸命に訴えると、知世は電話越しに呟くように言う。
「・・・いけません。いけませんわ。」
「な、何でやねん?!寺田のおっちゃんはさくらには何も・・・。」
「可愛さと清楚さを兼ね備えた利佳ちゃんと寺田先生が一緒だったということは・・・、寺田先生は次はさくらちゃんを狙ってきますわ。」
「はい?!」(汗)
「そして寺田先生はさくらちゃんと利佳ちゃんをその日の気分で取っ替え引っ換えなさるおつもりなんですわ!」(力説)
「何じゃ、そりゃーっ!」(突っ込み)
それはもはや犯罪である(断言)。
もっとも利佳ちゃんに手ぇ出した時点で犯罪だという声もあるだろうが、とりあえずその点は不問にしていただきたい。
ヤバい。知世はバグバスターモードに突入しかかっとる。
そう察したケロちゃんは、必死になって説得を試みる。
知世の一方的且つ滅茶苦茶な思い込みをこのまま放置すれば、知世がバグバスターモードに突入し、寺田退治に乗り出すのは必至。
小僧はまあしゃあないとして(爆)、幾ら何でも自分のクラス担任までターゲットにするのはまずい、と思うケロちゃん。
その間にも、知世は勝手に危機感を募らせる。まったく困ったものだ(^^;)。
「可愛さと清楚さでは利佳ちゃんに勝るとも劣らないさくらちゃんに、寺田先生が目をつけるのは必然的ですわ!」
「ちょ、ちょい待て、知世!何でそうなんねん!」(汗)
「さくらちゃんが利佳ちゃんに続いて寺田先生の毒牙にかかる前に、粉骨砕身の覚悟でその野望を阻止しなければなりませんわ!」←聞いちゃいない
「だ、だから、寺田のおっちゃんは利佳いう女の子と仲良うしとっただけやて・・・。」(大汗)
「さくらちゃんを悪い虫からお守りするのがバグバスターとしての使命!ここは出動しないわけにはいきませんわ!」←まったく聞いてない
「・・・んじゃ、出撃決定か。」(溜息)
かくして知世の妄想とも言える勝手な思い込みによって、第6回目の対象者(被害者)は寺田良幸に決定した。
利佳ちゃんに手ぇ出した天罰じゃという声が聞こえなくもないが、さくらとは担任と生徒という以外接点がないのに一方的に対象者にされた
寺田の身も多少は案じてやって欲しいところだ。
何せバグバスターモードに突入した知世は、時や場所や手段を選ばずに容赦ない攻撃をしかける、とんでもない存在なのだ。
それこそまさに某機械人間や某液体金属人間も真っ青の執念でもって、必ず対象者を退治してきているという「実績」がある。
前回は爆弾テロによって合計三回病院送りにされた小狼といい、蝋燭と鞭で散々しばかれた桃矢といい、対象者(被害者)は何れも悲惨な目に遭っている。
寺田がどんな手段で血祭りに挙げられるのかと想像するだけでも、ケロちゃんは冷や汗が流れるのを止められない。
そしてバグバスター出撃が決まれば、次はコスチュームの問題に移るのはこのシリーズのお約束。
「今回は寺田先生がターゲット。先生を退治するに相応しいコスチュームが必要ですわ。」
「知世が持っとる何処かで見たような杖だけで十分やん。」
ケロちゃんの言うとおり。あれは立派な殺人兵器である。
しかし、コスチュームにこだわりを持つ知世は、ケロちゃんの言葉などそっちのけで真剣に考える。
「先生を退治するに相応しいコスチューム・・・。ケロちゃん、何がよろしいでしょう?」
「あ、ああ、例えば利佳いう女の子の格好をするってのはどや?」
「それも一つの手段ではありますが、いまいち説得力に欠けますわ。」
「説得力って・・・。」(汗)
「それに退治の手法も考えないと・・・。」
「だから、それは知世の杖で十分やて言うとるやんか。」
「!そうですわ!先生を退治するに相応しいコスチュームと手法がありますわ!」
電話口で一人さくらちゃんをお守りしますわオーラを発しつつ叫ぶ知世。思い込みもここまで来れば大したものだ。
寺田を退治するに相応しいコスチュームと手段・・・。嫌が応にもケロちゃんには気になるところだ。
何せケロちゃんもその場に相応しいコスチュームを着せられ、その上、対象者の悲惨な末路の一部始終をビデオ撮影するという任務を背負うのだ。
桃矢の時は縫いぐるみのふりに徹しつつビデオ撮影を行ったため桃矢の怒りを買い、危うく絞め殺されそうになった。
少なくとも自分くらいは命の危険から免れたいと思うケロちゃんの心情を理解してあげていただきたい。
「善は急げと申します。早速明日出撃いたしますわよ、ケロちゃん。」
「あ、明日?!」
「ええ。コスチュームは徹夜で準備します。場所は決まっていますから、あとは寺田先生をその場にお連れするだけですわ。」
「お連れするって・・・、強制連行と違うか?」(ぼそっ)
「何か仰いました?」
「い、いや、何も言うとらへん!あ、明日が楽しみやな〜。」(大汗)
電話越しに聞こえてきた殺意がたっぷり篭った可憐な声にビビったケロちゃんは、慌てて誤魔化す。
対象者の寺田は可哀相だが、バグバスター知世に目をつけられたら封印の獣といえども墓石の下に封印されることになるのは避けられない。
封印の獣もバグバスターの前には形無し、まったくの無力故、知世には逆らえないのだ。
自分の命は惜しいと思うのは人間だろうが封印の獣だろうが変わりはしない。
「ケロちゃんには当日コスチュームとカメラをお渡しします。他人に見つからないように道中十分お気をつけ下さいね。」
「わ、分かった・・・。」
電話が切れた後、ケロちゃんはあれこれ思案を巡らせる。
知世が言う「先生を退治するに相応しいコスチュームと手段」とはいかなるものか?
どのみち避けられない運命やから考えてもしゃあないか、とケロちゃんは思う。
果てさて、自らのクラス担任までもターゲットにすることを宣言したバグバスター知世。いかなる手段をもってして寺田を退治するのか?
病院送りになるような手段は避けてもらいたいところだが・・・無理っぽいな(汗)。
翌日の黄昏時。
授業と仕事を終えた寺田は帰路に着いていた。
自宅に帰ったら自分で自分の食事を作って自分一人で食べる。一人暮らしの宿命だ。
成長した、否、今のままでも良いから、利佳が優しい笑顔とともに「お帰りなさい」と出迎えてくれたら・・・。
自分の身に災厄が待ち構えていることなど知る由もない寺田は、そんなことを思いながら、一人歩いていた。
交差点に差し掛かったところで、寺田の前に人影が飛び出す。
一瞬誰かと思った寺田がよく見ると、それはスーツ姿で教育ママが使うような眼鏡をかけ、何処かで見たような杖を持っている知世その人だった。
何だ、大道寺か、とひと安心した寺田は、利佳を虜にした笑顔を(利佳ちゃんファンの方、冷静に(汗))浮かべて尋ねる。
「大道寺じゃないか。そんな格好でどうしたんだ?」
「いいえ。私は大道寺知世ではありませんわ。」
「え?」
「通りすがりのPTA会長ですわ。」
キラン、と光る知世の眼鏡(勿論伊達眼鏡だ)とその台詞に、寺田は思わず尻込みする。
PTA。それは教師にとって教育委員会と並んで始末に終えない強敵の一つである。
PTA、と聞いて反射的に後ずさりした寺田は(利佳との関係を知られたら只事では済まないという自覚はある)、冷や汗を流しつつ言う。
「お、おいおい、大道寺。悪い冗談はよせよ。」
「寺田先生。貴方は利佳ちゃんというものがありながら、さくらちゃんまでその毒牙にかけようとしましたね?」
「(利佳と聞いてびくっとしつつ)お、俺はそんなことを考えたことはないぞ!」(汗)
「ご自身の過ちに対する反省の色がまったくありませんわね。これから先生を査問会議の場にお連れしますわ。」
「さ、査問会議?!」(動揺)
「そこで利佳ちゃんはおろか、さくらちゃんまで毒牙にかけようとした罪を懺悔していただきますことですわ。」
「だ、だから俺は利佳、否、佐々木とは別に・・・。」(激しく動揺)
「風よ!戒めの鎖となれ!『風(ウィンディ)』!」
知世が何処かで見たような杖のボタンの一つを押すと、何処からともなくガードマンお姉さんズがわらわらと出てくる。
そしておろおろする寺田をひょいと担ぎ上げ、知世の先導を受けて連行していく。
目的地は勿論、査問会議を行う場所だ。
「こ、こら!やめろ!離せ!下ろせ!大道寺!」
「先生にはしっかりご自身の罪を懺悔していただきますことですわ。」←聞いちゃいねえ
「だ、だから俺は利佳、否、佐々木とは・・・じゃなくて、木之本にもだな・・・。」(狼狽)
「全ては査問会議の場で裁きますことですわ。」
やや妙な日本語を使いつつ、知世は寺田を担ぎ上げたガードマンお姉さんズを先導して査問会議の場所へ向かう。
知世の向かう先は・・・自分が通う友枝小学校である。
その一部始終を撮影しつつ物陰から物陰へ飛び移るように移動するケロちゃんは、スーツにネクタイ姿、知世と同じ形の眼鏡というコスチュームである。
ケロちゃんは寺田にこれから降りかかる災難を想像する。
ピ○チ○ウも真っ青の電撃ショックか、それともドラゴンみたいな火炎放射か。
救急車の予約が出来るならしたほうが良いな、とケロちゃんは思う。
だが生憎救急車の予約システムはないから、寺田がズタボロにされた時点で119番をダイアルするしかない。
小僧に続いて寺田のおっちゃんもか、と思うと、ケロちゃんは自分の無力さを実感せずにはいられない。
・・・って、元の姿になってでも止めろよ、ケロ(汗)。
「な、何だ、こりゃーっ!」
友枝小学校の会議室に、椅子に縛り付けられた寺田の声が響く。
寺田は黒板に向かい合う形で座らされていて、その隣に利佳の縫いぐるみを座らせた椅子があり、左右に机、そして黒板を背にして知世が立っている。
ちなみにケロちゃんは外の木陰からビデオ撮影している。マイクは勿論スタンバイされている。
知世は何処かで見たような杖で黒板をコンコンと叩いて言う。
「静粛に。これより査問会議を開催します。」
「な、何ぃ・・・?」
「発議人は私。査問対象者弁護人は私。証人はそこの利佳ちゃん人形。・・・某社の人形じゃありませんわよ。そして司会進行は私が務めますわ。」
「しょ、正気か、大道寺・・・。」(大汗)
念のため言っておくが、知世は真剣そのものである(爆)。
兎に角、知世が一人三役を務める査問会議が始まった。ケロちゃんはつぶさにビデオ撮影をしている。
「では、発議人。発議をお願いしますわ。」
「はい。それでは発議します。」
知世は司会の台詞を言った直後に寺田の左側の机に移動して、用意してあった書面を読み上げる。
発議者(知世)「査問対象者である寺田良幸は、自身が担任を務めるクラスの女生徒、佐々木利佳さんを毒牙にかけ、更にあろうことか、
清楚可憐な木之本桜さんをもその毒牙に掛けようとしました。これは明らかに許されない犯罪行為です。」
寺田「言いがかりだーっ!」(絶叫)
司会(知世)「それでは査問対象者弁護人。発議に対して何か意見はありますか?」
査問対象者弁護人(知世)「はい。本人に反省の色はまったくありません。」(きっぱり)
寺田「こ、こら!弁護人なら弁護しろ!」(怒)
そりゃもっともだ。だがこの査問会議では通常の理屈は通用しない。
司会(知世)「査問対象者は静粛になさい。では証人。何か意見はありますか?」
証人(利佳ちゃん人形)「・・・。」←人形だから沈黙してて当たり前
司会(知世)「証人からの意見がないようですので、発議人、要求する処罰を述べなさい。」
寺田「証人が証人になってないじゃないか!おい!」
人形に証人をさせること自体、査問会議の結論への誘導が見え見えだ。
発議人(知世)「(無視)はい。査問対象者、寺田良幸にはその悪行を封印するため、封印の電撃ショックを加えるのが適切だと考えます。」
司会(知世)「なるほど。では査問対象者弁護人。提案された処罰に対する意見があったら述べなさい。」
査問対象者弁護人(知世)「はい、極めて適切な処罰だと思います。」(きっぱり)
寺田「だから弁護人なら弁護しろって!」
司会(知世)「(また無視)弁護人からも異論が出ませんでしたので、評決を言い渡します!・・・封印の電撃ショックですわ。」
寺田「こ、こらーっ!大道寺!ふざけるのもいい加減にしろーっ!」
司会(知世)「(やっぱり無視)では執行人、処罰を執行なさい。」
執行人(知世)「はい。了解しました。」
執行人(知世)は寺田の前まで来て何処かで見たような杖を振り翳すと、寺田の脳天に「ぽこっ」と叩き込む。
そして、柄のボタンの一つを押す。
次の瞬間、青白く眩い閃光が猛烈な雷鳴と共に室内を駆け巡る。
かつて小狼を一撃で病院送りにした封印の電撃ショックである。
寺田は勿論絶叫を上げるが、雷鳴の大きさにあっさりかき消されてしまう。
以前にも増して威力を増したように見える青白い雷光に包まれる寺田を撮影するケロちゃんは、冷や汗がどばどば流れるのを感じる。
こんなん食らったら死ぬで、普通、とケロちゃんは思う。それは筆者も同感だ。
だが、このシリーズでは決して死人は出ないのでご安心願いたい。・・・って、それで良いのかなぁ(^^;)。
知世がボタンから手を離すと一瞬にして雷光と雷鳴が消え、椅子には黒焦げになって彼方此方から黒煙を上げる、
髪がアフロになった寺田が座っている。
寺田を縛っていた縄は、凄まじい威力の電撃で完全に焼け焦げて跡形もない。
そんな電撃を食らっても生きていられるんだから、このシリーズはとても健全、誰でも安心して読める作品だ(何か違うような・・・(^^;))。
黒焦げになった寺田は口をパクパク動かした後、最後の力を振り絞って叫ぶ。
「り、利佳ーっ!」(がくっ)
そして寺田はがっくりと項垂れて意識を失う。
杖の先端で軽く突いて反応がないことを確認して、知世は急いで窓際へ行き、窓を開けて差し込む黄金色の夕日を浴びながら額の汗を拭い、
とても爽やかな表情で決め台詞をのたまう。
知世「良いことをした後は、気持ちが良いですわ。」
ケロちゃん「と、知世・・・。お前っちゅう奴は・・・。」(号泣)
撮影が完了したところで、ケロちゃんは迷わず119番に電話する。
「あ、救急や。電気ショック食らって黒焦げになった教師が友枝小学校の会議室に居るさかい、大至急来てくれや。」
そう告げて電話を切ったケロちゃんは、知世の強引且つ容赦ない「処罰」に恐怖すると同時に、それを止められない自分の無力さを思い知る。
しかし、本当の姿に戻ったとしても、バグバスターモードに突入した知世を止められる可能性は極めて低い。
如何なる手段をもってしてでも対象者を退治する攻撃力と執念を持ち合わせたバグバスター知世に敵う者は居ないだろう(汗)。
寺田が「処罰」された日の翌日。
教師から寺田が全治1ヶ月の重傷で入院したと聞かされた4年1組は騒然となる。
特に利佳は衝撃を隠せず、顔面蒼白である。
想い人が重傷を負って入院したと聞いて平然としていられるほうが不思議なのだが。ましてや利佳は小学生だし。
今回の事件の核心である(とは言え本人にはまるで身に覚えがないのだが)さくらは、知世に言う。
「寺田先生、一体どんな事故に遭ったんだろうね。」
「何でも電気工作をしていたら誤って感電してしまったということらしいですわ。」
「?電気工作?寺田先生って、そんな趣味があったのかぁ。今まで聞いたことないけど。」
「人はそれぞれ、内に秘めたるものを持っているものですわ。」
「そうだよね。先生だって人間だもんね。趣味の一つや二つ持ってても不思議じゃないよね。」
「さくらちゃんの言うとおりですわ。」
そう言って微笑む知世からは、とても寺田を病院送りにした雰囲気は感じられない。
知世の言うとおり、人間はそれぞれ内に秘めたるものを持っているものだ(汗)。
ちなみに病院では、先に爆弾テロを食らって入院していた小狼と新たに担ぎ込まれた寺田が偶然にも同じ病室に、しかも隣合うベッドに居た。
寺田「・・・なあ、李。」
小狼「・・・何ですか?」
寺田「お前も・・・やられたのか?」
小狼「・・・はい・・・。」
包帯で全身ぐるぐる巻きにされた小狼と寺田は、それだけの会話で互いの身に降りかかった災難の凄まじさとその実行犯の容赦なさを共有する。
こうして奇妙な連帯感で結ばれた二人の元に、花束と果物を持ってさくらと利佳と知世が見舞いに行ったのは後日談である(爆)。
さくら争奪戦 第7回戦
○バグバスター知世(8分27秒 査問会議&封印の電撃ショック)寺田良幸×
通算成績 バグバスター知世:5勝1敗1分 寺田良幸:0勝1敗
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・・・知世の戦いとケロちゃんの苦悩の日々は、またまた続く(ケロちゃん「誰かワイを助けてくれ〜!」(ToT))
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