雨上がりの午後

Chapter 86 親友と語らう彼女と「あの日」

written by Moonstone


 翌日の三コマ目が終わった。一コマ目の電気回路論Tに続く電磁気学Tの試験がチャイムの音で終了を告げる。
溜息とも苦悶ともつかない声が上がる中、それぞれが解答用紙を教壇の上に持っていき、教室を出て行く。
俺も溜息を吐いて緊張を解しつつ解答用紙を提出して外へ出る。その横には晶子じゃなくて智一が居る。

「くっそー、ありゃ難しすぎだ。ギリギリセーフかどうかってとこだな。」

 智一が悔しそうな表情で頭を掻きながらぼやく。
電気回路論Tの時も同じようなことを言っていたが、ヤマが外れたんだろうか?あの試験でヤマを張るのは危険だと思うんだが。
そもそも試験問題が出る範囲を俺に教えたのは智一なんだがな・・・。試しに聞いてみるか。

「ヤマ張ってたのか?」
「おおよ。過去問題持ってる奴にコピーさせてもらって、それを完璧に解けるようにしておいたんだけどさぁ。半分ぐらい意表を突かれちまったよ。
あんなところから問題出すか?普通。」
「講義や教科書の演習問題から出題されるって言ったのは、他ならぬお前じゃないか。今までの傾向がそのまま続くとは限らないだろ?」
「そりゃそうだけどさぁー。試験の時くらい楽したいってのが人情ってもんだろ?だから過去問題解けりゃ完璧ってことにしてほしいよなぁー。その点、
お前、随分余裕じゃないか。」
「俺はひととおり出来るようにしておいたからな。お前から聞いたとおりに。まあ、完璧とは言えないけど8割くらいはいけたと思う。」
「それだけ出来りゃ上等じゃないか。くっそー。何でルックスも懐具合もハートも申し分ない俺が試験ごときで苦しめられなきゃならないんだよー。」
「・・・智一。それって俺に対するあてつけか?」
「よく分かったな。」
「おい。」
「ったく、お前には薬指に指輪嵌め合うほどの相手が居るっていうのに、試験は出来ないわ、彼女は出来ないわ、何でこんなに世の中不公平なんだよ・・・。」

 何だか腹立つな・・・。
試験が出来なかったのは、自分が仕入れた情報どおりに講義や教科書の演習問題から出題されるってことで、ひととおりこなせるようにしておかなかったことが
原因なんじゃないのか?
それに彼女が出来ないことまで俺のせいみたいに言われたら、こっちこそたまったもんじゃない。

「お前が仕入れた情報どおりに、講義や教科書の演習問題を解けるようにしておきゃ良かったんじゃないのかよ。それに彼女が出来ないのを
俺のせいみたいに言うなよな。」
「ふん。美人の彼女が居る奴は良いよな。いざとなったら彼女に慰めてもらえるんだから。」

 俺は心臓が口から飛び出すかと思うくらい驚く。
一昨日の夜に晶子と寝て、昨日は時々ベッドに横になってその余韻に浸りながら試験勉強してたのが−端から見れば変態だろう−バレたのかと思った。
勿論そんなこと口が裂けても智一に言う筈がないが。

「晶子だって試験があるんだぞ。妙な言い方するなよ。」
「どうだか。実は週末デートでもしてたんじゃないのか?その勢いで夜も一緒に、とか。」

 ・・・こいつ、私立探偵でも雇って俺を監視させてるんじゃないだろうな?
ここらで切り返さないと、思わず事実を溢してしまって、それをきっかけに全部吐き出さされかねない。
そうなったら智一は錯乱した上に、学科中に尾鰭をつけてばら蒔くに違いない。

「試験期間中にそんな悠長なことやってられるかよ。只でさえここは進級が厳しいんだから。俺は留年なんて絶対許されないんだから尚更だ。」
「留年なんて俺だって真っ平御免さ。でも、この分だと後期に盛り返さないときついかもなぁー。」
「後期から専門教科の実験が入ってくるんだぞ。言っとくけど、グループが分かれたら前期の物理や化学の実験みたいにフォロー出来ないから
そのつもりでな。人の実験にまで構ってられないからな。」
「そんな冷たいこと言うなって。お前の苗字は安藤。俺は伊東。この間に人は居ない。そして情報では実験のグループ分けは4人単位。頭から数えれば、
俺とお前はほぼ間違いなく同じグループになる。というわけで、よろしく頼む。」

 智一はそう言って俺の肩にポンと手を置く。
こいつ・・・。何だかんだ言って人の尻馬に乗るのが上手いからな。
グループが別になったらなったで、その中の手際の良い奴に擦り寄るだろうし、俺と同じグループになったらなったで「実験は俺には向いてない」とか
何とか言って都合の良い部分だけ持っていきやがるだろうな・・・。
まあ、智一のあまりの手際の悪さに見るに見かねてフォローする俺も俺だけど。
 俺と智一は並んで正門へ向かう。
晶子は二コマ目に試験があると言っていたから、先に帰るように言っておいてある。
言わなきゃ待ってるだろうし、そうなったらまた智一が割り込んでくるのが分かりきっている。
それに加えて「今日は夜も一緒だろ?」と一言添えておいた。
勿論試験勉強は欠かせないが、食事やリラックス空間が提供されるのはありがたいし、一人で勉強するのがちと寂しく思う。
これも一昨日の余韻のせいだろうか。

「そう言えばさ、祐司。お前と晶子ちゃんが出会ったのって、このくらいの時期じゃなかったか?」
「人のことなのによく覚えてるな・・・。」
「そりゃ当たり前だろ。お前と晶子ちゃんがきちんと顔合わせできるセッティングをしてやったんだから。それにしてもあの頃のお前、尋常じゃなかったよな。
本当に心底嫌そうだって顔してたし。」

 そう、あの頃の俺は本当にまともな精神状態じゃなかった。
何もかもがどす黒く見えた。
女なんか二度と好きになるもんか、って心に頑なな壁を作った。
晶子の話を聞くどころか、姿を見るのも声を聞くのも嫌だった。
兎に角女という生き物から離れたかった。それだけしか考えてなかった。

「しかし、今だから聞けるけどさ、何であの時お前、あんなに荒れてたんだ?」
「・・・その時付き合ってた女に、ある夜電話一本でふられたからだよ。」
「はーあ、そうか・・・。成る程ね。」
「相手は俺の気持ちを試すつもりだったらしいけど、結局別の男と付き合ったんだから世話ないさ。ま、その相手とはきっちり清算したから良いけど。」
「お前って、純情一直線って言うか、これと決めたものにはとことんってところがあるから、そんなことがあったら自棄になっちまうのも無理はないわな。
そうか・・・。晶子ちゃんが初めての相手じゃなかったのか。」

 最後の一言で少しドキッとしたが、智一はカウンセラーみたいなことを言うな。
自分で言うのも変だけど、俺は智一の言うとおり、これと決めたものにはとことん突っ込むタイプだから、そのとことん突っ込んでた対象の宮城に
呆気なく袖にされた反動で、もう女なんか、ってなっちまったんだろう。

「しかしな、祐司。そういう事情があったにしても、あの時のお前の態度は幾らなんでもぞんざい過ぎたぞ。せめて話をするくらいの余裕がないと。」
「今思うと、あの時は確かに酷い対応だった。聞く耳一切持つもんか、って思ってたからな。」
「2、3回顔を合わせただけの相手に自分の事情を洗いざらい説明しろとは言わないけどさ、自分の事情はひとまず置いておいて普通に、一人の人間として
接するようにした方が良いぞ、絶対。お前、相手が晶子ちゃんだったから良かったんだぞ。」

 確かにそうだ。あの時の相手が晶子だったから、そして俺が兄さんに似ているという「好条件」があったにせよ、晶子がどれだけ邪険にされても、
言葉は悪いが執念深く食らいついてくるタイプだったから、今の俺と晶子の関係があると言っても過言じゃない。
そうじゃなかったら、あの時点で俺は見限られて、新しいチャンスをみすみす逃していたに違いない。
 この性格、早めに何とかした方が良さそうだな・・・。
でも、新しいチャンスが巡ってきたら気持ちをさっと切り替えて、っていうのにはどうも馴染めないんだよな。馴染もうとしないせいもあるだろうけど。

「ところで、予定は何か立ててあるのか?」
「予定って、何の?」
「何の、ってお前なぁ・・・。出会って一周年企画に決まってるだろ。」

 言われてみれば、予定と言われて該当するのはそれしかない。何をボケてるんだ、俺は。
智一はいかにも呆れたと言わんばかりの表情で肩をすくめて首を横に振っている。
そりゃ呆れるだろう。俺自身呆れてるんだから。

「まったく・・・何でこんなボケボケ男に惚れ込んじゃったんだろうなぁ、晶子ちゃん。美人だけど思考パターンはいまいち理解出来ん。」
「悪かったな。」
「悪いも何も、祐司。お前も女と付き合った経験があるっていうんだから幾らボケボケでも多少は分かってると思うが、年のために言っておいてやる。
女って生き物はな、二人の記念日とかそういうのを大切にしたがるもんなんだ。そういうのをいい加減にしてると、相手の憤激を買うぞ。
まあ、それで俺にチャンスが巡ってくるならそれでも構わないけどな。」

 忠告なんだか挑発なんだかよく分からない部分もあったが、智一の言うことは概ね正しい。
女は付き合い始めた日とか互いの誕生日とか、そういうことを常日頃大切に抱えてるようだ。昨日、晶子も言ってたしな。
 実際、宮城と付き合ってた時、宮城からの告白一周年を俺がうっかり忘れてたもんだから宮城が怒ってしまって、宮城の友人達の演出でどうにか
事態を収束出来たって経験もある。
晶子の場合はそうならないと思うが、覚えているに越したことはない。
まあ、あの日は忘れようにも忘れられないが。

「で、本題に戻るが、予定はどうなんだ?」
「まだ何も考えてない。今は試験のことで頭がいっぱいだから。」
「おいおい、そんなんで大丈夫なのか?」
「試験が終わったら考えるさ。まあ、お前みたいに豪華絢爛なディナーで盛大に祝う、なんてことは出来ないけど。」
「つくづく馬鹿だな、お前って奴は。晶子ちゃんが豪華絢爛な催しや演出を好むタイプじゃないってことは、付き合ってるお前なら十分分かってるだろ。
俺ですら分かってるんだから。」
「・・・ああ。」
「お前が出来る範囲のことでやれば、晶子ちゃんは間違いなく喜んでくれるさ。極端な話、『今日は俺たちが出会った日だよな』の一言だけでも
感激するかもしれないぞ。」

 そうだ。晶子は豪華なディナーも、高価な服やアクセサリーも、雑誌に紹介されるような演出も望んじゃいない。
只二人でその日その時間を過ごせることに幸せを見出せる女なんだ。
それはクリスマスの時にも、晶子の誕生日の時にも、もっと遡(さかのぼ)れば、俺が熱を出して寝込んだ時に看病してくれた礼に食事に誘った時もそうだった。
俺が出来る範囲のことは高が知れている。でも晶子は誠意さえ篭っていれば心底喜んでくれる。そういう女だ。
 曲を書き下ろして聞いてもらうのも良いだろう。
晶子はあまりアクセサリーを付けるタイプじゃないが、俺が買える範囲のペンダントや指輪なんかをプレゼントするのも良いだろう。
看病の礼の時のように食事に誘うのも良いだろう。
普段何かと晶子からアクションが起こすのを受身になっているような俺だ。
俺の方からアクションを起こすだけでも、それこそ智一が言ったように言葉だけでも、晶子は本当に喜んでくれるだろう。
だからこそ大切な日は大切にしたい。

「まあ、考えてみる。それにしても智一、お前って付き合い方とかそういう方面は色々詳しいな。実験とかはてんで駄目なくせに。」
「人間誰でも得手不得手はあるもんさ。ま、幾ら詳しくても相手の心を分かろうとしないと駄目だけどな・・・。」

 そう言った智一は一瞬寂しそうな顔をする。
晶子に何度も果敢にアタックを試みたものの、結果はその晶子を邪険に扱っていた俺に取られた格好になったことがやっぱり寂しいんだろうな・・・。
俺もよく似た経験をしたから−自分が好きだった相手が別の男と付き合うようになったとか−その寂しさや辛さは分からなくもない。
 しかし、智一も相変わらずというか、未だに晶子に執着しているな。
金は言うまでもなく、車も持ってるし、話しぶりからするに洒落たデートスポットなんかを知ってるだろうし、ルックスも客観的に見て結構良い方だと
思うから、その気になれば直ぐに彼女が出来ると思うんだが・・・。何でそこまで晶子にこだわるんだろう?

「なあ、智一。」
「何だ?」
「前々から思ってたんだけどさ、何で今の今まで晶子にそこまで熱を上げてるんだ?お前なら合コンとかで簡単に彼女が出来ると思うけど。」

 俺が尋ねると、智一は何時になく真剣な表情で答える。

「晶子ちゃんは今まで俺が見てきた女とは違うんだよ。あんな良い娘、お前っていうこぶが付いただけで諦められないさ。」
「でも、お前、以前合コンで聖華女子大の娘とくっついたじゃないか。直ぐに性格の不一致とかで別れたって言ってたけど、その線とかで探してみれば、
お前の人脈ならお前が気に入る娘が見つかるんじゃないか?」
「それがそんなに簡単に出来れば何の苦労も要らないだろ。聖華女子大の娘とは確かにコネがあるし、お前が以前言ったように、文学部とか法学部とかの
娘を当たってみる手はあるさ。だけどな、晶子ちゃん以上の娘には出会えないんだよ。俺に寄って来る女なんて、大抵俺ん家の財力に目をつけたか、
車持ちでセンスが良いとか、自分で言うのも何だけどな、洒落たデートスポットを知ってるとか人伝で聞いた奴ばっかりだ。そんなんで性格が合うも
へったくれもありゃしないだろ?」
「そりゃそうだな・・・。」
「それにな、俺、思うんだ。お前は偏屈で斜めからものを見るような奴だけど、一方で真面目で誠実で、人が困ってるのを見て見過ごすようなことは
出来ない奴だ。外見や財力や女を寄せる武器では圧倒的に俺に劣るけど、俺にはそういう突っ込んだところでの魅力がないんだ。だから上辺だけの
付き合いで終わっちまう。俺はいい加減そういうのに飽きたんだ。だから晶子ちゃんを諦めないんだよ。」

 引っかかる部分がなくもないが、智一の思いはかなり切実なものがある。
智一は本気で、本音で、素の自分と付き合える相手が欲しいんだ。
だから、智一が言うところの「偏屈で斜めからものを見るような性格で、外見や財力や女を寄せる武器で圧倒的に自分より劣る」俺の素を見通して
俺と付き合うようになった晶子が欲しいし、諦められないんだ。

「でも智一。俺はお前の気さくで陽気な性格に惚れ込む女が、探せばきっと見つかると思うぞ。少なくとも女を集められる能力は確実に俺より上なんだから、
その分可能性も高い筈だし。」
「だからな、性格を見通したり見通されたりするまでに時間がかかるんだよ。それまで女のご機嫌とったりしなきゃならない。俺はそういうのが
もう嫌になったんだよ。馬鹿馬鹿しくてさ。」

 智一の言うことは一理ある。
相手の性格を把握するには相当の時間と接触の機会が必要だ。
俺だって最初は晶子を異常に執念深い奴としか思わなかったし、所詮自分の兄貴に似てるから俺に近寄ってきたんだろ、と軽蔑さえしていた。
それがそうじゃなくて、俺に懸命に好意のボールを投げかけてきてくれていることが分かるまでに随分時間がかかったし、晶子とすれ違いも
−その時はそうは思わなかったが−起こした。
 もしかしたら、俺自身晶子の性格を全て分かっているつもりで、実はまだ一部しか分かっていないのかもしれない。
分かった部分だけに触れて自分と波長が合うから付き合っているのかもしれない。
俺と晶子でさえそうなんだから、そこへ行きつくまで女のご機嫌取りをしなきゃならないとなると、流石に耐えられなくなってきたんだろう。
智一も変わったな・・・。

「はあ・・・。こうなったら、通学途中に食パン加えた女の子と出会い頭にぶつかる機会を待つしかないんかね。」
「何だそりゃ?」
「つまりは、お前みたいな極めて幸運な機会を待つしかないかな、って意味だよ。」

 妙な喩えでよく分からなかったが、解説されると智一の心境が良く分かる。
智一も素の自分に心底惚れ込んでくれる相手が欲しいし、そのきっかけは余程の運がないと出くわす機会がないと思っているんだろう。
でも、俺としては、女を寄せる武器をたっぷり保有している智一の方がそういう機会がある可能性が高いと思うんだが。

「ホント、お前ってつくづく運の良い奴だよな。あれだけ鬱陶しがってた相手に諦められないで、結局180度態度を変えたら見事にくっつけられたんだから。」
「俺もそう思う。」
「お前、そう言っておいて晶子ちゃんを泣かせるようなことしたら、それこそ承知しないぞ。遠慮なく割り込ませてもらうからな。」
「そうならないようにするつもり。」
「俺は何時でも隙を窺ってることを忘れるなよ。」
「大学や町に特定人物専門のひったくりが徘徊してるってことだな。」
「お、お前なぁ・・・。」

 智一は苦笑いする。でも、智一の言うことを聞いていると、そういう表現が的を得ていると思う。
こんな執念深いひったくりに晶子を盗られるわけにはいかない。智一の言ったことで参考になる部分を頭に入れて行動していかないとな。
 試験も今週で終わる。それから間もなく後期の講義日程が発表されて講義が始まる。
試験の結果が気になるのは勿論だが、あと少し。終わるまでは後ろを振り返らずに気合を入れて前へ向かおう。やった分の結果は出る筈だ。
今俺が出来ることであり、すべきことは、学業とバイトと恋愛の三本柱をしっかり支えること。どれが歪んだり折れたりしてもいけない。
 俺はふぅ、と軽い溜息を吐いて空を見上げる。鮮やかに晴れ上がった空が広がっている。
女心と秋の空、なんて言うけど、何時だって変わるときは変わるし変わらないものは変わらない。
問題は自分がどういう方向に持っていきたいか、ということだ。俺はそう思う。
 今日は晶子と一緒に夜を過ごす。
まだ土曜の夜の余韻が冷め遣らぬ中で一つ屋根の下で一つのベッドで寝ることを思うと身体が少々むずむずするが、俺が今見上げている空のように、
爽やかで明るい関係を続けていきたい。
あくまで晶子と抱き合う時は互いの心のベクトルが向かい合っている時だけ。それさえ忘れなければ、過ちを犯すことはないだろう。

「祐司。何を空見上げて浸ってるんだ?」
「ん?こういう空は良いなって思ってさ。」
「お前にアンニュイは似合わないって。」
「大きなお世話だ。」

 そんな会話を交わして俺と智一は笑う。笑いにも色々あるが、今の笑いは気持ち良い。
恋敵でもあるが時に貴重な助言をくれる親友と共に歩く、こういう時間もなかなか良い。
俺って不幸なのか幸運なのか・・・。まあ、少なくとも今は幸運な時期なんだろう。
それが何時まで続くかっていう不安もあるが、そんなことを考えても仕方ない。続くかどうかを案じるより続けようとすることを大切にしていかないとな・・・。

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